※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第七回

 ナントブルグ盆地を西に抜けた先、街道の山道をくだりきったすぐ近くに街がある。イズヴァルトの時代から数百年経った今では、戦乱の痕が生々しい古城と、老人しかいない寂しい場所だ。

 

 しかしそこはかつて、フジイデール公の城下町であった。当時はアジール大河の河川交通の要衝。大河は城市の北壁のすぐ間近に迫っていた。

 

 その東街区には旅人達向けの大きな酒場があった。この地方について記した紀行文には『女神の美酒亭』という名で必ず記されている。

 

 酒場は3階建てで城下で一番大きな建物であった。酒場というのは名ばかり。つまりは旅人向けの旅籠屋だ。しかしこの酒場はその当時の領主によるおかしな法律で、店を常々酒場だと言い張っていた。

 

 当時のフジイデールの領主は領内のホテルや妓楼に、高額の税金をかけていた。フジイデールは交通の要衝だ。

 

 旅人がひっきりなしに通過し、旅館や娼婦によく金を落としていたから変な税制を設けて荒稼ぎしようと目論んだゆえの制度であった。

 

 この制度は確かに沢山の税収をもたらしてくれた。それでも公の帳簿は赤字続き。何故なら放漫経営で奢侈に溺れがちだったからである。

 

 そのせいで民衆からはひどく嫌われていた。後々の戦乱によりフジイデール公の一門は滅ぼされた。子孫はいない。理由はいわずもがなである。

 

 『女神の美酒亭』は1階が旅人向けの酒場兼飯屋であったが、2階から上に宿泊施設があった。領主には従業員、つまりは酌婦の住み込み部屋だと申告していた。但し、それには売春も絡んでいた。

 

 システムはこうだ。旅人が気に入った酌婦に財布の中身を見せた後、他の旅籠屋が埋まっているから泊まらせてくれと交渉する。

 

 提示された金額がうなずけるものであれば酌婦はうなずいて。客を自分の部屋に導く。そして朝まで同じベッドで過ごす。

 

 取り分であるが店が3で女が7。店側の取り分には女が借りる部屋の代金が含まれている。女は町の嫁入り前の娘や未亡人、あるいは近隣の農村から小遣い稼ぎに来る人妻が多かった。

 

 しかしこの店には春を買う男達の間で、『当たり』とされる女達がたまに働いていた。精を食らうスペシャリスト・サキュバスである。

 

 彼女達は人口が多くしかも王国の監視がきついナントブルグより、いくぶんおおらかな地方都市を好んだ。特に旅人がひっきりなしに来る街に好んで住み着いていたのだ。

 

 平均的に美人ばかりでしかも豊満な身体を併せ持ち、膣の具合に至っては遅漏の男でも5分で果ててしまう名品ばかりの彼女達は、ほかの酌婦とは違い自ら進んで男を楽しませた。

 

 それでいて金額は相場の平均。『あたり』だと喜ばぬ男はいなかった。2人や3人の客を泊まらせる猛者もいた。

 

 たまにだが、山道を登って関所近くの宿場町に訪れる事があった。あちらの売春婦は中年女ばかりで、しかも割高だったから彼女達は大いに喜ばれた。

 

 そして、関所の兵士達の任務を忘れさせたのは、この『女神の美酒亭』を根城にサキュバス達だった。しかし、フジイデール公により残らず処刑された兵士達を深入りさせたのは理由があった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 その日の晩である。カルカドを討った女暗殺者エレクトラは『女神の美酒亭』を訪れた。女武者がまとうような革鎧とマントを身にまとい、短槍を携えていた。

 

 山賊達の情婦というにはいささか物々しすぎる。しかし彼女は美しかった。その姿を見るなり酒場の男達は口笛を吹いて手を振って来た。

 

 彼女は愛想笑いを浮かべながら、注文を受けにやって来た酒場の給仕をかわして2階への階段を昇る。女達の矯声と男達のため息が壁から漏れる廊下に出ると、向かって右の一番奥にある部屋に入った。

 

 その部屋には彼女と共にカルカドの暗殺に加わったエイオン=アントネスクが先に来ていた。彼は赤い髪の娼婦と寝台の上で素っ裸で取っ組み合っていた最中だった。

 

「うおら! おおらっ! おれのちんぽのあじはどうだべえ?」

「いいっ。いいいいっ。最高だよ!」

「そうかそうか! 今日は夜明け前までたっぷりかがわいがってやるからなあ!」

「う、うれしいい!」

 

