聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
ロゼとジューンショーンは、初めて目を合わせた時に、お互いに感じるものがあった。2人とも、王族の中ではおとなしい性格だったから気があった。
食事とその後の食後休憩では好きな話題が似通っているのがわかり、話が弾んだ。王族同士が集まる自作の詩を読む会では、ジューンショーンが作ってきた最初の一節の、
「朝焼け。鶏が最初の一声を放つ」
と読むとロゼが、
「2つの蝋の灯火は消える前、ひとゆらぎして煙を束ね合わせる……でしょう?」
と言い当てた。
気質や好きな話題、感性が似通っていた2人は、たちまち互いを意識するようになった。そうなるとロゼのほうが早かった。彼女は5日目の晩、ジューンショーンの書斎を訪れた。彼は好きな詩集に目を通していた。
「こんな夜更けにどうしたんだい?」
「一緒に読みたい本があるのです」
ジューンショーンはロゼと一緒のソファに座り、彼女が携えて来た本を開いた。どぎつい官能表現ばかりの恋物語だった。
「これを一緒に読むというのは、どうかな……」
「お嫌ですか? わたしはいつもこれが気に入っておりますのに。寝る前にいつも目を通しておりますわ」
そうなのか。中身に目を通して読み進めると、段々と淫欲がもたげてきた。それはロゼもだった。外に衛兵が立っているが、書斎にはこの2人以外はいなかった。
ロゼがもたれかかってきた。抱きつくと、彼女に愛おしさを感じていたジューンショーンはそのまま倒れてやった。接吻をかわすとごそりと動き、交合が始まった。
最初のそれは、お互いに熱に浮かされた上だったので細部がよくわからなかった。ロゼに訪れた大波が鎮まり、ジューンショーンが温かさの中で震え続けた後に落ち着きを取り戻してからようやく知った。
ロゼの柔らかい唇。しっかりと抱きしめてくれるジューンショーンの腕と胸。そして互いの性器の構造だ。よい位置についており、重ね合わせるのにも適していた。
そしてロゼのほうはジューンショーンよりも満足していた。大きくて太い男性のものは、食いしん坊の下腹の欲求を充分に叶えてくれそうだった。まだ膨張と硬直が続くそれは、ロゼが再び骨盤を動かして与える快楽によって、再度の到達に向かおうとしていた。
「ロゼちゃん。話に聞いていたとおり、ものすごく大好きなんだね?」
「……うん♡ ジューンショーンさまは、きらいなの?」
「好きだよ。大好きだよ」
もう一度昂りを果たすと、今度は服を全部脱ぎ、お互いの細かいところを確かめあった。ロゼはどんなところも感じた。下半身の前と後ろは形は多少崩れているが、みずみずしく愛らしい、年相応の若々しさがあった。指や唇での愛撫を受けるとそこから、ジューンショーンからもらったものをこぼした。溶けた真珠のようなそれ自体が、ロゼの身体に深い喜びを与えていた。
「……そこをいじられ過ぎたらこぼしてしまいます。もったいないです♡」
「いいんだよ。その分だけ僕が与えるから。今は君のとてもかわいいところを眺めさせてほしい」
「はい……んっ♡」
2人の交歓は扉の外にいた衛兵に聞かれていた。しかし彼はこの行為を咎めはしなかった。何故ならロゼの母親に、一生に残る思い出を作ってもらったからだ。そしてロゼの伯母にも。ちょっと下品が過ぎる従姉にも。
王弟とロゼとの逢引きはそれから毎晩続いた。2人は恋人になっていった。けれども人前で熱烈に抱擁しあったり、口づけをするような真似をしなかったから、その手の事に関してはいつも目立つようにするホーデンエーデン人の多くは気づかなかった。
「ロゼさまはジューンショーン殿下と仲がおよろしいですな。詩と読書の趣味が合うからでしょうか」
「きっと詩作についてお話しているのでしょうね。趣味にのめり込みそうな人柄ですから。お二方とも」
