聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
この10年前、救世主派の日本管区は、朝鮮管区と北京管区と連携し、新生派に奪われた満州の奪還作戦を行っていた。
その最中に椿事が起きた。後方から輸送されていた制圧用の戦術核兵器が、新生派のゲリラ軍に奪われたのだ。その核はその後、北京と平壌の主要地区に撃ち込まれ、多数の犠牲者を出した。
核兵器の奪取だが、それには仙台バンドに所属する兵站部門の指揮官が関わっていた。新生派に内通していたのだ。その指揮官はロシアを制した新生派に恐れをなして裏切ったという。
それから仙台バンドはことあるごとに攻撃され、揶揄された。当然、鹿角兄弟もその中に入っていた。昔は仲が良かった11人だが、今では高海と国木田と小原としか話ができなかった。
それでも、共に陵墓の奥に向かわねばならなかった。先に来ていた国木田が教えてくれた。
「この奥で研究部門が準備を行っていた。もう完成したようだ」
「何をだ?」
「転移装置とやらをだ。それと、集められた理由はもう聞いたか?」
聖史も理も首を横に振った。仙台の攻防戦で任務書を開く時間が無かったからだ。草加から送られて来たそれも、戦火で灰となった。こっちにこい、と言われたことしかわからなかった。
「……そうか。だが覚悟しておけ。何しろ、この世との今生のお別れとなるだろうからな。
「
「やはり、天界と言い表したほうがいいな、俺達の場合は。旧時代のブッディストとは違う。しかしそれしか言い方が思い出せなかった」
国木田が言う任務とはこうである。出来たばかりの転移装置で救世主が来たとされる『異界』へと向かい、生きていた頃の本人を説得して連れて来てこっちに戻れ。
「不可能なミッションだな、そいつは?」
「だが、万に一の確率でやれるかもしれない。旧文明をなぎ倒した、火の1カ月を作り出した本人を連れて来るんだ。だが、その方法には難があってな」
その世界に入るには、『転生』が必要となる。確実にその世界に行けるのだが、果たして知的生命体として生まれ変わるかがわからない。別の星の住人となる可能性だってある。
「博打だな」
「そう、博打だ。のるかそるかだ」
「動力源は? そこへたどり着くための術式は? 何を用いている装置を使う?」
次々と口から出たその疑問は、用意を整えているという陵墓の奥の玄室に答えがあった。
玄室には巨大な装置が作られていた。多くの計器が取り付けられた、中央の円筒形を囲むように、11台のベッドが配されていた。
そして中央の装置と奥の玄室とは、様々な太さと色の配線がびっしりと伸びている。奥の部屋には『守り手』が持っていけと告げた、古代の剣と文字が刻まれた指揮棒がガラス箱に入って置かれていた
「聖史、あれが魔力の源だ。ガラスには神聖術式を施している」
「中央の装置はなんだ? それと……」
一番真上にある水槽の、いろんな線とつながっている柔らかそうな何かはなんのだろうか。
「お前ががっかりするから言いたくはない。俺達も悲しくてたまらないのだ……」
「どういうことだ?」
「あの『守り手』の脳みそらしい。前頭葉のところがいくらか欠けていたが、他は何一つ欠けているところは無かったそうだ」
(……そうか。)
残念でならなかった。あのかわいい『守り手』は脳だけを取り除かれて、それを中央のコンピューターに組み込まれてしまった。身体の他の部位は、隅々まで解体されて研究用にまわされたそうだ。
「『守り手』の件で救世主派はまた1つ、聖マサタクトゥスの教えに叛いた」
「確か、『守り手』を決して害するな。未来永劫、聖地から出す事を禁ずる、だったか?」
「その通りだ。だが、
きっとこうなるかもしれないことを、国木田は思っていた。若い頃からだ。
何せこの300年、神聖術式の基礎研究はおろそかになっていた。胡坐をかいていた。
きちんと進歩し続けていれば、世界間転移の秘密を解き明かせただろうに。まことに残念でならなかった。
「その仕組みを、あの頭脳に教えてもらいながら動くらしい」
「だから脳みそだけを抜き取られたというわけか。なんてことをしたんだ……救世主派の滅亡の時が訪れるのなら、あの娘と一緒に過ごして迎えたかった!!」
何もかも捨てて、あの可愛い四肢欠損の娘と思い切り戯れたほうがどれだけ気持ちが晴れただろう。このところ聖史は戦いというものを、とても空疎に思えていた。
