聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
その里でヤギウセッシウサイが借りた家は、8部屋もある大きなものだった。彼の知り合いでもある里長の別宅でもある。
頑丈で大きな屋根がついたその家には、お腹を大きくしたマレーネが布団の上に寝て、荒い呼吸を繰り返していた。
「ふうっ、ふううっ……」
彼女はオーガの寝間着である『ゆかた』をまとっていたが、下半身は出して脚を曲げて開いていた。尻にはきれいな布を敷き詰められ、会陰は大きく盛り上がっていた。
彼女は出産の時にあった。イズヴァルトとの間の3人目の子が生まれようとしている。
彼女の分娩を手助けするのは、オーガの産婆とオットーともう1人、彼女が同行を求めたエルフの人形師のジョセフィーヌだ。
「もうそろそろだべ。ほれ、もっといきっとけ」
出産経験豊富なジョセフィーヌも呼びかける。あるじの出産に立ち会うオットーも、会陰を濡れ手ぬぐいで拭いてやる。
この場には彼女たちだけでなく、イズヴァルトの娘であるエレナとオリガ、ウーゴ王子も立ち会っていた。マレーネが、赤ん坊が生まれるところを見せたいと言って呼んだのだ。
子どもたちはマレーネの股から、赤ん坊の頭が出てくるのを見て固唾を飲む。彼女は安産体質だった。
すぐにするりと赤ん坊が生まれ出て、産声をあげた。赤ん坊を取り上げたジョゼフィーヌが、やり遂げて安堵の表情を浮かべるマレーネに呼びかけた。
「マレーネさん、ものすんげえばかでかいきんたまをつけた、男の子ズラよ!」
「まあ! それじゃあ、おねえちゃまを泣かせまくる孕ませ魔の血と、汚わらしいイーガの王家の血が全世界に広がってしまうわ!」
毒を吐きつつ、マレーネは起き上がって産湯で清められた赤ん坊を愛おしそうに抱きしめた。赤ん坊は可愛らしかったが、確かに陰嚢は大きかった。それと、陰茎が並の赤ん坊よりも、ひとまわり太ましい。
それから男と女が子孫づくりを楽しめるよう、赤ん坊はジョセフィーヌの手で麻酔をかけられ、包皮を削がれた。治癒魔法を使えば傷はすぐになくなる。
剥きでた亀頭もたいそうご立派なものだった。きっと父親似の、とんでもない女泣かせに育つだろう。
そうなることを願いジョセフィーヌが口に入れた。エルフ流の祈願である。赤ん坊が「うーん!」とうなっておしっこを漏らすまでしゃぶってやった。
口を離すと男性器に血が集まって、みょーんと伸びているのが皆の目に映った。これなら早いうちに、イズヴァルトとマレーネに孫の顔を見せてくれるだろう。
マレーネは赤ん坊に乳を含ませた。男の子は母親の乳を勢いよく飲む。ジョセフィーヌが尋ねた。
「名前はなんとつけるズラ?」
「ハインリヒ、にいたしますわ。これでおねえちゃまは、もう1人の息子を得たことになりますわね。うふふふ……」
胸に抱くこの子は、イーガの王位継承権を持たない。得られるとしたら、イズヴァルトの故郷のシギサンシュタウフェンの継承権かあるいは、サイゴークにあるイズヴァルトの領地の一部だ。
そしてこの子は既に産んだエヴァとアンネの様に、戸籍上の母親は、イズヴァルトの事実上の妻である『おねえちゃま』となる。
マレーネは『おねえちゃま』の為に、イズヴァルトの子を産んだ。義姉は最低でも6人、子どもが欲しいと言っていた。それをきっちりやり遂げるつもりだ。
その理由だが、実の父親が義姉をあんな目に遭わせたから、という負い目もあったが、それ以上に、慕う気持ちが強かった。
義姉は性格はガキンチョで頼り無いが、ついついかまってやりたくなるような愛嬌がある。
それから、『マイア=テクニカ』で様々な新製品を生み出した天才だ。細かいところは人任せだが、世界を変える様なものを生み出した。銃と『たぶれっとぱっど』とその他諸々だ。
そして彼女は、『マイア=テクニカ』の経営者の1人となった。愛嬌と知性を併せ持つ義姉を『布教』する為にだった。
まずはホーデンエーネンやその周辺にあった、『おしゃぶり姫』の排便シーンつき児童ポルノ映像水晶を買い集めて複製し、カントニア大陸やチンゼー大陸、ムーツ大陸に広めた。
ホーデンエーネン王国の『アイドル』の映像は概ね、各大陸でも人気者となった。かわいいぷりっケツと肛門を丸出しにしながら、相手の男のちんぽをぺろぺろと舐める、愛嬌と卑猥さがいっぱいの童女の動画は大層喜ばれた。
