聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
ダレン達とオクタヴィアらは閉じ込められた。空を怪しげな防壁魔法で封じ込められ、魔法も打撃も通じぬゴーレム達に囲まれてしまったからだ。
そして彼等を屋根の上から見下ろす、顔かたちがよく似た2人のオーガの『忌み子』達。パラッツォ教の枢機なる者と名乗ったこの者達こそが、ゴーレムを造り空を覆う防壁を作った張本人達だった。
背の低いほうが名乗った。
「私の名はカヅノ=サトシ」
まるで聞きなれない名前であった。
「そして横にいるのが弟のセイジだ。我々はパラッツォ教が世界宗教となった折、嫌でもその名を聞くことだろう」
「俺達は前世でも現世でも兄弟だ。この現世でも同じ母親の腹から生まれた。双子としてな」
「双子ずらか? 前世でも兄弟だったというのに?」
前世で兄弟だった者が転生人としてこの世界に生まれ変わった。奇跡を超えていた。何かの意志が働いたのではいだろうかとミレイユがつぶやいた。
口元からきれいな歯をのぞかせ、カヅノ=セイジが笑った。
「そうだ。俺達兄弟は前世の神と現世の神、その両方から恩寵を頂いたのだ!」
「私達カヅノ兄弟だけではない! 同じく枢機にいるクロサワ兄弟もまた同じく! 私達こそまさに、神に祝福された子らなのだ!」
カヅノ兄弟の頭の上に、青い光りを帯びる輪っかのようなものが浮かび上がった。それから輪っかに十字が描かれた。
よく見れば輪にも十字にも内側に、言葉の様なものが刻まれ連なっていた。けれども全大陸をくまなく探しても見つけられないだろう。実在するかもわからない。本当に言葉なのかもだ。
「さあ、動け『プラーグのヨッセル』! そこのドワーフ達とエルフたちを生け捕りにせよ!」
ゴーレムたちが足を踏み出した。のっそりとしているが隙が無い。オクタヴィアとドワーフらが打ち掛かると、俄然動きが素早くなった。
オクタヴィアが1体の左腕に切りつけようとするとさっと腕を引かれて空振りになった。ゴーレムは右の拳で彼女の顔面を殴ろうとする。段違いの速さだ。彼女は寸前のところで避けた。
「ちっ! 油断ならねえずら!」
「さっさと諦めろ……ふふふ。俺様が存分に可愛がってやる。残らず種付けしてやるからな」
「たわけたことを抜かすなズラ!」
マリアが怒った。素早く印を切る。2人の目の前にいくつもの術式陣が現れた。そこから光の矢が次々と放たれる。爆炎弓箭の術式も伴った爆ぜ殺しの魔法矢だ。
「フン……」
カヅノ=セイジの頭上にあった輪っかが回る。飛び込んできた矢が次々とかき消えて術式陣までもが霧消した。マリアだけでなくパオレッタも唖然となった。
「バカバカしい。こんなのに司祭騎士どもらは手こずっていたのか?」
「セイジ。あんまり調子に乗るなよ。普通のニンゲンだったら死者が出るぐらいだ」
「心配し過ぎだよ、兄さん……おい、亜人ども」
ゴーレム達の動きが止まった。オクタヴィアらに好色そうな目つきを向けながらカヅノ=セイジが告げた。
「降伏しろ。そうすれば女は存分に可愛がってやる。俺様の子を孕んで産むという素晴らしい明日が待っているぞ?」
「大きく出たずらな……」
「フン。為す術も無いのに余裕をこくな、耳長女。この街に入った連合軍は既に、窮地に陥っていることも教えてやる」
これらのゴーレムと同じものが、街の外郭南側を取り囲んでいるという。事実、街の物見台にいた連合軍の兵士や武将らが目撃していた。百を超えるゴーレム達がずらりと並んでいたのだ。
これらの造魔もまた、カヅノ=セイジらと同じような白いローブを身にまとい、同じ人物の銀の首飾りをかけた黒髪の男達に率いられていた。誰もが男オーガの様な顔立ちで、けれどもツノは生えていなかった。
「我ら枢機の者らは、造った『プラーグのヨッセル』を全てこの地に持って来た!」
「200体だ! 他の枢機が号令をかければ、南側にいる兵士は皆殺しだ……どうする?」
