※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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204 死した姉と生きる妹

 永遠の眠りについたロゼ=カツランダルクは、王宮の地下にある墓地に葬られた。本来なら歴代の国王の遺骸のみが許されるのだが、新たな王たるジューンショーンの命によってそうなった。

 

 彼女の身体は純白の正装をまとい、魔道で作った透明な人造水晶の棺に横たわって安置されていた。死に化粧と防腐処理が施され、生前そのままの姿だった。

 

(ロゼ姫……。)

 

 水晶の棺の前に花束を置いたセイジの目から、涙があふれていた。可愛い姫の身体はそのままだ。しかしもうそこには魂は無かった。愛らしさは生前そのままだが、そっくりの人形みたいにしか見えなかった。

 

 一方、横にいたサトシは青ざめていた。魂はとっくに離れたのに、遺体はそのまま現世にとどめ置こうなんて。まったくもって趣味が悪いとしか言いようが無い。パラッツオ教だが遺体をそのまま土に埋めたりもするが教義では火葬を推奨している。魂は二度と、その身体には戻らないからだ。

 

「セイジ、ここまでの美人さんだったとはな」

「兄さんもそう思うだろ?」

「生きているうちに会いに行けばよかった。こんな子が、人前でうんちをぶりぶりかましたり、ちんちんに食いついたんだろ?」

「ちんぽをお乳だと勘違いしてしゃぶりつく子牛みたいに可愛かったよ。とてもよい子だった。未来のホーデンエーネンの王妃にふさわしいとも言える様な姫だったよ……」

 

 その後ろでやかましい笑い声が起こった。太った貴族の男がご友人らしい連中を連れて安置室に入って来たのだ。セイジ達が下がると、その男は皆の前でこう自慢しだした。

 

「如何かな。私めの家が抱える医療魔道士たちの、死体保存術はなかなかのものでしょう?」

 

 皆が「おお!」と叫んだ。『二代目おしゃぶり姫』様の御姿がそのままだ。

 

「いやあ……この愛らしいお口で『ごほうび』をいただけたのを思い出しますなあ」

「しかし服を着て横たわる姿がよろしくない。せめてスカートをめくってしゃがんでいるお姿で良かったのでは? ローザちゃまは御母堂様のように、ぷりぷりお尻と尻穴が魅力的だったのに!」

 

(ホーデンエーネン人は墓場でも下品なのか?)

 

 糞みたいな品性だ。セイジは苛ついた。この集団の中心にいた太った男は大貴族のハビキシュッテン公。ヒラジマッシモ公と並ぶ『ひよこ』好きで有名だが、近頃はとある界隈で名を売っていた。

 

 太った身体と締まりの無い顔をしたこの大領主は、死体加工術に長けた魔道士や職人を抱え、彼等に様々な飾り物をこさえさせていた。材料は若い女の死体、10歳ぐらいの幼い娘が多かった。もちろん見目麗しいのが前提条件である。

 

 そうした娘だが、孤児院や罪人の一家から引っ張った。あるいは、子だくさんなパラッツォ教徒の中から。彼は股間についている粗末なペニスで彼女達を散々貪ってから、材料とした。

 

 その骨で盃や花入れを造ったり、卑猥な格好をさせたはく製にして屋敷に飾っている。彼自身が『芸術品』と呼んでいるものだ。

 

 そうした『芸術品』はその手の愛好家達の話題となった。その代表作が、モナファン海賊団のカイル=グリーヴァスの3人の娘だ。これで彼の『名声』は一気に高まった。大金をはたいても『芸術品』を所望する者が出て来た。各地から原料となる娘達が彼の所に送られた。

 

 とはいえよろしからぬ行いである。モナファン海賊団の三姉妹は、謀反人の娘ということで『見せしめ』の側面もあったが、『芸術品』を加工する商売は人倫に逆らっていた。ナントブルグは何度も自粛するように命じた。しかし自粛を求めるだけで終わった。

 

 ハビキシュッテンは地位と財力があった。アジール河流域の多くの荷船の主であり、アジール河流域の領主達を従えていた頭目でもあった。そうした力を持つ大領主に、ナントブルグの宮廷はなかなか強く出られなかった。

 

 その折にロゼが死んだ。彼女の遺体が200年はそのままの姿でいて欲しいと願って公言もしていたジューンショーンに、ハビキシュッテン公が近寄って姫の死体の加工を申し出た。それが受け入れられて今、こうして姫は生前の姿のまま、横たわっていたのである。

