聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
「美男子やんけ!」
イズヴァルトの顔を見てポコリーヌが言い放った第一声が、それであった。イズヴァルトはたぬきみたいな顔立ちの、耳としっぽがまんまタヌキのそれの様な獣人の女を見て、ツダサンチョーに誰かと尋ねた。
「第二次試験のセッティングをしてくれたポコリーヌくんだよ。魔族だよ。ボクの会社の顧客でね、獣人の女のどうぶつくさいまんこを喜んで舐めてくれるようなドスケベ男を利用してくれるのさ」
「獣人どのらの……ツダサンチョーどのの会社は、『ゆうしゃ』の育成だけでなく、おちんぽ職人も雇っておられるのでござるか?」
「まあね。ボクの会社には『出張枕ほすと』部門があるのさ。みんなちんちんが常に勃起しててきんたまがでっかいから、サキュバスと女獣人には大好評さ」
しかし皆、容貌はそれほど優れてはいなかった。ちんぽときんたまに全振りのステータスだからだ。けれども『出張枕ホスト』は、そういう男を選んでいた。デブスの女でも喜んで抱いて種付けするような、性の亡者が適格者だからだ。
自分の顔を見てすっかり発情したたぬきの様になっているポコリーヌ。それを見てイズヴァルトは、ただ一言、残念でござるとつぶやいた。たぬきの女獣人は聞き返した。
「え? 残念ですって?」
「……獣人というのはいささか、ニンゲンに近すぎるようでござる」
ポコリーヌの肌と腕と手の先、足を見て。
「なんかこう、たぬきさんそのものが立っているものだと思っていたでござるよ」
とても残念そうな顔をしていた。かなり癖のある動物愛好者なのだろうかと思い、気色悪さを覚えながらもポコリーヌは冷静であることに努めて返した。
「形態は人によりけりです。わたしの部族だとこうです。でも魔界には、イズヴァルトさんが言うように、手足の形状以外はほとんどどうぶつ、という獣人もおりますよ」
「さようでござるか! とてもかわいらしいのでござろうな?」
「はい! わたしのような形態の獣人はあまりお好みではなられなくて?」
イズヴァルトは無言でうなずいた。ポコリーヌはまことに残念に思った。このような美男子にあまり好かれぬとは。この男は中途半端な動物愛好者ではないらしい。
そのせいなのか下腹が苦しくなって、いたたまらなかった。冷たくされたとは言え、すっかりイズヴァルトに発情してしまっていたからだ。股が濡れてしまい、太ももからつつ、と愛液が伝ってしまった。たいへんにたぬきくさいお汁であった。
「さて、第二次試験の会場にご案内いたしましょう。お連れの皆さんも見学可能です。ご希望の方される方にもお弁当を用意いたしますので、お昼ごはんのことは気になさらないでくださいね」
□ □ □ □ □
ポコリーヌが案内したのは、その街の北にある小高い山に築かれた競技場であった。レンガ造りの円形の競技場は、『コロシアム』と名付けられていた。
だいたい5階建ての家屋の高さがあり、競技場を取り巻く形で観客席があり、屋根はなかった。この街の者はここであらゆる格闘技の大会を開催していた。拳闘や剣技、魔法を使ったものやそれらをかけ合わせた総合戦闘術のだ。あるいは、ドスケベな女エルフやサキュバス相手に、どれだけ交合を続けられるか競う耐久レースも開催された。
「どっちかというと72時間耐久エッチレースみたいなのがよく開催されているんですよ。1ヶ月に1回ぐらいですね。前回の優勝者はシマナミスタン=ドワーフのナハトマ=ガンディーさんでした」
「ほえー。そんな過酷なことをみんなが観ているところでやれるとは。なかなかに根性がすわっているお人でござるな?」
