聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
虜囚となったエレクトラが、教団の司祭騎士の白い衣と具足をまとい、ミスリルの短槍の穂先を向けている。
目の前にいるその姿に、イズヴァルトは信じられないという気持ちでいた。
そして戦いが始まった。先にエレクトラが動いた。
(強い……。)
彼女の動きは無駄がない。それでいて手数が多い。短槍の動きはまるで毒蛇だ。
そういうイズヴァルトも、動作はかなり洗練されているほうである。数多くの訓練や戦いで身につけたのだ。
けれども技量はエレクトラのほうが上だった。相手を打擲して動きを止めようと狙ったのを付け込まれたのかもしれないが、ことごくかわされてカウンターを食らった。頬と右手首に傷を負った。軽いが鋭い突き込みによるものだ。
「……いやらしい動きをなさるでござるな?」
槍を構えるエレクトラに呼びかけると、彼女はにやりと笑った。思わせぶりな笑い方をしていた。彼女からはまだ、戦う気配を感じられた。
(エレクトラはそもそも……。)
信用ならない女だ。エレナを産み、ここまでの旅に協力してくれたが、彼女は所詮、マイヤの自由を奪ったアドルフの妻だった女。毒蛇のつがいは毒蛇だ。それ以上でも以下でも無かった。
(で、あれば。腕の1本や2本、切り落とすしかなかろう。)
イズヴァルトは殺気を発した。その時だったのだ。コーザの不意打ちを喰らって昏倒したのは。
それから気が付いて目を開けると、ぼんやりとした視界の先には薄闇しか無かった。真っ暗な部屋だ。ひどく冷え込んでいる。10月のヒッジランドはもう少し温かいはずだが、比べ物にならない程だ。
(しかし、どうにもおなかのあたりがあったかいでござる。ちんちんは熱い限りというか、生暖かいのものでぬるぬる……。)
「んあああっ!」
聞いたことも無いような女の声が聞こえて来た。腰のあたりにだ。意識がいくらか戻ってくると自分が何をされているのかがわかって来た。
その寒い部屋の中でイズヴァルトは全裸で、寝台の上に寝かされていた。だいぶゆったりとしている羽毛の敷き布団だった。しかも断熱効果もある。背中は寒くなかった。
なのだが腹と腰のあたりはとても熱い。んあっ、んあっ、と悶える声の主が乗っかっていたからだ。相手は柔らかな尻をイズヴァルトの腹にあて、弓ぞりになったペニスをヴァギナに納めてイキ狂っていた。
とても豊満な尻。ふんわりとしていて滑る様に動いていた。相手は汗をかいていたがお菓子や果汁の様な甘いにおいをぷんぷんと放っていた。
「な、何者でござる!」
「んあっ……気がついた?」
部屋の壁につけられていた燭台に灯りがともった。金色の髪の乳房と尻がとても豊満な女だ。肌は白くて、部屋に引きこもりきりではないかと思えるぐらいだ。
「なかなか目覚めないから遊んでたの。コーザさまが好きにしていいよって言ってくれたから、イリヤとクローエと一緒におちんちんをたくさん楽しませて貰ったけれど、悪いことしちゃった?」
「悪くはないでござる……」
「あらそう。アナタ、3日もここで寝ながらアタシたちと楽しんでたのよ?」
女は微笑む。しかし悦楽のせいでとろけて締りの無い顔だった。
「でもアナタも気持ちよくなっているからおあいこよね?」
答えに窮した。黙ってちんちんを借りるのはよくないことだ。不同意の性交を詰りたかった。でもこの女のヴァギナと肌の感触で怒る気持ちが失せてしまい、抗弁が出来なかった。とても気持ちがいい。
「んっ……アナタのおちんちん、とてもおっきくて硬くてアタシたち好みだったから、つい……。こっちに連れて来るまでの魔力もだいぶいただいて、あそこがだいぶ馴染んちゃったし……」
「こっちに来る? 何者でござるか!」
うふん。絶頂で子宮口を広げさせ、イズヴァルトのペニスを子供部屋にまで沈み込ませながら彼女は答えた。背中から蝙蝠みたいな大きな羽根を生やし、頭にツノが生えた。
「サキュバスよ……アタシはルヴィア」
「……魔竜の部下の?」
「ちがうわ! アタシは密航組よ! 観光旅行と男漁りの為にこの世界に来たの!」
