※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第六十七回 下

 反攻戦である。

 

 『ちんちんつらぬき丸』を抜いたイズヴァルトは印を切った。身体強化の術式だ。それもとびきりの強いやつをである。

 

 しかしかけたのは自分自身にではなく、王子にだった。自分の身体に力が溢れるのを感じたピピンは、にやりと笑って両こぶしを石畳につけた。強化の度合いが強すぎたのか、彼の陰茎は激しく勃起して亀頭は赤黒く変色していた。

 

【ギルバート=カツランダルク注:身体強化術式は身体の大きさや頑強さによってかけられる限界が増す。ピピン王子はイズヴァルトを超える巨漢と言い伝えられる程だったから、相当強くかけることができたのだろう。それと、下半身にもかけることが可能で、伝説的な性豪の多くは、この魔法を必ず習得していたという。】

 

「イズヴァルトさん。ちょっと息がくるしいですが……いけそうですね」

「油断してはならぬでござるよ。ダニェルどのもまた魔法戦士でござる」

 

 当のダニェルは強化されたピピンを見て面白がっていた。彼自身の魔力量はそれほどでもないと見切っていたが、その術式とは相性が良く、しかもかなりの程度まで重ね掛けできる許容量があると見て、心が高鳴っていた。武人のさがのせいで、またも亀頭が腫れあがって精液をこぼしていた。

 

「こりゃあたのしめそうだべえ……相当おいたしそうだけど、わくわくするべえな!」

 

 先に動いたのはダニェルだった。方天戟を抱えてピピンの懐に突っ込んだ。だがシマーヅ人の王子は避けて穂先をかわし、柄を掴むとダニェルごと投げ飛ばした。

 

「こりゃすごいべえ!」

 

 空に舞い上がりながらダニェルが喜びの声をあげる。だが浮遊魔法をとっさにかけたことで、地面に叩きつけられる事は無かった。そこを大きく跳躍したイズヴァルトが斬りかかった。

 

「せわしねえっ!」

「心構えるでござるよ!」

 

 空中で両者の刃がかち合った。ダニェルが着地するとピピンが抑え込みにかかった。方天戟で切り払おうとするがまたも柄をつかまれた。

 

 力には力。こちらも押し戻そうとダニェルは踏ん張った。地面が割れて足跡が出来る程に。でもピピンは重かった。

 

「それなら!」

 

 ダニェルが手を放して印を切る。途端に柄が熱くなった。手甲に伝わった熱にピピン王子は我慢できず、手を離した。方天戟を奪い返したダニェルは彼の脳天にきつい一撃を見舞おうとしたが、横から伸びて来た『ちんちんつらぬき丸』に邪魔された。

 

 ここからのダニェルは押されっぱなしとなった。イズヴァルトとピピンは相手の手を封じる連携を繰り出した。『七本槍』の筆頭と言えど崩す事はできなかった。

 

 イズヴァルト達の息はぴったりと合っていた。かつては互いに尻を貸しあい、互いのものをしゃぶりあい、もう尻を誰にも貸さないと誓いあった恋人だったからかもしれない。

 

【ギルバート=カツランダルク注:ミツクニュモスが残した日記によると、この頃まで三日に一度はしゃぶりあっていたそうである。】

 

 男色がもたらす鋼鉄の絆による兵法。この時のイズヴァルトとピピンはまさに、その最良の具現であったかもしれぬ。

 

 そのダニェルもまた男色の相手がこの戦場にいたが、その『ご主人様』は窮地に立たされていた。ブライアンに加勢したエルフのイナンナが、医者にあるまじき身のこなしで襲い掛かっていたのだ。

 

「ちっ! エドニアなんぞに来るんじゃなかったよ!」

「おまん、ここまでやって来て泣き言ズラかい?」

「そうだよっ! オマエが敵に回るとは思ってもみなかったよ!」

 

 ニナの助けは無かった。彼女はブライアンにのされ、戦える状態では無かった。イナンナが刺した刀子に強力な魔封じが込められていたから、魔法が使えなくなっていたのだ。

 

