聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
マレーネと入れ替わるようにしてヨーシデンに入った彼女は、同行していたマルティンに頼まれ、マイヤの執事の仕事を受ける事になった。
邸は建設途中。建設現場と労働者の小屋ばかり。遊ぶところと言えばごろつき商人が構えた割高な居酒屋や賭博場に、青姦娼婦ぐらいである。魔法都市のきわめて文化的な生活を送っていたオットーにとっては未開地に送り込まれた様な気分だった。
「はああ。イーガに戻りたい」
しばらくは無理だ。せめてスイーツの店ぐらいできてくれれば。マイヤもそう思ってくれているだろうが、読書や仕事にのめりこんでいる時の彼女は粗食になりがちだ。
それに加えてマイヤはもっと夢中になれるものを見つけてしまった。違う世界での前世を覚えている、タカミ=ジュンとの週に1度の会合がそれだ。
タカミを前に自分の事をべらべらとしゃべる。彼女が生きていた『ニッポン』という国は相当な文明国家だった。その都はコーヅケーニッヒを遥かに上回る広さ。333メートルもの巨大な鉄塔もある。『えくすぷれす』よりも大量の客を運べる列車がビュンビュンと走っていた。
その話にタカミは目を輝かせていた。質問を繰り返し、マイヤにもっと多くの事を語らせた。あの何を考えているのかわからぬ男は好奇心旺盛のようだ。それが亡き主君を彷彿させた。あの男はやはり、アドルフ殿下と同じ匂いがする。
しかし解せなかった点もある。かの司祭はマイヤとセックスをしなかった。パラッツォ教といえば『法悦』を重んじるはずだ。信徒も聖職者も、ちんぽの先とまんこの入口が乾く余裕もないぐらいにやりまくるはずなのに、解せない。
(あのデカパイ淫乱だるまあかちゃんを抱こうとしないとは変態そのものだ。それと、きゃつのうんちぶりぶりも拝もうとしないな、あいつ……あれのたまらなさを噂で聞いたことがあるだろうに。)
可愛らしい声で「ふぬぬぬ!」と力み、赤ちゃんのそれみたいな尻穴がくわっと開いてにゅるにゅると出す姿を生で見たい者が沢山いる。それぐらいマイヤの脱糞ショーは好評だ。その後始末をやらされるのは嫌だったが、オットーも最近、彼女の肛門が景気よくひねるのを見ないと1日が乗らない性分になっていた。
タカミはよくわからない。彼が館に来た夜は決まって、沐浴場でマイヤの身体を洗う時はおっぱいを吸い立てる事にした。
沐浴はマイヤを抱きながら入る事としていた。横幅は細いがお肉がついている。この達磨女は全体的に抱き心地が良かった。やせっぽちのオットーは、抱きしめるだけで多幸感に包まれる程である。かといってデブではない。淫魔の血が絶妙なぽっちゃり具合をもたらしているのだ。
「オットー、ちょっと抱きしめ方がきついよ?」
「うるさいな。今日は朝も夕方も君のうんちのお世話をしたじゃないか。もうちょっと抱かせてくれ」
むぎゅ。改めて思う。聖騎士イズヴァルトやアドルフ王子が手放したくなかったのが、わかる。赤ちゃんを抱いているようだ。おっきい赤ちゃん。手足が無いのが不憫だが、これだけは理解できた。
オットーの平べったい胸には、大きさは落ち着きつつあるが100センチに届くぷりんぷりんがひっついていた。砕けた言い方になった。
「ねえねえ、吸っていーい?」
「どうぞ、オットーちゃん」
「はーい!」
ふわんとしつつ弾力ある、とても甘いにおいがするそれに顔をくっつける。ちゅうちゅうちゅう。ああ、たまらない。女も魅了するおっぱいぱいだ。マイヤはこんなふてぶてしい、でかでかまんじゅうを2つつけているような顔立ちには見えない。まだ毛も生えそろわない、イーガの北部の地名を舌足らずな言い方で間違えそうな、あどけないお嬢ちゃんみたいだ。
「ちゅうう~!」
「あはは! 吸い方がいつもよりすごいよ!」
マイヤは乳首はそれほど性感帯ではない。むしろ腋がとても弱い。オットーはタカミとマイヤが楽しそうにおしゃべりするのを思い出すと、もっと盛んに吸い立てた。単純にやきもちを妬いていたのだ、タカミに。
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11月も半ばになった。机仕事を中断したオットーは外に出た。その日はタカミが来る日であった。今回だけは同行をやめさせてもらった。溜まった書類を片づける為にだ。マイヤにはイーガから来たメイドがついていた。国王の意を汲んでいる諜報魔道士でもあった。
(セレナは自分から報告書を出してくれるだろう。彼女はスケベでサボりがちだが、優秀だからな。)
