聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
イズヴァルトは軍を進めたかった。理由があった。連合軍に加わるヒッジランドが東西から攻め込まれて、劣勢に立たされているという話を聞いたからだ。
しかし物資不足で連合軍は北への進撃ができない。マニワールにやって来たショージュ=オーウェンも、最初の支援物資の搬入がなされる11月まで待てとイズヴァルトを諭した。
「急いではことを仕損じる。イズヴァルト、ここが我慢のしどころじゃぞ?」
特に兵糧が無ければ兵隊は動かせない。ショージュは昼飯代わりのふぐの魚醤干しをかじりながら腕を組んだ。干物は『ぷにぷに水産』の土産物用の珍味だが、すでにこれを食事にするぐらいに困っていた。
「なれど! いくさの勢いを殺しては士気が落ちてしまうでござるし、とどまっている間に敵は陣容を整えてしまうでござるよ!」
イズヴァルトは暗黒卿の逸話を引き合いに出した。暗黒卿はとある敵国に攻め入った時、物資が欠乏しだした。進撃が止まってしまった。
しかし長期戦になる恐れがあったその戦争で、暗黒卿は迷わず作戦の続行を伝えた。
「兵は神速を尊いとする。異世界の名言だ。『ギ』の『ソーソー』を輔けた名軍師『カクカ』というのが、あるいくさで主君に告げたらしいな。私もそれに倣おうと思うのだ」
暗黒卿の作戦変更と戦争の続行は大勝利に導いた。イズヴァルトがその逸話を語って持論を通そうとする。ショージュもこの逸話をご存知だった。
「それはわかる。しかしその国こそが我らがゲースティアにあった国のうち1つ、という話を忘れてはおらぬかえ?」
「さ、さようでござったか?」
「そうじゃ。その逸話には大事なことが抜けておる。暗黒卿は作戦にあたって、農家や食料商人に金をばらまいた。食料の現地調達もきちんとしていたのじゃよ」
でもそれは食料が豊富なゲースティアだからできることだった。イーズモーは違う。寒い国である。夏に米、冬に麦や冬米がとれるような国ではなかった。
「しかし、待っているばかりではならぬのは確かじゃな……儂に一計がある。まずはミレイユ殿から、この地域の砦や城を聞かせてもらってからおぬしにお話いたそう」
それから4時間後、ショージュは前かがみで剣を杖代わりにして戻ってきた。
「こってり絞られた……」
「あまり無理をなされてはならぬでござるよ?」
「60を過ぎると昔のようにはいかぬな……さて、儂の作戦を開陳しよう」
まだ快感の余韻が残っている股間のあたりをさすりながらショージュは語った。少数精鋭の遊撃隊を組織し、マツエスコーまでを守る各地の砦や城市の防備を破壊させる。
「嫌がらせでござるか?」
「そうではない。本隊を再編成し物資を集中すればマツエスコーまでは攻めていける。おぬしには言い忘れておったが、チンゼーより1万の援軍がもうすぐ来るぞ」
イズヴァルトに助力するためにシマーヅ、スミジア、ヒューガスタン、それからアソマリアが援軍を出した。総大将はピピン王子。しかし用兵の経験が豊富な各国の武将らが、実際の指揮官である。
「なんと! ピピン王子が!」
「愛妾のエレクトラ=ガモーコヴィッツが参謀に、それからアソマリアの拝火教の巫女2人が魔法戦士団を率いるそうじゃな。心強いことじゃて」
「それはなんとも心強い、でござるが、エレクトラどのとデボラどのフロウラどのは、たぶん『育児休暇』をしょっちゅう出すかもしれぬでござるよ?」
「向こうさんも織り込み済みじゃろう。その1万を中心に再編成を行う。ゲースティアもできるだけ力を尽くす。その間に貴公が精鋭を集い、暴れまわってくれれば大助かりじゃ」
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イズヴァルトは男エルフ達とサイゴークのゴブリンやドワーフの義勇兵、それから触手姫のブランカを連れて遊撃隊を結成した。
