※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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89 あまりにも一方的な

 ようやくカミラが気づいた時には手遅れだった。

 

 草の上でのしかかられ、うー、あー、とうめきながら腰を振る大男のくさいにおいで子宮が「きゅんきゅん♡」と疼いて性交をし続けたいと思ってそれに深く浸ってしまったのもまずかったのだろう。勘や本能が働かなかった。仕損じた。大失態だった。

 

 トーリやコーザと比べられる程ではないが、自分ではどうにもならない魔力の波動を感じた。すぐそこにいる。そして周囲と空を覆う、圧迫してくるような見えない壁が。

 

「……魔界の術式結界」

 

 それもかなり高位の魔族によるものだ。転移魔法が使えなくなった。折よく、クサい息を吐きながらうめいていた男が果ててくれたから身体を起こして周囲を見回した。勘が鋭いルカとオンプッププレトットンはすでに、武装を整えていた。

 

「姿隠しの術式かしら?」

 

 ルカが答えた。耳に目立つイヤリングをしている、やや癖のある顔の彫りをしているサキュバスだ。

 

「多分そうですね。数は……3人ぐらいでしょうか」

「いや、4名いるわ」

 

 オンプッププレトットン。肩まで揃えた青紫色の髪をしている。頭の右上側にしっぽのように髪を束ねている。色街の演芸酒場じゃ人気者の歌手だ。耳がとても良い。

 

「新たな呼吸が4つ。ほとんど近く。この結界を張ったのは、多分その中のうち1人」

「マイバラーフェン大森林まで来れば追ってこないと思ったけれど、やはり魔竜様はしつこいようね」

「……来るわ」

 

 オンプッププレトットンが上着のポケットから何かを取り出す。短いヘラの様な形をした手裏剣だ。5枚。そのうち1枚を呼吸がする方に向けて投げた。凄まじい数の紫電が起こった。木々や草が爆ぜて火がついた。

 

「それは?」

「カイロネイア=エルフの『紫電砲』を封じた術式暗器。里でもらったの」

 

 オンプッププレトットンは、20年ほど前はカイロネイアで暮らしていた。イーズィ王国という褐色エルフの女の『ちんちん狩り場』を荒らしたせいだ。とっ捕まえられてエルフ女との『ちゅっちゅ♡』がどれだけ素晴らしいかをわからされた。

 

 仲良くなったがゆえに彼女はエルフの魔法をほんのちょっとと、紫電砲を封じた暗器をいくつか土産に貰った。15キロぐらいやせて身体も乳房もガリガリになってしまったが、素晴らしい道具と思い出が手に入った。

 

「……まだいる。もう一枚」

「あれをやったのに? ルカ。オンプッププレトットンの掩護をお願い」

 

 ルカも短弓をつがえて矢に魔法を込める。放てば刺さったあたり一面に、眠たくなる魔法が広がる。普通のサキュバスはこれぐらいしか使えない。弓矢だって当てる自信は無かった。

 

「……近づいてくる」

 

 オンプッププレトットンが注意を呼びかける。カミラは他の4名と精液まみれの陰唇を丸出しにしていびきをかくヤスミンカに注意を促した。『六枚銅貨部隊』の連中にも念話で働きかける。彼らは厚手の貫頭衣に革の胴丸という格好で武器を取った。

 

 近づいて来るのは今もだ。オンプッププレトットンは次の飛び道具を投げる構えだった。しかし、と彼女は思った。やけに愚直に過ぎる。どうしてこちらの隙をつくやり方をしないのだろう。この結界の使い手、戦闘に詳しそうなのに。

 

「……まさか!」

 

 オンプッププレトットンは気付いた。手裏剣を投げた方角で感じる気配は幻惑だろう。そこまでややこしい魔法は魔界の魔族はろくに使わないが、この世界のエルフならたまに使う。ゴブリンも。

 

 悪い予感は当った。オンプッププレトットンは真上から刃物が迫ってくる風の動きを感じ、右に避けた。剣が草を切る音を聞いた。ルカが叫んだ。

 

「同族よ!」

 

 姿を見せたのは武装したサキュバスだった。金髪で反りがついた片手剣を持つ。全身から放たれている魔力の波動と身のこなしは、淫魔の中でも武闘派が持つものだった。

 