 などと相手の女と歓びを交わしあうエイオンは、「ちいーす」と声をかけて気軽に入ってきたエレクトラを見ると舌打ちした。

 

「なんだべえ。今はお楽しみの最中だべえよ?」

「あはは。エイオンさん。昨晩もあっしと夜更けまでぬっちょぬちょっちょとやってたじゃあないですか? 随分と嫌われたもんですねえ」

 

 この街に着くまで毎晩、エレクトラはエイオンに抱かれていた。寒空のもとで、あるいは洞窟の中で。エイオンは彼女をなかなか眠らせてくれなかったのだ。

 

「追われてのお外でのべっちょは、あんまし楽しめなかったべえよ?」

「えへへ。そんなこと言いなさんなって?

「で、用事は済んだべえか?」

 

 エレクトラは重そうな財布袋を腰につけていた。右手の義手でそれを外すと娼婦の枕元に置いた。

 

「少ないですがこれはベティさんがたの報酬でさあ」

「うあああ……あ、ありがとう……」

 

 やけに幼い顔立ちだがおっぱいだけはメロンみたいに大きい娼婦は、エイオンにのしかかられて喘ぎながら袋の中を開けた。小さな金貨が20枚ほどあった。

 

 ただしホーデンエーネンの貨幣ではない。サイゴークにあるイーズモーの金貨だった。それでもホーデンエーネン金貨に置き換えればだいぶ値は張った。

 

「みんなと一緒に関所の兵士さんをおびき出して、たっくさんおまんこするだけの仕事で、こんなに貰えるなんて……」

「しょうもない策に手を貸してくれたというだけでもう頭があがらないぐらいでさあ」

「ふんっ! ふんっ! ……まあまあな金額だべえな。この大陸の女は股を開けばこんな大金が入って来るんだべえか?」

 

 ベティの女膣に悦の衝撃をくれてやりながらエイオンは皮肉った。彼が住むカントニアの北西部、ミナッカミニア山地はセックスは無料でいくらでも出来る事だし、かの山地を領土とするウマヤーノの娼婦はえらく安く買える国だからだ。

 

 その国の娼婦の大部分は金色エルフとニンゲンとの間の子。つまりはハーフエルフである。エルフは女ばかりがよく産まれるし産ませてしまう。ニンゲンよりも美しいハーフエルフの女がごまんといた。

 

 ニンゲンよりも美しく倍以上長生きする美女たちは、至る所で安娼婦として働いていた。そういう娼婦は股を開いて1時間ほどのしかかられても、銅貨を5枚か10枚得るだけだった。露店の飯代ぐらいの稼ぎにしかならぬ。

 

「気にくわねえべえ」

 

 エイオンは舌打ちして腰のうねりを激しくする。ベティが大きな声をあげ始めた。腰を振りながら彼はベティの枕元に置かれた金貨に手を伸ばそうとするとエレクトラに手を引っ叩かれた。

 

「なにすんべえ!」

「そいつぁベティさんたちの報酬ですよ。エイオンさんにゃ前金でイーズモー大金貨10枚をお渡ししたじゃありませんかい?」

 

 ちなみにそれは半分。今回の仕事が終わればもう半分を渡す手筈であった。これからのもう1つの仕事を終えてからもう半分を与えるのだ。

 

 まったくの糞仕事ばかりだとつぶやきながら、エイオンはベティの膣の中でせっせと動き、新しい精液をくれてやった。注がれているのを感じてうっとりしている彼女の乳房をついばんで、残りの精汁も押し出した。

 

「まったく。なんだって本家の親父は俺を紹介したんだべえか。けちな報酬の仕事なら、金の稼ぎ方がなっちゃいないダニェルのやつに押し付けりゃいいのに……」

「あはは。その人はちょっと……」

「なんでだべえ?」

「最初にダニェルさんを頼んだんですけど、ヌマタラシュクのご本家様にごねられたんですよ」

 

 エレクトラは至極嫌そうなしかめ面を作った。

 

「エイオンさんの10倍の料金をですぜ? こんなけちな暗殺にですよ?」

 

 エイオンはベティの乳首をかんだ。サキュバスは「いだっ!」と叫んで涙目になり、剃った頭をぺちぺちと叩き始めた。

 

 黙らせる為にエイオンは再び腰を振り始める。ベティはすぐにご機嫌な喘ぎ声を発する様になった。サキュバスを黙らせるには硬いペニスによるノックが一番だった。

 

