※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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幕間⑨・女王の臭気

 トーリ=カツランダルク。交合によるエナジードレインで、世界最強の魔力の持ち主とされる教主コーザの打ち破り、ホーデンエーネンに新たな時代を築こうとしていた女。

 

 トーリはホーデンエーネンの実質的な支配者になろうとしていた。でも、キファニアほか多くの亜人の代表者達は、トーリを『その程度の地位』で満足して欲しくは無かった。何せ、コーザを超える逸材だったからだ。

 

「魔界のやんごとないお方がご先祖にいる。となれば、世界の代表人になったほうが良いだろう。我らのような古い時代を生きた者が知る、『キンキ大陸魔族統治時代』の頃の様な平和を、全世界にもたらしてくれただろう、トーリ殿ならば」

 

 その人物の急な魔力低下とその後の謎の死で夢に終わったが、キファニアは強い憧れに向けるような強い視線を、大広間の天井に描かれている初代国王の壁画に向けた。

 

 初代国王とトーリを重ね合わせて見ているのではない。王の冠の上にひっついている、螺鈿のような色あいの珍しい甲虫に視線を注いでいた。

 

「あのタマムシみたいに……見せかけの宝石を散りばめた王冠の上に止まり、王よりも人々の目に留まる上位の存在……トーリ殿にはその様な『現人神』になってもらいたかった」

 

(確かに、トーリどのは恐るべきでござったが……どうでござる?)

 

 『司祭騎士団長』はその人物が身近にいた女に尋ねた。それができたでござろうか。

 

「トーリを世界の女王様に? やだなあ。この世がひどいヘンタイさんばかりになっちゃうよ。乱交はまだしも、『香道』みたいなもんを広められたら最後、この世界の品性はおしまいになっちゃうよ!」

 

 『香道』。チュバッカ=ソーローが初めたにおいを嗜む文化は、トーリの時代に大きく広まった。ホーデンエーネン内で広まっているだけでなく、今では諸外国のフォロワーによって、カントニアやサイゴークにも『家元』が生まれている。

 

 その内容だが、におい当てを主に行う。代表的なものとしては。『帯当て』』がある。

 

 『帯当て』は、1枚の洗わずにとっておいた月経帯をのにおいを嗅いでから、場にいてスカートをめくりあげ、陰肉を露わにした数名の女性参加者の股のにおいを嗅いで誰かを当てるものだ。

 

 女のあそこというのは大体、漁港臭かったり塩漬け干物を想像させたり、あるいは、馬小屋や牛小屋の臭気を優しくしたものが多い。

 

 そのよくあるパターンから更に、鱈を干したものをチーズに挟んだおつまみに似たにおいや、古くなった木材を水で腐らせた様なにおい、が混じる。『帯当て』ではその差異を事細かに分析し、並べられた生の女陰に鼻を近づけ、割り出していくのである。

 

「て、いうことをトーリはチュバッカに教わって、のめり込んだわけよ」

「『軍師殿』は昔から、1週間ぐらい洗わないと、チーズのにおいになるでござるな」

 

 チーズ臭が強いとはいえ、よく嗅ぎ分ければ果実を彷彿とさせる甘いにおいも混じる。久しぶりにぷわんと臭気が漂う、きったないまんこのにおいを嗅ぎたいと頼んだが、「かゆくなるからやだ!」と断られてしまった。

 

「しょぼん、でござるよ……」

「そんなことでしおらしくならないの。まんかすがびっしりついた状態じゃ舐められたくないもん。そういうきちゃない状態を楽しめちゃうの、せいぜいトーリだけだよ?」

「なのでトーリどのはこの世界の支配者になっちゃいけない、というわけでござるか?」

「うん。あいつはだめ。ぜったい」

 

 トーリがのめり込んだのは『香道』だけでない。自分のみならずシンパの女性の尻や性器に墨汁を塗って拓を取ったり、尿を混ぜた美容クリームの試作をしてみたりと、奇妙な性の求道を続けていた。

 

 ちなみに尿を混ぜたクリームは、幼い娘や赤子の尿を原料にしたほうが良いというのも発見した。

 