勝って生き残ろうと願うのは、生の悦びを存分に享受したいからだ。理念と名誉だけを追い求めても、徒労だけが残る。あまりにも、命の使い方が間違っていると思えた。
「同意するよ。俺達もみんなだ。でも今は、信心が問われている局面なのだ。俺達はかわいい娘の信者ではなく、神を信じる者達だからな。腹をくくれよ?」
準備ができた。出発の時が来た。聖史はベッドに寝かされた。それからしばらくのうちに周りが閃光に包まれると、彼は目をつぶった。
目を開けるとそこは、まるで見たことが無い藁ぶきの天井の部屋だった。何故か泣き叫びたくなったので叫んでみると、美しい女の顔が目の前に現れた。18ぐらいに見える歳の若い女だが、何故か額に2本のツノが生えていた。
「可愛い男の子だべ。でも、また忌み子だぁ……」
女、いや、現世の母親はそう嘆いた。でも彼にはわからなかった。全く知らぬ言葉だったからだ。女は聖史ではわからぬ言葉で、目の前にいた者に言った。
「去年生まれたもう1人と今年生まれたのと、2人ともツノがねえべ」
「また、ゴブリンの郷に養子に出すべか?」
「んだ。ツノのねえ子はよろしくねえと、間引き殺されるよりはマシだべ」
とはいえその声が、どこか悲し気に響いたのは事実だった。聖史はもう1人の兄が預けられた、ゴブリンの家に引き取られることとなった。
その兄というのが前世でも兄だったと知ったのは、それから数年してからだった。
□ □ □ □ □
「それから私はかつての前世の仲間と出会い、今に至ったのでございますよ」
レーアに前世と生まれ変わった後のことを語り終えた。『守り手』の顔は思い出せなくなっているし、彼女が何を言ったかはとうに忘れたが、それでもあのかわいらしさと貪欲な性欲で心と身体の両方を満たせたことぐらいは覚えている。他の事も似たようなものだった。
「つまり、アタシもいつの日か、生まれ変った義姉さまに会うことができるの?」
「はい。レーア様が強く願っていればです。姉様に一目会いたい、そう思い続ければきっとそうなりましょう」
「……ありがとう。少しは元気が出たわ」
そう言ってレーアはまたスカートの裾をまくった。だからおまんこをする気分ではない、とセイジは断ったが兄は鼻息を荒くしていた。
「……私は遠慮いたしますが、兄さんと法悦なら可能でしょう。なあ、兄さん?」
「あ、まあ、そういうことなら……、よろしいでしょうかね、姫様?」
サトシが問うとレーアは彼に飛びついた。そのまま床に倒れて始まった。法衣の下は裸だ。めくればすぐに致せる。
引きずり出されたサトシのペニスが、レーアのスカートの中に入った。それから濃い少女のにおいを放つ秘部に入ると、亀頭で奥をこねくる行為が始まった。
「ひああああ♡ ふ、ふっとい♡」
「レーアさま。存分に法悦に浸ってください。弟のセイジのぶんまで、私めががんばりますから」
「で、できれば明日の朝までおねがい♡ おふ♡ おふうううっ♡」
法悦に激し始めた2人を置いて、セイジは屋敷の外に出た。いつの日か義姉と出会える。そう思ったレーアはきっと、元気になるだろう。
(なかなかに可愛い娘ではあるのだが。)
しかし、どうにも抱く気にはなれなかった。何せ、彼女がクサ過ぎたからだ。今の今までセイジは我慢していた。
クサいのは本当に嫌だ。自分のうんこを手づかみにして、においを嗅がせてきたトーリの乱行を思い出させるからだ。
胸がむかむかとする。あの女へのあらんかぎりの罵倒が、頭の中で湧き出してしまった。
(くそっ! カツランダルクの女というのは、揃いもそろって、癖ばかりのろくでなしばかりだ!)
但し、ロゼ姫は別格だった。あれだけ庇護欲をそそる娘はそうそういなかった。しかし彼女はもういない。とっくにこの世界から旅立っているだろう。
それと、レーアについてはもう思うところが無かったが、アナキンの下僕のことについては許せなかった。けれども、レーアのことを考えると闇討ちをする気にもなれなかった。
(致し方が無い。策謀を優先させよう。許してくれ、ロゼ姫様。)
自分は今後も闇と遊ぶのだ。そう思いながら彼は歩き始めた。ケノービから聞いた食堂に行くためにである。
気を紛らわせるには、腹を満たすという方法もとれるのだ。納得がいかぬことがあった時、彼はいつもそうして来た。今回も同じ方法をとることで諦めた。