聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
(シュタイナーはマレーネの姉、ベランナとカリナの2人を妻としてアドルフに与えられた。彼女達との間に7人の子を為した。)
彼女は十五の歳でホーデンエーネンのイズヴァルトの愛人となり、彼との間に生涯で6人の子を為した。かの聖騎士の愛人たちの中で、彼の一番子を産んだ回数が多かった。
生まれた時から左脚が萎えていたせいか、大層口が悪かったと言い伝えられているが、家来や下々の者への面倒見がよく、恨まれる事は無かったそうである。
(が、薄っぺらい知性の紳士や淑女には大層嫌われたそうである。下種極まりない言い方でよく罵倒していたからだ。)
足萎えとはいえ、金髪の美人で胸が大きく、馬も乗りこなせれば魔道の才もあった。男や女を蕩かせる性の技術も持ち合わせていたそうである。
(相手を天井に釣り、海藻の汁をつけた手で陰茎をしごいたり、乳首や陰核を責めて楽しませたという。)
彼女は義姉をとても好いていた。彼女が国に残したマイア=テクニカの発展に力を尽くしたが義姉の死後、その魂の次の生の幸福を願う為にマハラ教の尼僧となった。そこでも沢山の男や女を楽しませて名声を高めた。また、若くして卒したキッカワンテス公の遺児2人の後見役となり養育に励んだ。
彼女は56の歳で亡くなった。聖騎士による吸血姫討伐が行われる前々年のことであった。
(病死説については疑惑が多い。時のスオニア国王が、彼女の声望を恐れて毒殺したという説が一番有力である。)
『イーガ王家人物列伝 巻の5』より一部抜粋。
イーガの大使官邸は他国のものと比べ、いささかこぢんまりとしていた。他の大使の館は4階建てで内庭も広いのだが、イーガのは2階建てで庭は狭かった。敷地も半分以下だ。世界一の金持ち国と言われているのにである。
「……いささか、けちけちし過ぎに思えるでござるな」
マレーネに案内されたイズヴァルトは、この屋敷の周りにあるエドニアやマリーヤの大使の屋敷と比べた。見劣りがした。しかしマレーネ曰く、これがイーガの流儀なのだそうだ。無駄なことに金はかけない。
「代わりに、この館にはサガミニアのエルフさん達と共同開発した最新型の防衛術式を備えておりますの」
「ほう。それは興味深い話でござるな?」
「うふふ。魔道防壁だけでなく、攻撃されると内庭のあちこちから『爆炎弓箭』を込めた噴射弾を飛ばしますのよ。何かやったらアタミシア全域を火の海にしてやるぞ、という意思表示ですの」
「あわわわ……」
更に、アタミシアの近くには500ほどの駐留魔道騎士団を置いているので、大使に何かがあった時は即座に軍事行動へと移る。その上に、とオクタヴィアが横から入り、イーズィ領内の褐色エルフ達が協力する手筈になっている、とイズヴァルトに教えた。
「どうしてまた、そんなことをするのでござる?」
「ちょっとした小銭稼ぎずらな。イーガの連中は他の国の奴らよりも金払いがええずらよ」
「そういうことですの。我が国はカイロネイアの皆さんとも、深いお付き合いを致しておりますのよ?」
この大使の館だが、小さいだけでなく内装も簡素だった。金ぴかの柱や家具はどこにも無かった。とはいえ、デザインにも質実剛健を尊ぶイズヴァルトとしては、好感が持てた。
大使の執務室に入ると、マレーネはオットーに介添えされて大使の席に座った。自分が今、何の仕事をしているのかとイズヴァルト達に教えた。
「実はわたくし、『マイア=テクニカ』の玩具部門責任者の1人として、イーガ産の最新のおもちゃをカントニアで広めておりますの……持ってきてくださいな」
マレーネがぱんぱん、と手を叩くと、1人の男が数名の下男と共に、何かを抱えて現れた。クシガタールの郷長がその男に呼びかけた。『尻湯』で自分のおまんこを散々蕩かせてくれたちんぽの持ち主だったからだ。
「おまん、ここの人だったずらか?」
男は郷長に呼び掛けられて彼女を見ると頬を赤く染めた。
「これはこれは。あの時のエルフのお嬢さんではないかね?」
マレーネから説明が入った。この男が在イーズィ国のイーガ大使。名をフジーヴァ=タルモッツという。
「元はコーヅケーニッヒにある、魔道学問所の講師でしたの。ちなみにその前はイーガ魔道騎士団でも精鋭の、第3軍所属の武将さまでしたのよ?」
50近くの歳なので騎士として働いていたのは30年ほど前の事になるが、一部隊を率いる武将となるまで出世したそうである。
「そうだったずらか? 若く見えるにずいぶんと歳がいってんだな?」
「ヌマタラシュクのエルフの血を継いでますからな。貴女はクシガタールの郷長でしたか。昼は気安く接してしまい失礼いたしました」
「そんなこと気にしなくてもええずら。てゆうかここで、おらとぱんぱんするずらか?」
タルモッツは郷長が丸出しにしている、股間の割れ目を見て勃起した。マレーネはちょうどいいですわね、と言って、タルモッツにあれから出してください、と告げた。
「ここで実演してもよろしいので? 先にイズヴァルト様とローラ様に試していただくのが筋かと思われますが……」
「すじも割れ目も関係ございませんの。わたくしは貴方を指名したのです。さあ、あれをお広げなさい」
承知した、とタルモッツは答えると、持って来たものを下男たちとともに組み立てた。高さ2メートル、四方の幅が1メートル半ほどの扉付きの木箱ができあがった。