「そう。目にされているスクリーンで選手を大きく映し出しましてね、ナハトマさんが相手のエルフさんたちをずぽずぽとやっている姿が丸見えでしたよ」
東西南北の観客席の一番上に飾られている、20メートル四方の大型の水晶板を眺めながらイズヴァルトに教えた。あれで選手をアップで映し出すのだ。その競技なんかでは結合部や精液まみれになった女膣がこれでもか、というぐらいに映り込まれていた。
「ちなみにその競技だけは、最初から最後までを記録した映像水晶を造って売ってますよ。街のスポーツ専門店でお求め可能です」
「武芸の大会のほうはいかがでござるか?」
「……そっちは、売れないんで全然造らなくなっちゃいました」
街に住む亜人やもの好きな旅人は皆、おちんぽとおまんこが格闘するものにしか興味が無かった。だいたい、当たると血が出たり悲鳴が起こる武芸など繰り返して見たいものではない。それ以前に武術の鍛錬なんぞ食事や糞や交合みたく日常的に行っているのだから、どうせ観戦するなら楽しいものが良いのだ。
競技場の南側にいたイズヴァルトは、北側の選手専用の出入り口からぞろぞろと屈強そうな者たちが出てきた。どの者も亜人ではなくニンゲンだったが、異様な魔力の気配と威圧感があった。
しかも彼らは誰もが皆、左右に女を抱えていた。サキュバスや獣人の魔族だったり亜人だったり。彼らと同じ異なる気配を感じるニンゲンだったり。その女の半数以上がボテ腹だった。つまりは妻か恋人か仲良いカキタレだ。
「なかなかにもてておられるでござるな?」
「あいつらが『ゆうしゃ』です。それぞれが異界を救った英雄……なんだそうです」
第二次試験の内容は、この会場の『ゆうしゃ』全員と戦う。多対1はさすがにきついので、1対1で戦う。合格か否かはツダサンチョーが決める。その当人は北側観客席のVIP待遇席で、スオニアの巫女が持ってきたりんごジュースを飲み、椅子のひじかけに肘をついて。偉そうに座っていた。
「ツダサンチョーどの! 片っ端からとにかくやってしまえばよろしいでござるか!」
随分と挑発的とも思える物言いに、『ゆうしゃ』たちが睨みつけ、傍らの女たちがくすくすと笑った。
「あのデクはナニモンだ?」
「図体だけのポンコツだろうよ。デキる気配が感じられんし」
生意気なやつだ。と憤る彼らだが、しかしその多くはイズヴァルトに目を向けていなかった。傍らにいる、胸と尻が目立って大きくたぬきみたいなしっぽを振るポコリーヌに注視していた。たいへんに可愛いからもあるが、この女獣人をまだ誰も口説き、抱いたことが無かったからだ。
とはいえ、挑発ともとれるイズヴァルトの言動に、『ゆうしゃ』たちは殺気だった。観客席にいるツダサンチョーもひりひりとした気配を感じた。宿屋でしていたみたいに下半身を丸出しにして、巫女たちにちんぽをしゃぶらせてひりひりとさせてはいたが。
「おいおいイズヴァルトくん! こいつら全員まとめて相手にしても勝てると思うなよ! ここにいる彼らは、戦えばきみのちんちんが縮こまるぐらいの強敵ばかりだよ!」
舐めてかかると痛い目に遭うだろう。ツダサンチョーは観客席にいるローラやピピン王子たちに目を向けた。
「場合によってはイズヴァルトくんがカタワになっちゃうかもしれないけど、これ、実践形式の試験になるから諦めてね!」
途端にぶうたれて文句を言い始め、中指を突き立てるエレナとオリガとオクタヴィアのことは無視して、ツダサンチョーはイズヴァルトと『ゆうしゃ』たちに呼びかけた。
「試合は剣や槍はもちろんのこと、格闘あり、魔法ありの実戦形式で行うよ! 各々、それぞれが愛用する武器を用いて全力で戦ってくれたまえ! 闘技場の観客席と屋根には、ボクとヴァネロペくんがものすっごく分厚い防御壁を張っているから遠慮なくやってくれ!」