 彼女は姿を現わしたエルザとオーラフに服を破かれ、抑え込まれていた。エルザはまろび出たニナの白い乳房を激しく揉みながら取り囲んだ兵士達に呼びかけた。

 

「やっちゃてこいつ! たっぷりと犯しちゃっていいから!」

 

 彼等はニナよりも、全裸で股から精液がこぼれ出て甘いにおいを放っていたエルザとオーラフを押し倒したかったが、ニーナの巨乳と美貌を優先した。下をよろっていない者から勃起を晒しだした。

 

「あ~れ~♡」

 

 悲鳴をあげるニナだが声は嬉しそうだった。これからはじまる輪姦に心を時めかせていた。兵士のうち1人が申し訳なさそうにニナにしがみつくと、エルザとオーラフに彼女を抑えてもらいながら人妻エルフの膣の味に酔い痴れだした。

 

 ニナをのしたブライアンはその場にいなかった。イナンナの助太刀しようと走っていた。顔がどこか悲し気だったのは、女エルフを味わう輪から追い出されたからだ。しかし今は楽しむ時では無かった。

 

 黒い刃を手に、彼はイナンナとヴァシルの間に飛び込んだ。もはや万事休す、というところで海から大きな花火が5回あがった。ヴァシルとダニェルの2人が、参った、と叫んで武器を投げ捨てた。

 

「……どうしたのでござる?」

「作戦中止の花火だべえよ、あれ。おれたち、撤退しなくちゃならねえだあ」

 

 座り込んで首を差し出す真似をするダニェルは、刃を突き付けるイズヴァルトに詳しく話した。

 

「今回の作戦、ギョートクヴィアが主でこっちは従、だべえよ」

 

 マリーヤが本当に欲したのは、ギョートクヴィアとその周辺地域だった。かの貿易港はエドニア海とバンドゥー河の流通の拠点であり、貿易港として大きな富を得ていたから十分魅力的だった。

 

 奪うにはまず、敵方の勢力を削がねばならない。マリーヤはヌマタラシュクの大族長・ギタナスに多額の貢物をし、最強の『七本槍』全員と、獰猛な支族からなる1000のエルフ兵を寄越してもらった。マリーヤはそれを用い、アーワン国を野戦で破った。

 

「だからアーワンが退いたのでござるな?」

「そういうことだべえよ。で、おれたちは野戦でこてんぱんにしたべえよ」

 

 そうして今の作戦に至るというわけだ。ただ、マリーヤは野戦の快勝に増長してしまった。エドニア王都の喉元を脅かす奇襲作戦を攻略作戦に切り替えた。

 

「おれたちヌマタラシュクの衆をぜーんぶ、こっちに振り分けたってわけだべえよ。一番脆そうなウラクタは、ギタナスさまの弟さまが大部分を率いて乗り込んだだぁ。で、おれとニナとヴァシルは、この台場とシナガウで引き付ける手筈だったべえ」

 

 3人が台場を制圧したら、沖にいる海兵隊が占拠して一緒にシナガウを落とす。王都は大混乱に陥り、内応していた貴族と呼びかけあってウラクタから上陸したエルフ衆を街に迎え入れる、という段取りだった。

 

「王都が落とされたらサガミニアとエドニア内陸の、マリーヤに内応した街が挙兵して、背後から襲い掛かるという計画だったべえよ」

「そっちは失敗に終わったでござろう」

「……内応者、みーんな捕らえちゃったかあ?」

 

 イズヴァルトはうなずいた。しかしカーマタはどうなのか。あそこはただの陽動だとダニェルは答えた。

 

「それでも、あっちには『七本槍』の残り全員がいるべえ」

「なんと! ……まあしかし、『ゆうしゃ』どのらがいるから余裕で押し返したでござろうな。残念でござったな、目論見は潰えたでござる」

 