 ダニェルなら致し方ないとエイオンは嘆いた。金色エルフ最強とされる男を雇うのはそれ相応の銭が要る。1人で合戦の戦局をひっくり返すとんでもない武者がダニェルだった。

 

「で、おれに白羽の矢が立ったというわけだべえなあ。許しがたい……」

「けどあと1人ですからね。あと1人を討ち取るのを手伝っていただければお仕事はおしまい。あとは港から南周りの船に乗ってカントニアへ、というわけでさあ」

 

 その為の前準備も出来ている。エレクトラは懐から折りたたんだ紙を出して開いた。どこかの屋敷の見取り図で、南に面した一室にバツ印がつけてあった。

 

「標的はだれだべえ?」

「もう忘れちまったんですかい? アジール大河の中州にある、アジール海洋公に決まってるじゃあないですかい?」

「ああ思い出したべえ。どうせこの前のカルカドみたく、おめえさまがべっちょの最中にぐっさりだべえな?」

 

 問われたエレクトラは「違う」と答えた。今度はそうもいかない。何せ敵はアジール水軍の総大将だからだ。イズヴァルト達が向かうアジール川の入口にある港町は軍港でもあった。

 

 アジール海洋公とは、ホーデンエーネン海軍の南西軍団の提督の通称である。この頃の当代は北部諸侯のうち、西側の大港湾都市・オバーマゲルクの領主の弟だった。

 

「殺す理由はなんなんだべえ? それだけは聞いておらんかったべえよ」

「北のパラッツォ教団の融和派だからですよ。カルカドさんとアジール水軍のトマス=オバーマさんは、主流派の『弾圧政策』に反対してましたからねえ……」

 

 この頃、パラッツォ教団はホーデンエーネン北部で信徒を増やしていた。万人は神の前では平等という教えと、セックスは異性とも同性ともあいさつ程度の大事なコミュニケーションであるという定義に感化された平民達の中で広まっていた。貴族の中にも帰依する者がいた。

 

 特筆すべきは、信徒はとかく産まれた子の血統を気にしてはいけないということ。とにかく男女は誰とでも分け隔てなく性交をして孕んで産め。産まれた子は皆の共有財産だから大事にしましょう。みんなで養育しましょうねという掟もあった。

 

 だがそれはホーデンエーネン王国が大事にしている封建主義にそぐわぬものであった。国王は思うところがあるのか、「臣下に全て任せる」と告げて何も言わない。

 

 代わりに忠臣達が刃をふるった。この挑戦的な教義を持つ宗教を弾圧した。北部では派遣された騎士団が教徒の家や集落を襲い、強姦と略奪を伴う虐殺を繰り返した。

 

 死んだカルカドとアジール海洋公はこうした現状を憂い、王都に何度も意見書を送っていた。しかし書簡は国王の手前で破棄された。この頃王都で優勢だったのは。教団討滅を目論む派閥だった。

 

 理由はホーデンエーネンの主だった王族や貴族の多くが、旧エチウ諸公国の流れをくんでいたからだ。かの諸島の領主らは残らず財産を奪われ、下賤の民と交わ続けて尊い血を薄めさせられていた。

 

「ふうん。おれたちエルフはいまひとつ、ニンゲンどもの『貴種』とかいう考えがわからねえべえよ。せいぜい土地だの金だのを、人より多く持っているだけだべえ。そんなのをありがたがっているのがよくわからねえべえ」

「ニンゲンってえのは亜人の皆さんより非力ですからねえ。しょうもない事で自分が上だと争いたいもんなんでさあ」

 

 明日、出発すると言ってエレクトラは去った。河口までまっ直ぐ進む旅客船が出発する日であった。これまで散々抱いた女の姿が見えなくなると、エイオンは下に敷いているサキュバスの乳房をきつく揉みしだいた。

 

「まったく……お楽しみの最中だったのに興覚めだべえ」

「エイオンさん。思い出したんだけどそういえば、エレクトラさんってあんな『ぶす』だったかしら?」

 

 二週間ほど前に見た時は、瞼は二重だったし鼻は低くてすっきりしていた。但し唇が分厚くてたらこを重ね合わせたようなものだった。

 

「ありゃあなあ、変装魔法とかいうものらしいべえよ」

「今のわたしのように、ニンゲンの姿に化けるようなの?」

「そうだべえ。あいつは本当の顔をあんまり見られたくないらしいなあ。ご本家様に聞いたけどあいつは、『すぱい』とかいう商売で世界各地を渡り歩いているらしいべえ」

 

