聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
コーノフェルト大公領の『公都』、イワフネッフェン。6万にも及ぶ人口の大きな街だ。南天騎士団のうち5000が常駐していた。
イコーマブルグ領内の虐殺が起きた2日後、ホーデンエーネン王国暦356年5月4日の昼の頃。その町の城壁の西門に、近隣から集まった大勢のパラッツォ教徒が押しかけていた。同門の信徒達を殺した犯人らを検挙してもらう為にだ。
一番の惨事を為したタワラーグの町は、防備を固めて抗戦体制に入っている。固く門を閉じて外部者を誰も受け入れぬ格好だった。イコーマブルグ公は「検証が必要である」と返してなかなか取り合ってくれない。
そこをコーノフェルト大公と5000の兵に、お力添えをしてもらおうというつもりで信徒らはやって来ていた。4000以上もの信徒らを見てイワフネッフェンの民は驚いていた。パラッツォ教徒がここまで集まったとは。コーノフェルト公は家臣らを集めて会議を始めた。
「信徒らはそこまで怒っていることを我々に示している。となれば我が友、イコーマブルグ公に呼びかけ、タワラーグに問い詰めねばならん」
集まった信徒らとイコーマブルグへ向かおうではないか。大公が意を伝えると家臣らは否定した。
「そうはいきません。イコーマブルグ閣下の体面を傷つけることになりますぞ?」
「左様です。公は今、タワラーグの民に事情を聴く為に尽力していることでしょう。そこに閣下が無理に口を挟めば、南天騎士団の団結に支障をきたす恐れがございます」
「閣下、幸いにコーノフェルトで大きな事件は起きておりません。住民と信徒との仲も、いろいろといさかいはございますが友好なものだと評されております。ここはイコーマブルグ公と連絡を取り、信徒の代表者だけを連れて向かうのがよろしいかと存じます」
「……そのほうが良いかもしれぬな」
コーノフェルト公は考えを改め、もう少し話し合ってからにしようと告げたその時だった。
城から西の方角で大きな爆発音が起こった。家屋の屋根の瓦や板が吹き飛び、窓ガラスがガタガタと鳴った。西側の窓から見える城壁から、大きな煙がたっていた。
「何が起こった!」
大公らが護衛の兵士や下男たちに尋ねた。しばらくして信徒らが街中に入り、血の気の濃い連中と殴り合いを始めたという報告があがった。
「街の中に! 西門はどうしたのだ!」
「そ、それが……鉄門も櫓も何もかも、吹っ飛んできれいさっぱり消えうせているそうなのです!」
「なん……だと……!」
殴り合いは騎士団が現地に急行するまで殺し合いにまで発展する。現地で何が起こったのか……?
□ □ □ □ □
西門が吹き飛ぶ前である。4000名ものパラッツォ教徒が門を開けろ、大公閣下に直訴したい、と大声をあげるのを見ていた衛兵たちは、怯えて戸惑うばかりだった。
「大公様の命令はいつくだるのだ!」
「南天騎士団はどうした! 飯の最中か!」
上官が馬を走らせて向かったが、まだ帰ってこない。城からも誰かが来て指示をしてくれない。彼等は戸惑っていた。
パラッツォ教徒のほとんどは武器を持っていなかった。あったとしても木の棒や投げる為の石ぐらいだ。男のみならず女の姿だってあった。彼等に向けて矢を放つのはあまりにもやり過ぎだと皆は思った。そんなことをしたら火に油を注ぐ真似と一緒だろう。
「門を開けていいのか、どうなんだ!」
「開けちゃならんだろう! 閉じてりゃ入ってこない! よじ登るなんて無理だろう!」
そりゃそうだ。この城壁は10メートル近くの高さがあった。怒声を気にしなければ夜までやり過ごす事は可能だ。だが、信徒達の声は彼等の恐怖を駆り立てた。その多くはそわそわとしながら城壁の上を歩いたり、壁の下をのぞいたりする事で紛らわせていたが、櫓の一番上に立っていたその男だけは違った。
(……うるさい。パラッツォの蠅どもが。)
パイプに詰めたタバコの火をつけ、それを吸い込みながら下を見下ろしていた。彼はいつでも撃てるように銃の手入れを行っていた。彼は防衛隊の銃兵だった。
(あいつら、アスカウ公に庇護を受けているからと図に乗りやがって……)
男は反パラッツォ派だった。王国と教団が争っていた頃、銃士隊に志願して北ホーデンエーネンで数多くの信徒らを撃った。子供でも容赦しなかった。仲間内では血も涙もない鬼狙撃手として名をはせた。
ヴォルフ=ラングレンというアヅチハーゲン出身の天才狙撃手が出て来るまで、銃士隊の中では一番の射手と言われる程だった。
