聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
ローラはこの目で直接、ダテーゾフ軍の様子を伺いたいと申し出た。
それを聞いたシゲニウス帝は、「どの様に入るつもりか?」と問いただすと、自分を和平交渉の使者にして欲しいとローラは申し出た。
「和平交渉? 馬鹿な!」
「あくまで方便ですよ。あ、連れて行くのはイズヴァルト様と通訳のミツクニュモス様で充分です。保険として、オクタヴィアさんあたりにも同行していただきましょう」
近くにいて耳にしたミツクニュモスの、顔が曇った。しかしシゲニウスは安心しきっていた。
「イズヴァルトさんが同行するなら大丈夫だ。武名はこのムーツでも轟いているだろうからね」
「おっしゃる通りです。フフフ……」
かくしてローラは、イズヴァルトとミツクニュモス、自分も行くと言い出したイナンナを連れ、使者としてダテーゾフの陣に向かった。
ダテーゾフ軍の陣門が見えてくると、イナンナが荷車に乗る彼女に尋ねた。
「でもどうして、相手の様子を見たいと思ったズラか?」
「兵法に言います。敵を知り、己を知れば百戦危うからず、と」
「それ、転生人の『そんし』ズラな。イーズモーの暗黒卿も、似たようなことを言っていたらしいズラよ」
サイゴークの英傑もまた、自ら敵の陣営に潜り込んで調べることをよくしたという。
流れの傭兵や兵糧を運び込みに来た農夫に身をやつし、相手の陣深くに入って弱点を探ったという。
そのダテーゾフは案外と懐が深かった。使者としてやって来たローラ達を、この軍団の総大将のところまで案内してくれる事となった。
総大将の本陣は一番後方の砦にあった。その道すがら、イズヴァルトはローラに耳打ちした。
「拙者がひっ捕らえるという策に変えても良いでござるよ?」
「それは愚策です。よしんば捕らえても本国から替えが来ることでしょう。それに、その様な騙し討ちは信義にもとる行いです。イズヴァルトさまは『ゆうしゃ』になられるお方なのですぞ?」
「……さようでござったな」
我らがイズヴァルトだが、ダテーゾフの将兵の間では顔を知られていなかった。背が高いゆえ、なんかでかいのがいる、という声しか周囲から聞けなかった。
そして砦の入り口の手前で、ダテーゾフ側の総大将と顔をあわせた。左右に秘書と名乗る女たちを侍らせていたが、胸が大きく、煽情的な体つきをしていた。
この将は生まれの良さ出世した類の男で、取り立てて頭が良いとか、武勇に優れているわけでは無かった。いわばお飾りの武将である。
体つきはたくましかったが、どこか、線が細いと見受けられた。
「これはこれは……ヒッターチは美しい女人を使者として送るのだな?」
ダテーゾフの言葉はイントネーションが独特で聞き取り辛い。ローラはミツクニュモスに翻訳を頼んだ。
「ローラさんとイナンナさんを、押し倒したくなるぐらい魅力的だって、言っているぜ?」
「ほほう。それは脈がありそうですな?」
将軍はローラとイナンナを交互にじろじろと見て舌なめずりをし、鎧の奥にある男のものを勃起させていた。暇が多くてさっきまで、左右の女と性交を楽しんでいたのにだ。
ただ、愛人を2人も戦場に連れて来る好色さと絶倫ぶりは、大将にふさわしいとも言えた。ローラとイナンナは、この男の身体から、発情のにおいを感じて心の中で舌なめずりをした。
「さて、休戦の使者とは、ミョーゲチャコフとヒッターチは、ダテーゾフ大公殿下の威名に屈するつもり、というわけか?」
「ミツクニュモスさん、何て言っているんです?」
「とうとう打つ手なしってわけだな。ダテーゾフが強いのがわかっただろう、みたいなことを言っているよ」
ローラは後ろを振り向き、荷台の取っ手を掴むイズヴァルトが苦笑しているのを目にした。イズヴァルトは少々、ムーツの言葉に慣れていた。
ミツクニュモスがからかっているのがわかると、彼女は翻訳を頼んだ。それを聞いて訳者がぎょっとなった。
「いいのかい?」
「外交で張ったりをかましあうのはお約束、というものですからな? 今言ったことをそっくりそのまま、ダテーゾフ語で翻訳してください」
ミツクニュモスはしぶしぶ受け入れた。ローラの言ったことを将軍に、ダテーゾフのことばで伝えた。
「ダテーゾフ大公の威には屈さぬが、ワターリ王家の命であれば大人しく従おう。ヒッターチは今しばらくミョーゲチャコフに留まるつもりだが、両大公の談義に加わるつもりは無いし、ダテーゾフに賠償金を払うつもりなど全くもって論外だ。そんなに軍の強さを見せつけたければ、カントニアに進軍して大きな城の1つや2つ、取ってみろ。騎馬隊の蹄を馳走してやる」
ローラの挑発混じりのこの言に、ダテーゾフの将軍は涼やかに笑って払いのけた。
「カントニアまで攻めてこいとは、馬鹿なことをほざく。そこまでして得るものが無いとは思うがな……よかろう。領土のことは我らとミョーゲチャコフだけの話し合いとする。ただ、もうひと合戦あることは重々承知なされよ。わが軍は依然、鋭気があって戦意に燃えている。ナカムグラードまで攻め入る所存だ」
