聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
パラッツォ教団のこの砦に襲い掛かった敵は、おおよそ1000ほどだった。対してパラッツォ教団側は200もいなかった。
籠っても防ぎきれる備えはあったが、追い返しても後日、数倍の数を揃えて仕返しに来るだろう。
しかし今回の襲来は、一度で砦を落としてやろうという意気込みが感じられた。火矢が思いのほか激しく降った。砦を焼き払おうという魂胆だ。取りでは櫓をいくつか取りつけているが敷地は狭かった。しかもほとんど木造である。火攻めに弱いのだ。防御結界も施していなかった。
「とりあえずは打って出る! ただし拙者のみがでござる! 他の方々は拙者が突っ込んでから30分待ってから打って出られよ!」
イズヴァルトは獄炎の凱歌頼みの戦い方を考えていた。オーガ達には炎の剣は効かないだろうがその他ならやっつけられる。とりあえず暴れ回って戦意をくじかせよう。司祭騎士団長は馬に乗り、敵側が矢を射かけていない砦の東側の出口から外へ出た。
単騎駆けで突撃するには真正面からぶつかるよりも迂回して後ろ側から突く方が良い、そう考えながら闇の中を通ってこっそりと、気づかれぬように馬を走らせた。思惑通りにいった。彼はクボーニコフ軍の背後に回ることができた。ここからは盛大に暴れまわればいいだけだ。こちらにまったく気づかぬ様子のクボーニコフ軍を見ながら、イズヴァルトは馬のたてがみを撫でてやった。
「貴殿はここで待たれよ。ここからは徒歩でござる」
鼻息を鳴らす馬から降り、獄炎の凱歌を鞘から抜く。イズヴァルトは駆けだした。鋳物の剣のみたくなまくらに見える魔剣の切っ先で印を切った。瞬く間に刀身が赤く輝き、全体から熱く揺らぐ真っ赤な光が現れた。
さあ、ここからが反撃だ。イズヴァルトは炎の剣の灼熱を、10倍の長さにして誇示させた。奇襲は接触のぎりぎりまで気配を漂わせないほうが効果的だが、イズヴァルトは敵を動揺させ、備えを瓦解させることを望んでいた。首級をあげるのが目的ではない。追い払うのだ。
敵軍は、背後より突如現れた火炎の柱に驚いた。イズヴァルトは敵兵のいないところを炎で叩いた。草むらに火が付き燃え上がった。恐怖しての叫び。勇敢な兵士達の鬨の声。刃から放たれる炎をもとの長さにして、イズヴァルトは果敢に反撃してきた兵士らにかかった。圧倒的な武で相手らの士気をくじいた。
「とんでもなくつええべ!」
「こいつ! パラッツォの司祭騎士団長か!」
「イズヴァルトだぁー! イズヴァルトが来たぞォーッ!」
聞いただけで世の平凡な武芸者の多くがびくついてひれ伏す名前が、戦場のあちこちに連呼された。キンキ大陸やカントニア、サイゴークに知れ渡る彼の名をエチウの者も知らぬわけがなかった。敵軍の中心にたちまち方陣が敷かれた。槍兵が一斉に構え、その隙間と後方で弓兵と鉄砲兵が矢弾を備える。フォーメーションそのものを城に見立てた守備陣だ。
「……あれでござるか!」
それこそが目論見だった。距離は近かった。イズヴァルトは炎の剣を振りあげる。獄炎の凱歌は夜空に己を誇示した。50メートル近くの大きな火炎柱が現れ、振り下ろされた。たちまち方陣から「散れッ!」と叫ぶ声がした。少年の様な柔らかく甲高い声だった。敵兵は叫び声をあげながら散開した。
降り下ろされた剣の炎はその先に至るまで周囲を燃え上がらせた。逃げ遅れた兵士が焼かれて悲鳴をあげる。敵軍は大いに動揺し、砦を攻撃する部隊も動きを止めてしまった。イズヴァルトは目論見がかなったと内心喜んだ。ここから打って出ればやれるはずだ。
「この戦い、勝てる!」
