聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
『インテリ肉便器だるま』の身体とテクニックは、領主に一生モノの力を与えてくれた。膣二毛作詐欺師への抵抗力である。
男を徹底的に夢中にさせ、なおかつ自分も楽しむという彼女の自然な性愛というものは、相手を多少の雑音では動じさせない悟った者に近づかせる、何かがあるのだ。
まあつまり、純金を知ったら金メッキが物足りなく見える、みたいなもの、とも言えるのだが。
「あ〜♥ このだるまちゃん、何もかもが最高すぎてたまんねえ〜♥」
思わず本心を口に出してしまう領主に、『司祭騎士団長』は満足げにうなずいた。博識や経済に関する才はさることながら、人の官能の夢が詰まった『軍師殿』の身体を自分一人が独占するのはもったいない。
(『ぐんしどの』はみんなを愛しみんなに愛されるべきでござるよ。そのような光り輝く女人をめとった拙者こそ、一番の果報者でござる。)
そんな殊勝っぽいことを考えて悦に浸るが、この男はそんな人格者では無かった。
他の男に抱いてもらい、「僕だけの肉便器あかちゃんにしたいよう!」というようなことを叫ばせるのが、実にたまらない。ぞくぞくとしてしまうでござる。
この男も欲が深いのだ。だから10年近く、1人の女を思い続けることができた。他の女たちを腹ボテにしても、本当に乞い願っていたのはこのような日々であった。恋慕と執着を、紙一重にしている男である。
「むは〜っ♥」
領主殿は恍惚とした表情を浮かべていた。『軍師殿』の女肉の海に溺れきってしまったのだ。脳内麻薬が過剰に分泌され、陰茎の勃起は収まらなかった。
『軍師殿』を寝かせてその上に乗った格好の領主は、彼女の中でぐい、と動かしながら頼み込む
「も、もういっかい、いいですか?」
「うん、いいよ!」
「やった……うおっ♥」
彼女の身体から放たれる匂いと抱き心地に欲情を刺激されながら、結合部をぐぽぐぽと鳴らしだした。
いささか度が過ぎているように見受けられた『司祭騎士団長』は、股間を掴みながら領主と『軍師殿』の情交を眺め見ていた彼の子息に尋ねた。
「……なんだか、おまんこに取り憑かれ過ぎているように見受けられるでござるが?」
「気づかれましたか、元・聖騎士殿。父上がああまで膣ボケになっておられるのは、困りごとを抱えているからなのです」
領主の子息は語る。主君・オーダレイオス二世が阿呆な野望を持ち始めている。
「メルビナ姫様のお諌めを聞かずに、クボーニコフとダテーゾフに、軍事同盟の使者を出してしまったそうなのです」
「な、なんだって! んなこと聞いてなかったべえよ!」
声を上げたのはキファニアだった。
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海を隔てた遠い国と軍事同盟などとは、いったいどういう了見なのか。
領主の倅に話を続けてもらうことにした。
「陛下はヒッターチを滅ぼしたい、と仰せでした」
彼は缶詰の中身を魔法の温め機で『チン』しただけの料理を口に運び、かみ砕く。健啖家の『司祭騎士団長』でも「まずそう」と思えてしまう表情が浮かんでいた。
「……無理でござろう。軍隊の練度と武装が違う。そもそも、外征向けの黒馬騎士団はここ最近は1万にも満たぬ、と聞いておるでござるよ?」
ツックバー国には3つの騎士団がある。
篭城や防塁と築城の建設を主とし、防衛戦闘を主軸とした白馬騎士団。
国内の警察的役割と戦時での斥候や偵察、あるいは諜報活動に従事する灰馬騎士団。
最後に、事あった時の外国への遠征を担う黒馬騎士団である。
ツックバーはこの10年、戦争を仕掛けたり仕掛けられたりしていなかった為に黒馬騎士団の比重を下げていたのだ。当然、城攻め用の兵器にかける予算もケチっていた。
「だとしてもできるはずだ、とオーダレイオス陛下はおっしゃるのです。防御兵器を用いた攻撃戦術を編み出せみたいなことを、やかましく仰せられまして……」
「妄想そのものでござるな。しかしヒッターチを攻めるというのは何の理由があってでござるか?」
領主の子息は目を伏せながら言った。
「ヒッターチと北部の草原地帯を巡って争っているウツノミーアに吹き込まれたからですよ。あの国は北の海域の権益を巡って、ダテーゾフと仲が悪いアイヅバルドとも争っておりますからね」