 あるいは、腹がとてもゆるい実妹がうんちをひねる姿の愛らしさを改めて確かめ、男の目の前でケツからにゅるっと出すのも、誘い方の1つとして定着させてしまった。

 

 『軍師殿』はあの女の「ろくでもなさ」を、とろんとした目つきのキファニアに語った。かくかくしかじかで、とてもじゃないが崇拝に値する人物ではない。

 

「むしろ、人格破綻者として一生座敷牢に閉じ込めときたいぐらいよ」

 

 それは言い過ぎだろうと『司祭騎士団長』は唸った。

 

「わからない」

「……何がです?」

「その趣味を否定する心が、わからないんだべえ」

 

 本心を吐露するあまり、ミナッカミニアなまりが出てしまっていた。『軍師殿』は認識を改めた。どすけべさでは淫魔とタメを張るエルフ族に、倫理というものを期待した自分が馬鹿だ。

 

「ちんぽこはまあわかる。『くっさい♡』ほうが私は好きだべえ」

「それはある程度同意できるけど、『くっさー!』なおまんこやお尻の穴のにおいまで好んで嗅ぎたがるのはどうかなあ。トーリは私のおまんこ、よく嗅ぎたがったし」

「いいや、おまんこのにおいを吸いたくなるのはよくわかるべえよ。あれは目が冴えるいいにおいがするからなあ」

 

 キファニアが言うとカタシナシュフのエルフたちも、「そうだべえ」と同意する。それどころか、パオレッタとマリアもだ。

 

(そういえば、ダフネちゃんとかエルフのおこさん達も、お互いのお尻の穴のにおいを嗅いでぴゃははー、と笑い合ってたっけなあ……。)

 

 そういう自分もダフネらに、うんちしたての尻穴のにおいを嗅がれたことがある。『においまでもがあかちゃんの乳くさいうんこあな』だとバカにされた。

 

 もちろん彼女たちの可愛いしりあなちゃんをすんすんしたり、おまんこと言うより『われめちゃん』と表せられるふっくらすじをぺろぺろしてやったりもした。子どもエルフのおまんこは、大体が香草みたいなにおいと味がした。

 

(あ、ええと……うーんと……。)

 

 キファニアに説く言葉が思い浮かばない。当の人物は玉座から立ち上がり、しゃなり、しゃなりとした歩き方で近づいてきた。『軍師殿』の眼の前に立つと、彼女の赤紫がかった瞳をじっと見て、鼻をすんすんと鳴らした。

 

「……いいにおいだべえ」

「ん、まあ。普段のにおいには自信はありますけど?」

 

 むかっ腹を立てたパオレッタが、後ろから軽く尻を蹴り上げた。においに自信が、というのは本当だ。『軍師殿』は常に、エルフの里で造っている香水を自分に振りかけていた。ちょっとだけだが。

 

 しかしそいつを、どうやって造っているのかまでは知らない。エルフの里らしく、ハーブのにおいを基調としているから、草木から抽出しているのだろうと思っている。

 

 『聖騎士』含む周りの者は、何が原料なのか知っているはずだが、彼女には話そうとしなかった。でも、いい香水なので穿ち聞くつもりは無かった。香水職人がタダでくれるというのもあるから、用いるだけで満足できたからだ。

 

「いつもツックイーのエルフさんたちの香水をつけているからね。おならぷっぷーですぐ臭くなるから、それをごまかす為に使っているんだけど」

「いいや。安物のにおいで騙されぬ。いいにおいを放っているのは……おまえさまの身体のあちこちだべえよ?」

 

 キファニアは『デカ乳だるま女』に抱きついた。化石みたいな歳とはいえ、かわいい美少女にそうされるのは悪い気はしなかった。

 

 首筋や脇のあたりをすんすんとやられ、「てへ♡ 照れるなあ♡」と呟くが、あろうことかキファニアは相手のでかい乳に顔を埋めて幸せそうに頬ずりをしだした。

 

「んはあ♡ いいおっぱいだべえ……♡」

「そこまでやっちゃだめだよ!」

「すまぬ。ごめんちゃい。ゆるしてぴょん……と謝ったところで、そなたについてわかった」

 