誰もが二人の仲を疑わなかった。恋人ではなく、仲の良い、歳が離れた兄妹のようにしか見なかった。確かに、詩について語り合うことはやっていたが。交合の最中でだが。
ロゼのことをよく知る者も、確かに王弟と身体を重ねることはしているだろうけど、強い恋心を抱いているとは思いもしなかった。
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ジューンショーンとロゼの間が『近づきすぎている』というのはセイン王の耳にも届いていた。夜、弟の部屋に姫が足しげく通っていることは、弟自身の口から聞かされていた。
姪の淫乱ぶりは存じているから、やっているだろうとは想像していたが、しかし毎度、交合が行われているとまでは聞いていなかった。
「はっはっは! ジューンショーン、おめえも枯れないように気をつけろよ!」
そう言って茶化して小突くだけ。大体ロゼはジューンショーンと逢引きをした後も寝室で男どもと交わっていた。ちんちんとそこから出るお汁をたっぷりと摂取しないとすぐに身体の調子を崩すからである。イーガからもらった診断書では、最低200ミリリットルの精液を摂取しないとそうなると記されていた。母親並みに難儀な身体のようだ。
(ま、避妊の魔法をかけているから大丈夫だろうよ。ガキができても構やしねえけどさ。ヨーシアキレウスには詫びの品でもやらねえといけねえが。)
セインはロゼのことに関しては、至って鷹揚に構えていた。それと弟には、とても甘い。しかしこの噂はわずらわしい勢力を産む事になった。その日の朝議でも中心となる人物から話を持ちかけられた。
「陛下、ローザ姫様のご婚約について、考え直していただけませぬか?」
法務大臣のヨハン=レマルクである。そしてこの大臣には強力な同調者がいた。今の聖騎士団の副団長、ダリウス=ザックレイ。ライナー=イナトミッテンフェルトの片腕と呼ばれた男である。軍事よりはどちらかというと、政治に明るかった。
「ちっ。またその話かよ? 何度持ちかけられてもよぉ、首を縦に振るつもりはないぜ?」
「そうはいきませぬ。老人は頑固ですからな。はい、とおっしゃるまで言い続けますぞ?」
「……だからじじいは嫌なんだよ」
とはいえ法務大臣ヨハンはこの年、まだ50に届かなかった。髪や髭には多少白いものが混じっていたが、顔は脂ぎっており、恰幅が良かった。艶福家でもある。先立たれた前妻との間に成人した5人の子がいるし、孫だって生まれている。しかも15歳年下の後妻とも3人の娘をもうけていた。更に今年、4人目となる赤ん坊が生まれる予定だった。
「確かに。ヨーシアキレウス様は未来のナガオカッツェの公弟閣下となられましょう。しかしですな、陛下。ローザ様にはいささか、不釣り合いな気が致します」
ローザことロゼは、前の経済長官であり『おしゃぶり姫』と名高かったマイヤの長女である。マイヤは市井の者から支持を失ったが、貴族や騎士の間ではまだ人気があった。マイヤはいわば『アイドル』だった。その人気は、彼女が住んでいたナントブルグとその周辺が、一番高かった。
「ローザ様はマイヤ様のご長女であり跡継ぎ様でございます。かの『おしゃぶり姫』といえば、ちんちんをしゃぶってはうんちをよく垂れる、それはそれは愛らしくていやらしい体つきの、我が国を代表する、お下劣どすけべ淑女でございましたな?」
まあそうだが。だから何だとセインは言いたかった。が、この大臣と右横にいるダリウスの目を見て言うのをやめた。ものすごく悲しそうな目をしていたからだ。
内務大臣はそもそも、マイヤが小さい頃からの信者であった。ダリウスも。2人ともまだ7歳にもならぬ『おしゃぶり童女』の口にちんぽを含ませたり、中庭で用を足すところを映像水晶に納めては銀色に輝く大量の『おこづかい』を与えるという、よきお客さんでもあった。