『司祭騎士団長』の隣にいたキファニアが付け足す。オーダレイオス二世はウツノミーアの諸豪族から5人の姫をもらい受け、側室にした。そのうちの1人が丈夫な男児を産んだ。今年で5歳になる正式な跡継ぎだ。
「前にも後にも男児は生まれたが、その子が一番長生きするだろうと占いで出た」
「ならば致し方ござるまい。メルビナどのも関わっているでござろうか?」
「メルビナは正妻となったがまだ子は産めぬ。思慮深い重臣たちの意をまとめて国王に助言をしておるが……愚かすぎる相手だと説き伏せるのには手こずるらしい」
オーダレイオス二世は凡庸どころか愚物だ。少年の頃は『げーむうおっち』と近侍の女達を妊婦にすることだけしか興味が無かった。今はそれに、ツックバー神聖帝国の栄光ある歴史に、どれだけ大きな名を残せるかと夢想している。
この皇帝に、亡き父・ハッタールの様な豪傑ぶりや聡明さを望むことはできなかった。
「宴なんかにうつつを抜かせられぬでござる! 『軍師殿』!」
乗りあがった領主におっぱいをちゅうちゅうとやられながら、奥深いインサートを受けている最中の『軍師殿』が振り向いた。
「あふっ♡ ちゃんときいてるよっ! とにかく皇帝のところに急がなくちゃ、だね!」
だるま女にしがみつき、腰を止められない領主は、ピピン王子の手で無理やりに引きはがされた。まだやりたがっていたがペニスはとっくに泡立った精液まみれだ。4発も『軍師殿』の膣に放っていた。
「身体をきれいきれいしたらオダキソフィアに向かうでござる! ご子息どの、急ぎ馬車の支度をお願いしたい!」
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オダキソフィアのメルビナは困り果てていた。円卓を囲む王国の重臣衆や黒馬騎士団の首脳らと、鎮痛な面持ちで前を見ていた。
卓の上には、山積みになった書類があった。各地の行政官や兵団からの報告書だ。
頭が痛くなることが書かれていた。役人や兵団の若手、特に、家格が低いのを中心に、「ヒッターチ討つべし!」という声があがっている。そこそこのぼんぼんでも彼等の熱意にやられ、支持する者が増えている。
「はあ……ヒッターチがどれほどの強豪か、知らぬ者はおるまいに……」
メルビナは頭を抱えたきり、手が額から離せない。ヒッターチ単体であれば絶望的だろう。今から国民皆兵制にしても勝てる見込みがない。
しかし外征の熱烈な支持者が「勝てる」と見込むつてがあった。ツックバーと同じぐらいの人口のウツノミーアと、ヌマタラシュク地方で隣接する大陸最大の国・ウマヤーノだ。
ウマヤーノは元々、ツックバーの植民地だった。共和国制をとっているが支配階層は帝国の貴族衆や王家に連なる庶流。ツックバーへの忠誠心があった。
それと、ウマヤーノはダテーゾフの盟友・クボーニコフ及び、その衛星国らと軍事同盟を結んでいた。ミナッカミニア地方のエルフ達への牽制の為にである。どの国もエルフにとって手ごわい敵である、オーガの部族を擁していた。
会議の中にいた一人、オカミベール伯が皺だらけの顔をメルビナに向ける。彼女の兄・スガヤツク伯と並ぶ帝国の重鎮だ。
「陛下を愚かな交尾バカだと思うておりましたが、いろいろと勝ち目を見出しておりましたわけですな?」
「そのよう、じゃな」
「しかし今は亡きハッタール殿下であれば、『勝てた』でしょう。陛下には『勝った』後の理想が無い。目的無き征服は身を亡ぼすことになりましょう……いっそ」
皇帝にささやいたウツノミーアからの側室たちを毒殺すべきでは。オーダレイオス二世が言い出したのも、彼女達に説き伏せられたからだ。
「しかしそれでもお心を変えていただかなければ……」
黒馬騎士団の団長が腕を組んでつぶやいた。陛下を害し奉らねばなるまい。
「……それだけはならぬ」
メルビナはいさめた。皇帝の正妻としての立場ゆえにだ。本心は違った。甘い言葉に流され過ぎな現皇帝をさっさと退位させ、幼いオーダレイオス三世を即位させたい。
妻妾は国内の者だけにし、他国から余計な口出しをさせない仕組みを作りたい。この国のあるじは兎角、諸外国の陰謀家に騙されやすい。ウマヤーノを手放したのも、その時の皇帝が計略に引っかかったからだ。
