※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第四十七回

 タッケハールの街は陥落したのである。ヘンリック=イプセンが温泉場で愛人とイチャイチャしている間にだ。連合軍は5000の急襲部隊を結成後、ウラスコー出身のウォルターの先導により、最短の道を突破してタッケハールを衝いたのだ。

 

 触手姫ブランカが召喚した触手達による奇襲攻撃で防塁が突破され、イズヴァルトを先頭に攻略軍が流れ込んだ。炎の剣で尖塔を焼いてみたり丸太組みの物見櫓を燃やしてみたりした聖騎士の脅しによって戦意は完全に喪失した。

 

 一番最初に白旗を振ったのが、あろうことかイナーヴァニアの武将達であった。ミョージバーグでの大敗を聞き、内心ではいつ討伐軍に寝返ろうかとはかっていたいたのだ。

 

 指揮官達がこのざまだと兵士らはたまったものではない。異国から来たパラッツォ教徒であった彼等は南西の門から我先にとウラスコー方面へ逃げて行った。

 

 街に残った者達はタッケハールの街の住民から徴用された警備兵達のみであった。全員がパラッツォ教に改宗していた。イズヴァルト達が行政庁にヒッジランドの旗をかかげたのを見て嘆いていた。

 

「ああくそ。教団ではおまんこし放題だったってのに」

「イナーヴァニアのお侍さんがもうちょっと粘ってくれりゃ……」

 

 そのイズヴァルト達は驚いていた。街中に赤ん坊や子供ばかりが目立ったからだ。多くの住民が改宗したマツエスコーの街よりも目立っていた。

 

「ほぎゃー! ほぎゃー!」

「ほぎゃー! ほぎゃー!」

 

 とにかく赤ん坊らの声がうるさい。どこの子供達なのかとイズヴァルトは赤ん坊を抱いたり小さな子供達にしがみつかれている娘たちに聞いて回った。

 

「いやいや。これはあたしの娘じゃけえ」

「あたしら、パラッツォ教徒になったから嫁じゃなくても子供が産めたんじゃよ」

 

 つまりは皆が赤ん坊や子供らの母親であった。12歳ぐらいの娘でも子を産んだ者がいた。タッケハールはパラッツォ教団の領土となった4年間、子供に至るまで日常的に乱交が行われ、子供がぽこぽこと産まれてしまったのだ。

 

 子供達の父親はエチウやイナーヴァニアから来たパラッツォ教徒達だ。当然、子供のころからセックスに親しみ、前戯と挿入はヒッジランドの男衆よりもこなれていた。女を楽しませる言葉も巧みだったという。

 

「しかしそれでは殿方や男の子たちがぷんすかと怒るでござろうに?」

「いやまあ、あいつらもエチウのねえちゃんらとおめこをいっぱいしておったけえ」

「あっちはおっぱいがぎょうさん太っとるけえのう。ちゅぱちゅぱ吸ったりパイズリを楽しんで夢中になってたのう」

 

 タッケハールの男衆もフリーセックスの恩恵に預かったそうである。不満を覚える者はいなかった。それどころか教団の占領地は暖房や主食となる『甘露(アームリータ)』が常に配給され、味覚以外に困る事は無かったと聞かされた。

 

「ほぎゃー! ほぎゃー!」

 

 イズヴァルトは目の前の娘が抱く、泣き続ける赤ん坊を受け取った。「おお、よしよし」とあやして子守歌をうたってやった。イズヴァルトは美声で歌うと子供達を落ち着かせる魔力があった。エルフやドワーフらもそれにならう。亜人たちは子供や赤ん坊に懐かれていた。

 

「にぎやかでうれしいばかりでござるが、いささかおしめくさいでござるな?」

「そりゃあ言い方があんまりってもんでちよ」

 

 ブランカも触手達を呼んで赤ん坊らをあやしていた。しかしここでの仕事があった。『甘露(アームリータ)』が持つ短命になる毒を取り除くために、街の者全員を触手による解毒を為さねばならなかったのだ。

 

 『甘露(アームリータ)』を毎日、3年以上服用することで毒は全身をめぐる。触手の治癒能力にはそれを打ち消す力があった。その治療には当然街の子供達も含まれていた。

 

 広場に集められた街の者らは裸にされ、触手によって絡めとられた。穴や陰茎、陰核を愛でられてそこから毒を排泄し、口の中に突っ込んできた触手の先端からの治療液を飲まされる。

 

「あいー! いいいいー!」

「おほっ♥ おほほほほっ♥」

 

 老若男女を問わず、入れ替わり立ち代わりの歓喜の声が5日ほど続いた。その間に連合軍の後続の3万が街に到着。ウラスコー攻略の準備が始まった。

 

 総大将となるピピン王子により軍議が始まった。ウラスコーは攻めるのが東側からしかない。イズヴァルトは足の速い者を集めて南から攻める別働隊を結成してはどうかと提案したが、ウォルターが助言した。

 

「南も砦がいくつもあるそうだ。それとこの時期は道や原っぱがぬかるんでいて動きづらい」

 

 5月である。ヒッジランドのこのあたりはそろそろ雨季になるとウォルターは言った。暑くはならぬが雨ばかり続く。

 

「となると、全軍で真正面に向かう方法でいくでござるか?」

「そうじゃない。イズヴァルトさん、こう考えようか。南周りの部隊は囮としてウラスコーの軍を引き付ける。きっと増援を出すはずだ。そいつらをやっつけただけでもウラスコー攻略がぐんと楽になる」

 

