※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

588 / 767
第七十三回

 さて、この奇声を放つ全裸の女騎兵とは、何者であったのか?

 

 女は敵に掴まれた皇帝を目にしたその時、手綱から手を離し、腰を前後に揺らして「キシェエエッ!」と吠え、「はひっ♡」と悶えながら、鞍につけていた弓矢をとって引いた。

 

 驚くほどの早業だった。シゲニウス帝を貫こうとしていた相手の剣を弾いた。

 

 腕に重い痛みとしびれを感じた刺客は、素早く剣を拾い上げて向かってくる全裸の女騎兵に呼びかけた。

 

「ヒッターチの『軍神』、その人だなっ!」

 

 女は鞍を縦断する柔らかい突起物の列に、陰核と小陰唇をすりすりとつけて「あふううん♡」と悶えながらも、口を開いた。

 

 さっきの奇声とは大違いの、甘い響きがする可愛い声が出た。

 

「しょ、しょうれしゅ! わたしゅぃがほーじゅりあでしゅ!」

「やはりそうか! 自慰行為に耽りすぎて頭がパーになり、舌っ足らずにもなったと聞いている!」

 

 ホージュリア=アルゲアス。シゲニウス帝の妃。

 

 目覚めている時は、常に自慰をし続けているという狂人であり、『軍神』と呼ばれる、ヒッターチ最強の騎兵であった。

 

「そっ、そのとおりれしゅ! ほ、ほーじゅりあは、ば、ばかになっちゃましゅたー!」

「言語野が全然だめだめじゃねえか! でも、アホでもヒッターチ最強なのは知っている!」

 

 その舌がまるで動いてくれない最強の軍神は、腰を振るのを止めなかった。

 

「ふいいいっ♡」

 

 悶えながらもまた矢をつがえる。さっきよりも距離が近いから、百発百中になるだろうと刺客は思った。剣を弾いた矢にこもった力が、あまりにも殺意に満ちていたものだったから、恐れを抱いたのだ。

 

「くそっ! 勝負はまた後日だッ! あばよ!」

 

 男は印を切って東のほうへ飛び上がる。それを見た仲間たちも切り結ぶのをやめて飛んで逃げていった。

 

 刺客達はあらかた逃げていった。ホージュリアは腰を振り、「あいいいいんっ♡」とうめいてのけぞりながらも、シゲニウスの懐に飛び込んだ。

 

「だ、だいじょうぶだったれしゅかー、せのきみ?」

「問題ないよ、ホージュリア♥」

 

 シゲニウスの顔はすっかり緩んでいた。この若き皇帝は自慰狂いの廃人となった妻を、とても深く愛していたのだ。

 

「全裸でみんなにおぞましいものと見られている君は、とっても素敵だよ♥」

「しょ、しょーれしゅか?」

「ああ♥ 本当さ♥」

 

 シゲニウスは妃の身体を抱きしめ、周囲をちらと見た。皆が口を半開きにし、妃の身体を凝視していた。

 

 淫乱な女エルフもさることながら、戦場を疾駆する、皇帝妃もまた、頭を抱えたくなる悩みとなっていたのである。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 ヒッターチは『軍神』のおかげで、瓦解をまぬがれた。思っても見なかった襲撃に度肝を抜かれたが、彼女が駆け回って鼓舞してくれたので、戦意を取り戻して立ち直れた。

 

 夜襲はシゲニウスの読み通り、背後は無かったけれど側面からも押し寄せてきた。ただし海側、つまりはミョーゲチャコフ軍側のみだった。

 

 ダテーゾフが包囲戦を仕掛けて来ないことを幸いに、ヒッターチはミョーゲチャコフ軍と声を掛けあって押し返した。

 

 とはいえ、せっかく取った砦は全部、取られた格好になった。ユリアゲツクが取られたのだ。

 

 連合軍は一旦、ユリアゲツクから南にあるメイトリグラード付近まで退いた。皆がぐったりとして、戦意はあがらなかった。

 

