聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
ナオエニア本島に到着したイズヴァルトは、島の防備に驚きの声をあげてしまった。海岸はどこもかしこも土塁と防壁ばかりで櫓もちらほらと。どれも数十年前にあったものを補修し、手を加えたものだ。
しかも周辺の諸島には、これよりもっと堅い砦がたくさんあると聞いて「心強い限り!」と手を打って喜んだ。
「このぐらい施しておけば、たとえオーガどのらが攻めてきても、なかなかに抜けることはなかろう! いやはや、拙者はまくらを高くして眠れるものでござる! あっはっはっ!」
それにちくりと釘さす者がいた。愛人のエッダが胸元から出した大きな乳房を揉んで吸ってばかりいるトールキンだ。
「バカを言うな。こんな低い土塁、オーガの連中はひとっとびじゃろうて」
目にする土塁や防壁はおおよそ4メートルぐらいの高さがある。それでも物足りぬとトールキンは言った。
「あやつらの跳躍と壁登りの術は、こんなもんじゃ苦労せんて。せめて10メートルは欲しいものじゃ。大体、あいつらがエルフの衆並みに身軽だということ、忘れておらんかのう?」
「……いやはや。さようでござった」
やはり油断はしていられない。己のキルトスカートに顔を突っ込み、しなしなとなっているちんぽをぺろぺろと舐めるヘラに呼びかけた。
「ヘラどの、早速見回りに行くでござる」
小さな娘はその中から飛び出すと、残念そうな声をあげて尻をめくった。それを桟橋のへりに突き出してしゃがむと、尻穴をくわっと開けてにおいのきつい湯気を放った。
「……これこれ。『おしゃぶりひめ』みたいなことをしてはいけぬでござるよ?」
「催したんだもん。それと、ちんぽを挿れてるとなんだかうんこが近くなっちゃうしね♥」
しゃがんで丸見えになったヘラの陰裂はほぐれてぐじゅぐじゅに形がたわんでいた。精液まみれだったのは、島に着く前にイズヴァルトと致したからだ。
また、彼女の膣の奥には、別の男が放ったものが残存していた。船の中ではイズヴァルトだけでなく、トールキンや他の男達とも『法悦』を為していたからだ。ヘラは陰裂に指を入れてこねる。
「ほーら♥ ほーら♥」
半開きになった膣口からどろどろと精液がこぼれ出た。尻穴からぼとぼとと大便を垂らし続けながらだ。少々下品に過ぎるがこれも誘惑の術である。イズヴァルトは陰茎を半勃ちさせながらたしなめた。
「島についたのだから、おまんこばかりはできぬでござるよ?」
「ちぇっ。あたしなんか軍議にいたって役にたたないじゃん?」
「この防衛戦で貴殿は大きな役目を負うのでござる。ぜひとも、出ていただくでござるよ?」
「へへん! かたっくるしくてうっさいな!」
ヘラは立ち上がると腰布の端で尻と股をぬぐった。尻拭きをそれでしてしまう育ちの悪さがあった。とはいえ寒いエチウ地方ではそこまでにおいは目立たない。顔をしかめるイズヴァルトの背中に飛び乗った。
「さっさといこう、司祭騎士団長さん!」
この娘は甘ったれなところがあった。特に司祭騎士団長にだ。父というべき教主・コーザに「彼の子を産め」と命じられているのだから、ある意味では婿のようなものだった。
イズヴァルトはヘラを背負ったまま、桟橋を抜けて港の兵の詰め所に着いた。寝泊まりするナオエニア城までの出迎えが待っていた。名誉司祭騎士であり元ナオエニア大公のカーネトヨゲネフ=ヒグチセンとその護衛である。
大公はこの時51歳。すっかりパラッツォ教に帰順し、平民の信徒の女ともたくさん交わって、80人ほどの庶子を作っていた。この年にさらに4人、子が生まれる予定であった。
その護衛には金髪エルフの女と、まだ少年の頃の『あいのこ』の姿があった。エルフは大公の『妾護衛』となったエルフのユイラン。少年は大公とユイランとの間に生まれた子で、後に家督を継ぐカーネツグゲネフである。
「ようこそ、ナオエニアへ司祭騎士団長イズヴァルト殿。傭兵隊長のトールキン殿……と」
大公の妾であり側付き護衛のユイランと、数名の武者が前に進み出て大公とカーネツグゲネフを守るかのように立ちはだかった。ニンゲンの戦士はおろか、ゴブリンやエルフ、オーガの戦士もいた。
彼らは剣に手をかけて構えていた。ヘラを警戒してだ。彼女は亜人、つまりは精霊人達の敵とも言える
イズヴァルトにおんぶされていた彼女は涙目になって怯えていた。無論、彼女の実力があればこの者たちを叩きのめせるだろう。けれどもユイラン他、戦場の経験が豊富な武者達の鋭い気迫は、まだ子どもの彼女をひるませる程だった。