 南周りの部隊は敵兵を狩る役目にする。エレクトラやチンゼーの武将らが良い考えだとうなずいた。ピピンがその意見を受け入れて早速編成に取り掛かった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 南の砦群は確かに攻めるに難い要害ばかりであったけれど、イズヴァルトや精鋭の手にかかってたやすく落とされていった。これらの砦にも亜人の武者がいたはずだが、どいつも劣勢と見るや、すぐに寝返るろくでなしばかりであった。

 

 その多くがムーツ大陸の男オーガたちばかりだ。クボーニコフやナンブロシアの部族の者達である。聞けば部族の中でも決して強くない。種族の中では非力で動きがにぶかった。剣を取るより畑を耕す道具を造ったり船の補修をしたりが合っている様な連中ばかりだ。

 

「ちょっと戦うだけでたくさんのお金が入るって聞いたから傭兵になったんだべ」

「パラッツォ教団は大盤振る舞いだっぺ。しっかも女の子達も不自由しねえ。オラ、べっちょを毎日こんなにやったのも産まれて初めてだべよ」

 

 戦うという本業よりも、ツノが生えた赤ん坊をたくさん殖やすという仕事に携わるほうが多かったという。イズヴァルト達は呆れるほかなかった。教団は随分と呑気でとんまなものであるぞと失笑した。

 

【ギルバート=カツランダルク注:むしろ教団は亜人との『あいのこ』を殖やす為に傭兵を雇ったという説もある。後年、パラッツォ教がつくった国の宰相となったヘンリック=イプセンは、海外から多くの亜人を生殖の用途を目的に受け入れた。それにはサーガの後半で記される『甘露(アームリータ)』の弊害を無くすためでもあったが、彼が宰相になってからエチウ諸島での混血児の数は、数百倍にも膨れ上がったという。】

 

 いくつかの砦を潰した後、様子を見にエレクトラ率いるチンゼーの武者の一団がやって来た。イズヴァルトがオーガの話をするとにやりと笑った。いい考え方をしますねえ。

 

「何がでござる? どのオーガどのらもへっぽこばかりでござったよ?」

「ちがいますよ。亜人の血をできるだけ多くするっていう考え方に感心したんです。鍛えりゃ純血のニンゲンよりも強い戦士に仕立て上げられるでしょうし」

 

 戦争をやりたがる国がよくやる計画だが、亜人との混血をできるだけ増やす事は後々の戦争に役立つだろう。特にオーガ男はニンゲンの女と卵子の相性が良い。受胎率がとても高くなった女を用いればパラッツォの版図で多くのオーガやその亜種が産まれることだろう。

 

「そりゃ、100年200年単位の壮大過ぎる計画でございますが、身体能力が優れた戦士が増産されりゃ、あたしたちの時代の後で盛り返すこともできるでしょう」

「お、恐ろしい策でござるな」

「まあでも、教団もいつまであるかわからないし、そこまで気にする事はないかと思いますよ。パラッツォがそれをやるんだったら近隣諸国もそうするでしょうし。誰にでも思いつける計画ですよ」

 

 後の事を想像するよりもまずは目の前の仕事である。イズヴァルト達はエレクトラの助力を得てその後も多くの砦を落としていった。作戦が開始してから8日経ち、ウラスコーにいたヘンリックは逃げて来た諸将らに詰め寄られていた。

 

「もう砦が6つも落とされております!」

「いつまで救援を出さぬおつもりか! ウラスコーには3万の軍がいるではございませぬか!」

 

 ヘンリックは頭を抱えていた。南の砦軍には総勢で1万の守備隊が駐屯していた。更にその南にはその方面を守る2万の教団軍が。しかし南のほうではヒッジランド側の抵抗勢力と泥沼の様な戦いが続いていた。

 

 北のサート鉱山町を支配するジャン=シベリウスから3000程度の精鋭が派遣されたが、これは進撃の準備をしつつある連合軍との戦いで用いたかった。ウラスコーも3万の軍勢がいるとうたっているが半分近くは女である。しかもその70パーセントに妊娠、あるいはその兆候があった。

 

「……残りの砦の兵を全て、ウラスコーに集めましょう」

 

 戦力を集中して固く守りに徹する。決戦には応じず、妊婦でも弩弓や鉄砲を持てば大事な戦力となる。そもそものパラッツォ教軍の基本戦術であった。空いた砦が閉ざされれば、南の軍団が困る事になるが既に劣勢。砦や険しい山に拠る持久戦法に切り替えつつあるという連絡が来ていた。

 

「南の軍には教典の巫女を派遣してお伝えします。残りの砦の兵らは全てウラスコーに集めましょう。守るに少なく各個撃破をやられる恐れがあるからです」

 

 武将らは非難した。どこの砦も準備をして来た。備えを厚くし、新兵器の鉄砲による部隊も配して来た。サートの鉱山町では火打石式の旧式だが鉄砲の工房があり、そこで量産を始めていたのだ。

 

「その作戦に反対です!」

「でしたら俺達は南の砦で頑張っている連中の加勢に向かいますよ!」

「司祭騎士殿は戦争を知らぬようだな! 幻滅したわい!」

 

 武将らはすぐに出ていくと背を向けた。ヘンリックは困惑の気持ちを隠せなかった。一番重要なサート銀山の防衛の為にウラスコーと南の砦群はあるのだ。よもや戦略を忘れてしまったのかと嘆きながら呼び戻そうとする。

 

「……わかりました。ウラスコーから増援を送りましょう。私自らが率います」

 

 武将らは喜んだ。かくしてヘンリック率いる1万のウラスコー防衛軍が南に向けて出撃した。さて、この教団の司祭騎士は聖騎士イズヴァルトに一矢報いることができるのであろうか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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