その箱の壁だが、あちらこちらに大小さまざまの引き窓があった。中でそれを開けたり閉めたりできた。
「……これは、なんでござる?」
「夫婦生活に
ほほう、とうなずいたローラが尋ねた。
「その穴からちんちんや尻を出していたす、というわけでございますな?」
「その通り、ですの」
箱の中にはタルモッツが入った。彼の腰の位置にあった大きな窓が開くと、踏み台に乗った郷長が尻を突っ込む。中からタルモッツが呼びかけた。
「もう少し尾ていを持ち上げてくれないかね? 君の可愛い割れ目ちゃんが丸見えになるようにだよ」
「こうずらか?」
郷長がくい、と尻を持ち上げると、大使の目の前に昼間散々こねくりまわしたヴァギナが現れた。下を脱いで臨戦態勢になっていた彼は小さなお尻を撫でながらそこに飛び込ませた。
「んん♡ 元気ずら~♡」
昼間と変わらぬギンギンぶりに郷長は満足だ。彼女がくねっ、くねっと腰を動かして喘ぎ声をあげると、イズヴァルトは抱いていたローラの腰に、勃起したものをこすりつけた。
「拙者もあの中に入って貴殿となかよしをしたいでござるよ……」
イズヴァルトのだらしの無さを見たマレーネはにんまりと笑って毒づいた。
「ふふ。みっともないですわね。交尾のことばかりしか考えない種馬そのものですわね、イズヴァルト様は?」
「愚問。拙者はローラ殿に惚れぬいているのでござるよ。好きな婦人の前では常に愚か者。おのろけていると罵りたければ好きなだけ罵るが良いでござる!」
しかしローラは後ろから刺すような視線を向けるオクタヴィアを慮って、イズヴァルトをつきはねた。しょんぼりとなった『ゆうしゃみならい』にエレナとオリガが近寄って同情してやったが、これで話が進むとマレーネは安心した。
箱の中からは聞こえる聞くに堪えない下品な愛のささやきと、郷長の愛らしい喘ぎ声に耳を煩わされながら、このおもちゃはどう思う、とマレーネは尋ねる。ローラが指摘した。
「いささか物足りませんなあ。仕掛けも工夫もろくにしていない箱ではございませぬか。ウマヤーノには似たものがあると聞いたことがございまするが、これをマイア=テクニカが造ったわけではございますまいな?」
「うふふ。ご名答」
この箱だが、イーガのアダルトグッズ製造会社が製造販売している。『簡易肉穴交尾箱』という商品名で、そもそもは国内のみで流通していたものだった。『壁尻』や『にょっきりちんぽ穴』といったシチュエーションが楽しめる為、夫婦生活に刺激を与えたい中年層に好評だった。
「外国でも売りたいと考えたその会社の社長さんが、海外に販路を持っているマイア=テクニカに委託しましたの。ちなみにですが中にはサキュバスがよく使う催淫術式を仕掛けておりますから、入った者は失神するまでやり続けますのよ?」
「……ローラどの。後で使わせてもらおう」
「おほほ。種馬じゃなくて種豚でしたのね、イズヴァルト様は?」
しかしマレーネがカントニアで売っているものはこれだけではなかった。穴にはめた尻にちんぽを突っ込まれて「はひ♡ はひ♡」と喘ぐ郷長を足のつま先から頭のてっぺんまで鑑賞していた下男たちに、置いていた小箱の中を出せ、と命じた。
取り出されたのは子犬ぐらいの大きさの人型のぬいぐるみだった。エルフ達が「とってもかわええずらなあ」と微笑む。ドレスをまとった、深い青色にも見える黒い髪の、愛嬌ある顔立ちの女の子で、頭の後ろにおだんごを作っていた。ローラが目をそらした。
「……これは、なんでござる?」
「ぬいぐるみですわ。おはようメグちゃんという商品名ですの。主に独居層を想定して作りましたのよ」
「ええと……子供向けではござらぬのか?」
はい、とマレーネはうなずいて手に持ったそれの背中にあるボタンを押した。
「話しかけてみてくださいな」
「ふうむ。どういう仕組みでござろうか……ぬいぐるみどの、こんにちわ」
ぬいぐるみから声が出た。どこかで聞き覚えがある質の童女の声であったが、よく似た本人が言わなさそうな返事だった。
「んな名前じゃねーよ。メグさまって呼べよオラ!」
「んんん……なんでござる、これ?」
「独り身のかたの毎日が楽しくなるようなおもちゃですの」
「さ、さようでござるか」
イズヴァルトはぬいぐるみに向けて嘘をついてみた。
「拙者、この歳になって今でも一人寝。とってもさびしー、でござる」
「おい、オマエ。結婚できねえからってぬいぐるみに話しかけてんのか? 悲しいやつだなあ。でもぼっちなのは性格が悪すぎて友達がいないからじゃね? おっさんで独身なのは大体がゆがんだ人格の奴って、相場が決まっているもんな?」
ほほう。口汚い返事にイズヴァルトは感心した。呼びかける相手をちゃんと認識して返しているのだろうか。
「もちろんでございますの! 大体、呼びかけたら通り一辺倒におはよー、だとかわーっすごーい、みたいなとぼけた返しをする様なゴミ、イーガでは作っておりませんの」
それを聞いてオクタヴィアが試してみた。
「おまん、口汚いことを言っちゃだめずらよ?」」
「けっ。ヤギとやることしか楽しみが無くてハチの子しか食えねえようなとこに住んでるド田舎の山エルフかよ。とっとと帰ってぺんぺん草でも食ってろ」
「ほう。ちゃんと認識するずらな……」
他のエルフが試してもそうだった。男日照りでこっちに来たのかよ。淫乱だから男がひくんだぞ。わかってんのか?