ならば撹乱と挟撃ではなく壊滅に到れると踏んだイズヴァルトは、己の中の悪鬼を呼び起こそうとしたが、立ち止まった。もう一度呼びかけられたからだ。
「イズヴァルト=シギサンシュタウフェン! ツックイーとカイロネイアのエルフらの友たるイズヴァルト、ですな!」
兵士らが四方に散り、焔がごうごうと立っている本陣から現れたのは、鎖帷子でよろった、背丈の低い少年だった。いや、ハーフリングの血が混じった『あいのこ』だ。顔つきは子供そのものだが。その顔を見て、イズヴァルトは驚いた。
「ややっ! コーガ王国のヘファイスティオン=キツレティス様ではござらぬか!」
コーガ王国の『大御所』だ。子供の顔立ちと身なりなのに、どうにもおっさんくさい何かを醸し出していた。10年ほど前、コーガ王国東部の湿地帯に突如現れた古代ムサシノ帝国の浮遊要塞『サイコロップス』で目にした時と変わりが無かった。
古い親友と久しぶりに会ったかのごとく、ヘファイスティオンは足早に近づいた。笑顔のままだ。近づくなり抱きついて具足に頬ずりした。この男はいわば、古狸だ。
「……コーガ王国はクボーニコフと手を組んだでござるか?」
「いやはや。あははは。少し込み入った事情がございましてな。コーガと仲が良い、ナエバニア=エルフの友誼があってこの戦に加わっているだけですよ。はははは……」
ヘファイスティオンは手短に説明した。コーガとナエバニアはマブダチである。ナエバニアはムーツの西側諸国の商売仲間だ。その縁でクボーニコフの誘いを受けたナエバニアのお手伝いという形で、コーガ王国はこの戦争に加わっている。
「というわけですよ。そしてここにいる兵士たちは皆、コーガ王国の傭兵隊でしてな! おーい、君たち!」
ヘファイスティオンは兵士たちに呼びかけた。攻撃止め。教団とは一旦休戦だ。隊長格の者が何名かやって来てお伺いを立てると、ヘファイスティオンの支持に従って彼らは兵士達に撤退の準備をと告げた。退く段取りは速やかにされた。
「ううむ。えらくあっさりしているでござるな?」
「イズヴァルト殿を見て驚いたのですよ。ああそうそう。ここに来た理由なんですがね、ちょっと預かって欲しい人質がいるんですよ」
おーい。ヘファイスティオンは炎の中に呼びかけた。すると叢の中から、彼より小さな姿がひょっこりと現れた。衣服のあちこちに火がうつり、煙を立たせていたが至って平気そうな顔だった。
「うむ……あのお嬢さんは……」
「クリスタさんに頼まれましてな。ユミールくん!」
はーい、と答えて女の子が走ってくる。とてもすばしっこい。あっという間にイズヴァルトのところまで来た。炎と煙でよく見えなかった特徴が顕わになった。
ぐねぐねと曲がった癖のある髪は銀髪で肌はやや黒かった。耳は先が少しとんがっていた。カイロネイア=エルフの特徴だ。やや顔が丸い、愛くるしい顔立ちは、何者かの面影があった。
「貴殿は、もしや……」
「この子は、クリスタ=オブラーヤ殿の娘のユミールさんです」
「そうずら! にいちゃん、かーちゃんとたっくさんおまんこしたらしいずらな? てえことはおらのとーちゃん……」
ユミールはイズヴァルトの顔をまじまじと見た。
「……ではないようずら。すまん」
「なかなか利発とうかがえるでござる……おいくつでござろう? 5才とみたが……」
「もうそろそろで10歳ずら! いや、9歳だったずらか。やっぱり、おらのとーちゃんは死んじまったのか? 知っとるか?」
イズヴァルトは推察として答えた。多分、エドニアの有名な傭兵隊長、マルカス=サダルファスがユミールの父親だと。
「母上どのに頼んで『いでんしけんさ』というものをやってもらうでござるよ。マルカスどのの遺灰は確か……クリスタどのは持っているはずでござる」