カヅノ=セイジの脅し文句を横で聞いた兄は眉をしかめた。ごほん、と空咳してオクタヴィア達に呼びかける。
「しかしコーザは、教主コーザ=ストーンマウントはそれを望まぬだろう! 君達と話がしたいそうだ!」
「……コーザが来ておるんずらか?」
オクタヴィアが尋ねたすぐ後だった。カヅノ=セイジとサトシの周囲に突如、透明で軟体の、太く長い蛇の様な生物が現れ、彼等に襲い掛かった。触手達だ。
「触手姫、来ていたのか!」
「さては……行政庁での戦いの為に備えていたのだな! 小賢しい限りだ!」
2人は飛翔魔法で触手達から逃げようとした。ゴーレム達がいきなり座り込み、空にかかっていた光の網が消え去った。
「おまんらの魔法、強く集中せんと使えねえってわけずらな!」
オクタヴィアの呼びかけでセイジが舌打ちする。触手は空高く飛びあがる2人に追随し伸び続けた。水が豊富な場所であれば触手は1キロにまで伸びるのだ。
が、触手は途端に伸びるのをやめてしまった。それから霧消してゴーレム達の囲いから逃れていたオクタヴィア達を嘆かせた。
「ひぐっ……えぐっ……」
間近にブランカの声。泣いているのかと思いきや、どうも声に悦の様なものが感じられた。
「えうっ、えうっ……」
建物と建物の間の暗がりからブランカが姿を現した。触手姫は宙に浮いているように見えたが、違った。彼女は着ていた服をはがされて、ぷるんとした小さな裸体であった。
「あふう……♡」
大きく背をのけぞらせて小刻みに震えていた。大きく開けた股の間にはとてつもなく巨大な陰茎がねじ込まれていた。まるで馬のそれの様な太さと長さであった。
「ブランカちゃん!」
オクタヴィアが駆け出す。悶えて啼き続けるブランカがやっと彼女に目を向けた。
「まずいでち……近づいてはならないでち……」
自分から腰をくねらせてえづきながらも、触手姫は逃げろとオクタヴィア達に訴えた。
小さな彼女を喜悦で虜にしている人物の姿が現れた。横幅がある2メートル近くの背丈の容貌魁偉な男だ。
眉は太く目は大きく、それでいて耳たぶは福々しく口は大きい。唇は分厚く、血色が優れていて艶めかしくもあった。
カヅノ兄弟のような白いローブをまとっていたが、触手姫を捕らえていた肉の
「お初にお目にかかれますね。カイロネイアのオクタヴィア=アーマリクさん。ミレイユ=キョーライさん……他の方々も」
「……おまんは!」
初めて見た。オクタヴィアらは不思議と身体に力が出ないのに困惑していた。遠目からでも一度見たら忘れられない、いかつくも美しい顔立ちに剛そうな体付き。
その表情と物腰には確かに、聖なる世界に生きる者の穏やかさと気品とがあった。それよりも身体の芯にまで響くのは、色気であった。
エロティズムを感じやすいエルフは、この男に欲情をも覚えてしまった。巨大な逸物の持ち主だからというわけではない。
「皆さん。私がパラッツォ教の教主」
パラッツォ教の枢軸、コーザ=ストーンマウントだ。そして魔族をも虜にする魔王であった。
「えぐっ! えぐうっ!」
魔王は触手姫を手で抱きかかえていた。彼の『聖根』はふにゃとした割れ目を広げ、半透明の下腹に赤黒い先端が入っているのをオクタヴィア達に見せつけていた。
彼女の小さな体は絶えず、喜悦で震えている。コーザは愛おしむ様に幼魔の身体を撫でた。教主の魔性に満ちた杖に抗える女はいないと言われている。この身体とつながる彼の最高の武器は、絶えず女に絶頂を与えるのだ。
「えぐっ……おえぐっ……♡」
ブランカは口からよだれをたらし、自分から尻をくねらせ続ける。快楽で思考や理性は機能してくれなかった。
コーザは小刻みに腰を動かしつつ前に進み出た。とてつもない大きさと長さの『聖根』に、パオレッタとマリアは唾を飲み込んだ。
「ブランカちゃんを、こっちに寄越すずら」
「えぐっ……♡」
「そうはいきません。触手姫は私の『聖根』に夢中のご様子。私もまた、ブランカさんの身体を離したくありません」
