※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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『幕間』のお話です。


幕間②:イナンナの孫娘

アプロディータはイズヴァルトとろくに話もせずにスオニアを出た。

 

 祖母のイナンナから出会ったら是非とも力を尽くしてやって欲しいズラ、と頼まれたが、できなかった。理由はいろいろとある。

 

 まずはキッカワンテス家だ。

 

 一家に立ち込める、なんだか淀んでいる空気と、何かとサマリーノとの気が合わない。

 

 スオニアという国もかびくさい因習が多くて閉鎖的だ。旅人には優しいが住むとなるといろいろと面倒そうなところがあった。

 

 それから……イズヴァルトが連れて来ているヘラという娘だ。

 

 愛らしい身体から、なんだかくっせえにおいがぷんぷんしておる。血なまぐさいにおいズラァー。

 

 旧知のオクタヴィアがいたので尋ねた。エルフにとっては敵である、ゴール族の娘だ。

 

(だからあんな、脂ぎったおっさんの足裏と不摂生しているねーちゃんのメンスのにおいが混じったような、くっせえにおいを放っていたズラァ―か。)

 

 エルフは鼻がいい。いや、精霊人は皆そうである。犬と同等までもいかないが、かなり優れている。それから野生の勘というものも持ち合わせている。

 

 彼女がそれを一番発揮させるのは、人の生き死に、つまりは寿命についてだ。彼女は一目見ただけでキャルベロナがもう長くはない、とわかってしまった。口うるさく罵って来るサマリーノも、母親ぐらいの歳で死ぬだろう。そんなことをサマリーノ自身に告げて増々怒らせた。

 

 そして、ゴール族の少女のヘラにも、その『魔眼』が光ってしまった。彼女自身にではない。腹の子にだ。

 

(ありゃあ……生まれてすぐに死んじまうズラァーな。)

 

 診察しなくてもわかった。よくない化粧品を日常的に使ったり、毒を盛られた妊婦と同じだ。貴族や大富豪の妻や妾、つまりはライバルが大勢いるところでよく見かけるものだった。

 

 触手姫でもどうにもならないぐらいに進行していそうだ。今更治療を施しても手遅れだろう。だから黙ることにした。しかし口が軽い自分なら、ついつい言ってしまうだろうから去るべきだ、と判断した。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 出発の前の晩である。アプロディータがあてがわれた部屋にオクタヴィアが入って来た。アプロディータは煎じた薬草を混ぜ合わせ、すりつぶしていた。

 

「お邪魔するずら。領主さま用の薬の調合をしておるずらか?」

「うん。ここ1カ月持つ分を作ってたところズラァーよ。保たせるものなら作れる」

 

 薬の材料はスオニア国内で採れた。あと、屋敷の薬師に渡す為のレシピも一緒に書いていた。

 

「アプロディータちゃん。本当にもうスオニアを出て行ってしまうずらか?」

 

 久しぶりに会えたのに。オクタヴィアとアプロディータは旧知の仲だった。何せイナンナの孫娘である。かつてアプロディータはツックイーのエルフの村で暮らしていたのだ。

 

「もうここでわたしがやれることはねえズラァーよ」

「どうせならヘラちゃんの出産を助けてもらいたかったんだが、だめずらか?」

「そんぐれーはオクタヴィアさんもできるはずズラァーよ」

 

 オクタヴィアはため息をついた。助けてほしいっていうのはそういう事ではない。

 

「赤ん坊は無事に生まれるずらか? どうも、くせえにおいがぷんぷんしておるずら。ありゃ、どっかで悪いもんをもらっちまった気配があるずらな」

 

 なんとなく気づいていたようだ。

 

「どこで思ったズラァーか?」

「ヘラちゃんのおまんこをなめて気づいたずら。ここ最近だけど、ゴブリンの衆が使う薬のにおいがかすかにしたずらよ。エルフでも相当鼻が利く奴じゃねえとわかんねえ、かすかなにおいだったずらな」

 

 まあつまりは『盛られた』ってことみたいだ。ムーツのゴブリンの衆の毒だろう。解毒の方法はあるか、とアプロディータに尋ねた。

 

「たぶん、もうだめズラァー。たぶんその毒、赤ん坊が育つに応じて毒素が増す類のもんズラァーよ」

「……やっぱりか」

「死産か奇形児にさせる薬ズラァー。ああいうひねくれた毒薬なんぞ、わたしのばーちゃんから作り方を教えてもらった口だろ?」

 