そこから更に布教を続けることにした。彼女は玩具部門の責任者となった。
かわいい人形やぬいぐるみを作ることで有名な、エルフのジョゼフィーヌを専属デザイナーとして雇い入れた。『義姉』の姿と声に似せた、ぬいぐるみや人形を作らせた。
それが、ヤギウセッシウサイがどん引いた『おしりのあないじいじ人形』やその他諸々だ。東のオーガ達の間で大人気となった。ヒラーイズミに近いこのド田舎でも、おもちゃ屋が取り扱う様になった。
そして、イーガの魔道師を使って、その映像水晶の女の子の正体や、ぬいぐるみ人形のモデルを市井に広めた。『碩学姫』は、いよいよ全世界の誰もが知る存在となったのだ。
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出産から半日して、ヤギウセッシウサイが館に戻って来た。
彼と同行していたサキュバスのアナも一緒だった。アナは顔がつやつやとしていた。この2日間、情報収集を兼ねて北にあるミズサワスチでの『ちんぽハント』を楽しんだのだ。
「生まれたか。男の子だな。とても可愛らしい子だ」
すうと寝息をたてるハインリヒの顔を覗き込み、マレーネに良く似ているみたいだ、とヤギウセッシウサイは微笑む。
マレーネは布団の中に入っておらず、椅子に腰掛けていた。ジョセフィーヌと自分の治癒魔法で出産で傷ついた身体を治してしまったのだ。彼女はじっとしていられない性格だった。
「魔界の剣豪さまから見て、この子はどのように育ちましょう?」
おだてが無い推察を聞きたい。マレーネに言われるとセッシウサイは困ってしまった。同席するエレナとオリガとウーゴ王子を見てから、赤ん坊の顔をじっと見る。
1分ほど腕を組んで黙っていると、聞かれもしないのに、アナが口を開いた。
「うーんと、かなりとんでもない性豪になりそうね?」
「きんたまを見ればわかりますわよ。それとおちんちんもおっきくて、亀頭がとてもご立派でしたから。でも外見だけじゃ判別できないものを、わたくしは聞きたいんですの」
「……言ってもよいか?」
ヤギウセッシウサイがやっと、口を開いた。
「魔道を志せば、そこそこの名を得られるだろう。しかし、君の父親の様な才能は無いだろう」
セッシウサイは魔法が殆ど使えない。しかし魔界の住人だ。魔法の才について見分けるぐらいはできる。
「そう……ですの。では武勇は?」
「やめておいたほうがいい。父親のようには到底なれない。とはいえ身体は健康に育つだろう。ただ、それだけだ」
筋力は骨格はマレーネの血が強い。それは姉2人と同じだった。マレーネはアナとジョセフィーヌにも尋ねてみたが、あまり良い返答はもらえなかった。
彼女は自分の左足に目を向ける。外に向けて大きく曲がり、発育不全だ。杖を使えばなんとも無いし、馬に乗れないこともない。むしろ乗馬は得意だ。
「致し方ございませんわ。おねえちゃまの様な本物の貴種ではございませんから。わたくしの血筋は」
魔界の大貴族のサキュバスとハーフリングが『義姉』の先祖だ。その血が与える才は後世まで続いていた。
その最たるものが『義姉』の実姉だ。現時点での世界最強の魔道師とも言われる、パラッツォの教主を打ち負かし、魅了の魔法で一時期は、ホーデンエーネンを思いのままにしたほどだった。
『義姉』には魔法の才こそ無かったが、素晴らしい身体能力があった。手足は無くなったがよく動く。しゃくとり虫のようにぴょん、と高くはねる。
「イズヴァルト様の良き跡継ぎを産むのは、わたくしでは至難の業でございますわね……」
マレーネは、腕の中ですやすやと眠る我が子に視線を注いだ。ほんの少しだけ目つきに昏いものがさした。
(欠陥品。縊り殺してしまいましょうか?)
そのわずかな殺気を感じたヤギウセッシウサイが、マレーネを見据えた。期待できない子だからと殺そうとするのは、断じてやってはならないことだ。
その気配に気づいたのか、マレーネは印を切って念話術式でヤギウセッシウサイに答えた。
「……冗談ですのに。そんなことをしたら二度と、おねえちゃまとお会いできなくなります」
「俺の評価のことは忘れることだ。のびのびと育ててやれ」
マレーネはにこりと微笑んだ。あの不世出の2人と比べれたら、どんなにできが良い子でも見劣りするものだろう。