※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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169 ヒミスヴィークの戦い 上

 その男は蒸し風呂の中で、金髪の女エルフに己のものをしゃぶらせていた。

 

「ふふ。うまいぞ……」

 

 舌と唇で絡め取るフェラチオだ。女は思い切り大きく口を広げてしゃぶっていた。40過ぎに見えるその男のものだが、並のニンゲンのペニスよりだいぶ大きく、太ましかった。

 

 それを吸わせて悦にひたる。数千年生きるエルフの吸茎術は、妻や妾どころかそのへんの娼婦では味わえない秘術そのものだ。口元の肉がやや薄いきらいがあったが、それ以上に技巧で楽しませてくれる。

 

「おおお……もうそろそろ出すぞ」

 

 相手がうなずくのを見ると、男は盛大に放った。尿道の揺れが7回訪れ、その後に心地よい疲れを覚えた。

 

 女エルフはそれをあまさず飲み込んだ。置いていた瓶に口づけて湯を飲むと、まだそそり立つ男のペニスにまたがってきた。湯気の中でも明かりでかすかに見える、金色の薄い陰毛だ。男はつながりが開始されるのを見物する。

 

 襞肉が亀頭をくわえ込み、膣洞が男根とあわさりに来た。しっとりと濡れている中だ。奥まで入ると、女エルフはうれしそうに微笑んだ。それから粘着質の音が聞こえ始めた。温かな生膣が、口と舌に負けずに絡め取りに来ていた。

 

「おおう……おおう……」

 

 たまらない。女エルフの腰使いはニンゲンの女のそれよりリズミカル。これを経験してしまうと、もう普通の女は抱けない。

 

 いいや、エルフだけでない。ドワーフやゴブリンの女達も言える。彼女たちは皆、貪欲だ。1発の射精じゃ離してくれない。必ず、きんたまの中身がすっからかんになるまで求めてくる。忘れてはならないが、女オーガも火が付くと、彼女たちに負けないぐらい貪るものだ。

 

「たまらん……驚くほど締まりが良いぞ」

 

 快感にまみれているそのペニスを、下の口で味わっている女も同じだった。

 

「……ふうん♡」

「お前も気持ちよくなっているな?」

「そ、そうだべえ……♡」

「感じやすくて欲しがりや。お前の種族を知ると、ニンゲンの女なんぞ抱けなくなる……」

「そんなこと言っちゃ、だめだべえよう♡」

 

 快楽でとろけきった笑みを向けながら、女はゆっくりと腰をグラインドさせる。その心地よさに亀頭からぴゅっ、と残り汁を押し出してしまった。けれども本発射はまだまだこれからだ。

 

 男は汗と温水に濡れた、女の乳房を見る。腰を動かすたびに重そうに揺れていた。そこが大抵、薄っぺらいエルフ族にしてはやや大きめだ。純血種ではなく、別の種族の血が混じった混血児だった。ムーツに住むエルフは皆そうだ。カントニアにいるような、『少女みたいな体つき』のそれは、滅多にお目にかかれない。

 

「腰を動かすな……吸っていいか?」

 

 相手は恥ずかしげにうなずく。右胸の桜色の乳首に口づけた。柔らかいそれの魔力に逆らえず、鼻も押し当ててしまう。挿入しながらの授乳は、たまらない。

 

「総監殿!」

 

 蒸し風呂の扉の向こうから、武骨そうな野太い声が響いてきた。男は授乳を止めた。

 

「何だ! 俺が風呂に入っている時に話しかけてくるな!」

「急ぎお支度なされませ! 緊急の軍議を行いたい!」

「……もう5分待て!」

 

 その男、クボーニコフの武将であるエフゲニー=トザワフスキーは苛立ちを覚えながら女を抱きながら起き上がった。屈強な体格で女の体を抱え、脚を広げさせながら乱暴に突いた。5分もいかぬ時間で果てた。

 

 女の体を離し、椅子に座らせてやると女芯からこぼれ出る精液を見ながら呼びかける。

 

「先に出るぞ」

 

 扉を開けると声の主が待っていた。ユーリポフ王国の武将、イヴァン=ニシメーリンという若き男だ。痩せて小柄だが、勇猛ということで評判だった。エフゲニーはまだ血が集まっているペニスをぶらんとさせながら、かの男を睨みつけた。

 

「出たぞ?」

「あいも変わらずご立派で。急ぎ服をお召しになさいませ」

「言われなくてもわかっている。しつこい」

 

 エフゲニーはいつも部下たちにやるみたく、イヴァンを殴ってやろうかと思ったがそうはできなかった。彼の額の上に生えたツノを見てだ。イヴァンはオーガとして産まれたのだ。

 

(俺も、父と母が逆だったらな。)

 

 エフゲニーもまた、オーガの血が流れている。ただしオーガは母だった。あの種族の力はそれなりに引き継いだが、ツノが生えた者には勝てなかった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 エフゲニー=トザワフスキー。クボーニコフの貴族であり武将である。とはいえ海軍ではなく陸軍のだ。トザワフスキーは北部の内陸側に領地を持っていた。