 オクタヴィアは否定しなかった。ただ、それを用いて戦った事は無かった。人を殺す時は戦場かセックスの最中でだ。古代ムサシノ帝国時代、愛玩用の『メスガキ褐色エルフ』としてちやほやされていた頃、相手の男を腹上死させたことは何度もあったが、毒で殺すような真似はしなかった。

 

「どうにも……なんねえずらか……?」

 

 オクタヴィアの目に涙がこぼれ出た。エルフにとって敵であるゴール族の娘でイズヴァルトをさらったパラッツォ教の関係者であっても、彼女はヘラに情が移ってしまっていたのだ。

 

「あの嬢、赤ん坊がほしいほしい、会えるのはまだかなー、って待ち望んでいるずらよ?」

「オクタヴィアさんは情が深いズラァーな。でも、ゴール族だぞあいつは?」

「それでもずら。生まれて来る赤ん坊に罪はねえし」

「どうにもならねえズラァーよ。オクタヴィアさんはそん時が来たら、あの娘を抱きしめてやりゃええズラァー。そんぐらいしかできねえよ」

 

 オクタヴィアは押し黙ってしまった。このことは内密にな。アプロディータはそう言ってすりこ木を回す。

 

(助からねえもんはどうしようもねえズラァーよ。)

 

 助けられなかった。だから葬式をあげるんだろうよ、とアプロディータはつぶやいた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 アカマガ=ナガトラルタルの港から南西のアマミクロネシア諸島をくぐり、マリーヤの東にあるレキオスティア諸島に入った。カントニア海域の玄関口ともいえるそこが、アプロディータの目的地だった。

 

 暖流の影響かレキオスティアは亜熱帯で年中暖かい。10月という頃はカントニアでは秋に差し掛かる頃だが、この諸島はまだ常夏の気配があった。日差しが強いのだ。

 

 アプロディータは桟橋に降り立つ。麦わら帽とサンダル、赤い腰巻きといった装いだ。身に着けているのはそれだけである。白いお腹と背中どころか、申し訳程度にちょっとだけ膨らんだ乳房は丸見えだった。

 

 乳房丸出しの格好は、レキオスティアで恥ずかしいことされていない。桟橋を出て港町に入れば、彼女と同じような格好をした女がそこかしこにいた。男達もサンダルに腰布一枚だ。男女とも腕輪や首飾りをつけていた。子供達に至っては、腕輪と足首の飾り以外は素っ裸、というのばかりだった。

 

 とにかくこの時期のこの島は暑いのだ。蒸し暑い。湿度があるからだ。だから女も恥ずかしがりもせずに乳房を見せる。しかしエルフの倫理観にはそもそも、乳丸出しがはしたないこととされてはいない。

 

 その港、東の玄関口であるコジャの港町で、離島となるケラマッカ島に向かう船を待つこととなった。この港町でおおよそ2泊だ。その島にある薬草園が目的地だった。レキオスティアは珍しい草花が生え、薬草もよく育つ。製薬が国の主要な産業の1つとなっていた。

 

 アプロディータは1人の男を連れていた。アカマガ=ナガトラルタルから出航した船で働いていた、この島出身の船員だ。太っちょで屈強そうな浅黒い肌のレキオスティア人だ。もともとは漁師だった。

 

「コジャで2泊もするのか?」

「ほうズラァーよ。ケラマッカ島行きの船は、なかなかにこねえからな」

「……1カ月でもいいぜ、俺は?」

 

 船員はアプロディータを抱き寄せて乳房を揉んだ。人通りがある道のど真ん中でだ。アプロディータは気持ちよくなって為すがままにさせた。柔らかい皮膚と肉の感触で、男の掌は喜んでいた。勃起していた。

 

 船旅の間、彼女はいろんな男と寝た。その中で、彼が一番相性が良かったからしばらくの間の恋人にした。短いが太くて硬いちんぽと、へばらないすけべさがあった。それとこの男が、彼女の様な風貌の娘が大の好みだということでだ。

 

 今日から泊る宿の部屋は、半分が一段高くなった板敷きになっていた。そこに座ったりわらを編んで作ったマットを敷いて寝るのだ。

 

 部屋に入った途端、アプロディータの連れの男は扉を閉め、板床に彼女を押し倒し、乳首をこねながら唇をむさぼった。柔らかく爽やかな味を楽しみつつ、腰布の中に手を入れた。彼女の陰裂はたっぷりと蜜がかかっていた。

 

「船での続きがしたかったのか?」

「ほうズラァーよ……」

 