「よしていただきたい。ヘラどのはまだ子供でござる」
イズヴァルトがたしなめた。トールキンも苦笑しながら、「こいつは娘っ子だから人食いみてえな悪さはしねえよ」と付け加えた。
「左様だべか。失礼したべ」
ムーツなまりのエチウ語でユイランは退いた。彼女に従って他の武者達も。軍議はそこで始まった。クボーニコフの海軍はどの海域に出没しだしたか。大公が地図を用いて説明する。
「この5日ぐらいから、ナオエニア諸島の東海域にムーツの船が出没しだした。どうもクボーニコフの正式な海軍のものではないようだ」
クボーニコフの海軍の船はわりと派手にこしらえている。船体を朱や黒に塗りたくり、帆にでかでかと白虎の絵を描いたり、舳先に女オーガの像をつけたりと装飾に余念が無い。
しかし出没するのはムーツの船の構造……例えば双胴船や左右の舷に推進用の水車輪を設けたもの……ではあるが、船体は木目が目立ち装飾も無い地味なものである。
「となりゃあ、南のユーリポフ13小王国の海軍か、もっと南のムラカミヴィア、オノウラヴィア、シバタニアあたりの海軍、ってとこじゃろなぁ」
トールキンはそう推測した。ムーツの西海域にも行ったことがあるのだ。あちらにはスケベなエルフの血が混ざった、とても尻軽な女オーガが多く、そこで鉱山師仲間と漁色旅行に勤しんだという。
「なるほど、傭兵隊長殿。シバタニア……ということはユイランの故郷も敵方として加わっているということだな?」
ユイランの目に厳しい光が灯った。彼女はムーツの南西部沿岸に移住したミナッカミニア・エルフだった。父はカントニア北西部の最北端・ナエバニア出身で、母親は女オーガと金色エルフのハーフである。母は遠い昔に亡くなっている。
シバタニアはムーツ南部の最西端の、ごく小さな半島国である。この土地は伝説のオーガの海賊王が死んだ後、ナエバニアと仲良く交流していた。そのシバタニアもまた、クボーニコフの半ば属国にあった。大陸南西部の小さな国々と同じくだ。
「ということは南部諸国の連中であれば、魔法主体の攻撃も仕掛けてくるということか?」
「まあ、そういうことじゃろうな。一緒くたになって攻めかかるじゃろう。あの辺のオーガは大して強くないんじゃが、やはり魔法はろくすっぽきかんのじゃ。それとあの諸国だと……金色エルフが加わるじゃろうな。毒はきかんから注意せえよ。わかっているじゃろうが」
トールキンは警告する。ここのニンゲンどもは決して白兵戦に持ち込ませるな。エルフはおろかオーガは弱いのでも脅威だ。1人で20人から30人ぐらいのニンゲンの武者に匹敵する。彼らに力で勝てるのはドワーフぐらいだろう。
「アナタ、そんな大言壮語しちゃっていいの?」
自分の力はいつ使うのかとヘラが尋ねてきた。
「で、嬢ちゃんは空はとべたかのう?」
「飛翔魔法なら得意だよ! 空から『獄炎の凱歌』で敵の船を焼けばいいんだね!」
「……ムーツの衆はサイゴークとはちと違うぞ?」
オーガは魔法は使えないが、船には必ずニンゲンやエルフ、あるいはゴブリンの魔道士がいるはずだ。それらが魔法結界を施していることだろう。
「まっとうな海軍っちゅうもんは、そうした守りをおろそかにせんのじゃ」
『獄炎の凱歌』には、アソマリアの神の炎が宿っていた。しかし使いこなせていないと水の上では加護が減じてしまう。
「もともとはイズヴァルトの剣じゃからな。そいつがぶうたれるかもしれんぞ」
トールキンがそういい切ると、ヘラは顔を真っ赤にして抗弁した。
「そんなもん、やってみなけりゃわからないじゃない! 工夫すりゃいいんだよ! 燃えやすい帆とか火薬の樽とか狙えばさ!」
「そうじゃろうが、イズヴァルト、『覇王の剣』の炎というもん、嬢ちゃんはどれほど出せたかのう?」
「……ざっと20メートルでござる」
イズヴァルトだと3倍。燃えやすいものに火を付けるという程度の威力で構わないのであれば、300メートルはいける。トールキンは失笑した。元の持ち主と比べて心もとない。
「それじゃあ、ヘラの嬢ちゃんは攻めてきた時の後方撹乱役ってところじゃな。船は燃やせんでもびびらせるぐらいはできるじゃろう。ニンゲンなら焼けるじゃろうし」
「トールキンさん、あたしのこと期待していいんだよ! 船が見えたら飛んでって焼き払ってやるんだから!」