ちなみにそのヴァネロペは、ミツクニュモスの後ろにいるピピン王子の膝の上にまたがっていた。腰はスカートで巻いていたが、自分と王子の腰巻きをずらして性器を合わせ、「……♡」とよがっていた。
「よーく気をつけておくでござるよ! これからの試合が『死合い』と呼べるものであれば、そこで死んでも武人冥利につきるというものでござる! ここで死ぬかあるいは不具の者となっても恨みはせぬでござる! というわけで!」
イズヴァルトは医者たちに付き添われているヘラに呼びかけた。『獄炎の凱歌』が欲しいでござる。鞘に収められたそれを抱きかかえたままの彼女は「本気なの?」と返した。
「ぶっころすつもり? そんな試合はだめにきまってんじゃん!」
「拙者より強いそうでござるから、殺せはせぬでござるよ! しかしそのぐらい激しい戦いになりそうでござる! このミスリルの剣では不足かもしれぬでござるよ!」
「やだ! 適当に木刀でうちあってりゃいいじゃん! 本気になりすぎ!」
ヘラは『獄炎の凱歌』を渡さなかった。仕方ない、とつぶやいてイズヴァルトが腰の剣の柄に手をかけた時、プレートアーマー姿の若い男が、きらめかせた白刃でイズヴァルトに横薙ぎをかけようとしていた。湾曲し白い色の波動を放つ、神々しさを感じる片刃剣だった。
「先手必勝! くたばりやがれ!」
その一撃を退いて避けた。ポコリーヌを突き飛ばして倒れさせると、相手の素早い二撃目が襲ってきたが、斬りかかる前に飛び込んで腕をねじり上げた。
「……なんていう馬鹿力!」
「不意打ちはあっぱれなれど気配を放ちすぎでござる! 貴殿、何者でござるか、名乗られよ!」
「くっ! その腕を離しやがれ!」
イズヴァルトは手を離した。飛び退いて剣を構える若者が名乗った。
「俺の名はジム=オルグ! ソニクユース大陸とガスタ大海を魔王スアッストンから救った『ゆうしゃ』だ!」
歳は23。魔王殺しの旅に出てから6年、20の歳に5人の仲間とともに魔王を倒した。その仲間たちは麓の街で知り合いのゴブリンらとビリヤードばっかりやってばかりでへなっているが、彼だけは日々、武を研ぎ澄ましていた。
「オルグどのでござるか! では拙者も名乗りを……」
「アンタの名前は知っているよ! ホーデンエーネンっていう国の田舎騎士・イズヴァルトだろう?」
「そうそう。かつての恋人を異国の王子様に寝取られ、その上その女からクズだの甲斐性無しなどとなじられて捨てられて、その腹いせを抱えたままちんちんをこすこすして無駄にせーしを放ってばかりの、イカ臭田舎騎士でござる!」
ジム=オルグがきょとんとし、首を傾げた。
「……聞いた話と違うな。武芸抜群で有名で美男子なのをいいことに、5歳から60歳までの女を弄んで孕ませる、騎士の風上にも置けない色魔だと聞いたんだが?」
それは違う。イズヴァルトはきっぱりと答えた。
「拙者のちんちんはご婦人方のおまんこのいらいらの解消のために、こき使われているだけでござるよ! ……本当にちんちんを潤して欲しいのは……あそこにいるローラどのとオクタヴィアどのとヘラでござる!」
「アンタ、言っていること、なんか忖度してなくね?」
「本当のことでござる!」
「あ、やっぱ気遣って言っているみてえに聞こえるわ。じゃあ、色男としても格の違いを教えてやるよ」
ジムは剣を構えを解かぬまま、性体験を語りだした。もとの世界で抱いた女の数は、11歳の初体験を数えて200人ぐらい。全部娼婦ではなくまっとうと呼べる女たちだ。
「ソニクユース大陸の各王国の姫様なら、それぞれ最低1人はやった! そのうち俺の子を孕んで産んだのは8人だ! それとな!」
