聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
オクタヴィアが目をつけた人物が作法通りに弾弓をつがえると、小石が飛ばされた途端にふっと消え、弓を向けた先でぼかん、と爆発が起こった。
とはいえその爆風は『伝説』で語り継がれたものとは程遠く、せいぜいが一点集中をしかけた5回分の『爆炎弓箭』の威力、という程度であった。ヒッターチ帝国のオアラポリス中心部にある名所、『戦勝門』を吹っ飛ばせる程度、とDSは評した。
「とは言え、『スーワシューロの弾弓』を扱える御仁がおられたということが、これでわかったでござる。しかしまさかのまさか……」
イズヴァルトはあちらの草むらでオクタヴィアに介添えされながらスカートをめくってしゃがみこみ、尻からびちびちびちと音を立てて下痢便を放つローラを見た。
彼女は真っ青な顔をして冷や汗をかいていた。自分が伝説の武器の使い手だという事実を知ったせいだった。どんなちんぽもしゃぶりこみ、まんこに突っ込んでも動ぜぬ女だが、武器をとって戦うというのはどうも苦手らしかった。
「うわあああ……なんということでございまするか……」
「いつまでもショックを受けたままではいかぬでござる。お覚悟くだされ。こたびのクエストでは是非とも前線に加わって頂きたい」
「ははは……御冗談を。あ、まだお腹が痛い。いたいいたいいたい。ぐええええ……」
ローラはまたもびちびちと液状の便を尻穴から垂らしてしまった。絶対にこんな役目にはつかないぞ、という強い拒否感がうかがえる悪臭を放っていたが、臓物を用いた企みなどイズヴァルトには通用しなかった。
そもそも幼い頃から、付き従う侍女のうんちをする姿を尻穴に顔を近づけて見てきた
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かくして、皆を集めての作戦会議が始まった。シンプーラ城の本丸にある、天守大広間でだ。今ではニラッサの郷の要人たちの寄り合い場であるが。
「さて、此度のクエストの攻略でござるが、ローラどのを前面に配しての策でいく」
イズヴァルトは銅山の坑道図を広げるとバッテンがついているところに剣先を向けた。
「ここがモディア=ケレスニの棲家になっているらしい穴でござる……穴といっても天井が高く、大きな広間みたいになっているでござるよ」
体長は5メートルほど。細長い生き物だそうだ。いまだ坑道からは出てきていない。鉱山の者は何度か監視を放って探らせたが、その穴から出てくる気配は無かった。ローラが右の義手をあげた。
「はい。必勝の作戦がございまする」
「申してみるでござるよ」
「穴を塞ぎましょう。それで事足ります」
もちろん却下だ。ギルドからは『討伐』の依頼を受けている。つまりは目標を必ず抹殺せよ、だ。
「そんなあ……」
「それから、坑道を炎魔法で燃やして酸欠にするのは無理でござる。ガスが出ているところがあるらしい。それから水で満たして溺れ死なすというのもやらぬでござる。後片付けに一苦労しそうでござるし、何より坑道の奥、つまりはモディア=ケレスニがいる穴から先の構造がよくわからぬでござる」
この坑道図も、エルフたちが掘ったところまでしかわからなかった。よってイズヴァルトは地上におびき出し、そこで叩く所存だと述べた。
「おびき出したところでローラどのにはデキの悪い、お子様向け冒険小説の主人公みたいに、『スーワシューロの弾弓』で仕留めていただく、という作戦でござるよ」
「はあ。しかしですな、地上にはどうおびき寄せるので?」
その辺は心配無い、とDSが。その造魔には1つだけ弱いところがあった。
