聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
詩織は正尭にとって大切な人だった。母親は違うけれど、姉そのものだった。
仕事や幸せになろうとする恋愛にかまけて長兄に自分を預けた母親や、親代わりだったが病がちでなかなか面倒をみてくれなかった叔父と叔母よりも愛着を持っていた。ことあるごとに喧嘩をする異父妹の深雪よりもだ。
「ましゃたかくぅん。しょりぃとあそぼ!」
舌っ足らずで不明瞭な言葉遣いは、今も鮮明に覚えている。いつもスカートをめくってパンツの布越しに股をこすったり、時には手を入れて変な音を立てて喘ぐ姿を見てしまった。居間でもあけっぴろげにするものだから、周囲を困らせてもいた。
まだ幼い正尭の眼の前でも、彼女は自慰を止められなかった。気持ちよさそうなのは子供の目でも理解できたが、なんだかよくないことだと思い、それをおっぱじめた時にたしなめてみた。
「ねえねえ」
「うふっ。ひゃあんっ……」
「しおりねえちゃん。どうしていじいじを止められないの? ぼくのおかあさんにしかられたよね? おばさんにも」
「きもちいいんだもん。しょりぃ、いじいじすりゅの、だいしゅき……」
この悪癖はどうも、止めることができないらしい。そう理解した正尭は受け入れる事にした。むしろ、天真爛漫な従姉が本能のおもむくままに股をいじるのを見ると、なんだか可愛く思えるようになった。叔母や家政婦さんと正尭の母は、たいへん困っていたが。
その詩織は当然、近所からは『馬鹿の子』と言われていた。でも料理はできたし家事全般もきっちりこなせた。幼い正尭は彼女が焼いてくれたホットケーキに舌鼓みを打ったりもした。自慰癖と不明瞭な言葉遣いが無ければ普通の子にだって見える。
それだけじゃない。彼女は才色兼備でもあった。首をつって死んだ慎次おじさんと飛行機事故で亡くなったお母さんから受け継いだ美貌があった。正尭は詩織以上の美少女を、少なくともこれまで一度も見つけたことが無かった。
従姉は発育も良かった。9歳の頃から胸が膨らみはじめ、12歳の頃には胸と尻にたっぷりと肉をつけていた。それでいて腰回りがひきしまっていた。
生理が来るのも早かった。ある時詩織は、「せーりでぽんぽんいたい」と言ってお腹を抑えながら正尭に言った。自分が5歳ぐらい、詩織が14歳頃だったと記憶している。
「せーきょーいくのおべんきょう、しゅりゅ?」
よくはわからないがトイレについていった。彼女はパンツを脱いで便器に片足をかけると、幼い正尭の眼の前に割れ目を広げてみせた。
「うわっ!」
血がついた女陰。かすかに金物臭く、生臭い。『生まれて』初めて見る女の子の大事なところだ。びらびらが重なるそれは形が複雑で生々しかったけれど、何故か気持ち悪いと思えなかった。
「こわくないよー。しおりのここ、あかちゃんがはいるようにそだっているんだって。だから血がでりゅんだよ」
そう言って詩織は女陰の真ん中に伸びていたひもをつまみ、ぬめったタンポンを引き抜いてみせた。トイレットペーパーに丸め、トイレの棚から新しいタンポンを挿れ、詰めるところを実演した。
「しおりおねえちゃん、いつものようにうめかないの?」
「うーん。こりぇをいれりゅときは、じぇんじぇんきもちよくないかりゃね」
命の神秘の奥底にあることは、エッチな気持ちにはならないらしい。そういうことなんだな、と正尭は考えた。事実、彼は詩織のヴァギナを見ても変な気持ちにならなかった。むしろかえって神々しく、なんだか手をあわせて唱えたくなった。
でもこれは、何度も見せるのはよろしくなかった。正尭はその後、3回も詩織の実演を見物した。その最後のところで母の昴が目撃した。詩織はうなだれながら、1時間以上も説教を受けた。あの怒鳴り声と詩織の表情は今も覚えている。
発育以外もだ。学校の勉強だって、飛び級ができそうなぐらいにやれたそうだ。学校の、というよりは問題集を解いたり、叔父の書架にある本を読みこなしたりしていた。小学生や中学生じゃわからないレベルのものをだ。正尭は従姉に、大学に行かないのかと尋ねた。
「どぇもねぇ。しょりぃ、こころがばかだかりゃふちゅうのがっこうにいけないの」
理由はそれしか教えてくれなかった。大学助教授だった父親と、日本で一番頭が良い人が通う大学の学生だった母親。一番上の叔父は著名な大学教授だったし、3番目の叔父たる三晃もいい大学の出だ。ただし、母の昴はそこそこレベルの大学だったが。
そもそも頭の良い家の出である詩織が、大学に行けないと言い張る理由が理解できなかった。従姉と暮らした2歳の時から母親と三郷にある屋敷を出た7歳の誕生日の時まで、正尭はこの従姉を慕って過ごした。
三郷を出て東京のアパートで暮らしてから数カ月後、詩織が死んだと聞かされた。事故死だと母親から言い聞かされた。でも、どうやって死んだのかは教えてくれなかった。聞き出そうとしても強い言葉で拒まれ、それ以上聞けなかった。
□ □ □ □ □
従姉の本当の死因を知ったのは、10歳の頃だった。誕生日のプレゼントとして母親が買ってくれたパソコンで、たまたま従姉の名前を検索したら、検索結果に出てきたからだ。
(……殺人事件?)