身重のミレイユがショージュ=オーウェンとセックスをしながら書いた各地の砦の特徴について記したメモを片手に、敵方の要塞に攻撃を仕掛け、防備を無力化させていった。
10月の半ばにはピピン王子らが率いる1万のチンゼー連合軍がマニワールに到着。連合軍のうち行動可能な1万5千と合流し、イズヴァルトたちが壊してまわった砦を次々と落とす。
そうして12月の手前までにはマツエスコーの南側10キロにある、ガッサバールの城市近くにまで肉薄した。ただ、ガッサバールは最大の難所になるだろうとショージュは語った。
「ガッサバールは1つの大きな山に町があり、城郭があるとミレイユ殿がおっしゃられた。暗黒卿が築城したものの1つだそうだな?」
「ミレイユどのの手による城ではござらぬのか?」
「そうらしい。儂のちんぽのにおいをかいで、くっさいくっさい言いながら教えてくれたわい。しかもガッサバールは一筋縄にいかぬ人物が籠もっているようじゃ」
お腹を大きくしたミレイユがくんかくんかしながら己のものをねぶる姿を思い出しながら、ショージュは間諜が手に入れた情報をイズヴァルトに伝えた。
「教主コーザが信頼を置く司祭騎士、ヘンリック=イプセンが総大将だという」
「ヘンリック=イプセン……拙者がサート銀山で遭った御仁でござるな?」
「教団のイーズモー方面軍の総大将じゃ。名目上というかっこつきじゃが、なかなかに辣腕をふるっていると聞き及んでおる」
ならばそのヘンリックを生け捕り、あるいは斬首すればパラッツォ教軍は大いに揺らぐ。作戦は早いうちに決行したほうが良いとショージュは助言すると、ミレイユとパオレッタにしょっぴかれて行った。行為の途中だったのだ。
ホーデンエーネン王国暦353年12月。イズヴァルトはガッサバールに向かった。今回はオルタンスも遊撃隊に連れて行く事にした。彼女が思った以上に魔法に長けているとエレクトラから教えてもらったからだ。
しかしそれ以外に目的があった。行軍の最中、娘のオリガの成長ぶりについてあれこれと聞きたかったからである。
「オルタンスどの。エレナとオリガはあのままで良いのでござろうか?」
「何をズラ?」
ピピンとエレクトラとの間のウーゴは、イズヴァルトの娘2人に弟のように可愛がられていた。エレナは母がピピン王子の妾となった都合上、ウーゴの姉姫としてシマーヅ王家に迎え入れられた。
オリガについてはイズヴァルトがタネガシマスカルの領地の後継者に指名した為、将来はシマーヅ国の領主のうち1人となる。つまりは貴族社会入りをするのだ。
「品性がどうにもよろしくないでござるよ、エレナとオリガは」
「どこがどうわるいんズラ?」
エレナとオリガは、弟たるウーゴに構いすぎていた。いつもちんちんをいじくったりお口でしゃぶしゃぶぺろぺろを為していたのだ。
これはウーゴのおちんちんが立派に成長するための、カントニアのエルフ流のおまじないである。しかしウーゴのちんちんは生まれたときからすごかった。金玉は父親譲り。割礼されむき出しの亀頭もご立派だった。
「それなのに、ウーゴどののちんちんをもっと鍛える必要がござろうか?」
「おんなのこっちゅうもんは、ちいちゃい時からちんちんが大好きズラ、とイナンナさんも言ってたから、あのままでええじゃんけ?」
「イサーク王家はどう思っているのかが気になるのでござるが……」
ガッサバールが見えてきた。暗黒卿の時代からだいぶ経った今、そこには麓にもう1つ城市を築いていた。イズヴァルトは覇王の剣を腰から抜いた。
「いや、あそこはニンゲンの中ではオラ達と価値観が似ている、おおらかなところズラよ?」
イズヴァルトもご存知だろうに。オルタンスはエレナとオリガがイサーク家のちいちゃな姫たちとおまんこをこすり合わせて仲良しこよしをしていたではないかと返した。