「ならとーちゃんは死んだのか。やっぱり。そのマルカスってのは、首を吊りながらのちんちんしこしこをやりすぎて死んじまったと聞いたけど、やっぱそうだったずらか?」
「……そんなことまで」
ユミールの実の父親は、紛れもなくマルカス=サダルファスだった。かの男はめっぽう強い男だったが、間抜けな死に方をしてしまった。あまりにも恥ずかしい死に方だったのを、母親のクリスタはしゃべってしまったのかとイズヴァルトは嘆いた。
(※ギルバート=カツランダルク注:ユミールの父親がマルカスだというのは事実である。マルカスの死亡については、説が多々ある。ちなみにだが彼女には総計、100人以上の兄弟姉妹がいたことがわかっている。そのうちの1人がツックイー=エルフのフィリッパ=ゲーアが産んだ。アルガスという男児である。)
「マルカスどの、おいわたしや……」
「悲しい顔するなずら。かーちゃんが言ってた。おとこは、いろんなちんちんのしこりかたを試すもんずらって!」
なんならここでしこしこしてくいか、とユミールはスカートのすそをつかんで引き上げた。つるんとしたすじが現れると、
「見てしこしこが嫌なら、ここと太ももの間にはさんで、きゅっきゅするしてもいいずらよ?」
「しこしこはせぬでござるよ……」
そこに、ヘファイスティオンが耳元で一言。
「素股を試してもらいましたが、ふにふに加減がとっても良かったですね。ぬるりとするものを使えば楽しめますよ、いかがです?」
珍しいことではない。このぐらいの背格好のエルフやハーフエルフの女の子は、男と性愛を楽しむものばかりである。自身もツックイーの森で、このぐらいの女の子に素股どころか挿入まで求められて致したことがあるイズヴァルトは、説き伏せることなどできなかった。
「クリスタどのは、もうちょっと、子どもの教育というものを……」
「こらこら、エルフの血を引く娘さんですよ。まあ、素股はともかく、ここからのお話をいたしましょうか?」
ヘファイスティオンが告げてユミールが口を開く。
「おらはかーちゃんに頼まれてここへ来たずら! そこのヘファイスティオンのおっちゃんも、族長さんに頼まれておらをここに連れてきてくれたずらよ!」
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此度の襲撃はこういうことだった。ユミールをここにつれて来て、ヘファイスティオンと教団側が話をつけるようにするための、クボーニコフ軍へのアリバイ作りだ。
「本当はナエバニアもコーガも、乗り気ではなかったのだがねえ。クボーニコフが手を貸せてを貸せ、ってうるさいから、仕方なくついてきたんだよ」
隠し砦に入ってからのヘファイスティオンの口ぶりは、少し偉そうな響きがあった。交渉役という役目から、『おおごしょさま』として振る舞おうと考えたのだろう。
砦にはヘファイスティオンとユミール、それから、数名の信頼できる兵士だけが入った。他は島の各地を回って、ゆっくりと基地に戻るように命じられていた。偵察と要所確保という名目でだ。
「しかし、軍監や従軍文官はつかなかったのでござるか?」
イズヴァルトは血に染まった尻をあげ、泣き続けるヘラを見ながら尋ねた。ユミールはそれに手をかざして、治癒魔法をかけていた。治療を彼女が買って出たのだ。
「そんなものないよ、クボーニコフには?」
「……で、ござるか?」
「いやあ、いろんなところでがばがばだよ。特にね、属国の寄合所帯みたいな南軍はほとんど勝手気ままに行動しているよ。はっきり言ってクボーニコフは、こういうところではカントニア諸国よりも下にあるね」