 男は陰茎を硬くさせた。指でまさぐり続ける。生温かくぬるぬるとしたものが指に絡む。まだ真昼間だ。部屋は通りに面しており、窓は締まっていなかった。そんなことはおかまいなしに肉欲を満たしたい。レキオスティア人はエルフ並みに解放的なのだ。

 

 とはいえ、こういう行いを窓を開けっぱなしでやると、のぞきも出て来る。暇な野次馬達が集まって来た。男も女も。子供もいた。

 

「エルフの女の子よ。真っ白でかわいいね」

「でもおっさんか。エルフは手ごわいぜ。へばんなよー!」

 

 覗き人達に目を向け、男はにんまりと笑った。

 

「みんなが見てるんで、このまま始めるぞ?」

 

 アプロディータが嬉しそうに笑った。相手の男は自分と彼女の腰布をめくりあげ、脚を開かせた。男の勃起は10センチほどの長さだが、太さは充分だった。赤ん坊の腕ぐらいに太かった。

 

 湿っぽい肉溝に亀頭をあて、その中に沈み込ませる。エルフの少女が喘いだ。かれはこの2カ月近くの船旅で、アプロディータを何度も果てさせた。エルフの娘は体力はあるが、イクまでは案外ちょろいのだ。

 

 見物人たちがはやしたてる中、男はアプロディータの中芯を何度も行き来した。手で彼女の乳房の突起をいじくり、激しく動く。男から漂い始めた汗臭い雄のにおいのせいで、彼女はくらくらとなった。

 

「うあああ……すごくいいズラァー……」

 

 思考を邪魔して来るにおい。そのせいか性器の感度が増してしまう。質量と嗅覚で自分を染め上げて来る男にのしかかられた。彼女は股間を持ち上げ、うめきながらピストンを繰り出す相手のペニスに狂わされた。

 

「あうう。あううう……」

 

 押しつぶされる。たまらない。湿った中の肉はもっと濡れ、相手のペニスの動きを滑らかにさせた。動きがリズミカルで早くなった。

 

 男の腰が跳ね、アプロディータの股を激しくえぐった。奥までくる力強い振動を何度も受け、彼女は果てた。それから男も亜人の少女の中にぶちまけた。それから4度も中で放つまでつながったままだった。

 

 激しい交合の後は水浴びをし、宿の食堂で香草が効いた飯を喰らった後、夜更けまで一緒に汗だくになった。部屋はすっかり男の汗と精液のにおいが立ち込めて、欲情に駆られた彼女は相手が眠りにつくまで、ペニスにしがみつづけた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 コジャの港からケラマッカまでは6時間弱といったところだ。朝早くの出航してから昼過ぎに島の港に到着した。

 

 そこからは徒歩だ、坂道をのぼるが大した距離ではなかった。港から20分で行ける。アプロディータにさんざん搾り取られたペニスがじんじんと疼いているのを感じながら、男は前を歩く少女に呼びかけた。

 

「で、アプロディータ。その薬草園は誰のもんなんだ?」

 

 それをまだ聞いていなかった。これまで、アプロディータのことで聞いたのは、まんこの中のどの部分が一番感じやすいのかとか、下の話ばかりだった。

 

「わたしのばーちゃんのズラァーよ」

「ばあさんの薬草園か。確か医者だったよな。ツックイーにもあるんだろう?」

「ほうズラァーよ」

 

 薬草園にたどり着いた。男の目から見れば意外と大きく立派な家屋が建てられていた。鉛瓦がふいたそれは、ちょっとした金持ちの別荘みたいだ。

 

「あれがおうちズラァー」

「……網元の家よりでかいな」

 

 そして敷地もなかなかだった。丘1つがまるごと薬草園だ。そこではアプロディータよりだいぶ年上と見えるエルフの男達が3人、妻らしいニンゲンの女や子供達と共に、草花の世話をしていた。

 

 アプロディータが呼びかけると彼等は近づいて来た。どの男もアプロディータにどことなく似ていた。

 

「兄たちか?」

「違うズラァー。あいつらはわたしの息子たちズラァーよ」

「……息子?」

 

 そうですよ。一番年上という男が答えた。3人ともアプロディータが100年以上前に産んだ息子たちだ。サガミニアのニンゲンの男との間の子供だという。彼等はこの島にある、アプロディータの祖母の薬草園で暮らしていた。

 

「……お前、エルフとしてはまだガキの年頃だろ?」

「失敬な。これでも1400年は生きているズラァーよ」

 

 ニンゲンで言えば、ヘラの年頃同じぐらいだ。しかし子供を産む準備は1000歳あたりで出来ていたという。

 