それだけでは終わらない。エレナとオリガはピピン王子の兄たちにもちんちんを可愛がらせてもらったり、おまんこを気持ちよくさせてもらったりもした。チンゼー人の貴族は子沢山になるため、小さい頃から『英才教育』を施す習慣があるのだ。
「となると、あの2人はチンゼーから出してはならぬな」
「サイゴークに遊びに来ておるのに。ウーゴちゃんやデボラさんとフロウラさんが産んだこどもたちと一緒にズラよ」
「なんとものんきなものでござる。しかしウーゴどのも散々でござるな。ちっちゃい頃からちんちんを構われるというのは……」
仕方が無いズラよ。オリガはウーゴ王子がとんでもない絶倫の子沢山になる未来しか見えないと告げた。ちんちんをかわいいかわいいされながらサイゴークを見聞してもらえばよいのである。可愛い子には旅をさせよと。
「そう結論づけるしかほかあるまい、でござるな……」
炎の剣に生まれ変わった覇王の剣がまとっていた炎がにょーんと伸びた、数百メートル先の城門を焼き、大混乱が起こった。さあ突撃だ。市街戦だ。
「攻撃、攻撃、攻撃でござる! 敵前へと向かうでござる!」
城市から騎馬隊が飛び出てきた。魔法が使える連中ではなかった。イズヴァルト式の攻め方は『脳みそ筋肉』ばかりのホーデンエーネン武者形式だ。革命的な機知はない。
オルタンスやエルフらは稲妻のごとき『紫電砲』ではなく、弱火の『爆炎弓箭』で攻撃だ。
崩した陣形を自分と猛者たちで雷のごとく攻撃。ただひたすら攻撃、攻撃、攻撃の脳みそ筋肉型戦術で突破した。
強襲攻撃に守将・ヘンリック=イプセンは驚いた。彼はその時、参謀であり半ば事実上の妻となっている、経典の巫女のヴィルマと子作りの最中だった。
朝からずっと裸になって抱き合っていた。見事な乳房と太もものヴィルマに抱きついたままのイプセンは、冬場なのに汗だくだった。
真っ昼間になっても互いの腰は止まらない。イプセンがしつこくねだったからだ。ヴィルマにはそろそろ5人目の子を孕ませ、エチウに帰国させたかったのだ。戦況が不利になりつつあり、近い内に死ぬかもしれぬという不安があったのだ。
「ああ、ヴィルマ、ヴィルマ。私の4人の子を育んでくれた、あなたのお腹とお乳から離れがたいのです……」
「わ、わたしも。イプセンさま……」
そうやって愛をささやき交わし合いながら寝床でふけっていた時にである。伝令がやって来て2人を驚かせた。炎の剣をぶん回す白髪の戦士と亜人たちが城内に飛び込んで暴れまわっている。
「な、なんですって! 炎の剣を持つ戦士ですと!」
教団側にも広まっていた。ホーデンエーネンのイズヴァルトが火炎を放つ鋳物の剣をぶん回して活躍していることをである。イズヴァルトのせいで防衛網が瓦解しきっていると恐れられていた。
「こ、これはぼんやりしてはいけません。ヴィルマ。まだ法悦の途中ですがガッサバールの本城へ向かいましょう。そこなら防護結界も施されている」
「法悦は……今日はもう10回以上は、一緒に感じたのではございませんこと?」
「足りぬのです。神様の声が聞こえぬ法悦は数えてはなりませんよ」
とはいえ逃げる準備をしなければ。イプセンは起き上がろうとしたが、腰が持ち上がらなかった。思った以上に疲労していたのだ。前かがみのまま動けない彼は、伝令からの新しい情報を聞いて真っ青になった。
「この区画まで迫っております! 早く逃げる準備を!」
「し、しかし! 腰が痛くて起き上がれないのですよ!」
情けなさでいっぱいだった。ならばヴィルマだけを逃して自分は守兵らとともに踏みとどまろう。イプセンがそう決意した時に、何者かが彼の部屋に訪れた。
「でしたら、このわたくしがちんにゅう者を払い除けてしんぜますの」
若い娘の声だった。開いた扉の向こうから発していたので姿かたちは見えなかったが、今のイプセンにとっては心強い味方であった。
さて、パラッツォ教の司祭騎士に手を貸してやると告げた人物は何者であったのか?
その続きについてはまた、次回にて。