船の上で戦う『海軍』ならば、そうした軍監はいるにはいるが、陸戦となるととたんにグダグダになる。まず指揮官に用兵家はいない。ほとんどが猪武者の親玉みたいなものばかりだ。なので各々、好きな戦いかたを試すのみである。
「兵の獰猛さでやっているようなものだよ。組織づくりや統率者が足りない。つきあっているのが馬鹿らしいと思えるぐらいだ」
「はあ。ご心中、お察し申し上げるでござるよ……あまり信用できぬでござるが?」
「ははは。本当のことだ。信頼してくれ。カジミェシュ様はともかく、私は疑念を抱き始めている。このままではとんでもないクソ戦に巻き込まれるのではないだろうか、とね」
占領地や各地の戦闘を含め、全体的な戦況は今のところ一進一退。ほぼほぼ互角、という感じだろうとヘファイスティオンは述べた。
治癒がだいぶ終わったのか、ヘラは泣きじゃくるのをやめていた。パスカルが持ってきた薬草入りの湯桶にユミールが布をひたし、ヘラの肛門をぬぐっていく。丁寧で慣れた手つきだ。ただ、その顔はしかめ面であぅた。
「……おまえ、うんこしたあとはちゃんと、けつのあなちゃんと拭いているか?」
「ふいてない。ころころうんちばっかだし」
「しわのあちこちがただれているずら。しかも腐った膿のにおいもしておるずらよ。ちゃーんと拭け」
ヘラは答えなかった。エチウの食事では尻穴がかゆくなるような便がなかなか出ないからだ。答えないヘラの尻を、ユミールは思い切りひっぱたいた。
「ひぇっ!」
「明日からちゃんとケツを拭くように見張ってやるから、よーく覚悟しとけ! うまく拭けなかったらおしりべちんずらよ!」
「は、はい……」
ヘラの不衛生な肛門の問題は解決できそうだ。おまんこを舐める時に尻穴からの悪臭に悩まされていたイズヴァルトは、これで安心して舐められると思った。
「で、クボーニコフ軍の内情は思わしくないのでござろうか? 前線に出ると、あまり諜報からの知らせが入ってこぬゆえ……」
「南軍では寄港地での物資食料の遅配が始まっている。これでなんとなくわかるかね?」
イズヴァルトは首を傾げる。血と便で汚くなった桶を抱えたパスカルが助言した。
「寄港地は主にナンブロシアの港湾だ。物資の供給はクボーニコフの同盟国であるナンブロシアが担当している。これでわかるか?」
「……まさか、ナンブロシアも退き始めたということでござるか?」
尻を丸出しにしたままのヘラをちらと見ながら、ヘファイスティオンがうなずいた。
「これは想定だが、かの公国の摂政、ドミトリーが見極め始めているようだ」
はて。イズヴァルトは首を傾げた。ナンブロシア側で戦争を主導しているのは大公ではなく、摂政のドミトリーだと聞いたのだが。教団でつかんでいる情報を思い切って伝えてみた。
「ドミトリーは食えんやつ、と聞いておるよ」
「若くして摂政になられるとは、面倒くさそうな御仁と思われるでござるが……」
「アンドレイ大公と裏で相談しながら、クボーニコフに手を貸しているのだろう。ただ、この戦争を終結させたければ、司祭副騎士団長殿の言う事を聞くのがよいだろう」
ナンブロシアに潜入し、大公と摂政に直談判をするという提案だ。場合によっては暗殺という手段もとるかもしれないが、ナンブロシアのオーガ兵はかなり強い。イズヴァルトでも手こずるはずだ。
「そちらは成功しにくいだろうな。密使として会うしか他あるまい」
「では、そのように取り計らうでござるよ」
「浅知恵しかないがこちらも助力いたそう。クリスタ殿とユミールくんは、クボーニコフの魔道士では追えない通信魔法を使って会話していると聞いた」
暗号や防壁を備えた通信術式だ。イズヴァルトはユミールに尋ねた。今、会話ができるか?