教主が腰を引き、それからブランカの奥を突いた。
「ふう……あっ……♡」
ブランカのお腹がぐい、と突き出た。同時に赤黒い杖から大量の『聖液』が放ちこまれ、ブランカの小さな子宮と膣を真珠色に染めた。
それでもコーザの怒張は収まらず、ブランカは腰を揺らし続けた。この魔王の物は入れただけで女に絶頂の快楽をもたらし、こするごとに同じ度合いの悦を与え続ける。内性器が鈍感なニンゲンでもそうなるのだ。
ならば、感度がとてつもない亜人や魔族はどうなるのか? 二度と離したくないとしがみつくのが大体だ。コーザはサキュバスの母を持つ。その魔力がたっぷりと受け継がれた『聖根』は、亜人や魔族の魔法抵抗をあっさりと貫通してしまうのだ。
「コーザ、離せと言っているずらよ!」
オクタヴィアとミレイユが同時に襲い掛かった。いかづちの様な速さと身のこなしだ。
彼女たちの息はぴったりだ。しかもその刃は鎧ごと斬って貫けるものだ。剣の動きも、よほどの戦士でなければ見逃してしまう。
触手姫を人質に取られている形であったが、この2人には彼女を傷つけずに、コーザに傷をつける自信と技量があった。本気になったエルフは鬼神となる。刃から疾風が起こり、耳にする者を怯えさせる程だった。
しかしコーザは怒涛の連撃をかわし続けた。かすり傷1つつけもしない。腰を押し引きしながら、触手姫を守ってよがらせながらだ。
「この男、まるで捉えられない!」
「たわけたやつずら!」
それでもオクタヴィアとミレイユは手を緩めない。パオレッタとマリアが加わった。四方から攻撃を受けたコーザだが、触手姫を抱きかかえて悦に浸らせたまま、4人の剣をしのぎ続けた。
それでも手応えがまるで無い。痛みにゆがむコーザの眉を見ることすらできなかった。まるで空気を切って突く様な感覚ばかりであった。
この男が淫魔から生まれた人物だとは知っている。しかしここまでとんでもない人物だとは思ってもみなかった。オクタヴィアは恐怖を感じた。
「まさに、魔王と呼ばれる男ずらな」
「……空恐ろしい戦士だ」
猛攻を避けきって尚も触手姫を奥まで愛撫するコーザを見て、ミレイユがつぶやいた。生暖かい泥沼や甘ったるくよどんだ空気の様な気配がコーザにはあった。まるで淫魔だ。
このまま無駄に動いて疲れ切ったところで、全てをいなして取り込んで来るかもしれない。
「どうする、オクタヴィア?」
「問わなくてもええ。やるしかねえずら……」
諦める気は無いと意思を述べたその時だった。教主の身体がうっすらとなって消えた。マリアとパオレッタが短くうめいてその場に突っ伏した。
「……!」
驚愕して叫ぶ間もなく、オクタヴィアとミレイユは胸の中心に締め付けるような痛みを覚えて地面に倒れた。息が苦しく叫ぶことが出来なかった。
彼女達の前にコーザが姿を現した。喘ぎぷるぷると身体を震わせる触手姫と繋がったままだ。彼の『聖根』がまた大きく膨れて動いた。新たな『聖液』が魔物の童女の子宮に流れ込んでいた。
「えぐっ……だから……注意したでちよ……」
極楽にたゆたいながらも触手姫は嘆いた。うめきながら起き上がろうとするオクタヴィア達にコーザは目を向けた。
「しばらくは動けません。それと、貴方がたの身体にある、風の精霊のご加護に手を加えました」
「……」
「まる1日はこのままでしょう。やめておきなさい。そもそも、私は戦いに来たので無いのです」
(何をぬかしておるずらか?)
それでもオクタヴィアが抗い、起き上がろうと腹に力を込めたその時だった。高々と天に昇る一筋の大火炎を見た。
赤ではなく青い炎だ。火山の噴火にも似たそれがゆっくりと、コーザに振り下ろされようとしていた。
(……来たずらか!)
コーザはその火炎に気づく様子は無かった。灼熱はいよいよ、コーザの脳天を焼き切ろうとしていたがさて、魔王はこの炎を防ぎ切ることができたのであろうか?
その続きについてはまた、次回にて。