トールキンとてそうしたい。しかしヘラがどうにも危なっかしくて心配だった。たとえ教団で一番の才能を持つ魔法戦士でも、まだ10歳の幼い娘である。
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敵襲の知らせは突然だった。到着したその日の夜、寝静まった後に見張りからの報告があがったのだ。
およそ10隻の中型軍船が周囲の島々の警戒をかいくぐり、本島に迫ってくる。島の女とヘラに求められてくたくただったイズヴァルトは当の小さな相棒に叩き起こされた。
「功をあげる時だよ! さあさあ、向かおうよ!」
「承知したでござる……はわわ、眠い」
素っ裸だったイズヴァルトは股間がどうにもべたついていて気持ち悪かった。女たちの膣液のせいである。最後にちんぽをはめたのはヘラのだった。彼女の膣汁は少々生臭かった。
トールキンのように腰にキルトスカートを巻き、鎖帷子と肩当てをかけると、壁に立てかけていた鋼鉄のポールメイスと玉鋼のグレートソードを手に取った。
ポールメイスはおおよそ1メートル半で20キロ近くの重さがある。トールキンに言われて打撃武器を使うことにしたのだ。彼からはドワーフが扱う破砕魔法も教わっていた。そいつをメイスにかけて敵の武器を砕くつもりであった。
兜を頭に乗せ、司祭騎士団長としてのマントを羽織ると「いこう!」とヘラに呼びかけられた。彼女の格好は、上は胸だけを覆った肩当てつきの胸甲。鎖帷子をスカート状にして腰に巻いていた。ブーツは足のくるぶしまでの長さだ。半裸で頭と腹を守らぬのは、戦士としての絶対の自信ゆえにだ。
真夜中の1時の知らせを受けて島の東海岸の防塁にたどり着いたのはその半刻後。ヘラを後ろに乗せて急ぎ走らせた馬は、ひひん、と鳴いて息苦しそうだった。
「トールキンどの、敵勢は?」
「船に篝火をつけていないから肉眼では見えんが、儂が指差す方角に必ずいるじゃろう」
船団は闇の中でひっそりと島に近づいていたらしい。けれども亜人達の目をごまかすには、少々運が悪かったようだ。
「大公には伝えておいたが、とりあえずこの防塁で待ち構えておこう。投石砲をぶっ放してくるかもしれんが、塹壕や塁に身を隠せばなんとかなるじゃろう。なにせここの壁は分厚い」
灯で照らされた土塁や石垣は、厚さは2メートル以上あった。よほど強力な投石砲弾でなければ崩せない。持ち場につき、待ち構えていると海の向こうから何かをぶっ放す音がいくつも聞こえてきた。
潮騒の中でひゅるるる、と音がつんざき、岸の手前で盛大な水柱をあげた。投石砲による攻撃だ。トールキンはこう見立てた。
「あんまり大きくはないかもしれん。中型の砲じゃろう」
ムーツの小国が使うそれは、クボーニコフ海軍はおろか、カントニアやサイゴークのそれと比べれば、あまり出来が良いものではなかった。有効射程距離は1キロ以内だ。しかも精度がかなり落ちるはず。
「イズヴァルト、小舟で陸戦隊が岸にたどり着くまでは仕掛けるな。パラッツォの司祭騎士と兵士たちにそう伝えておけ」
「御意でござる」
イズヴァルトは念話魔法で、各所にいる司祭騎士や指揮官らに呼びかけた。まだ息を潜めていろ。彼らは緊張してつばを飲み込みながら次の指示を待つ。いつもなら女性信徒とおまんこもするような体たらくだが、こたびは相手が手強いのだ。
が、1人だけ命令に従わない者がいた。周りを見て「しまった!」とイズヴァルトは叫んだ。夜空にけたたましい音が鳴り響いたので空を見上げた。
空を飛び、沖の方に向かう小さな人影。ヘラであった。音は敵方を恐怖させる為に魔法でわざと鳴らしたものである。
「ならぬ! 早まった真似を!」
彼女は飛翔魔法で隼よりも速く飛ぶ。音自体は遠くなったが、二重にも三重にも聞こえる。けたたましくなった。急降下が始まったのだ。
そのヘラは闇色の海面から、確かに船団の姿を目にするとニヤリと笑って勝利を確信した。
「岸に着くまでにあたし一人でぜんぶやっちゃうんだから!」
最初に目をつけた船からの高度は200メートルを切っている。背中に負った炎の剣を抜いた。刀身から、30メートルもの炎の柱を吹き出した。触れるものをすべて焼き尽くす、万物を浄める獄炎である。
しかしそれが彼女に危機を呼ぶこととなった。ムーツの海の猛者たちは、この童女に為す術もなくしてやられる様な腑抜けではなかったのだ。
さて、必勝の自信を胸に、空より炎の剣で船団を襲わんとするヘラの身に起こったこととは何か?
その続きについてはまた、次回にて。