 密偵という仕事を為すにはあまり顔を知られないようにする必要がある。野外でのセックスの最中にその事だけを聞いた、とエイオンは告げた。

 

 ベティがまだ何かを聞いて詮索しようとすると、エルフの男は激しく奥をこねる事で黙らせた。せっかくの性交による楽しいひと時をつまらない仕事や厄介事で邪魔されたく無かったからだ。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 山地を抜けた後、イズヴァルトは一旦北へ向かった。フジイデールの公都はすぐそこだが、貴族のおひざ元に入るとまた何か面倒な事に巻き込まれるかもしれないからという事でだ。

 

 本来ならアジール川の下り船に乗っていく予定だったが、それも少し先に伸びそうだ。馬車の中でマイヤといちゃいちゃし、彼女が尻を出して脱糞しながらのキッヒャーへのバキュームフェラを鑑賞しての旅路を2日間。

 

 フジイデール領の北、ヤオッフェン領にあるアジール河沿いの河岸町に入って下り船が明日にでも来ると話を耳にする。

 

 しかし船は既に定員ぎりぎりという話を聞き、宿に戻ったイズヴァルトはキッヒャーにここで彼とは別れることを告げた。

 

「そうですか。坊ちゃんを河口まで見送りたかったのですが、仕方ありませんね」

「申し訳ござらぬ。ゆえに今こうして、マイヤが別れを惜しんでの贈り物をしている最中でござるが……」

 

 はうっ、とキッヒャーはのけぞる。彼は下半身を丸裸にしてマイヤのパイズリフェラに悶えていた。今朝も抜いてもらったのに今夜も枯れ果てるまで吸われそうだ。

 

 立ちながらマイヤに蒸れて臭いペニスを愛でられ、どぴゅっと精を漏らしても尚、彼女にくすぐられていきったまま。

 

 彼女のフェラチオとおっぱいは絶品だった。出来ればずっとこうして欲しい。しかし別れる事に安堵もしていた。このままでは吸われ尽くされて殺されてしまう。

 

 こんな貪欲なお嬢様と5年間もつきあっているのか、と嘆くほどにマイヤは過酷だった。気持ちの良い事ばかり続く極楽であるが、身体にとっては地獄である。

 

「おふっ。おふっ。わ、若い頃なら土下座してでも最後までお付き合いしたでしょうが……」

「すまぬでござる。この通りマイヤはおちんちんをしゃぶらずにいられない『ざあめんみるく中毒者』でござる。今夜一晩はキッヒャーどのにお譲り致す」

 

 そう言ってイズヴァルトは部屋を去ろうとする。実はこっそりと別の宿の部屋を取っていた。マイヤのパイズリフェラにぞっこんで、最近は自分と一緒に彼女の尻穴からもりもりとうんちが出るところを眺めるようになったキッヒャーに、思う存分ぶちまけて貰いたかったからである。

 

 去ろうとするイズヴァルト。後ろから強い力で背中をぐい、と引っ張られた。振り返るとキッヒャーとともに動いたマイヤの右腕が、彼のコートを掴んでいたのだ。

 

「もひもひ……。 (逃げようったってそうはいかないんだからね、イズヴァルト!)」

「マイヤ。今夜はキッヒャーどのへの感謝する夜でござるよ。そなたが拙者のおちんちんばかりを入れているおまんこを、キッヒャーどのにお貸ししたいのでござるが……」

 

 それは駄目だとマイヤは答えた。ちんぽからおっぱいと口を離すと、「2人同時に相手しなさいよ」と告げて服を脱ぐ。イズヴァルトとキッヒャーは互いに目を見合わせて呆れるしかなかった。

 

 とはいえベッドに白い裸を横たえて、脚を開いてちょいちょいと指を動かすマイヤの美しさと淫らさに、イズヴァルトとキッヒャーはたちまち我を失ってしまった。

 

 イズヴァルトはフェラチオとセックスにより調教されたペニスが、彼女のヴァギナとアナルを見ただけで精汁を先走らせながら勃起したし、キッヒャーに至っては御曹司の許嫁であることを忘れ、マイヤの身体に組みついたのだ。

 

「わっ、キッヒャーさん。がっつき過ぎだよ!」

 