 

 歳は62。40代に見えるがれっきとした老武将のたぐいである。とりあえずは『歴戦の武者』と言ってよい。パラッツォ教団との戦争以外にも従軍の経験があったからだ。彼が武名をあげたのは、この40年から10年間続いた、アイヅバルドとの紛争である。

 

 その当時クボーニコフは、大陸の脊梁山脈の南にある小国、モガミコフとヨネザワールシュタットを狙っていた。両国ともに国の名と同じ名前の小さな盆地を領地とし、東のワターリと西のクボーニコフ及びユーリポフ13王国に挟まれ、去就に迷っていた。アイヅバルドはヨネザワールシュタットの南に隣接していた。

 

 クボーニコフは、海軍は『世界最強』と自称できても陸軍は凡以下だった。けれど属国のユーリポフ13王国などから兵力を動員し、モガミコフとヨネザワールシュタットの実効支配を目指した。アイヅバルドは救援要請を受けてこれに対抗したわけである。

 

 アイヅバルドはムーツの内陸部で最大の人口と耕地面積を擁する大国である。それ以上の大国、と言われたクボーニコフだが、属国の助けを受けても大苦戦した。戦争は初期段階での2度の大会戦でクボーニコフ側の劣勢、が決まった。

 

 けれども、この国は諦めずに散発的な戦闘を繰り返した。散発的だが、延々と続く戦いが10年も。エフゲニー=トザワフスキーはその戦争の中で武功をあげた。オーガの戦士の首も、2人、3人と挙げたこともあった。

 

 彼はイヴァンの前で支度を始める。下僕に体を拭かせ、連れてきた妾の1人にゆったりとした衣を着させた。

 

 オーガ族がまとうかけて帯で縛る『きもの』に、綿や毛を入れて厚くしたものだが、彼らがよく着るものとは少し違う。腿や膝までの丈ではなく、足首までの長さがあった。ただ、後ろが腰のところで真っ二つに断たれていた。

 

 腰を帯で縛り、両脚の太ももと脛にベルトをかけて止める。股間は何もつけない。ヒッターチ地方の騎馬武者や遊牧民のように、しゃがむと尻と前が割れて丸出しになる仕組みだ。

 

 こうするのには理由があった。戦場で素早く用を足す為にと、急に催した時や強姦の時に、手早くイチモツを出せるようにである。ちなみにだが寒さに強いオーガ族は、男も女も下着を履かない。短い丈の裾を広げればすっぽんぽんだった。

 

 その様なかたちの服を着せられると、今度は毛皮でつくった上着を羽織った。それから厚手の靴下と鉄板がついた沓を履き、すね当てをつける。ムーツ地方の戦士がまとう肩と腰を覆う甲がついた『胴丸』を身に着け、小手と首筋を守る喉輪護りをつけさせた。兜は出陣の時にまとうものだ。

 

「準備ができた。軍議を始めよう」

 

 エフゲニーはイヴァンに呼びかける。風呂場からほど近い部屋にもうけた会議場に入った。居並ぶ武者らの武装はまちまちで、エフゲニーのようなムーツ流だったり、カントニアのミナッカミニア=エルフが着る銀色の鉄甲冑だったりした。鎖帷子に簡素な胸甲といういでたちのもいる。

 

「総監殿が来られましたぞ!」

 

 イヴァンが呼びかけると彼らは椅子から立ち上がり、深々と一礼する。この場では彼がトップだった。エフゲニーはクボーニコフ王より大命を授かっていた。

 

 総監。ノトゼタシア全島に展開する、ユーリポフほか属国衆による植民軍の統括者だ。実際に指示をすることはあまりなかったが、トップとして君臨し、クボーニコフ王の意向を彼らに伝えていた。

 

 エフゲニーは最も上等な椅子に座り、何を話していたのかを聞いた。教団軍の南側を攻める軍団が迫っていることは知っていた。『皆殺しオルランドゥ』が率いる2200人だ。オルランドゥがどこの誰だか知らぬが、調子に乗っている小僧だと思っていた。

 

「我が方には2000いる。しかもオーガが5人。エルフが3名。あいのこであれば俺を含め、20人以上だ」

 

 亜人の戦士1人を100人力と考えれば、こちらには3000を超す兵がいるのだと総監は咆えた。

 

「軍議は会戦のやり方にだけにいたせ! パラッツォの弱卒、寄せ集めの烏合の衆などすぐに蹴散らしてくれよう! 諸君にはこの、エフゲニー=トザワフスキーがついているぞ!」

 

 その場にいたクボーニコフの武者ら数名だけは、歓声をあげた。しかし属国衆の武者らは黙りこくっていた。数こそ少なかったが、亜人の戦士がいて守りも万全だと思われたあちこちの集落で、その烏合の衆により撫で斬りが行われたからだ。植民地にいた亜人らは皆、属国衆の民だった。

 

「総監。野戦で決するのはやめましょう。港に引き入れるのです」

 