「さて、皆々様。陛下にはこれらの報告書をお出しせず、我らの諫めの言葉を連ねた血判書を奏上つかまつろうと思われるが、如何か?」
メルビナが呼びかける。この会議の席では筆頭だからだ。ハーフエルフとしては、まだ生理も始まっていない小娘の年頃ではあるが、皇帝の正妻という地位は重臣を超える権限があった。何せ、帝国で三番目に偉いとされているのだ。
「御意。このスガヤツク、皇后陛下に従い申す」
メルビナの異父兄が懐のナイフを卓の上に出す。皆がそれに倣った。メルビナの侍女が諫言書をもってやって来た。メルビナもまた、腰に差してあった懐刀を抜いて左の人差し指にあてた。
ミスリルの鋭い刃を引く。傷口から血がにじみ出て、血判を押そうとした時に扉が開いた。
「皆で集まって、何をたくらんでいる!」
皇帝の声だった。振り向いたメルビナの瞳にでっぷりと太った若い男の姿が映っていた。
口のまわりに無精髭を生やし、眼と眉は垂れさがっていて力が感じられない。荒淫のせいか、肌は荒れて前頭部は禿げあがっている。オーダレイオス二世だ。彼は近衛の騎士達を従えていた。
「これはこれは、我が背の君ではございませぬか?」
立ち上がったメルビナが床に両ひざをつき、深々と頭を下げた。オーダレイオス二世はそれをにらみつけ、絨毯の上につばを吐く。
「まだ子を産めぬ小娘が、背の君などと片腹痛い。余はお前を正妻とは認めていないからな。もう既にその座は他の女のものだ」
その女とは嫡子を産んだ。ウツノミーアからの姫のことだ。まだ子供のメルビナよりも頭1つ背が高く、胸についているものはたわわだった。多少、金色エルフの血が混じっていた。
「なんとご無体な。妾が血と肉で繋いでいる、カタシナシュフの深き絆のこと、お忘れでございますまい?」
「ミナッカミニアの女王頼みか。メルビナ、それこそが余が一番嫌うところぞ……さて」
この会合が何の集まりかを聞かせてもらおうか。メルビナは傍にいた侍女に目くばせをした。
諫言書を受け取った皇帝はたどたどしい様子で読み進めると、目を怒らせて叩きつけた。
「皇帝に指図をするつもりか、貴様らは!」
オーダレイオスが右手をあげた。彼の傍にいた騎士達が剣を抜き、卓を囲む重臣らににじり寄った。
「陛下、これはどういうお考えか!」
「我らを害するおつもりならば、取り返しのつかない報いを受けることにあいなりましょうぞ!」
「お気は確かか! 他国に攻め入る前に内紛で、1000年以上続く帝国を滅ぼされるのか!」
オーダレイオス二世は苛立った。どの重臣も将軍らの言葉も、阿呆なことをする子を叱る様な言い方をする。
(かれこれ10年も……余を愚弄しおって! メルビナもだ!)
皇帝は騎士達に命じた。メルビナともども牢にぶち込め。
「3日のうちにこやつらをまとめて斬首に処す。メルビナもだ。正妻の席からは除く。都度都度、カタシナシュフの意向を聞かされるのはうんざりじゃからな」
メルビナは面をあげて皇帝を見据えた。妾の真心がわかりませぬのか。呼びかけても皇帝は答えなかった。彼女はこれからやろうとする事業において、邪魔そのものだったからだ。
「メルビナ。母親が仇討ちしてくれると思ったら大間違いぞ。余にはオーガの戦士がついておる。そしてウマヤーノとウツノミーアの武者達もだ」
「まさか……ウマヤーノをエルフがもちたる国になさるおつもりで?」
ミナッカミニアは、それができる軍事力があった。皇帝は嗤った。
「余は、ヌマタラシュクと手を組もうと考えておる。ギタナス大族長にも何度か使者を出した。ウマヤーノにいる旧臣らに頼んでな」
メルビナの顔が凍り付いた。皇帝はミナッカミニアに争いを起こすつもりだ。
カタシナシュフとヌマタラシュクはこれまで何度か、土地を巡っての小競り合いを起こしていた。正直それほど仲は良くない。第三勢力のナエバニアはカタシナシュフ寄りだが、情勢が変わればヌマタラシュクにつく可能性があった。
それから、ウツノミーアはヌマタラシュクの影響が強い。大領主のうち何名かはヌマタラシュク=エルフの出だ。
ここでメルビナは気が付いた。背後にはきっと、ヌマタラシュクが動いている。ウツノミーアを陰で動かし、クボーニコフとダテーゾフとの密約を結ばせたのだ。
「……きっと、大きく後悔なされまするぞ?」
「なんとでも言え、半亜人め」
メルビナを見る皇帝の眼は、とても冷ややかだった。