何人かは怒りを覚えたが、大抵はその技術力に興味を示した。エレナやウーゴ王子が呼びかけると「ガキはお呼びじゃねえんだよ」と罵り、ピピン王子が前にくると「デブはあっちいけ。暑苦しいんだよ」と罵倒した。
何故か無言でぷるぷると震えるローラと、笑いが止まらない顔を手で隠してうつむいているオットーを後目に、イズヴァルトは素晴らしいおもちゃだとほめたたえた。
「なかなかにできたぬいぐるみでござる! ところでこれは、本当にイーガの魔道士が作ったのでござるか?」
「左様でございますの。とはいっても人物認識と音声認識の為の基礎的な術式と、このメグちゃんの可愛い姿を設計したのは、マイア=テクニカのお仕事を手伝ってくれている、サガミニアのエルフさんですの」
その人物はジョゼフィーヌと言った。サガミニア=エルフの中では名医イナンナの次に有名な人物だった。古代ムサシノ帝国時代は自律的に動く巨大な土人形・ゴーレムの職人として、イズヴァルトの時代では魔法戦士が鍛錬でよく使う土人形の戦士の術式を編み出した魔道士としてであった。この時既に6000歳を超えていた。
「ジョゼフィーヌさん、こういう仕事もしてたんずらな?」
人形を手に取ったオクタヴィアにマレーネがうなずいた。マイア=テクニカはツックイーのエルフのおもちゃ工場と委託契約を結び、カントニアで販売する分を製造してもらっていた。サガミニア地方とオータニア地方、ウマヤーノ地方では店頭に並んでいた。
「で、ございますが……大陸の東側の国々では、未だ売りに出せませんの」
「それは、どうしてでござる?」
「エドニアとマリーヤの紛争が原因ですの」
この頃、大陸中南部のエドニア海の実効支配を巡り、西のエドニアと東のマリーヤが船戦を起こしていた。エドニアの海軍は品がいいほうだが、マリーヤのは強欲で残忍。行き交う客船や荷舟を襲っていた。マリーヤは内陸部にまで土地が拡がっているが、イーズィ王国や半島南端のアーワン沿海連合と並ぶ海軍国でもあった。
「しかし海戦についてはイーズィとアーワンを味方につけたエドニアが優勢。そこでマリーヤは後方のサガミニアに謀略の手を伸ばしだしましたの」
国が無く自治都市や部族領ばかりのサガミニアに使いを送り、各都市を説き伏せて味方につけようと画策していた。それを断ると息がかかった野盗が街を襲う。1年前からそれが始まり、各自治都市の治安が悪くなった。
その上、賊はエドニアの内陸部でも暴れ回っていた。人種は様々。本職の盗賊や兵隊あがりのニンゲンはおろか、亜人の姿がちらほらとあった。金色エルフとオーガ達の姿が多かった。
「ひどい話でござるな。しかし賊でござるか。であれば、サガミニアのエルフどのらの出番でござるな」
「それにも限度というものがございますの。特にオーガは魔法が効かないから苦労しているらしいんですの。イーガの魔道騎士団では歯が立ちませんし……」
なるほど、とイズヴァルトは手を打ち、その件は是非とも自分に任せて欲しいとマレーネに告げ、ぬいぐるみのほうを一生懸命見ようとしないローラに呼びかけた。
「また1つ、名をあげる機会が増えたでござるぞ、ローラどの!」
「やりましたね、イズヴァルト殿!」
自分には呼びかけてくれず妬んだオクタヴィアが、ぬいぐるみを操作して代弁させた。
「人様の不幸をよろこんでんじゃねーぞ、コノヤロー!」
さて、『ゆうしゃみならい』と軍師との賊退治はいかなるものであったのか?
その続きについてはまた、次回にて。