「しかも、格上の!」

 

 ルカが注意をうながしたがオンプッププレトットンも心がけていた。手裏剣を投げる構え。しかしそれを持った右腕の感覚が、いつの間にか消えていた。

 

「……!」

 

 手首を切り落とされたのだ。そのサキュバスの剣だった。転移魔法で彼女の横に飛んだのだ。その女、ハーマイオニーはオンプッププレトットンを見てこう言い放った。

 

「……密航組の連中っスね?」

「そうよ。だから何?」

 

 また姿が消えた。背後に気配。両方のかかとを引きちぎられる感覚と痛みが起こった。オンプッププレトットンは倒れた。

 

「理由を教えて下さいね。どうしてっスか?」

「……どうせ、魔竜様のもとに連行して魔界に連れ戻すでしょうに」

「いいから言えよ」

 

 ハーマイオニーは血がべったりついた剣の切っ先を、オンプッププレトットンの喉元に当てた。

 

「わかっているでしょうに……強い子(サキュバス)を産むためによ」

 

 やっぱりそうか。ハーマイオニーはうなずいた。無断渡航組のサキュバスは大抵、ある目的が持っていた。魔界の男の種では得られない異世界の男と子をつくり、驚異的を持つ娘を産むということだ。それを狙うのは上級や中級のサキュバスより、下級のサキュバスが多い。

 

 ルカとその他の4名も行く手を阻まれていた。彼女達より格上のエルザとアナの姉妹がにらみつけていたからだ。

 

「この世界で何人産んだんスか?」

「6人よ。でも、どの子も大した才は感じられなかった」

「『大淫婦クラリス』の再来なんてそうそう産めないっスよ。で、抵抗はここまでにしますか?」

「いいえ、まだよ」

 

 代わりにルカが答えた。『六枚銅貨部隊』の連中に呼びかける。この女たちを殺せ。感情と知性に乏しく、性欲と破壊欲だけの人の姿をした獣達が暴れ始めた。

 

 凄まじい勢いの剣風だ。一撃を受け止めてハーマイオニーは舌打ちした。後先考えずに理性をぶち壊されている。どいつもリミッターが外れているようだ。手こずる。ここは助けだ。

 

「出番っス!」

「よし来た!」

 

 またも風が起こった。潜んでいたブライアン=スエッツァーが動いたのだ。彼の動きと手に取る2刀の剣さばきは、神速の域にあった。

 

 振るう刀身は黒く染まっていた。魔界の下級兵士が扱う大量生産の魔剣だ。刃についた脂や血を一瞬にして消し炭にする力が込められていた。

 

 彼はこれでもって、けたたましい叫び声をあげながら襲いかかる『六枚銅貨部隊』の武者を、次々と斬り伏せていく。暴力だけを頼りにする改造された兵士たちでは太刀打ち出来なかった。血しぶきをあげながら次々と倒される。ついには全員をやった。5分も経たなかった。

 

「ふう……ちょっとやり過ぎちゃったかな?」

 

 ブライアンは事切れかかっている連中を見て可哀想に思った。いやいややらされているようだったよ。こいつら。でも同情は無用だ。剣を取ったら最後、やるかやられるかの戦いだからである。

 

 邪魔者は片付けた。後はサキュバス達を捕獲しよう。

 

「おーい、ヴァネロペ。お掃除が終わったよ!」

 

(ヴァネロペ?)

 

 カミラは耳を疑った。魔界のサキュバスでも5本の指に数えられる大物の名前だからだ。果たしてそのヴァネロペが現れた。魔界の裁判所で見たあの顔と子供みたいな体つき。

 

 ヴァネロペは死にかかっている1人の貫頭衣をめくりあげ、しなびていたペニスを握りしめた。それは、みるみるうちに元気になった。

 

「何をするんだよ、ヴァネロペ?」

「……」

「ああそう。なるほど、そっか」

 

 ブライアンがうなずくとヴァネロペは自分の手のひらをじっと見た。両腕が盛り上がり、手のひらの真ん中に縦割れの、えらく濡れたねちっこそうな穴が空いた。

 

 その穴で勃起していたペニスを飲み込む。腕をぐい、ぐいと動かすと穴の中で大量の射精が起こった。長く長く続く、その男の人生最後の放精だった。

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