「ほんのりと焼いた鹿肉が大好物なのだ。文献にはそう記されていた」
「鹿肉でございますか……どこから調達するのでしょうな?」
「我々エルフが優れた狩人であることを、忘れたか?」
鹿狩りはオシノールのエルフたちが行っている。あの辺は畑に食害が起こるほど鹿が多く生息していた。
【ギルバート=カツランダルク注:オシノールは食通をうならせる鹿料理で有名な土地である。】
「おびき出す餌は用意できる。後はローラの奮起にかかっている。もちろん、我々も死力を尽くす所存だが。そこのところは心の片隅に置いて欲しい」
「は、はい。わかりましたぞ。ぜひとも伝説の弾弓の使い手として、名に恥じぬ働きぶりをお見せいたしましょう……はあ」
義手義足をつけねばならぬ不具の女が、なにゆえ武器を取って戦わねばならぬのか、とローラは嘆いた。
しかし軍師というものは戦場が仕事場だ。そこで知恵を巡らせるのが領分とも言えるが、いざとなれば武器を取って戦う。それと、いくさ場に出ず、要塞の中で机上の模型を動かすだけの軍師というものは、戦士や騎士達に尊敬されないものである。
かくしてイズヴァルト達はニラッサから出発。4日後にオシノールに着いた。出迎えた村人たちはすでに、モディア=ケレスニをおびき出す、鹿肉を使った釣り餌を作り終えていた。
「準備はすでに整っているずら。あの魔物はずーっとあの鉱山から出ておらねえよ」
オシノールの郷長が進み出てイズヴァルトにそう伝えた。白い髪をポニーテールした女エルフであった。エルフの郷の長はたいていが女だ。彼女は郷の多くの者と同じ様に、槍と盾を持っていた。
「加勢については心配ご無用。拙者らで片をつけるでござる」
「けど、あれが本当にモディア=ケレスニだったら、30人や40人では手こずるかもしれねえずら。知ってっか?」
郷長はまだ少年という顔貌の息子から兜を受取ってかぶりながら言った。モディア=ケレスニはつがいで巣を作る。少なくとも二頭いるかもしれない。
「……DSどの?」
「そんなこと、文献に書いてなかったぞ?」
「ディミトリウスさんは知らんかもしれんなあ。6000年生きているおらは覚えているずらよ。あのドラゴンもどき、おっきな穴蔵を作ってそこで卵を生むずら」
巣を作ったつがいは1年中交尾をし、毎年卵を生むという。巣をつっつくと、もしかしたら何頭も現れるかもしれない。
「そのう。文献には書いていなかったが?」
「ディミトリウスさん、おらたちエルフが『あたりまえ』のことになると、途端になまけものの本性を出すことを忘れてねえずらか? あの魔物を用いていた頃はみーんな、そいつが当たり前だったずら」
さては困った、という顔をしたイズヴァルトだが、仲が良い『ゆうしゃ』のうち1人に介添えされてその場を抜けようとしたローラの首根っこを掴んだ。
「軍師どの。どこへ向かわれる?」
「あはははっ。そのう、作戦を練り直しにニラッサの郷へ……」
「ご心配なされるな。たとえドラゴンもどきが10体20体出てこようと、拙者とこの場にいる『ゆうしゃ』どのらがなんとかして見せるでござる」
「はははは……ひえっ!」
女軍師は腹が痛くなり、また便意に襲われてしまった。彼女はビビってしまっていたが、イズヴァルトと数々のクエストをこなして冒険者としての勘を取り戻しつつあった『ゆうしゃ』達は、この依頼を是が非でも遂げてみせようと意気込んでいた。
かくしてモディア=ケレスニ退治が始まった。銅山は村の西側にあった。その入口は大型の獣と戦うのに十分な空き地があった。
その周囲の茂みで腹ごしらえを行い、昼寝をする。そうして餌を置きに入った郷の者たちの報告を待った。最後に仕掛けた者が鉱山から出ると、待っているイズヴァルトのところに向かった。