 その頃にである。『だいぶへんもの』ののぼりを掲げたイズヴァルトらが、シゲニウスの元にやって来たのは。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

「シゲニウスどの、お久しぶりでござった!」

 

 出迎えてくれたヒッターチの皇帝に嬉し泣きをし、イズヴァルトは相手の右腕をかたく握りしめた。

 

「痛い! 握り方が強すぎる!」

「やや、すまぬでござる……」

 

 申し訳ないのは非力なこちらだ、と謝罪したシゲニウスは、10年ぶりに見たイズヴァルトに尋ねた。

 

「エチウの司祭騎士団長というものになったと聞いた。いわゆる『陸軍大臣』みたいなものだろう。あの忌まわしい『ふじもとみねこ』……もとい、エレクトラは、さしずめ参謀総長といったところか?」

 

 他の国々では聞いたことが無い役職だが、一国の軍を王の代理で統べるほどに重い役目に近い、とシゲニウスは言った。

 

「いや、ただ単に手伝いいくさに駆り出され、養豚場の種豚よろしく、女教徒どのらに種付けをし続けていただけ、でござるよ……」

「なんて勿体ない扱い方だと一瞬思ったが、理にはかなっている。君は独りで万の軍に匹敵するし、君の子はとても頑丈そうに育ちそうだからな」

 

 シゲニウスはイズヴァルトが押していた荷車に乗る、黒髪の美女に目を向けた。手が無い腕を縁にかけ、こちらの様子をうかがっていた。

 

「あれが噂の……」

「さようでござる。拙者の妻のローラどのでござる」

「旅の軍師だと騙って君の名誉をかすめ取ろうとする、『四肢欠損下痢噴射無料公衆便所女』と、聞いたことがあるよ」

 

 聞いた瞬間、イズヴァルトは皇帝の首を締め上げていた。ローラは荷車の後ろに開いた穴から尻をだし、ぶしゅうう、と音を立てて、液状の便を盛大に放った。

 

 ミツクニュモスらに取り押さえられてシゲニウス帝の首から手を離したが、イズヴァルトは憤りを隠せなかった。

 

「確かに下痢を噴射していた! 噂は本当だったんだ!」

「誰からでござる! 誰の、どの口が、ローラどのを、『四肢欠損下痢噴射無料公衆便所女』とほざいたでござるか!」

「カントニアで、その様な噂が流れていたのだよ。イズヴァルトにくっついているだるま女は、テイカー気質のどクズ女。そのくせ淫乱で、タダマンをやらせてくれるとか……」

 

 それは間違いである、とイズヴァルトは訂正した。軍師ローラは通りがかった人に誘われたら、『おしゃぶり』ぐらいは施すが、股の穴までは許さない。それに、きっちり銭を貰い受ける。

 

「そうだったのか。意志薄弱なただの廃人ではなく、ちゃんとお金を取っていたんだな……」

「廃人ではないでござる! れっきとした軍師でござる!」

 

 この軍師とその他諸々とともに各地を回り、武名を高めているのだとイズヴァルトは語った。それとこの軍師は、とても博識だ。軍事だけでなく他のことにもとても詳しい。

 

 しかしシゲニウスは、まったくもって信用できないと吐き捨てた。

 

「歳は25? だったら耳学問だというものだよ。僕もほぼ同い年だが、前世での30年近くの人生があるし、『ふじもとみねこ』に至っては、前世では僕よりも10年近く長く生きたと聞いた。前世と現世を合わせれば、どちらも老人の域と言えるだろう。それだけの経験もしてきた。だが、この人はまだ25歳だろう? 様々なことを知っているとは言え、所詮は机上で覚えたことだ。信用できない」

 

 その棘のある言い方に、イズヴァルトはまたも憤ったが、ローラは微笑んだまま反論はしなかった。

 

 そこにパオレッタとマリアが割って入って、ローラは案外知恵がまわるやつだと言った。恋敵の肩を持ったわけではあるが、決してお世辞ではなかった。

 