初めて知る事だった。事件記事を。その考察サイトを。手賀沼の畔の草むらで遺体が発見された。全裸でだ。その様子を書く記事には、なんだか嫌なにおいが漂っていた。その頃いろんな悪い言葉を覚えていたけれど、それ以上のえげつない言葉で埋め尽くされていた。
(なんだろ……すごいもやもやするな。)
記事をパソコンのハードディスクに保管した。そのぐらいの操作は知っていた。更に検索。わからない言葉だらけだ。
母親や家政婦さんに聞こうとも思ったが、詩織の死についてはタブーにされていた。ご近所さんもそのことは触れたくないみたいだと、何度か話をして勘づいた。
掲示板サイトで調べることを考えた。詩織の死についてのスレッドがあったので、年齢を偽り、子どもだとばれないように文章を考えて聞いてみた。乱暴な口調の返事が来た。
「教えてやるよ。詩織ちゃん11歳 埼玉巨乳小◯生 とnyでググれカス」
「ウィルスには気をつけろよ」
P2Pでやり取りされている動画だとレスがあった。それなら知っている。正尭は悪い友達から『魔法のアイテム』として存在を教わっていたのだ。友達の兄はそれでエッチな動画を集めて、シコシコを励んでいるらしい。
パソコンにはウイルスソフトがインストールされていた。回線だってADSLで帯域の良いやつだ。昴は通信関連の会社に勤めていたから、インターネットについてとても詳しかった。
友達がメールでくれたP2Pのソフトの使い方を参考にしながら、その動画を落としてみた。日曜の朝、誰よりも早く起きて、一晩繋ぎっぱなしで手に入れた動画を再生してみた。
なんだかぼやけた映像だった。デジタルハンディカムのテープに収められた映像を動画ファイルに変換したからだ。誰かの家の部屋の映像だった。物がごちゃごちゃと置かれ、穢い和室だった。
「詩織おねえちゃん……」
確かに詩織の姿があった。半袖のTシャツで胸元のあたりが汗ばんでいた。正尭が覚えている頃よりもう少し幼い。それでも胸は大きかった。布団の上でベタンと座ってカメラに目を向けていた。撮影している男の声が聞こえた。
「お名前、言ってみて?」
「くぉーさかしょーりぃ!」
「何歳かな?」
「はゃは! じゅーいちぃ!」
カメラの前の詩織は屈託なく笑い、元気な声で答えてピースサインをした。それから、
「しょーりぃちゃん、エッチは好き?」
「だいしゅき!」
「そう。じゃあこれからお兄さんとしようか?」
「うんっ!」
まずはシャツを脱いで。詩織は言う通りにした。脱ぐと子供向けのスポーツブラが現れた。とても大きな胸だった。
「それも脱いでくれるかな?」
「ぬぐぅ!」
まろびでた乳房は、正尭の記憶にあるものだった。よく一緒にお風呂に入った。おちょくって触るとはゃははと笑って顔を谷間に押し付けてくれたりもした。甘くて酸っぱい汗のにおいが脳裏で蘇った。
その乳房が、撮影者の大きな手によって揉まれた。詩織は「くすぐったい!」と嬉しそうにおどけながら長い髪をなびかせた。
「おっきいねえ。今度はお兄さんのを舐めて?」
「舐めてってなーにぃをぉ?」
「ちんちん。お兄さんのおちんちんだよ。ちんちんは舐めたこと、ある?」
その質問に詩織は元気よく首を振った。すぐにそれが現れた。亀頭が発達した大きなペニスだった。正尭が初めて見る形状の、いや、風呂場で見た、死んだ総一郎叔父のそれを思い出した。
画面の中の詩織が、それを手にとって口に含んだ。前髪をかき分け、舌と唇を動かしてしゃぶりこんだ。11歳の女の子にしては舐め慣れているように見えた。
しばらくして撮影者が呻き声をあげた。赤黒いそれから白濁した液体が、詩織が開けっ放しにしていた口の中に飛び込んだ。
「せーしでたぁ」
「しょりぃちゃん、お兄さんのせーし、飲める?」
「うん!」
ゴクリと飲み込む詩織を見て、正尭はえづいてしまった。そんなことがどうしてできるんだろうか。理解ができなかった。やっぱりお姉ちゃんは馬鹿なんだろうか。
(大学に入れないと言っていたけど、本当のことだったのか。)