 サキュバスの要素が3でハーフリングの要素が6。残りはニンゲンとかエルフなど。パオレッタたちが何故かうなずいているのを見て、『デカ乳軍師殿』はどういうこと、と首を傾げた。

 

「つまりはもう一方の血のほうが強いって意味だべえ。ねーちゃんとは違うようだべえな?」

「なんかそれ、ツダサンチョーさんや魔竜さまに言われたなあ。わかるの?」

 

 うん。そう言ってキファニアはまた乳に頬ずりをした。ただし、と付け加えた。マリベーラねえちゃんとは別種のにおいだべえな。魔界に住んでいるほうのハーフリングのにおいがする。

 

「あざとさ満点のあっちのハーフリングのにおいだべえよ。おめえ様。人からよく、腹黒そうだと思われてねえべえか?」

「失礼な!」

 

 そこへ『司祭騎士団長』が肯定したものだから、『軍師殿』は義手で彼の背中を思い切り引っ叩いた。

 

「まあしかし、この香水はいただけない。お前さまの魅力をひどく減じてしまう」

「いいにおいがしているのに?」

「鼻の良い私からすれば、安っぽいにおいに他ならないのだが……なんかこう、平凡な淫魔のうんこのにおいが混じっているというか……」

「ん?」

 

 『軍師殿』はマリアの顔をじっと見る。この香水を薦めたのは彼女だったからだ。

 

「淫魔のうんちのにおいって……?」

「し、知らないズラよ〜」

 

 口笛を吹き出す彼女に、『司祭騎士団長』は何を思ったのか、とうとう知っていたことを口にしてしまった。

 

「『軍師殿』がお使いになられている香水でござるが……里で強制労働に従事させられているサキュバスどのらが尻からひねったものが原料でござるよ……」

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 ツックイーのエルフの森の奥に、香水の工房がある。

 

 そこではエルフのシマに入り込み、目をつけられボコられて奴隷となったサキュバスたちが、魔法防壁を重ねがけした部屋に監禁されていた。

 

「うへえええ……」

 

 彼女たちはげんなりしていた。この十数年、この部屋から一歩も出されていない。『げーむうぉっち』や『エロ絵巻物』といった娯楽は提供されるが、魔力の源となるおちんちんがついた生き物は週に1度しかあてがってくれなかった。

 

「ちんぽ。ちんぽがほしいのー」

「ねえ、お願い。ここから出して。こんな生活もう嫌よ!」

 

 彼女たちの頬はやつれている。けれども身体はそれほどでも無かった。誰もがぶよん、とした肉を腹と太ももにつけている。とはいえ、どうにも肌が不健康な青白さで気味が悪い。

 

 全裸の彼女たちは不平を垂れながら、何度もクリアした『げーむうぉっち』をぽちぽちとやったり、自分たちの愛液のシミがついた『ポルノ絵巻』を見ながらまんこをガシガシとこすって時間を潰していた。

 

 そうして食事時になると、鉄でできた分厚く重い扉が開くと、大量の料理を載せたワゴンを押すエルフたちが部屋に入って来た。

 

「はーい。餌の時間ズラー!」

「今日のお昼もオラたちが腕によりをかけた、ツックイーの郷土料理ズラ!」

 

 出されたのは大量の黒麦パンと具だくさんのきのこのスープ。それと魚や肉の香草焼きである。テーブルに並べられると、サキュバスたちはガツガツと食べだした。刺激の少ない虜囚生活において、飯は大きな娯楽の1つとなっており、舌が無性に疼くからだ。

 

 彼女たちは舌鼓を打つ。そして腹いっぱいになる。だが、その料理には便意を促す薬が混ぜてあった。1時間もすると、彼女たちのお腹はぎゅるぎゅると鳴り出す。

 

「ふえええ……」

「も、漏れちゃいそうよ」

 

 部屋にはそれ用のおまるが常に確保されていた。彼女たちは部屋の奥にある風呂場に置いてしゃがむと、はねっかえりに気を使いながら、ぶりゅぶりゅ、ちょろちょろと出した。

 

「ああふっ……♡」

「おおっ♡ おおっ♡」

 