「こやつは軍師というより兵器の技術者みてえなもんズラ。乗っている『うば車』は、大筒や鉄砲を備えておるズラよ」

「ほうズラ! うんこをするためにケツを出す穴を設けるなんて、普通のたわけじゃ思いつかねえ! 普段はおまんこばっかりでなんにもしねえけど、いざとなったらオラたちでも思いつかねえようなことを考える、小賢しいにも程があるヤツズラよっ!」

 

 それと、おっぱいとおしりが大きい。おまんこなめなめのテクニックは世界トップレベル。両手両足が短くてそこが可愛いと言えば可愛いとローラを褒めた。

 

「……どうでもいい話ばっかりだけど、頭の血の巡りがいいことだけはわかったよ。一応はイズヴァルトの知恵袋、とだけは認めておく」

 

 そうわかれば、知恵とやらを試してみたいものである。

 

 シゲニウス帝はローラに策がないかと訊く。これまでの戦況の説明が欲しいとローラは求めた。

 

「できるだけ詳しく聞かせてほしいですな。とりあえず、ヒッターチ軍の中でも、最も戦場を広く見渡せるかたに、お聞きしたい」

「それならばホージュリアがいい」

 

 しばらくして、皇帝の妃がやって来た。上は服をまとっていたが下は全裸だった。

 

 海藻の汁をたっぷりとつけた、イソギンチャクのようなものがたくさんついた布で股をごしごしとして、「うひゅい♡ うひゅい♡」と悶えていた。

 

 同席していたマレーネは平然としていたが、付き従うオットーの顔は、なぜか青ざめていた。額から脂汗を垂らしていた。

 

【ギルバート=カツランダルク注:オットー=オーズローはこの時以前に、ホージュリア皇帝妃と会ったことがあり、無理やり同衾させられたという。少年の陰茎ぐらいのサイズのクリトリスを貪られ、深いトラウマになったと伝えられている。】

 

「ホージュリア、挨拶して?」

「はひゅい♡ み、みなしゃま、ほーじゅりあでしゅ♡ ふひゅい♡ おまんこくにくにがやめらりぇないのでみっともにゃいしゅがたをしゃらしてしまって、しゅみましぇん♡」

「食事と寝る時以外、自慰狂いが全く止まらないのだよ。でも安心してくれ。自慰で頭がばかになっちゃっても、彼女は常に冷静だ」

「ひゃあい♡ ば、ばかでみっともないれしゅけど、ちゃあんとみなしゃんの声はきこえてましゅから、あんしんしてくだしゃい♡」

 

 ホージュリアはその帰命な道具で陰裂をじゅりじゅりとさせながら呼びかけた。

 

 かつての凛々かった頃の皇帝妃を知るイズヴァルトは、おいわたしや、と嘆いたが、エルフたちは彼女の自慰狂いっぷりを頼もしく思った。

 

 人前でも止めない女は下品ではなく、大した胆力の持ち主である。サガミニアのエルフたちはそう思っていた。

 

 それに比する胆力を持つ女、歳も歳なのに平気で人の前でうんちをぶりぶりとひねるローラが、「うひゅ♡」を繰り返す皇帝妃に、矢継ぎ早に尋ねた。

 

「兵の士気は? 疲労は? 食糧は足りてますか? 野宿では藪蚊や蜂などに悩まされますか? ああそれと、武器弾薬の補給の遅滞や敵の襲撃などは?」

 

 ホージュリアは股をより強く、ごしごしごしごしとやり始めた。しかし声はさっきまでのゆるゆるしたものではなく、きびきびとしたものに変わった。

 

「士気は停滞気味だ。疲労が積もっているからだろう。食糧は田舎育ちの私や騎馬の民は申し分ないごちそうだが、都会育ちのヒッターチ人には不評だ。どうも味が合わないらしい」

「なるほど。疲れが溜まっているとおっしゃいましたが、気候や環境も関係してくるのでは?」

「そうだな。ここはヒッターチよりも寒い。10℃近くは違うだろう」

 