 キッヒャーは無言を決め込む事にした。もがくマイヤの大きな乳房に顔を埋め、イズヴァルトが赦したヴァギナへのアクセスを一心不乱に行い始めた。

 

「わっ! ああっ! ひあああっ!」

 

 乱暴なキッヒャーの挿入と連結動作にマイヤは狂おしく悶えて失禁した。ちょろっと温かいのが股間にかかったのを感じるとキッヒャーは膣の中で暴発させた。

 

 激情がいくらか収まった彼はおっぱいから顔を離すと、振り返ってイズヴァルトにこうささやいた。

 

「こりゃあすごいですね……」

「なにがでござろう?」

「マイヤさまのおまんこがですよ。こんなに早くに果てたのは初めてです。しっかし坊ちゃんはこんなのを毎日……」

 

 こんな名器の持ち主と片時も離れたくないはずだ、とキッヒャーは褒めた。マイヤは照れ笑いし、「これでもがばがばになったと言われてるんだけど?」と甘えた声で返した。

 

 その後はマイヤの前と後ろを攻めての行いを気絶するまでやり続けた。気づけばもう朝だった。1人だけ肌を艶やかにして浴室へ向かうマイヤを後目に、やつれた顔のキッヒャーと頬がこけた様に見えるイズヴァルトは互いに笑いあった。

 

 身支度を整えて朝食をとった後は、何食わぬすました顔でマイヤは河岸へと向かう。脚をひきずりがちなキッヒャーは、背を丸めて歩くイズヴァルトにこう注意した。

 

「あの娘さん、サキュバスの子孫だと思いますよ」

「やっぱりそうかもしれぬでござるな」

「ぼっちゃん。くれぐれもやり過ぎて早死にしないように。お腹を膨らませたマイヤちゃんが坊ちゃんの骨が入った箱を抱えて戻って来る幻を、最近見る様になりましたから……」

 

 承知した、とイズヴァルトはうなずいた。しかしキッヒャーは疑問を抱いた。あれだけ馬車の中でセックスをしているのに、どうしてマイヤの身体に異変が起こらないのだろうか。

 

「あれだけやっていたら、子供ができてもおかしくないんですけどねえ……」

 

 彼とてイズヴァルトの精液のにおいを知っている。嗅いだだけで女が孕みそうな代物だった。それを美味しそうにすするマイヤの姿も。

 

 そうしてイズヴァルトはキッヒャーと別れた。船に乗り甲板でしばらく外の景色を眺めていると、船の中を探険していたマイヤが戻ってきて愚痴って来た。

 

「イズヴァルト。この船は雑魚寝部屋しか無いんだよ?」

「そりゃあそうでござるよ。外洋船とは違い、屋形船にちょっと毛が生えた程度の大きさでござる」

 

 ハネムーンベビーをこさえる行いとはしばらくお別れ。おしゃぶりも皆の目があるので禁止、とイズヴァルトは言い渡した。それにこの船には身体を洗う設備が無い。寝るスペースも男女別となっている。

 

 この船の中で3日間過ごすのだ。仕方が無いと笑ってマイヤは女部屋へと向かった。本を読み出された茶を飲んで過ごしていると、眠くなってうとうととしだした。

 

 イズヴァルトもまた甲板で素振りや筋肉トレーニングをして夕方まで過ごしたが、腹が減ってきて動けなくなる。その時丁度河岸から小舟が近づいてきた。客向けの夕飯向けの弁当を売る商人が乗っていた。

 

 おおよそ20ぐらいの若い人妻の様な女の売り子に銭を渡し、マイヤのぶんの弁当まで買って船室に戻った。マイヤは就寝室のそばにある食堂代わりのスペースで、不機嫌そうな顔で本を読んでいた。

 

「あ。お弁当なんてあるんだ?」

「待っていたのでござるか?」

「ちがうよ。追い出されたんだよ」

 

 マイヤは女性の就寝室を指さした。あそこでは客の男と女達との酒盛りとおまんこの真っ最中だと答えた。

 

「おろろろ……なにゆえでござる?」

「この船は殆どが河口の港町への労務に向かう夫婦みたい。聞けば同じ村の人達だって」

 

 まだ子供がいないか、あるいはもう巣立っていった夫婦ばかり。冬の間は畑仕事が出来ないから領主からの徴発というかたちで、港町で軍属として働きに行くのだという。

 

「それはまた難儀なお話でござるな?」

「その代わりに税金がいろいろと免除されるみたいだよ。ちゃんとお手当も貰えるらしいし。で、イズヴァルト。男部屋も追い出されるみたいだから注意して」

 