 色っぽい声が響くのは、サキュバスの直腸と肛門と尿道が彼女らのクリトリス並みの感度があるだ。とはいえ痛覚までは至らない。ついでにぐにゅりと動く女陰から、膣分泌液をおまるに垂らすと、人数分の「ふい〜っ♡」という安堵の声が重なった。

 

 彼女たち全員が腸の中のものをひねり出した時を狙いすまして、エルフたちがワゴンに換えのおまるとおやつの果物をのせてやって来る。風呂場にいた彼女たちから汚物が盛られた桶を譲り受けると、それを載せて工房へ向かう。

 

 工房にはたくさんの濾過装置と蒸留器が設けられていた。エルフたちは、まんこがびちょびちょになりそうなくっせえにおいズラ、と笑いながら汚物を投入口に放り込む。

 

 それから森や畑で採れたばかりのちぎった薬草を放り込み、炎の魔法を使う役目の者に命じて火をかけさせた。

 

 20分後、工房の煙突から、ぽっ、ぽっ、と煙が出てくる。空を飛ぶ鳥たちの中でそいつを吸い込んでしまったのは、ぴいぴいと鳴きながら木に止まり、相手を変えながらの交尾をしだした。強烈な催淫効果がある煙なのだ。

 

 ちょうどその頃に蒸留器に液体が貯まる。マスクをつけたエルフがツボを持ち、備え付けの蛇口の栓をひねって精製された液体をツボの中に注いだ。

 

「でけた!」

 

 これこそが、『軍師殿』が用いていたエルフ秘伝の香水である。十分香りが良いのだが、原薬だ。このままだと香水よりもサカり薬の度合いになるので、ツックイーの小川の精製水で薄めていく。価格も薄めた度合いで変える。

 

 実を言うと一滴の原薬だけでも、ニンゲンならば十分に効果があったのだ。しかも彼女たちが監禁しているのは下層のサキュバスばかりである。それよりもっと上のだと、一滴で樽一杯の水を強烈な『人造フェロモン』に変えてしまう力が備わっているのだ。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

「んぐ! ふんぎぃいいっ!」

 

 事情を知った『軍師殿』はマリアの首を締め上げた。しかし義手かつ大した力が籠もっていないので、やられているマリアは平気な顔だ。

 

「へんなもん薦めないでよ!」

「んー? 変じゃないズラよ。おめえさんにあげたのはあん中でも上等な代物ズラよ」

 

 原料がとにかくいい。エルザとオーラフが原料の生産元だ。頼んで里に滞在していた時に出してくれた、十数日間分の排泄物から精製されたものは、とんでもない出来の香水となった。

 

「おめえさんにあげた試供品以外は、ぜーんぶ売れさばけちまったズラ。ダフネさんのおてがみによると、イーズィのおなごども、あれをつけてぶいぶい言っているみてえズラよ?」

 

 なかなかの売れ行きで、エルフ達はエルザとオーラフと正式な契約を結んだ。これから彼女たちが放つうんことおしっこは、転移魔法でツックイーの里に送られる。

 

 また、その手の精製に使う蒸留器はカイロネイア=エルフの里にもあるので、コンゴウアミダラデンとパイプを持つ彼女らは、女魔族の排泄物を買い取る為の交渉を魔竜と始めた。魔竜は渋っているが、金やエルフ達の『自慰用コンテンツ』に目がくらんだサキュバス達が、ものすごく乗り気になっている。

 

「ものすごくきちゃない話だなあ……」

「きたなく無いズラ……生きとしいける者の何でも使うというのが、オラ達精霊人の流儀ズラよ」

 

 マリアはキファニアをチラと見る。彼女はこくりとうなずいて、心に秘めていた夢を語った。

 

「となれば淫魔の女王の一族に連なる、トーリ殿の尻穴からぶりゅりゅと垂れたものは、世界屈指の香木を超える香気を放ったことだろう……」

「それはないよ。トーリのうんち、本当の本当にクサかったもん。あんまりサキュバスさんの身体に変わっていなかったと思うよ?」

「そうなのか……」

 

 キファニアがしょんぼりとした顔を見せたので『軍師殿』は安心した。よもや、代わりのものを寄こせとは言ってこないだろう。道や叢に落としたものを勝手に持っていくのはかまわないが、面を向かって求められるのは嫌だったからである。

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