他のサキュバスともども、魔竜に見つかれば即刻魔界に強制送還される類の者だと、ルヴィアは答えた。
「そうまでして、どうしてこの世界に来たのでござるか?」
「決まっているでしょ? いいちんぽときんたまに出会いたくてよ」
艶かしく腰を揺らしながらルヴィアは続ける。
「サキュバスは一部をのぞいて魔界では不遇なの。身分は不当に低いし、安月給の仕事にぞんざいな男ばっかりで辛い日々を送っているのよ」
けれども異世界では羽を伸ばして生活ができる。特にこの世界は淫魔の『ぽこちんぴゅーぴゅーランキング』とやらで、トップ10に入る程、良質なちんぽと精液が充実しているそうだ。
「ここの世界のちんぽはとってもタフで素晴らしいわ。特にオーガとドワーフのがね。高級淫魔のアタシがこの100年に4人も子供を産んじゃったぐらいに元気な精子ばっかりだったし」
「4人もお子がござるのか?」
「そうよ? なんたってアタシは高級な淫魔なんだから!」
イズヴァルトのちんぽを膣でごしごしとしながら言い張るルヴィアだが、彼女は至って中級のサキュバスである。
高位のサキュバスは干物みたいな身体でも搾精しまくるものだ。彼女は自分を高く見せるために嘘をついていた。
ただ、魔族としてのランクの割に、実際の地位が不相応なのは本当の事だった。ルヴィアは魔界でも相当にケチな領主の元に属していた。ほかの土地ではそこそこの栄養管理士になれたが、地元での仕事は、学校の給食の調理助手だったのだ。
「うふ。だからアナタも存分にアタシの魅力に浸るといいわ……」
イズヴァルトのペニスの亀頭から5センチほど下の幹をしごいていたルヴィアの子宮口が、急に締まってきた。搾精家としての彼女の得意技である。ぐいぐいとやられてイズヴァルトの射精中枢が刺激された。
「で、出そうでござる……」
おおっ、と叫んで子宮内に精液をぶちまけた。ルヴィアは下腹の淫紋を輝かせてうっとりとなる。ついでだがこの時彼女は排卵を起こしていた。
「うふふ……アタシのお腹の中、魔力でいっぱい……」
「では、そろそろ拙者を放してほしいでござるよ?」
「それはダメ♥ アタシはしばらくアナタの監視を任されたんだから♥」
「監視でござるか?」
「そうよ。貴方は今、エチウのカナザワースにいるの。気さくで心優しくておちんぽがとっても元気なパラッツォ教徒たちの都の中よ♥」
そしてここはカナザワースにある教団の総本山。イズヴァルトの部屋は伽藍の側にある司祭騎士達の宿舎の中にあった。
空は重たくて黒い雲に覆われ、常に吹雪いていた。カナザワースは1年のほとんどが冬だ。そこをコーザが本拠にしたのは、この島がエチウ諸島の中央に位置していたからである。
「さあ……もっと気持ちよくなって……ぴゅっぴゅと出して♥」
ルヴィアは腰をグラインドさせた。イズヴァルトのペニスは拒もうとしたが硬いままだった。この女の作り物っぽい甘いにおいで陰茎が興奮してしまったからだ。
(う、ううむ……。)
気持ちはいいのだが、どうにも本気になれない。ちんちんをこねられてついつい自分から腰を動かし、ルヴィアを喜ばせてしまったが考え続けた。
(そうでござる。マイヤとトーリどのでござる! あの2人はもっといいにおいがしたでござる。こんなとってつけたような甘いにおいではなく、きんたまの底に響くような、とってもお上品なおんなのこの香りが漂っていたでござる……。)
それこそがマイヤ達とこのサキュバスとの差なのだろう。トーリとマイヤは魔界でもかなり高位の淫魔が先祖だったらしいと聞いていた。その差だ。やはりこの淫魔は木っ端という事か。ちんちんは気持ちよかったが。
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ルヴィアの搾精は6時間にも及んだ。すっかり疲れ果てて満足した彼女は、こんなに沢山出せる男はなかなかいないとイズヴァルトを褒めて部屋を出ていった。
厄介なのが去ってすっかり落ち着いたところで、客が入って来た。エレクトラだった。サート銀山で見た、パラッツォ教団の戦装束に身を包んでいた。
「……」
「あらあら。見舞いに来たのにそっけないですねぇ。まだ怒っているんですかい?