「んん。んんん。す、吸いつき方がいじきたいないでござるよ……」
事もあろうか、イズヴァルトはズボンを脱いで、ローラから『おしゃぶり』を受けていた。精神安定のためにそうしたいとローラがねだってきたからだ。
その女エルフはイズヴァルトのご立派なものを見てにたりと笑った。
「あんた、のんきずらねえ。そこの娘さんにちんぽをしゃぶられながら待ってたのかい?」
「さ、さようでござる。おっ♥ おっ♥ おおおおっ♥」
「サキュバスの衆みてえな舐り込みっぷりずらな? なあ嬢ちゃん。狩りが終わったらおらのも舐めてくれえねえか?」
そのエルフは衣の裾をめくって、つるんとした小麦色の割れ目を見せた。ローラは射出されるイズヴァルトの精液をごくりと飲み込みながら、嫌がる素振りも無くうなずいた。
「ぷはーっ! この味と爽やかなクサさ、くせになってしまいますのぉ♡」
「おちんぽしゃぶりはここまででござるよ」
「でも、まだたった2発ですぞ?」
「もうすぐ始まるでござるよ。ローラどの。さあ、『スーワシューロの弾弓』を準備するでござる。あちらに潜んでいるDSどのも合図を送っているでござるよ?」
DSはイズヴァルトとは反対側にいた。ブライアンとピピン王子と一緒にだ。他の『ゆうしゃ』たちも空き地を取り囲む様に散らばっていた。
彼らも先ほどまで、郷の女エルフ達に下半身の高ぶりをすっきりさせてもらっていた。エルフの郷でのクエストは、こうしたおもてなしを必ず受ける。股間から邪念を抜いて頭脳が明瞭となり、会心の一撃を放てるのだ。
「……きたずら」
その女エルフは後を任せると言って走り去った。ローラは弦を弾きだした。99回終えた時、坑道の入口からそれを顔を出した。
「あれが、モディア=ケレスニでござるか!」
ドラゴンというがまるで大きなトカゲだった。身体の表面は岩石のような分厚い鱗で覆われており、目つきは鋭く、黄色い瞳がうっすらと輝いていた。顎は大きく頑丈そうだ。
地を這うように、のっしのっしと歩くが、その足は太くて手は大きかった。その爪を見たら大抵の者が怯むだろう。ムーツ大陸に生息するネコ科の魔獣・ソードライガーの長い牙のように頑丈そうで、鋭かった。
そのドラゴンモドキが坑道から出た。目を細め、ゆっくりとあたりを見回しだした。緩慢な動きだが襲いかかる時はうさぎの様にすばしっこいという。しかし気づかれない内はイズヴァルト達に分があった。
「ローラどの。先手必勝でござる!」
女軍師は急いで小石を拾うと、モディア=ケレスニに向けて弾弓をつがえた。ローラの義手が持っていた弓がくるりと回った。
狙われたドラゴンもどきのあたりで、激しい爆発が起こった。悲鳴とともに、あれの鱗とおぼしきものがいくつも弾け散って空を舞った。
「やはりすごい。伝説の弾弓であれば余裕でござろうか?」
勝ったと思った。しかし土煙の中で魔物のそれと思われる咆哮が起こるのを聞くと、側にいた『ゆうしゃ』に頼んで、急ぎ彼女を持ち上げさせた。
「これは、どういうことです?」
「ローラどの。貴殿はできるだけ遠くに逃げるでござる! あの声、嫌な予感がするでござるよ!」
イズヴァルトの言う通りだった。坑道の入口から大型の何かの影が、次々と出てきて唸り声をあげた。
土煙が失せた頃には、その全貌が明らかになった。最初に出てきたものと同じぐらいの大きさのモディア=ケレスニが、5体に増えていた。
「郷長どのの言う通りでござったか……みんな、力を尽くすでござる!」
鞘から抜いたミスリルの剣を掲げて叫ぶと、空き地を取り囲んでいた『ゆうしゃ』達も立ち上がる。5体の造魔との戦いが始まった。
さて、この魔物狩りの結末は如何に?
その続きについてはまた、次回にて。