魔王から世界を救った後に攻め入った魔界では、240人以上の魔族の女を、自慢の股間の大剣でやっつけた。ついでながら50人ほど本当にはらんだ。この街に来てからさっきまで左右に侍らせていた女たちを含め、4人は腹ボテにしてやった。
「……ほう。なかなかに赤ちゃんに恵まれているでござるな?」
「赤ちゃんなどとかわいく言うな! さすがに俺ほどの色魔っぷりじゃねえだろう!」
「ん、まあ。さようでござるが……」
「じゃあ、本気でやっちまうからな。覚悟しろよ、イキリでくの棒」
これが俺の全力だ。ジムは剣を握る右手に力を込めた。彼の身体から闘気や魔力といった諸々の気配が、『威圧』となってイズヴァルトの身体に叩きつけた。
刃に漂う白い波動の気配が、激しく、大きくなった。彼が持つ剣はただの剣ではない。聖剣である。ミー=ミヨという名のそれは、使い手と認めた者にのみ、その秘めし力を与えた。分厚い鉄板をも打ち破る破壊の衝撃波を繰り出すのだ。彼の素早い連撃のごとく、何度も何度もである。
その剣が漂わせる力を、イズヴァルトは見逃さなかった。力を解放する前に決しなければならない。彼は動いた。剣を鞘におさめたまま、ベルトから抜いて地面に叩きつけたのだ。
「おおわっ!」
ジムはよろめいた。大きな土揺れが起こり足元に深い亀裂が奔ったからだ。よろめいて右膝を地につけ、体勢を立て直そうとするが、つい足元に気を取られてしまった。面をあげた時にはイズヴァルトの姿が見えなかった。
「……どこだ!」
叫ぶと観戦していた『ゆうしゃ』たちが。
「ジム! 後ろだ!」
しかし遅過ぎた。彼は背後をとったイズヴァルトに鞘をつけたままの剣でぶん殴られ、思い切り高く弾き飛ばされてしまった。
「ぐおお! なんという馬鹿力だっ!」
それだけではなかった。イズヴァルトは指で跳躍術式の印を切り、ジムより早く舞い上がった。追いつくと剣を思い切り振り上げて彼に叩きつけた。
ジムの悲鳴がこだました後、彼の身体は激しく叩きつけられた。きれいに着地したイズヴァルトはジムの手からミー=ミヨを奪い取り、彼の首に突きつけた。
「少しでも動いたら、切り落とすでござるよ?」
「……加減しやがれ。それと、アンタが魔法も使えるとは思っていなかった」
「それはすまぬでござる。では、また再戦いたすでござるか?」
「ふざけんな。降参だ」
勝者、イズヴァルト。ツダサンチョーの声がこだました。信じられぬ、という顔をする『ゆうしゃ』達。司祭騎士団長の予想以上の動きに戸惑っていた。
「ありゃあ本当に魔王を殺ったことがない『救世童貞』かよ? 3べんぐらい救ったんじゃねえか?」
「ジムがああもあっさりとやられちまうのを見ると……信用できねえよな、その話」
「いやしかし、あいつは俺達『ゆうしゃ』の中でいちばん弱い方だぜ? 俺達との練習試合でも一番黒星つけてたし……」
「ミー=ミヨを使わなけりゃ、の話だろ? おい、次、誰か行って来い」
呼びかけを受けると、あぐらをかいてズボンのポケットから出していた勃起を、連れの女にしゃぶらせていた1人の『ゆうしゃ』が手を上げた。大きなハルバードを抱えていたその汗臭い大男は上半身が裸で、赤銅色。鍛え上げられた胸と腕と腹は、見事としか言いようが無かった。
「ふん。あんなのは虚仮威しよ! そいつにやられたジムはあまちゃんだったということさ!」
起き上がり、しゃぶっていた女にズボンを直してもらったその大男は、じろじろと見てくる皆に言い放った。
「元の世界では300人の小娘達を、100人の魔界の女を腹ボテにしたこの俺なら、ものの1分で
ぎひひ、と笑うこの男は、まさに古強者といった風情。一筋縄ではいかぬ気迫がたんとあった。
果たして、まだ『ゆうしゃ』と呼べぬ司祭騎士団長は、この男とどのようにして戦ったのか?
その続きについてはまた、次回にて。