セレナは建築士や労働者としょっちゅう寝ていた。あてがわれた彼女の部屋には毎日、違う男の声が聞こえる。まあ仕方が無い。彼女はクォーターエルフだ。イーガで宮廷の魔道官僚として働いていた頃も、城の中で昼間から、男と致していたらしい。
館はそろそろ7割近くが完成しようとしていた。マイヤの要望通り、山のふもとに建てられた館にはろくな防御が施されていなかった。なんとも不用心だが仕方が無い。賊や反乱軍が襲って来ないのを願うばかりである。
オットーは工事現場ばかりの町のほうにではなく、この屋敷の裏手にある山に登る事にした。高くはないしなだらかな小山だ。頂上には1人の男が弁当を食べていた。建築士のジェイムズ=ヒューレットだ。
「ここで食べておられるのか、ヒューレット殿?」
ヒューレットが頭を下げた。
「見晴らしがいいので、弁当の時はいつもここで食べているんですよ」
「まあ……眺めは悪くないな」
ジェイムズは孤独を好むところがあった。しかし女がらみだと旺盛だと聞いている。特にマイヤのからみで。彼は必ず週に1度はお呼ばれして、彼女と肌を重ね合わせていた。
「街はまだまだこれからだが、屋敷はだいぶ完成してきたな。貴公のおかげだ」
「ありがとうございます。マイヤ様が資金と資材と、人を集めてくれたおかげです」
屋敷はあと2か月ぐらいで完成しそうだ。マレーネが置いてくれたエルフ達で内装も速やかに施されている。マイヤの注文は派手な男遍歴と、王族でありイーガ王子の愛妾という立場とは思えぬものだった。できるだけ質素に。ああでも、書庫だけは別だよ?
「屋敷が終われば、今度は大学だったか?」
「はい。ただこちらは1年以上もかかるでしょう。ホーデンエーネンどころか全世界に轟くような、とても大きな総合大学を築きたいそうですから」
「ホーデンエーネンだと、戦争の学科の応募率が高くなりそうだ。イーガやサカーイに建てればもっといろんな学問が繁盛しそうなのに、こんなところでゼロから作るなどととは、マイヤも物好きだ……」
それこそナントブルグ近郊に建てればいい。しかしここならイーガとのアクセスが良い。だから月に1度、マルティンとフェアディナント王子が船でやって来てくれるのだ。マイヤにとっても都合がよいだろう。
「邪魔したな。私は屋敷に戻る」
オットーはその場を後にした。彼女の姿が見えなくなると、ジェイムズが後ろに向けて石を投げた。
茂みから旅装をまとった女が現れた。黒髪で褐色の肌、耳が長い。シマナミスタンのエルフだった。
「行ったぞ。話を続けられるだろう」
「……あれがマイヤの腹心か。人間の女と聞いていたが……サキュバスみたく見えたぞ?」
「血が混じっているらしい。で、今日来たのは何の用事だ?」
女エルフは紙きれをジェイムズに寄越した。開く。こまごまとした字で依頼が書かれていた。
「周辺の砦や防塁の構成を知りたい。諜報の真似事か?」
「念のためにだ。我らの依頼主はパラッツォ教団を警戒している」
タカミという司祭長が、ヨーシデン地方で布教を始めているという噂は聞いていた。その女はジェイムズに、屋敷を訪れるタカミについて調べて欲しいと求められた。故郷を無茶苦茶にしたパラッツォ教徒を密かに嫌っていたジェイムズは請けた。
情報源はマイヤだ。セックスで彼女を楽しませながら聞き出した。彼女はジェイムズに心を許していたから、その日語ったことを教えてくれた。それを伝えるだけでもこのエルフは満足そうに受け取ってくれた。
「パラッツォ教が何をしでかすか、貴君も想像できるだろう?」
「まあな。あちらこちらに信徒はいる。大工だったり土方だったり、あるいは貴族どもの下男下女や妾だったりな」
「1万や2万はいるはずだ。もしマイヤが、タカミとかいう司祭に洗脳されて反乱を起こしたらどうなる?」
ホーデンエーネンは手こずるだろう。ここのところ、ホーデンエーネンは反乱が立て続けに起きている。南部の頼みの綱である南天騎士団は、その対応に忙殺されていて頼りにならない。
「ヨーシデンは南部街道の要所にある。そこを抑えられたら王国軍は連携を取りにくくなるだろう。だから、もし事が起きた時の為に地図が欲しい」
「……わかった。ばれないようにやってみるさ」
ジェイムズは起き上がると、女は茂みの奥に去って行った。足音がなくなると彼は茂みに足を踏み入れる。小さな布袋が落ちていた。中を確かめると銀貨が10枚。
「やけに大盤振る舞いだな。まあ、いい……」
ジェイムズはマイヤの愛人みたいなことをやりながら、裏では彼女に一矢報いてやろうと企んでいた。パラッツォ教にもだ。
(あんたが悪いんだ、マイヤ=カツランダルク。)
彼女を奈落に突き落としてやりたかった。