「確かにがきんちょの年頃にはあたるが、こんぐらいの歳に子供がいるってのもよくある話ズラァー」

「そうなのか。すげえな」

「わたしはしばらく、この薬草園で暮らすけど、おまんが行きたければツックイーの里に連れて行ってやるズラァーよ」

 

 そこにはアプロディータよりも幼い、エルフの娘達がたくさんいる。男は舌なめずりした。亜人でも童女を好きなだけ貪れるなら是非とも行きたい。よろしくない笑みを浮かべる男を見て、アプロディータの息子たちがこんな奴を置くのか、と嫌がった。

 

「ちゃんと仕事もさせるズラァーよ。このおっちゃんは力持ちだから野良仕事は得意なはずズラァー」

「ただ飯とただまんこにありつこうなんて考えちゃいねえよ。しばらくは畑いじりをして暮らしてえのさ。船の上での暮らしが嫌になったんでな」

 

 そう言って彼はアプロディータの尻を触って掴んだ。柔らかくて張りのいい子供尻である。彼女の息子達は品のよろしくない新入りを受け入れ辛かった。

 

「ところで、ひいばあちゃんは来てるか?」

「母屋にいますよ。10日前から薬の調合を続けてます」

「わかった。ちょっくら挨拶してくるズラァー」

 

 アプロディータは男を伴って家屋の中に入った。イナンナは調剤室にいて調合した薬の瓶詰をしている最中だった。アプロディータが呼びかけると面をあげた。男はその面に驚いてしまった。アプロディータも美しいが、このイナンナというエルフはもっと美しかったのだ。この世の者とは思えなかった。

 

「おお、久しぶりズラな。20年ぶりか?」

「15年ズラァーよ」

「その人は、おまんの新しい恋人ズラか?」

 

 アプロディータはうなずいた。20年ぐらいこの薬草園で住みこむことにしたと告げた。

 

「旅暮らしが好きなのに、珍しいズラな? スオニアはどうだった・」

「……ありゃあ駄目ズラァーな」

 

 何もかもがおしまいに近づきつつあるようだ。すっとんきょうな言い方だが、イナンナは納得していた。

 

「あっちにはまったく引き継がれていないっての、わかっちまったズラか?」

「まあな。セシリアってのが持って行っちまったみたいズラァー。で、ばあちゃんが目にかけてるイズヴァルトって小僧に、受け継がれたってわけズラァーよ」

 

 ばあちゃんの血は。アプロディータが言うのを男は確かに耳にした。イナンナは何も言わず微笑む。孫娘は続けて言った。

 

「あの家、今の大公さんで真っ当なのはおしめえズラァーよ。サマリーノってやつは残りかすみてえなヤツだったズラァーよ。ありゃ期待できねえ」

「まあ、イズヴァルトさんが継いでくれるから、それでええズラよ」

「つれえな。枝の1本が折れかけているのを見るのは」

 

 だからしばらくここにいるつもりだ、とアプロディータは言った。男の身体にしがみついた。

 

 彼女の身体の中に変化が起きていた。島に来てから排卵が起こっていた。この娘の子宮は、朽ち始めている一家を見て、生殖欲が燃えあがってしまっていたのだ。その変化を感じていたイナンナが、孫娘のお腹をじっと見た。

 

「レキオスティアには、どんぐらい?」

「20年はいるかもしれねズラァー」

「そっか。オラは来年の春までここにいる。そしたらツックイーに戻るズラ。そん時は一緒に行くか?」

「……そうする。けど」

 

 アプロディータは男の身体に抱き着き、さりげなく股間を触った。相手は彼女のにおいと柔らかさにやられて、今すぐにでも屹立しているものでえぐりたかった。

 

 アプロディータは子供を産みたかった。この男がその望みをかなえてくれた。子宮に残っていた精液が1年後に4人目の息子を授けてくれたのだ。それからこの薬草園で暮らし、2年後にはもう1人を産んだ。エルフとしては珍しかった。

 

 だが、このエルフの少女に2人の子を授けたところで、この男は力尽きた。この日から3年後の薬草園の裏手に、彼の墓が立った。

 

 この娘はその後世界に起こった動乱に巻き込まれることなく、およそ30年近くをこの島で過ごした。

 

 そして彼女の祖母は、もう1人の子孫のためにその身を殉じることとなった。




『聖王編』はここで中断。
次は『カツランダルク戦記』の第四章に入ります。マイヤを主軸にしたストーリーとなります。
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