「うん! で、かーちゃんになにか伝えておこうか?」
「そうでござるな……里のみんなとはご無沙汰でござろうか。それを教えていただきたい」
「あのなあ、おらはまだ一度も会ってねーずら。かーちゃんもそうずらよ。もうちょっとこれは、というのを頼め。かーちゃんしかわからねえもんを……」
では、これならばとイズヴァルトはユミールに。
「今の体重はいかがでござろう?」
「えーと、ちょっと待ってずら……」
「答えづらいし娘としても母親の体重というのは、聞かれたくないものでござるか?」
「ちがうちがう。念話術式の展開中ずら……ああそう……えーと、えーっと……」
途端にしどろもどろになって、歯切れが悪くなるユミールを、イズヴァルトは叱り飛ばした。
「何を恥ずかしがっているユミールどの!」
「へえっ!」
「母親の身体が重いことは誇るべきことでござる! カイロネイアのクリスタ=オブラーヤと言えば、泣く子も黙る褐色エルフ最強のおなごぞ! その力はヌマタラシュク七本槍の筆頭であり最強の男と噂の、ダニェル=イヴァノフと伍する怪力自慢でござるぞ!」
かような馬鹿力の持ち主であり無双の戦士となれば、そんじょそこらのおなごの体重とはならないだろう。しかもクリスタは身長が170以上ある。力をつけるためにもりもりと食う。ばかでっかいおけつから、もりもりとうんこをひねる。
「本当のことを聞け! 拙者は貴殿の母上の、ぽよんぽよんの身体の重さをよく存じておる! 80や90どころでは無いはずでござるぞ!」
「……うん、わかったずら。ひゃく……ひゃくよんキロらしいずら」
その体重が正しいようだ。パスカルとヘファイスティオンは口を半開きにしていたが、イズヴァルトは「合点がいく数値でござる」と納得した。
「はっはっはっ! さようでござるか! ああでも、10年前より5キロほど減っているでござるな。最近、この島が荒れているからいろいろと心労がござろう」
ヘファイスティオンがイズヴァルトを睨んだ。いくら怪力無双の女豪傑だからといって、体重を聞くのは失礼すぎる。
「クリスタ殿の気持ちを、もうちょっと察したまえよ……」
「いや、むしろクリスタどのは体重をよく教えるお人でござるよ。100を超えているのにそれほどと見えぬのは、骨と筋肉がしっかりとついているからでござる。むしろ重さは、武人として誇るべきものでござるよ」
目を驚かせているパスカルをちらと見て、ヘファイスティオンはため息をついた。戦士ならば仕方があるまい。そう言い聞かせてイズヴァルトに訊いた。
「ところで……エレクトラ殿はこのところどうかね?」
「拙者はここのところ戦場続きで、会っておらぬでござるよ」
大御所が右の眉をあげる。それから、目を細めて司祭騎士団長をじっと見た。
「あんな美人をほうっておくとは……40を超えたニンゲンの女は、とても美味しいと存じておらぬようだな?」
「いや。教主どのに頼まれたのでござる。信者の奥方とヘラどのをかまってちゃんして欲しい、と。ゆえ、引き離されているようなものでござる」
「そうか。戦争が終わったらでよいのだが、会う機会を設けていただけないか?」
ヘファイスティオンの鼻息は荒かった。エレクトラとの逢瀬を楽しみたいようだ。このご隠居の厄介な色欲を、焚き付けてしまったようだ。近頃のエレクトラについて根掘り葉掘り聞き出してきた。もっと適当なことを答えればよかったと、イズヴァルトは後悔した。
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その密談から4日経った。イズヴァルト達は島のあちこちにある基地をさっと襲ってさっと逃げる、嫌がらせのような襲撃を続けていたが、カジミェシュとクリスタが襲ってくる事はまったく無かった。
こういう事で役に立ちそうなヘラは、一度も出撃しなかった。『治療中』ということで、隠し砦で静養を続けていたからだ。彼女は『侍医』となったユミールと仲良くなった。
暇を持て余して中庭で遊ぶようになった。待機中の兵士らが囲む中で、ユミールともども裸になり、腰をかがめてにらみ合う。
2人の間にパスカルが立った。勝負の審判としてである。これから始めるのはシマーヅで盛んな『おすもう』だ。何一つ身につけていない状態で、がっつりと組み合い、相手を投げ飛ばすか膝を土につけるかすれば勝ちである。