映像はまだ続いた。詩織はむっちりとした太ももを広げると、スカートに手を入れてパンツを脱いだ。クロッチからさっき男が放った様な、真っ白い粘液が付着していた。いや、少しばかり黄色がかっていた。
詩織は言われるがまま、大股を開いた。『性教育の実演』で見せてくれた時よりも幼い感じがするヴァギナだった。でも、あの時よりも未熟そうなヴァギナは、少しだけ口を開き、パンツに付着していたのと同じ色の、粘っこい汁をこぼしていた。
「これ、せーしだね」
「うんっ!」
「僕と会う前に誰かとしたの?」
「そうだよ! しょりぃのせんせぇとねぇ、同じくりゃしゅのむとうくんとたかいくん!」
その生徒に聞き覚えがあった。会って遊んだこともあった。武藤くんと高井くん。詩織が通っていた学校の、従姉と1年年上の男の子たちだった。身体が大きく、おちんちんのあたりをよく気にしていじっていたのも見たことがあった。
「そうなんだ。じゃあ、お兄さんのおちんちんもいれていいかな?」
「いれて! しょりぃねぇ、おちんちんがとーってもだーいすきにゃのぉ!」
1度放ったペニスがしゃぶられて高められる場面が始まり、カメラいっぱいに移された女性器の中に入り込んだ。撮影者が腰を動かすと詩織は楽しそうに喘いだ。
これ以上は見たくない、見てはいけないと思って正尭は動画を止めようとした。でも、彼は自分の身に起こった異変に気がついた。
股間がひどく勃起していた。思い切ってパジャマの中に手を突っ込んで後ろに引っ張ってみた。ひりひりとした痛みとともに最も敏感なところが皮から姿を現した。それがパンツの生地にこすれる。
(あれ? なんだろう……。)
いつか、どこかで味わったことがある感覚だった。人前でやるのはよくないことだろうけど、でも、癖になりそうな、ひいては映像の中の詩織と撮影者のそれを試してみたくなると思える感覚が、彼を襲った。
膣と下腹を叩かれるたび、画面の中の詩織はますます歓びで悶えた。もう一つの従姉の姿がそこにあった。それを見ていると正尭は、彼女に語りかけられている気がした。
(まさたかちゃん。しょりぃでせーきょーいくのおべんきょうをしようね!)
映像はいよいよラストに近づきつつあった。よがり狂い、涙を浮かべ、ちょうだい、ちょうだいと叫ぶ詩織の姿があった。
「なにをちょうだいかな?」
「あかちゃん。あかちゃんのもと!」
「せーしかい。うんいいよ。しょりぃちゃんのあそこ、ものすごく気持ちがいいからもうそろそろ出ちゃいそうだよ」
「出してぇ、出してぇ!」
「うん! おおおおおっ……」
撮影者のペニスが力強く脈打った。他の男の精液で占拠されたいた詩織の子宮の中に、彼の精液が流れ込んだ。引き抜かれると、さっきよりも薄い白色の液体が、開いた詩織の膣口からこぼれ出た。
詩織はのけぞり、大きな乳房を揺らしながら余韻に浸った。正尭は自分の手が、色気づいたそれをごしごしとしているのに気がついた。
(詩織おねえちゃん……。)
貫く快感が彼を襲った。『産まれて』初めての射精だった。思いの外に彼の精通は早い時期に訪れてしまった。無理もない。彼はクラスで一番大きかった。高坂家は母の昴も含めて、高身長で体格もそこそこ良かった。
放った後、彼は動画を止めた。得も言われぬ解放感に浸った後、ものすごく重苦しい嫌悪感に襲われだした。精液が吐き出されたパンツをくるめてゴミ箱の中に放り投げた。動画を消去し、P2Pソフトをアンインストールした後、自分の頭を殴りながら自省した。
(ふざけんなよ! どうして詩織ちゃんでこんなことをしたんだよ!)
でも、その動画と初めての自慰と射精は、彼に調べて考える為の力を与えてくれた。そしてネットに転がっていた真実の断片をかき集め、彼は後悔した。
詩織の非業の死は、なるべくしてなったものだと気付かされた。彼女は天衣無縫になり過ぎた。それが皆を困らせ、しまいには彼女自身を殺したのだ。
それから正尭は、学校を休みがちになってしまった。