 そう答えたのはイヴァンだ。糧秣と女子供を船に逃がし、港の外の丘や森に、少しの兵を潜ませる。

 

「それから、港のあちこちに築いた防御施設を盾にして、相手を消耗させましょう。疲れ切った時に潜ませた部隊に呼びかけ、挟撃をかけるのです」

「イヴァン。そのやり方は駄目だ」

 

 総監は一蹴した。それから理由をつけた。ムーツの戦士は一騎当千の武人ばかり。たかだかエチウの農兵相手にまわりくどい作戦を仕掛けはせぬ。

 

「そんなことをして勝っても、末代までの恥になるぞ、イヴァン=ニシメーリン!」

「ですが、『皆殺しオルランドゥ』という男、かのホーデンエーネンの『女王』の嫡子、という話がございますから……」

「淫魔の術を駆使する魔道王妃だったという噂だな! だからなんだというのだ! 魔法が効かぬオーガのお前が、魔道の使い手に臆したか!」

 

 エフゲニーはイヴァンを罵倒した。その額のツノは飾りか? それこそが魔道による火柱や飛んでくる氷弾を雲散霧消させる験力を持つ、オーガ族の象徴にほかならないだろうが?

 

「ですが、私を含めた5名以外は……」

「猛者揃いのユーリポフの武人の意気込みはどうした? そもそも貴様は、偉大なる海賊王チアン=カイシェックの末裔ではないか? 俺は内陸のオーガの血が流れているが、貴様は侵略と略奪を伴いながら四海に覇を唱えた、あの英雄に顔向けできるのか? 臆した今となっては?」

 

(……そんなものは、知らん!)

 

 祖先のことなどどうでもいいだろうとイヴァンは思った。チアン=カイシェックによる大海賊時代はとっくの昔に終わっている。それから同じ末裔の者ばかりがいるクボーニコフにも苛立ちを覚えていた。海賊王の子孫を自称しているのに、ムーツの全沿岸部を支配できていないのはどうしてだ? それこそが祖先に顔向けできない、無能な子孫である証拠とも言えるだろうに。

 

「……まあ、貴様の意見も取り入れてやろう。船に一旦、女子どもたちを逃がせ。乗せる1隻と護衛の2隻を沖に出せばよいだろう」

 

 ヒミスヴィークには200人近くの、武者たちの妻妾や子どもたちが移り住んでいた。エフゲニーのこの決定に属国衆の者らは喜んだ。実のところ、いつでも逃げられるように準備をさせておいてもいた。

 

 話はまとまった。港の西にある平地で正々堂々と会戦だ。挑戦状を送りつけるのはクボーニコフの武者数名。問題はオルランドゥが応じるかどうかである。

 

「……そこまで心配してなんの意味がある?」

 

 エフゲニーは自信たっぷりと言い放った。

 

「逃げたら追いかけて殺せばいい」

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 敵方は野戦でことを決するようだ。船も何隻かが沖合に出ようとしている。港に潜ませた経典の巫女からの話を聞き、オルフレッドは司祭騎士らに尋ねた。

 

「……この動き、どう思う?」

「野戦での決戦。逃がそうとするのは女子供でございましょう」

 

 皆が大抵、そういう推測をした。だが、オルフレッドは違った。

 

(野戦でなんて嘘だろう。先回りしてあちらこちらに伏兵を置いているに違いない。周到な準備を施しているはずだ。これがもし、イズヴァルトなら……。)

 

 堂々と野戦に応じるだろう。そして敵方の総大将をひっ捕らえて、おしりぺんぺんをやるに違いない。だが、自分にはそんなことができる、圧倒的な武力は無かった。

 

(それと、沖に逃そうとする船には、投石砲が積んであるんじゃないのか?)

 

 だったらこう考えられる。打って出てこちらをびびらせ、港に引き入れようとする。港はたぶんもぬけの殻だ。そこを停泊する船に拠った守備兵が弩を打ち掛け、沖合に出た船団が投石砲を放って攻撃してくるだろう。こちらがたじたじになったところで、一旦外に出た主力軍がとどめを刺す。そういう段取りに違いない。

 

(だったら、船を狙うべきか。)

 

 急ぎ出せる船は数隻あった。植民軍から奪い取った軍船だ。小型のものだが弩台などの兵器が備えられていた。腹は決まった。

 

「決戦に応じよう」

「……では!」

「でも、その前に僕は南の集落から船に乗り、沖合に出ようとする船を奪い、投石砲を港に向けて打つつもりだ」

 

 司祭騎士らは戸惑った。おおよそ4日かかりそうな作戦だったからだ。オルフレッドは早馬に乗って2日で終わらせる、と豪語した。

 

「使者が来たら、オルフレッドは疲れていてこの2日は戦場に出られそうにない、と答えておいてくれ。攻めてきたら構わず逃げていい。沖合の船を襲って手に入れ、港と停泊する船を壊せばこの戦いには勝てるんだ。信じてくれていいよ」

 

 司祭騎士らは信じられなかった。けれども、オルフレッドは彼らの疑念を無視して、十数名の部下とともに南に向かった。

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