「よーし。2人とも。準備はいいか?」
パスカルの呼びかけにヘラとユミールがうなずいた。観客たちは彼女らのお尻に目を注いでいる。特に、くっきりと見える尻穴だ。どちらも子犬のそれみたく可愛らしかった。
2人同時に前かがみになり、地面に拳を添える。割れ目の奥ものぞいた。ユミールはまだつるんとしており、ヘラは子供のくせに使い込まれていた。この勝負を見ている観客のうち何本か、この奥のやらわかな穴にこすられたことがあった。
「はっけよい!」
パスカルの威勢よい声とともに2人は飛びあがった。身体の大きさはヘラのほうがだいぶ上だが、力はユミールのほうが上だった。足腰もユミールに軍配があがった。ヘラはまだ、一度も勝ったことが無かった。
組ついての押し合い、引き合いが続く。武者としての才よりも魔道士としての才があるヘラは、それほどの体力を持ち合わせていなかった。段々と押し込まれていった。
「く、くるしい」
弱音を吐いてしまった。ユミールがニヤッと笑う。このままでも今回も負けてしまう。実は今、本日5本目の勝負だ。これまで1度も勝ったことが無かった。
でもせめて、一度だけでも勝ってみたい。ヘラは4度の敗北のさなかに思いついた奇策を思いついた。押し込んで倒そうとするユミールの腰に回していた右手で、彼女の尻穴をさぐった。
必死に抗いながら、柔らかいものばかりの中で、その窄まりを探し出した。思い切り中指を挿れる。ユミールがかけてくる力が一瞬、ゆるやかになった。いける、と思って踏ん張り始めた直後にだ。
「あまいずらっ!」
ヘラは思い切り足払いをかけられてひっくり返された。地面の上に突っ伏すと、ユミールにのしかかられた。菊門を責めて脱力させようと目論んだが、あてがはずれてしまった。
「ユミールの勝ち!」
「くっそう……」
ヘラが悔しそうに言った。しかしけつあなに指をいれるのは、『おすもう』では禁じ手とされていた。その場合は勝者による罰をうけるはめになるという掟があった。
「おらが勝ったずら。で、おまえはずるっこをしたから罰をうけるずら」
「ぐぬぬ……」
「さあ、黙ってそのまま腰をあげろ。そうしねえと屁をかけるずら」
ヘラは素直に従った。おならをかけられるのは勘弁だ。彼女はユミールを背中に乗せたまま、自分の尻を持ち上げた。
「やってやったんだから、さっさとしちゃいなよ?」
「さあ、おしおきの時間ずら!」
ユミールは左手の人差し指と中指を、治ったばかりのヘラの尻穴にねじこんだ。窄まりはぐにゅりとうごめいて、小さな指を深々と飲み込んだ。
「ふーっ♥」
ヘラは少しばかり尻を震わせてしまった。快感が襲ったからだ。治療のとき、肛門の奥に軟膏を塗るのを体験してから彼女のアヌスは快感に目覚めてしまった。
「はうーっ♥」
「ほらほら、おまえのけつあな、物欲しそうに締め付けてきているずらよ?」
「うううう♥ ほしい♥ ほしい♥」
「あはは! じゃあお言葉に甘えてそうするずら。けつあなのいじりかたをよーく学ぶといいずら!」
肛門に入った指がせわしなく動き始める。くちゅくちゅと音を立てていじられた。ヘラは茶色い便液をこぼしながら覚えたばかりの快感に心を支配されてしまった。
ぐちゅぐちゅぐちゅ。ぐちゅぐちゅぐちゅ。小さな指が尻穴をかき乱す。その悦楽は子宮側にも伝わりはじめ、形が崩れた緋裂から愛液がつつ、とたれ始めた。
「おふーっ♥ ほおぉー♥ あひいいぃー♥」
観客らは、やられまくっているヘラを見て勃起してしまった。彼女を抱いた者は、彼女の子供膣と少々におうが愛らしい身体と肌を思い出し、今すぐ抱きたいと言い始めていた。
「おおう♥ も、もっとぉー♥」
「すっかりアホづらになっておるずらな? お前、ちょっとへたれすぎずら。おらだったらここまでアヘ顔にはならねえずらよ?」
指の動きにあわせて尻をくねらせ、「んほっ♥ んほっ♥」と悶えるヘラに容赦ない懲罰を続行する。が、ヘラが快感のあまりにじょぼぼぼ、と失禁したところで手の動きを止めた。ヘラの痴態から目をそらしていたパスカルに呼びかけた。
「……かーちゃんからずら」
「なに?」
「今すぐイズヴァルトさんたちを呼び戻すずら。話がしたい。伝令を送ってほしいずら!」
できるだけ早く、とユミールは急かす。さて、彼女がここまで急かしたのは、いかなる話をクボーニコフ側につく母から聞かされたのか?
その続きについてはまた、次回にて。