ミツクニュモスの翻訳を聞いて、イズヴァルトは一安心した。この場でローラとミツクニュモスを守りながら、大立ち回りを演じる恐れが無くなったからだ。
「それを聞けて安心いたしました。まずはその一戦……雌雄を決める決戦の日まで、双方とも鋭気を蓄えることといたしましょう……さて」
ローラはイズヴァルトに目くばせする。それから小声で、荷台の中の荷物入れから、道具袋を取り出すように頼んだ。
「お近づきのお礼として1つ、わたくしめが諸国放浪で培ってきた、兵法をお見せ致しましょうか?」
「ム? 兵法とな? 騙し討ちを目論んでいるのか?」
「いやいや。そのような大それたことは考えておりませぬ。ほんの余興でございますよ。では」
ローラは『ばんざい』をすると、イナンナが起こした。今の彼女のいでたちだが、義手義足は身に着けず、スカートが腿のところまでの短さの、黒く染めた毛織りのワンピースをまとっていた。
イズヴァルトが歩き出し、10メートルほど離れた門の柱の前に立つと、道具袋からトンカチと釘と、四角い小さな的を取り出して打ち付けた。
「的はこの高さでよかろうか!」
「申し分無しでございますよ!」
イズヴァルトが戻って来て、道具袋からラッパ笛の様なものと小さな矢を取り出した。
「ちょっと変わった、吹き矢の妙技をご覧に入れましょう」
「ゴブリンたちの暗器が扱えるのか。しかし、あの者達の持ち物とは違うな?」
「この吹き矢は、かような用い方をするのです」
背中から抱えられていたローラはイナンナの手によって、スカートをめくられた。童女の様なぷるんとした恥丘と、使い込んでいるのに一向に色素が沈着しない、鮮やかなピンク色の陰裂が大将らの目に映った。
「随分と大胆な! これがヒッターチの流儀であるのか?!」
「わたくしめはイーガ人。かの国の様なおしとやかさを持ち合わせておりませんよ」
ローラは腰を持ち上げた。ローラの大きな尻の真ん中にある、童女というより赤ん坊のそれみたいな尻穴が、きゅい、きゅい、とうごめいていた。
将軍の愛人らがそれをみて、くすくすと笑う。
「まあ♡ なんて可愛らしいおケツアナかしら♡」
「まるで、あかちゃんの尻穴ですわよ。ああうらやましい。あたしなんか、小さい頃からこき使っているから、半分外に飛び出しちゃってるし♡」
総大将や近辺に侍る兵士らも、ローラの女陰と尻穴を凝視していた。欲情して、勃起が抑えられなかった。
そこから漂う香りがかすかに彼等の鼻孔をくすぐった。皆が陰茎の付け根をむずむずとさせた。ローラの女陰と肛門が放つにおいは、精虫汁を放ちたくなる、強い催淫の効果があるからだ。
ローラはまわりのことを気にもせず、ただじっと向こうにある的を見て、尻の高さと左右を少しずつ動かしていた。抱えているイナンナは直立不動だった。
「ふうむ。角度はこのぐらいでしょうかな」
「だいたいそんなもんズラ。あ、もうちょっと右に5度ぐらい」
「よし。ここですな」」
ローラの声と共に、イズヴァルトは手に持った筒の広がっているほうで、彼女の尻穴を閉じ込めた。矢はすでに筒の中に落とし込まれていた。
「それでは、見ててくだされ……ふんぬっ!!」
たいへんやかましい屁と共に、筒の中の矢が勢いよく一直線に飛んだ。軽いが耳障りのよい、乾いた音が鳴った。
矢は、的の真ん中に突き刺さっていた。
「お見事!」
ダテーゾフの総大将とその妾達は手を叩いていた。彼に従う兵士達も遅れて手を叩き始めた。
しかし、中には手を叩かずうずくまる者が何人かいた。ローラが放った屁のにおいに射精中枢をやられ、とうとう漏らしてしまったからだ。
「いかがでしたかな? これこそが、わたくしめが長い放浪の旅先で会得した尻の兵法、『尻陰流』の奥義、屁こき矢でございまする!」
「いやいや、恐れ入った! これほどの技を隠し持っていたとは! 流石はイーガ人。油断できぬ者ばかりだ!」
ダテーゾフの大将は、この妙技をできるだけ多くの者に見せたいと願い出た。
ローラは快く承諾し、いくつかの砦をまわってダテーゾフの他の将兵らにも、尻を使った特技を披露したのであった。
【ギルバート=カツランダルク注:『尻陰流』と呼ばれる兵法は、実際に存在していなかった。ただ、おならで吹き矢を飛ばす宴会芸みたいなものは、トーリ=カツランダルクとその妹、マイヤ=カツランダルクが酒の席でよく用いたという。】
会得した兵法の極意を披露し終え、ダテーゾフの陣営を出ると、ローラはシゲニウスに、ミョーゲチャコフと急ぎ軍議を開くことを求めた。
「敵は弱兵ばかり、というわけか? 今衝けば勝てる見込みがあるからか?」
「兵の質や体調など、ぱっと見でわかりゃ苦労はいたしませぬ。それと衝くのは別のところです」
その為にも、ミョーゲチャコフの最強騎馬軍団、『騎馬愚連隊』の力が要る。それと。
「此度はイワキエルの遊牧民の皆様と、できれば、ホージュリア様をお借りしとうございまする」
いきなりの申し出に、流石のシゲニウス帝も目をまんまるくしてしまった。
さて、この女軍師が考えていた事と一体、なんだったのか?
その続きについてはまた、次回にて。