聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
ジグ=ウォンは、マイヤを閉じ込めた小屋を出た。パラッツォ教徒の街だったそこは柵と空堀で囲われ、東の丘に街をうかがうように建てられた公会堂を補強して砦代わりにしている。土地の返還を求めるホーデンエーネンの使者との会談がよくあった。
ジグが向かったのは砦ではなく、街の西側にある桟橋に泊まる軍船。そこがここに来てからの彼の住まいだった。かれこれ2ヶ月近くになる。
船に戻るとクボーニコフ流のドレスを着た3人の女が出迎えてくれた。ドレスは首まで覆う詰め襟型である。肩の留め具が外れそうなぐらいに乳房が大きく、むっちりとした腰だ。彼女たちから強い精液のにおいが漂っていた。
この女たちはマイヤとタルッホの拉致に手を貸したサキュバス達であった。無断密航者、と言われる類の連中である。クボーニコフの海賊相手に精液摂取の日々を送っていたところを、ジグによってスカウトされた。彼女たちを含むおおよそ8人の淫魔が手を貸した。
「ご苦労。南軍本隊より連絡は来ておらぬか?」
「まだです」
「しかし、クボーニコフ本国より命令がございました」
マイヤ=カツランダルクを捕まえたのなら王宮へ寄越せ。国王の命だった。理由はわかっていた。後宮で飼うつもりだ。クボーニコフの王は代々好色で、巨乳の女を特に好んでいた。目の前の3人も国王の手がついたことがあった。
「いかがいたします?」
「提督のお伺いを立てることにしよう。そのための軍船が必要じゃからな」
とは答えたがそんなつもりはまったく無い。ここの兵士たちに散々楽しませるつもりだが、その後は殺して海に沈めるつもりだった。
「今日、捕虜はこの船に移そう。あの小屋に置いたままでは逃げられるかもしれん」
船の上なら逃げられないだろう。それから1週間、マイヤはクボーニコフの海兵らに朝も晩も関係なくなぶられ、擦り切れてしまった。
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アヅチハーゲンの北町でこんな噂が流れている。パラッツォ教徒の街を占拠したクボーニコフ軍の海兵どもが、最近入ってきた変な娼婦に夢中らしい。
どこが変なのかといえば、子供みたいな顔立ちなのにおっぱいがばかでっかい若い女、というところではなく、まんまるいおケツから捻るのを見ると、きんたまがうずうずしてしまいちんぽをこすりつけたくなるそうだ。
「両腕両脚がどうも生えていないらしいっすね……んおんっ!」
サキュバスのハーマイオニーは、ブライアン=スエッツァーとヤギウセッシウサイの前で、ことさら大きな咳払いをした。気管支から肺から、汚れきっているように思える嫌な咳払いだ。
「んおっ! おおおんっ!」
目を見張るような美女が、町中でえげつない咳払いを、である。フードを目深にかぶった身長2メートル程のオークがぶひいい、と鳴いた。心配してである。
「ハーマイオニー……魔族は癌にならぬが、タバコはもうちょっと自重したほうが良いが?」
「口さびしいんすよ。ほんとならちんぽを24時間咥え続けたいんすけど、そうもいかないっすからね」
「なんならオイラのでも咥えとく?」
ブライアンがベルトに指をかけながらささやくと、ヤギウセッシウサイは彼の頭を小突いた。冗談を言っている場合ではない。
「髪の色は、瞳の色は。どんな肌の色で子供みたいな顔立ちはどんなものかも聞き出さないとな」
「あっちに潜入したヴァネロペさんが帰って来次第っすかね?」
「いや、もう戻ってきた……」
顔立ちは整っているのだが、どうにも地味な印象が拭えない上級淫魔のヴァネロペは、あろうことか悪目立ちする格好をしていた。
寒いのに素足にサンダルで白い太ももまで丸出し。腰は月経帯みたいに面積の小さい、白いパンツである。後ろはふんどしみたく尻が丸見え。それから胸は乳当てではなく、黒い布を巻いただけだ。
「おいおい、その格好で潜入したのかよ?」
「……ごにょ」
「あっちは裾からちんこを出してるオーガ族ばかりで目立っちゃいないはず……とおっしゃってるっすけど、ヴァネロペ先輩は激エロだから、黙ってても目立っちゃいますぜ?」
「……フン (そりゃそうだ、と胸を張るヴァネロペ。)」」
そんなわきゃないだろうとブライアンは突っ込みたかった。ヴァネロペは確かに上級淫魔だが、実に地味だ。肌と内性器は確かに精液をかけまくりたくなる絶品だが、みてくれは田舎っぽい小娘である。
「さて、彼女の居場所はどこになるだろうか?」
「……ごにょ」
この1週間、ずーっと船の上だ。クボーニコフ海軍の軍船。寒い風が吹く甲板の上に寝台を置き、そこに寝かされているそうだ。
そこで凌辱と言うか輪姦というか、そうした行為を繰り返している。完全に慰安婦だ。話を聞くと連れてこられた当初は身体の至る所を痛めつけられていたが、今は傷も癒えて肌艶が良いらしい。きわめて精液くさくなっているが。
「身体を清める時はぬるい湯をぶっかけられるだけなのか。ひどい扱いだ。すぐに助けるべきだがどういたそう?」
ヤギウセッシウサイがハーマイオニーとブライアンに呼びかけると、一気に船に乗り込んじゃえとブライアンは言った。
「師匠、とっとと助けちゃおうよ。マイヤねえちゃんをクボーニコフの連中のいい様にしていられない。善は急げさ!」
「わかっている。しかしブライアン。オーガの戦士と真剣に事を構えるな。膂力が違いすぎるからな」
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甲板の上に敷かれたマットの上で、マイヤは2本のちんぽを上の口と下の口でもごもごとさせていた。その最中だった。突如として二刀流の剣士が2人現れ、海兵達を蹴散らしながら彼女をさらった。そして『飛ん』だ。
景色が目まぐるしく切り替わり続け、何が起きているのかよくわからない、という気分になって眠りについてしまってから見たのは、頂上から中腹を数々の建物で埋め尽くした、とても大きな山だった。
「あれがコンゴウアミダラデンだよ、マイヤねえちゃん」
どこかで見たことがある顔の青年に呼びかけられるが、それが誰かわからない。
(どうして私の名前を? この人は誰だろう?)