「裏切ったのは何故でござるか?」
「おわかりでしょうに。このほうが手っ取り早いからですよ」
「手っ取り早い? 何をたくらんでいるのでござる?」
エレクトラは顔をしかめながらも笑った。イズヴァルトは起き上がろうとするが動けなかった。
「教主サマの封印魔法の効果ですぜ?」
「くそっ……」
「あはは。イズヴァルトさん。観念しなさいな。コーザに勝てる人物はそういませんよ。しかもここはカナザワース島。そう簡単に逃げられません」
エレクトラは忠告する。虹彩がはっきりとしている瞳が輝きを帯びていた。陰謀を持ちかける時の目だ。ただし、信頼する人物に対しての。
「と、なりゃあこうするほかはございませんぜ?」
教団のメンバーとなって手を貸せ。いや、教団こそがイズヴァルトに力を貸してくれる。
「イズヴァルトさんはですねぇ、特別枠の司祭騎士団長となったんですよ」
「司祭騎士団長? 勝手に話を進めるなでござる!」
「かくいうあたしは副騎士団長。いわばイズヴァルトさんの補佐ですよ?」
縁が続いてうれしいもんです。裏切りのことは水に流せとエレクトラはせがんだ。この図々しさがイズヴァルトは苦手だった。
「で、拙者に妙きちりんな位を与えたのはどういうわけでござるか?」
「イズヴァルトさんの戴冠、王国の建国の為の準備でさぁ」
「……まだそんな、ばかなことを!」
ホーデンエーネン王家から心が離れつつある北方諸侯をまとめ、1つの国を作る。彼女はカントニアでイズヴァルトに熱く語った事を諦めていなかった。
司祭騎士団長という役職も、そのお膳立ての為である。エレクトラがコーザに提案したのだ。イズヴァルトを教団の高位の要職に就ければ、枢機卿やエチウの旧豪族衆からなる、名誉司祭騎士らの助力を受けやすくなる。
「この企みにゃ、キモってもんがあるんですよ」
エチウの旧豪族衆こそが重要だ。彼等はホーデンエーネンの北部諸侯の親戚縁者ばかりである。それからイズヴァルトは、北部諸侯に絶大な人気を集めていた。
「そんな王国は無用の長物でござるよ。拙者以外にふさわしい者がいるでござる」
「いやいや。それが必要になってくるんですよ。トーリ様の王国になりつつあるホーデンエーネンが悪さをした時、それを止める世界の守り手、みたいな国がねぇ……」
トーリの王国が暴走すれば、それを打ち倒す勢力がこの世界には要る。いや、抑止力だけでいい。
「むしろ、すくませるってのが、私が一番望むところなんですよねぇ……」
キンキ大陸にある、ホーデンエーネンとイーガ、それからイズヴァルトの国で3すくみを起こさせる。互いに牽制しあうのが目的だ。
「トーリ様の国になりゃ、もしかしたらホーデンエーネンはこれまで以上の強大な国家になるかもしれません。そうなりゃイーガは攻められておしまい。イーガも吸収されちまったら、どうなります?」
「……キンキ大陸にあるホーデンエーネンが、世界最強の国になる、でござろうか?」
その通り。さらにエレクトラは教団筋から密かに仕入れた情報をイズヴァルトに伝えた。
「トーリさんの今の力は、魔竜様も手が出せないぐらいらしいですぜ?」
いよいよその秘められた底なしの才能が開花しつつある。そうなればトーリは魔族に準じた存在となるだろう。それはこの世界にとって最大の脅威となる。
その上にイーガを打倒し強大なホーデンエーネン国があれば、世界征服はおろか、アカサカチハヤへの宣戦布告と制圧だって夢ではない。ホーデンエーネンの王族や大貴族らは魔竜討伐を望んでいたのだ。
「悪いことにそもそもですねぇ、イーガはトーリさんのご先祖さまのご家来筋にあたる人物が建国した国なのですよ。ガモーコヴィッツ家のあたしも同じく。トーリ様が本格的に目覚めれば、遠い祖先の血が変な動きをして、あたしらイーガの貴族を好き勝手に操作できるようになるかもしれません」
そうなったらキンキ大陸は完全にトーリのものだ。ホーデンエーネンの猪武者どもを軽々と蹴散らしてきた魔竜だが、そこにイーガの魔道士軍団が加われば一筋縄ではいかない。その上に強大な魔人そのものとなりつつあるトーリ。
「……そのトーリさんと手を組んで世界を変えるっていう野望も面白いでしょうが、あたしはそんなのは望んじゃいませんよ」
「でもコーザは、パラッツォ教があまねく広がる世の中を造ろうとしているのでござるが?」
「いや、所詮は宗教ですよ。信心の天下をとっても世俗の天下は取れませんからね。でもトーリさんが目指すホーデンエーネンの明日がわからない。だから保険が欲しいんです」
この世界が今のままの世界である為に。エレクトラはイズヴァルトを世界の守り手に押し上げたかった。
この男ならきっとそうなってくれるだろう。イーガにいるマルティンやシマーヅに住むウーゴとエレナの未来の為。そして、自分のお腹の中にいる赤ん坊の未来の為にだ。
「……まだ決心がつかないんですかい?」
エレクトラはイズヴァルトの目をのぞき込む。その視線はいつもと違い、相手を射貫くような鋭さがあった。
しかしイズヴァルトは拒み続けていた。自分が国王などとはろくでもない策だ。何よりもコーザとこの女の傀儡となってしまうかもしれない。自分には策士達に対抗できる知恵も知識も無いからだ。
「なんなら、マイヤさんを奪い取る為の策を立てますよ」
その一言にイズヴァルトは口を開いた。
「頼む。拙者を祭り上げて欲しいでござる」
お飾りといえど王となれば、世界の珠玉と呼ばれ始めたあの人ときっと釣り合うはずだ。イズヴァルトは自嘲した。なるようにしかならぬでござるよ。
けれどもこれが成功すれば、あの可愛い『おひめさま』を、死の商人まがいの事から遠ざけ得るかもしれないだろう。イズヴァルトはエレクトラの賭けに乗った。
(青年編 了)
これにて本編『青年編』は終わりとなります。
次回からはカツランダルク戦記の第三章に入ります。