 昼間はもっと差は少ないが、朝と晩が段違いだ。今朝のユリアゲツクの気温は6℃。ダテーゾフやもっと北のクノーヘはさらに低い。

 

「あとこの辺は蚊が多い。ミョーゲチャコフの藪蚊はしぶといそうだ。、秋でも冬でもぶんぶん飛び回るらしい。私の奇声やエルフ達のおまんこのオホ声以外にも、安眠を妨げる要因はあるのだ」

 

 ホージュリアはしゃがみ、尻を持ち上げた。肛門がゆっくりと開いた。

 

「背の君。もう少し頭をすっきりとさせたい。『しりあなぐにぐに』の道具を挿れてくだしゃい」

「僕のちんちんでは、駄目かい?」

「……人肌のぬくもりがあるものだと意識がそっちに行ってしまう。無機質なものがいい」

 

 シゲニウスはとても残念そうに肩を落とし、オーガの妾が持って来たすりこ木棒を手に取った。

 

 それの先端に瓶に入れた海藻の汁をつけると、ひく、ひく、とうごめくホージュリアの菊門に押し込んだ。

 

「ひいぐうっ♡ い、いいれしゅ……♡」

「ホージュリア殿? また雌の顔になってしまわれましたぞ?」

「……ほんの少しの間だ。いくさの話に戻そう、ローラ=ラダトゥム=セアック?」

 

 尋ねるホージュリアの表情は、女武将のそれだった。尻を持ち上げてしゃがみ、前を繊毛状の自慰道具でこすり、後ろをすりこ木棒でグポグポとやられているのにだ。

 

 この皇帝妃は、性的快感を得ると頭が働くタイプだった。戦場では自慰をしながら奇声をあげるのだが、戦うこのに熱中するあまり、脳の言語野に血が行き渡らないからだろう。ローラはそう考えた。

 

「このままでは圧されだすだろう。貴公ならどう打開する?」

「左様ですなあ……」

 

 ホージュリアの尻から、ぐちゅっ、ぐちゅっ、と気持ちよさげな音を耳にして、ローラは菊穴を疼かせた。しかし今は、戦争のことに頭を巡らせなければならない。

 

「必殺の奇策は思い浮かびませんが、この戦争を早く終わらせる為の戦略ならばございます」

「戦略? 申されよ」

 

 ローラはこのように提案した。

 

 まずは1週間ほどこの地で守りを固める。付近に大きな城市があるから、酒や風呂などの養生を、兵士らに与えることもできる。

 

「守りは塹壕や柵を固めた後に1万ぐらいを張り付かせることにし、交代で各城市で気分転換をしていただきましょう。これで疲弊した身と心は、少しぐらいは癒えることでしょうな」

「なるほど。だがそれは、敵方も養生させることになるが?」

「そうはなりますまい。相手方はユリアゲツクに踏みとどまる事になりますから、我らよりも疲れが溜まることでしょう。ダテーゾフ方の一番大きな城市まで徒歩で半日近くの距離と見受けられましたが、相手は2万以上。そこで休むにも流石に、数に限りがございまする」

 

 それと、砦があっても多くの兵士は野宿をすることとなるだろう。この時期、雨も降ることも多い。空はナカムグラードと同じく、濃い灰色の曇天だった。

 

「なるほど。そうなれば鋭気を養った状態で、我らは決戦に臨めるというわけか!」

「……ではございませぬ。これはあくまで、相手にそう思わせるまでのこと」

「はて? 言っている意味が読み取れぬが?」

 

 首をかしげるホージュリアに、ローラは意味ありげに含み笑いを向けた。

 

「果たしてこの策が成るかどうか、とりあえずはこの目で、ダテーゾフの陣を見ておきたいと考えておりますよ。ふふふ」

 

 それを聞いてイズヴァルトも相槌を打った。

 

 さて、この軍師の頭の奥に描いていた軍略とは何だったのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。