更に、2人のそれぞれの奥方もまた、マイヤの熱狂的なファンだった。彼女の『うんちぶりぶり動画』が納められた、幼女愛好家向けの映像水晶の蒐集はもちろんのこと、大きくなった『おしゃぶり姫』がよく開いてくれた『貴婦人クンニ祭り』にも必ず参加していた。
ちなみに可愛い女の子がひねるところとくさい排泄物のにおいをかぐのが大好きで、『香道』の婦人会にも所属していた。マイヤどころかコリアンナの『ぶりぶり』も、「はわわ♡」と愉悦し、下の口を濡らしながら鑑賞していたのである。
「そしてローザ姫様は間男どもと毎晩同衾なされ、しかも所かまわず、人前でもうんちをにょろりとお出しなされる……まさに、マイヤ様の生き写しで、ございますなあ……?」
「ああそうそう。中庭でひねりたがるんだよなあ、あいつ。おしとやかそうな物腰しているけど、トーリやコリアンナと同類だぜ。根っからのスケベだ。こういうところじゃ信用ならねえな」
が、その下半身のだらしなさが城の召使いや官僚たちからも好かれていた。ようは美少女だからである。誰だって美少女が糞尿を垂れているところを見ると安心するものである。
「なんだ、あんなにみてくれがいいのに残念な子じゃないか。ああいうのを見ると安心するよ。どんなにお高く気取ってたり賢そうに振舞ったりしていても、ダメ人間なところがあるのがわかるからな」
「しかしよくもりもりとうんこをするなあ。今朝もお濠に尻を向けてひねってたぜ。ぶっというんこがぷかぷかと浮かんでいたよ」
「まるでマイヤさまみたいだねえ。ああいうお姫様なら緊張しないでいられるよ。大体、どこの家の姫様も、下半身はいっちょ前にだらしがないくせに、アテクシはそんなことしてませーん、みたいにすまし顔をするから、あたしゃ嫌いだよ」
と、いう感じでロゼは皆から支持を集めていた。気取ったところがないことと、奥ゆかしい物腰も好まれた。母の後釜に座ることができそうだった。そういう姫を遠いナガオカッツェに渡すという事は、彼女を好きになってきた者たちは残念がるだろう。特に、死んでしまったマイヤの支持者だった者達は。
「ゆえにこそ、ローザ様には是非ともナントブルグから離れないでいただきたいのでございます」
「コリアンナで十分だろ? イルマとフレッダっちゅう問題児も出てきたがな。この城の庭や濠をこれ以上、あの一家の糞まみれにするのはどうかと思うぜ?」
「カツランダルクのご本家の姫様方のうんちは、とてもきれいで臭くないですぞ! 甘くていいにおいがいたしまするぞ! サキュバスのお嬢さんのうんちみたいに!」
力が籠った法務大臣の言に、ダリウス以外にも多くの廷臣や武将らが同調していた。セイン王は玉座に座り直し、ため息をつく。昨日も尋ねたことをまた言った。
「で、ジューンショーンの嫁にしろってか?」
「さようでございます。姫様の背の君には、王弟殿下こそが一番かと、存じまする。かの方々はこのところ、とても仲がよろしゅうございますからな?」
セインは笑うしかなかった。法務大臣らの私的な願望が顕わだったからだ。ジューンショーンにはそもそも、南天騎士団の中核たる四大大公のいずれかか、北部諸侯の中の有力な家の姫を娶ってもらいたかったのだが。
(……ちっ。政治ってのはままらなねえなあ。)
この王の覇気は衰えていた。最近、こうした朝議も面倒くさいと思うようになっていた。いっそのこと、ジューンショーンに副王の位を与えて全て任せようかと思っていた。
(あいつにケツをぬぐわせてやろうか。でもまだ、出番はまだ来ないかもな。家臣どもの中にゃ……。)
法務大臣に同調しない者がいた。ナガオカッツェの家宰であるヨーシヒデクスと、カツランダルク統の中心人物であるケノービ=ソーローだ。あいつらを焚きつけて大臣と戦わせられないか、とセイン王は考えていた。