 村人たちは女部屋で酒盛りをし、男部屋でセックスに興じるのだという。村の人達はわがままで心が狭い人達ばかりだから、眠れるのは昼間だけみたいとマイヤは嘆いた。

 

「で、ござるか。致し方あるまい……とにかく晩御飯をいただこうでござる」

 

 そうしてイズヴァルトは割合高い弁当をマイヤに手渡した。固いパンに野菜と魚の酢漬けと干し肉だった。味は思わず「まずい!」と叫んでしまう、大層な代物であった。

 

 軍旅で支給された弁当にも、こんなまずい飯は無いとイズヴァルトは嘆いた。しかし食べないと身が持たない。彼もマイヤもまだまだ育ち盛りだったからである。

 

「ううっ。イズヴァルト……」

 

 塩気ばかりが強い干し肉をかじりながら、マイヤがさみしそうな顔を向ける。

 

「この船、はやく港町に着くといいね?」 

 

 苦い顔をしながらイズヴァルトはうなずく。およそ旅においてまずい飯が来た時ほど悲しいものは無かった。それから港町に到着するまで、おいしいと思った食べ物にはありつけられなかった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 アジール大河の河口の港町へ到着したのは、おおよそ4日後の事だった。イズヴァルトは蚤がぴょんぴょんと飛び跳ね、虱や謎の虫が至る所で這う床の上で横たわりながら、やかましくドラが鳴るのを耳にして外へと出た。

 

 甲板ではまずい飯とイズヴァルトへのフェラチオが出来なかった事により、いくらか美貌をくすぶらせていたマイヤが船首が向かうところにある街に目を向けていた。

 

「イズヴァルト……やっと、やっとたどり着いたんだね?」

 

 彼女の目から涙が溢れていた。この4日、昼間は寝て夜は淡い光の中で読書やイズヴァルトとカードゲームばかりをやって、退屈しきっていた心が感動を覚え期待を抱いたからだった。

 

「ようやく、でござるな……」

「うん。最近は下痢ばっかりしていたよ。もうおいしくない食べ物やざあめんみるくが飲めない日々は嫌……」

 

 マイヤはイズヴァルトにしなだれた。風呂に入っておらぬ彼女の身体から、きんたまによろしくない感じのする体臭を嗅ぎ取り、イズヴァルトは勃起してしまった。

 

 そうして船が港に到着すると、イズヴァルトとマイヤはこのひもじい冬眠の様な船旅で溜まった鬱憤を晴らすべく、すぐに風呂付きの宿屋に入って身体を清め、下の食堂で腹いっぱい美味しい料理をかきこんだ後に、寝室に戻って狂ったようにセックスを始めた。

 

「マイヤ、マイヤどのっ!」

「いじゅばるとー!」

 

 マイヤはフェラチオで何回も精を吸い取り、イズヴァルトは彼女の穴のまわりが腫れるまで激しく腰を振り続けた。飯を食う時だけ外に出て、あとは部屋に籠って睦みあう。

 

 そんな2日間を過ごすと2人は、すがすがしい心持ちで宿を出た。顔や身体に溜まった鬱憤や欲を感じさせない、あらゆる不満をぶちまけきった様子だ。

 

 足取りは大股で軽やかに。マイヤはおまんこのあたりがひりひりしていたからやや蟹股がちになっていた。ついでにお尻の穴もじんじんとする。アナルセックスも存分に楽しんだ。

 

「さあこれからサカーイ行きの船の旅券を買いに行くでござる!」

「おー!」

 

 2人して右手を突き上げ、港にある旅客船の券売所へと向かう。しかし外は来た時と違い、武装した兵士や武者らが足しげく行きかいしていた。

 

 しかもその姿は港に向かうとより一層目立ってくる。軍港の入口から10人ぐらいの騎馬小隊が現れるのを見て、イズヴァルトとマイヤは不安を感じ始めた。

 

「あはは……さすが水軍の本拠地は違うでござる! 平時でも常にいくさに臨むような……」

「うん。ぜったい何も起こっていない。起こっていないんだからね?」

「さようでござるよ。あっはっはっ!」

 

 内心不安なイズヴァルトは、カラ元気を出して大いに笑うと、旅券を売っている建物へと向かった。しかしそこは外よりも物々しい雰囲気に包まれていた。

 

 さて、この時この港町でいかなる事が起きていたのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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