名前を聞こうとした。けれども助けられたという安心感のせいか、あるいは自分を抱きあげる大男の、やさしいと感じるにおいのせいで彼女は再び目をつぶった。いろんなことが有りすぎて、ものを考えられなくなっていたのもあったからだ。
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ホーデンエーネン王国暦357年11月はじめ。国王を含めたその日の朝議で、突如姿を消したマイヤ=カツランダルクとその側近、タルッホ=ユッキカルの『捜索』が打ち切られた。
理由はある筋から、こういう情報が届いたからだ。
「マイヤ=カツランダルクと側近のタルッホは、エチウのパラッツォ教団に亡命した。これにはクボーニコフが関わっており、その資金や人員をすべて援助したそうだ」
戦争をしていたはずのエチウとクボーニコフが、どうしてそうなったのか。理由は膠着状態にあったからだ。
王国暦357年9月の段階で、クボーニコフはナオエニア諸島やエチゴニア島の一部を占拠し、ノトゼタシア島に前線基地を築いていたが、ナンブロシアから作戦の一時中止を求められた。かの公国のライバルたる南のクノーへ公国が圧力をかけてきたからだ。
クノーへ公国は最近勢いが強くなっている。特に、昔から大陸で1、2を争う強さの武装オーガ軍団を擁し、なおかつナンブロシア領内にいるゴブリンの部族等とも関係が良好だ。敵としてはかなり厄介なのだ。
ナンブロシアは対クノーへに、資材や戦力を向けなければならなくなった。よってクボーニコフへの援助が難しくなった。そういうわけでエチウとの休戦交渉が行われた、というわけである。
この情報はよりにもよって、信頼できるイーガの外交官から届いた。クボーニコフとの交渉ごとを受けている人物だという。彼の知り合いの、クボーニコフの魔道士がもたらしたそうだ。
この件であるがイーガ王国は正式に認めていない。実際のところはエチウに逃げたという情報が本当なのか、わからないからだ。イーガ国はエチウにも外交官やスパイを置いている。彼女がいれば会えるはずだ。
「真偽不明なところはございますが、ヨーシデン公ことマイヤ=カツランダルク様は、パラッツォ教団に帰依したのだと思われます」
国王の前で話すのは、ナントブルグのマハラ教の神官だ。66の老人だが太っていて脂ぎっている。いまだに神殿の若い見習い巫女に、毎日性処理をさせていることで知られている。
「マハラ教としてはこの行為は、決して許せるものではございません。見せしめにマイヤ様の財産の没収やご家族の入牢などを国王陛下に求めたい」
セインはこの老人の、てっかりと光る分厚い唇を見て思った。口も脂肉くさいだろうな。この老人は神職としての徳や業績よりも、女を抱いて孕ませた回数のほうが有名だった。手を付けた巫女や口説いた信徒の女をあわせて、80名近くが彼の子を産んだそうである。
「いかが、なされますか?」
内務大臣に問われたセインは、「理由は調査中であり、罪状については今のところ不問に付す」ということにした。マイヤとタルッホはエチウにわたった。そう認める。よって捜索は終わり。あとはパラッツォ教に問い合わせるだけだ。
「で、いいよな、大神官?」
「それでは納得がいきませぬ。ヨーシデン公様はパラッツォ教に利する行為に出たのですよ?」
「利するってどういう意味だおい? マイヤとタルッホが国の機密をべらべらとしゃべるとか、そういうのを言っているのか?」
「マイヤ様はホーデンエーネン王国民の精神的支柱です。あのかたが亡命されたということは……」
大神官はきわめて大雑把なカリスマ論を語って、セインを辟易させた。いや、この程度なら大したことないなと思わせた。
「大神官。おめえの話はくだらん。もういい。下がってろ」
但し、この件の『マイア=テクニカ』絡みでは真っ当な調査をしやがれ。そう思いながら内務大臣に目配せする。彼らも国王の意向はわかっていたから、そのあたりの洗い出しのみだけするつもりだ。
「というわけでエウレカ=リットフェンテルトのやつを、あとで王宮に呼び寄せてくれ。マイヤの近臣のオットー=オーズローと部下らもな。あらためて秘密の亡命があったかを知りたい」
オットーはマイヤの書物や身のまわりのものを提出するほど協力的だったが、まだイーガとの『秘密文書』は提出していなかった。いや、そんなものがまず無いので提出できないだけだったが。
エウレカは知らず、存ぜずの一点張りだった。そもそも亡命の話なんて寝耳に水みたいな話だったし、同僚で親友のタルッホの心変わりが信じられない。かなり困惑しているという。
「エウレカ=リットフェンテルト殿でございますが、オルガスムナに引きこもったままでございますが」
「構うこと無いから連れてこいよ。話は明日や明後日でもかまわしねえからさ」
果たして国王の使者と騎士の一団が、オルガスムナ領へ向かった。エウレカをナントブルグに連れ出す為にである。