 

 やかましい笑い声は続いていた。セイジはさっきから「気味が悪い」とぼやいてばかりの兄を連れ、そそくさと墓所を出た。サトシは気の毒なぐらいに目が泳いでいた。

 

「セイジ、すまん。俺は庭園で気を落ち着けて来るよ」

「そうしたほうがいい。俺だって気分が悪いよ」

 

 あのろくでなしどもにロゼ姫を侮辱され、セイジはひどく苛立っていた。兄には司祭騎士達も同行させた。彼等も気色悪がっていたからだ。1人で弔問団に与えられた控えの間に戻ると、2人の男が待っていた。ケノービ=ソーローとヨーシヒデクス=ヒラジマッシモだ。

 

「元気にしていたかね、司祭殿?」

 

 ケノービと最後に顔を合わせてから随分と発つ。ヨーシヒデクスは相変わらず、精力がたっぷりありそうな脂ぎった男ぶりなのだが、ケノービはいささかやつれていた。

 

「だいぶお痩せになられましたね?」

「まあな……」

 

 何か理由があるだろう。念話魔法を用いて尋ねようと試みると。魔力を感知したヨーシヒデクスが止めた。

 

「そんな真似をしなくていいぞ。この部屋は盗聴術式への防壁を仕込んである」

「……そうでしたか?」

「この王宮だが、密談にはもってこいの部屋がいくつかあってな。俺がここを事前に押さえておいた。ここがそのうちの1つだ」

「カヅノ=セイジ司祭。ヨーシヒデクス様は信じていい。口は軽いがな」

 

 皮肉を言われたがヨーシヒデクスはカカッ、と笑った。

 

「ところで、お前の兄は信用できるか? 教主に弟を売ったりしないよな?」

「サトシ兄さんなら大丈夫です。私と意見が一緒ですし、弟を裏切る真似は致しません。何よりも『共犯者』でありますから」

「ほう。トーリ様絡みの件で、ということか?」

 

 セイジはうなずきも答えもせず、黙って微笑んだ。それが答えだ。そう思ったヨーシヒデクスは信じる事にした。ケノービはためらいながらもセイジに語りだした。

 

「実はな。ロゼ様のことだが……その死にレーア様が関わっていたようなのだ……」

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 ロゼが亡くなった直後、ケノービはこっそりと、彼女を誘ったレーアとその関係者の身元を洗った。彼の計画ではそもそも、ロゼの殺害は入っていなかった。せいぜい僻地に飛ばすぐらいだ。

 

 それよりも、いずれ王位につくであろう、ジョーケインの后にレーア据え置こうと計画をとっていた。

 

 だが、ロゼは急死してしまった。実に不自然な病死でだった。ロゼは身体こそ弱かったが、命を奪われるような病魔に巣くわれていなかった。毎日おいしい精液をたっぷりと摂取して、ホーデンエーネンに来た時よりも健康になったぐらいだったのに、だ。

 

「レーア様の周囲を探ったらすぐに犯人がわかった。アナキンの召使いをやっている男がそうだった。その男は国元にあった屋敷を売って、暗殺団に頼んだ。毒にかけてはどこよりも数枚上手な、ゾウズジャヤ=エルフに関係しているところのようだ」

 

 あのエルフ達には、ニンゲンの知識では追い付かぬ様々な毒を扱っている。中には改良を施した細菌毒まで扱うらしい。カヅノは唇を震わせながら尋ねた。その男にもう、私刑を加えたか?

 

「……やるつもりはない」

「何故です? ロゼ姫様を暗殺した首謀者なのでしょう?」

「あの男はレーア様のお気に入りなのだ。そして弟が信頼を置いている家来でもある。それに確実な証拠は出ていない。憶測の域から出ていないのだ、この話は。違っていたらきっと、弟と仲たがいしてしまう。今は兄弟で争っている時期では無いのだ。それと……」

 

 その男を処したら、何よりもレーア姫が悲しむことだろう。レーアだが、ロゼの死に大きなショックを受け、城に籠って外から出ない状態だ。あろうことかその下僕を慰みの相手として、ずっと傍に置いていた。ロゼを討った張本人は、レーアに頼りにされていたのだ。

 