(……全くやかましいな。そうだ。)
彼はベルトのポケットから銀色の弾丸を取り出した。円錐型だ。知り合いがくれたものだ。威力を倍増させた魔法弾だと聞いた。少なくとも3倍の威力があるらしい。彼はそれを銃身に込め、信徒らに向けた。
「喰らいやがれ、異教の害虫どもめ」
引き金を引いた時、彼の意識は吹き飛んだ。それだけではなかった。その櫓も、城壁も、城門も跡形もなく。
その弾丸はカヅノ=セイジが作ったものだった。この射手のエピソードを聞いて、こいつなら何かやってくれるだろうと思って彼の知り合いに与えたのだ。
しかしまさか、暴発するとは思っていなかった。この男は火薬の量を間違えたのだ。とはいえ、この事件はナントブルグにいるあの人物を大いに動揺させる成果があった。
□ □ □ □ □
南天騎士団領で、パラッツォ教徒と騎士団との争いが勃発、双方あわせて7000近くの死傷者を出している。その知らせを聞いたトーリはいよいよ理性を失ってしまった。
「なんてことを……なんてことを……!」
パラッツォ教団はいよいよ、ナントブルグに正式な諮問官を差し出して来た。この様な騒乱になった以上、信徒や伝道者をホーデンエーネンに送ることはできない。エチウから引き上げ船を出向させるつもりだから帰国の為にご尽力いただきたい。
そんな話は聞けるものではなかった。『えくすぷれす』の工事は始まっているし、マイヤが夢見ている学術都市の建設はその真っ最中だ。今やめれば何もかもが中途半端で終わる。税金の他、マイア=テクニカやイーガ王国が出してくれた資金も無駄になるだろう。
(そんなこと、できないわ!)
トーリは使者との会談でこう答えた。私が直接、信者や南天騎士団の者達を説得に向かう。その諮問官らはそこまで言うのなら、とトーリの申し出を受け入れる事にした。
「我らはおおよそ3か月、ナントブルグにてお待ちいたしましょう」
「その頃には戻って来れるわ。お願いだから連れ戻すのはまだ待って。それに、私は教主様と仲良くし続けたいの」
会議が終わるとトーリは急ぎ部屋に戻った。待っていたピックプリトが早速意見する。
「ここは、セイン王陛下とヨーシデンにいらっしゃる、マイヤ様にお願いなさってはいかがでしょう? おじょうさまは子供達を害した犯人を探すのに専念したほうが……」
「それ以上言わないで、ピックプリト。それにカミラやシャロン達がきっと戻って来るわ……リリカ、お願い」
身を旅装に整えたトーリはリリカと共にコーノフェルトへと飛んだ。着いたのはイワフネッフェンの郊外だ。千数百にも及ぶ新しい墓穴がいくつも掘られて死体が投げ込まれている最中だった。
それを指揮していた騎士達に案内してもらい、コーノフェルト公と会談。ベッドの上でだ。馬なりになり美しい裸体をくねらせ、心理操作の魔法を彼に注ぎ込みながらトーリは尋ねた。
「お、おねがいがあるの!」
「むほっ! な、なにをでしょうアスカウ公様!」
彼女の肌と膣奥の感触に耽溺していた公にトーリは呼びかけた。暴動を起こしたパラッツォ教徒を解放して欲しい。この街の牢には首謀者含め、数十名もの信徒が閉じ込められていた。
「はっ、ははああっ! おおせのままに!」
「うんっ! うれしいいぃい!」
よがりながら激しくくねらせる腰の中で大公は暴発を起こした。しかし陰茎は勃起したままだ。トーリはお尻を振るのを止めずに要求を重ねた。
「そっ、それから、イコーマブルグ公とネヤガワハイム公、イーモリハウゼン公を集めておちんぽしゅきしゅきを含めた会議を開きたい!」
「ぬほほっ! どうしてですかな!」
大公はトーリの腰をがっしりとつかみ、下から突き上げる。
「ぬほおおおおお♡」
「その理由を教えてくださいますよう! 我らはトーリ様に絶対の忠臣を誓いまする!」
「おおお♡ ナントブルグのセイン陛下の前で、今後一切騒乱を起こさぬ誓いを立てて欲しいの! その為の会議よ!」
国王の前で誓い、血判状の1枚や2枚を出せばパラッツォ教側は矛を収めるだろう。その為には自分が信徒を連れて先にナントブルグへ向かい、事前工作をしたい。できれば、騎士団から1000か2000をつけて欲しい。
「わ、わかりましたああああ! おおおおおーっ!」
イコーマブルグ公はトーリの中でまた爆発を成し遂げた。締め付けをきつくしたから今度のはへなへなになってしまうまで大量に出てしまった。
公から大量の忠節の証を子宮の中に吸い込んだトーリは、うっとりと笑った。これでなんとかなるかもしれない。そう思いながら彼の胸にしなだれ込んだ。