 ダニェルとヴァシルは大人しく縄についた。しばらくして王都から知らせの者がやって来た。王都での反乱は鎮圧され、ウラクタでおこった戦いは少々の犠牲者は出たが防衛側が勝ち、敵大将を討ち取った。

 

「それはあっぱれ、でござる!」

「王都で起こった戦いも、イーガの方々が立ててくれた作戦で快勝しましたぞ! あのマレーネというお方はなかなかの策士でしたな!」

 

 マレーネは持ち金と大使館にあった金を住民にばらまき、武器をとって謀反人たちの拠点を取り囲ませた。身動きがとれなくなると投石砲や魔法で脅して降伏させたという。

 

「……ローラどのの入れ知恵ではござらぬのか?」

「あのかわいいおしゃぶりだるまさんのことですかね? 彼女は将兵達をはげましてましたよ。お口とおっぱいでちんちんを、しこしこと……あの方にそうされるとみんな、奮起しましたよ」

 

 イズヴァルトは少々残念だった。ローラの智謀を生かしてもらいたかった。

 

 夕刻になった。いまだ兵士達に輪姦され続けているニナの喜びの声を聞きながら、こちらにやって来るというローラを待って物思いに耽っていると、王都からの新たな伝令が現れた。カーマタの戦いの結果を知らせに来たのだ。

 

「カーマタでも我が方は撃退しました。勝利ですぞ」

「おお! それはなんとも喜ばしいことでござる!」

 

 しかし使者の顔は、少し曇ったところがあった。それからイズヴァルトに残酷な事実を伝えた。

 

「イズヴァルト殿のお味方の多くがお討ち死になされましたが……」

 

 喜びに満ちていたイズヴァルトとピピンの顔が凍り付いた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 カーマタの港町で起こった戦いこそが、一番熾烈を極めていた。カーマタの北側にある漁村部に上陸した『七本槍』と彼等が率いる兵士達は、家々に火をつけたり住民を斬り捨てはじめた。

 

 『ゆうしゃ』たちがいたのは漁村部と軍港の間の宿場だった。軍港を攻めると予想してあてがはずれたのもあったが、住民達の悲鳴を聞いて急ぎ駆けつけた。乱戦となり、戦いは血みどろの様相となった。

 

 マリーヤの兵士達は敵では無かったが、『七本槍』は別格だった。十文字槍を手にするエイオンを筆頭に、ヌマタラシュクの猛者達は若い英雄たちに、ここが自分達が住む世界であることを知らしめた。

 

 『ゆうしゃ』たちは次々と力尽きていった。とはいえ『七本槍』も決して無事には済まされなかった。序列第二位と恐れられるイヨネスコ姉妹こそ無傷だったが、第三位のエイオンは深手を負い、その下の者達はカーマタの砂浜で塵となった。

 

「そういうわけです。俺たちのほとんどが……」

 

 カーマタの軍港の診療所にて、イズヴァルトは生き残った4人の『ゆうしゃ』から、その話を聞かされた。

 

「……過信していた。この世界の連中の底力を見くびってた」

「あいつらはみんな、すすべもなくやられちまいましたよ。ダチのジャミトフとマレイは、この世界でも名を挙げたいと意気込んでいたのに……」

「いや、見くびっていたのは拙者の方だったでござるよ」

 

 イズヴァルトは強く反省した。ヌマタラシュクとの交渉の為、エルフの里へ連行されていったダニェル達に、自分一人では勝てなかったことは、自分の手には負えぬこの世界の猛者達が、どれだけたくさんいるかを思い知らされた。

 

「かたがた、申し訳ござらぬが……」

 

 イズヴァルトはここから先は連れて行けない、と皆に告げた。『ゆうしゃ』たちは涙ぐみながらも承諾した。それだけの過酷な死闘を経験し、心が折れてしまったからだ。彼等は療養の後、ヴァネロペに頼んであの街に帰してもらうことにした。

 

 かくしてイズヴァルト達は、まだ混乱の炎がくすぶっていたエドニアの王都へ向かった。そして東へと向かうことになるのだが、さて、その道中で何が起こるのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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