「レーア姫様は今、精神的に危うい状態だ。それをあの男とアナキンが宥めてやってくれている」

「では、アナキン様おひとりでよろしいのでは?」

「そうはいかん。レーア様はあの男も頼っているのだ。カヅノ司祭、君が言いたいことはよくわかる。しかしな、レーア様は我々の野望にとって無くてはならないお方なのだ。そのお方に、万が一のことがあれば、計画は潰えてしまう。すべてがやり直しだ……」

 

 罵倒の1つや2つを言ってやりたかったが、カヅノは怒りを抑えることにした。レーア姫のことは、ケノービからの文で知っていた。驕慢で好きになれない娘だと想像ができた。ロゼ姫と一緒に歩くだけの映像水晶も貰ったが、彼好みでは無かった。鼻につく『かわいらしさ』に見えた。

 

「……承知いたしました。この件はそっと胸の内に置いておきましょう」

「そうか! それはありがたい。人には言いふらすな。約束だぞ?」

「ええ。絶対に違えませんとも」

 

 そして心の内でつぶやく。その代わり協力はもうやらない。しかしレーアという娘には一度会ってみたい。もう1つのカツランダルク家の出自で、ロゼに義妹として迎えられたそうだが、手紙や映像水晶の様に、見ていて嫌になる娘なのだろうか。

 

「ではその代わり、一度だけでもレーア様を拝謁いただけぬものでしょうか?」

「ああ、それは構わない! 気分を和らげるために、パラッツォ教のことでも語って欲しい。レーア様はな……」

 

 今はアナキンの本領にある、スカルファッカーの館で過ごしているとケノービは語った。そこなら1日もかからず行ける距離だ。もちろん、転移魔法でだ。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 スカルファッカーの本領には、兄のサトシと共に入った。随伴する司祭騎士と教典の巫女達は、王宮の貴族達と下半身での交流で数日滞在させることにしてである。

 

 領地はナントブルグよりも暖かで、土が黒くて肥えていた。麦や米がよく獲れ、王都周辺にある封地の中で、一番農作物の実りが良い場所柄でもあった。

 

 果たしてスカルファッカーの館で、セイジは兄と共にレーア=カツランダルクと会い向かうこととなった。風呂にあまり入らぬせいで、どうにも体臭がきつい少女だったが映像水晶の中より魅力が満ちていた。

 

 居間のソファに座ったままの彼女は、胸が大きく開いたドレスをまとっていた。歳に似つかわしくない、立派な谷間が出来ている。尻もロゼ以上に大きかった。ふくよかで、とても可愛らしい美少女ぶりに、セイジは惑ってしまった。

 

(なかなかにたまらん小娘だ。クサくてたまらんが。)

 

 右隣のサトシはあからさまだった。ゆったりとした法衣の上でもわかるぐらいに勃起していた。しかし欲情と憐れみは別物だ。股間はいきっていたが心配そうにレーアを見ている。彼女は実に気の毒なぐらい、表情が暗かった。『義姉』の死からなかなか立ち直れていない様子だった。

 

「アナタたちが、お義父が言っていたパラッツォ教の偉いお坊さん? はじめまして……」

 

 レーアは腰をあげなかった。気持ちが沈んでへたっていたからだ。声も随分と可愛らしいし、話と違って随分と可愛らしいお嬢さんじゃないか、とセイジは思った。

 

「ここに来た目的、なに?」

「ソーロー公よりお聞きし、一目、お目にしたかったのですよ。評判どおりの大層お美しい姫様だとはっきりとわかりました。まことにもってマハーヴァラ様に愛されたお子だと思い知りました」

「……そう」

 

 レーアは脚を開き、スカートの裾をもってたくし上げた。陰毛が生えだした少女の割れ目が2人の目に写った。

 

 彼女にとって『お褒め』は、セックスをしたいという意味合いで考えていた。彼女は常に、性交をして精液を吸い出したいという欲求に駆られていたし、巨根で精力絶倫なオーガの『忌み子』である、カヅノ兄弟が近くに来てから、陰裂がやけに潤ってむずむずとしていたのだ。

 

「……そのつもりはございません」

 

 裾を降ろすようにセイジは求めた。レーアはますますしょげながらスカートを戻した。

 

「じゃあ、何のために来たの? レーアに会いたい言ってくる男の人はみんな、おちんちんをあそこに挿れたがってたよ?」

「私とセイジ兄さんは、レーア様にパラッツォの教え語りに参ったのです。義理の姉上様を失ったばかりの姫様に、少しでも気持ちを和らげて頂くためにですよ」

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