※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第十一回

 砦の近くの岬で、荒れ狂う波を眺めてエレクトラは焦っていた。そろそろ時化が来ると昨晩相手をした若い海賊から聞かされたが、まさか本当にそうなるとは思いも寄らなかった。

 

(勘が狂ったか……。)

 

 自分に大きく股を開かせ、この荒波を渡る船の様に朝まで漕ぎ続けた10歳年下の海賊のたくましい裸身を思い出しながらため息をつく。女体への鬱憤を貯め込んだ若い男の肉体は素晴らしかった。

 

 けれど、長く激しい性交の後の惰眠をこの夕方近くまで貪っていなければ、きっと向こう岸に渡れたはずなのに。背後から近づいて来るエイオンの笑い声と、彼の底なしの性欲にすっかりぞっこんになっていた海賊の娘2人の嬌声を耳にして思わずにらみつけてしまった。

 

「な、なんだべえ。そんなに怖い顔してどうしたんだあ?」

「わからないんですかい? このままこの島に留まっていたら、島を出てった後が難しくなるんですよ?」

「焦ることはねえべえ。ここで昨日の若衆やおめさまとべっちょしたがっている野郎の相手をして楽しんでればいいべえ」

 

 そんなのんきな気分は無くなりつつある。そう言い捨てたが夜になると寒くなり、人肌が欲しくなった。その晩のエレクトラの相手は昨晩の若者ともう一人、彼の兄貴分という中年の海賊だった。

 

 藁を敷き詰めたベッドの上で、全裸されて若い海賊に小さな乳房を吸われていたエレクトラに中年の海賊が下半身を丸出しにして勃起していたものを顔に近づかせた。

 

「ほれ、ソレア。ポールのちんぽもいいけどよ、こっちのはもっといいぞ?」

 

 鈴口がちょっとだけ顔を覗かせている仮性包茎。1週間前からペニスは洗っておらず、むわっとしたにおいが立ち込めていた。

 

「ほれ、しゃぶれ。ポールががっついた後におめえを楽しませてくれるちんぽだから、丁重にな?」

 

 海賊は皮をめくる。雁と軸との間の溝に沢山の垢を付着させた中身があった。確かに太くて食べ応えがある代物だったけれど、それよりもつんとするにおいが気になった。

 

「どうだ。たまらなくなるようなにおいだろ?」

 

 そうですねえ、とエレクトラは笑う。ろくに洗っていないペニスの悪臭は吐き気を催すが、同時に生殖への欲望をかきたててしまう。不意に膣の湿潤が増してしまった。

 

 彼女の膣の滑りが良くなったので、若い海賊は嬉しそうに腰を突き上げた。エレクトラが甘いため息を放つと、中年の海賊は亀頭の先を彼女の鼻に押し付けた。

 

 おおよそ普通の神経では口にすることも手で握ることも出来ないそれを、エレクトラは何の迷いも無く口の中に収めた。

 

「おおお! いいぜえ……なかなかにしゃぶるのがうまいな。相当な好き者だっていうにおいはぷんぷんしてたが、まさか技巧にも長けていたなんて知りもしなかった」

 

 中年の海賊が笑う。若いポールが激しく動き、2度も3度もぶちまけた後に交代となった。中年の海賊は酒のせいで腹に余計な肉をつけて不格好だったが、始まるとエレクトラは自信たっぷりなのがよくわかる腰遣いに悶えた。

 

「ああっ!」

「ほれほれ。ここが気持ちいいだろう?」

「は、はい……」

「だろ? まんこを舐めてイカせるなんざへたくそのやることだ。本当にうまい奴はちんぽだけで女を果てさせる。俺はいろいろやって学んでいるのさ」

 

 膣の中を行き来するペニスは、放ってもふにゃふにゃになる事は一切無かった。いたく硬直したまま、エレクトラの夜を充実させた。深い眠りにつき、起きてひりひりとした会陰を感じて満足感を覚えて外を見る。

 

「ちっ。また波はしけてやがりましたか」

 

 起き上がり、精液にまみれた陰部と男の脂まみれの身体を湯あみで清めた後に、海賊団の長に呼び出された。港に海軍がやって来た。だまくらかすのを手伝ってほしい。

 

「はあ……」

「気乗りしないのは重々承知だが、少しの辛抱だ。手伝ってくれねえか?」

 

 何を手伝うかといえば、証人役になって欲しい。娘達を救出する作戦に同行して女の子達の世話をしていた海賊達の情婦。

 

 これでうまくごまかせるとエレクトラは思わなかったが、海兵らに自分の顔は割れていないと思って引き受ける事にした。

 

 一応は口の中に詰め物を入れて顔を変え、カルカドの一件で自分よりも顔が知られてそうなエイオンにはどこかで潜んでいろと言いつけた。

 

「なんでだべえ? 俺様が槍を持てば海軍の連中など1人でぶっ殺せちまうべえよ。それとエレクトラ、おめさまが助太刀してくれたら、楽に全滅させられるだろうに?」

「それがよろしくないんですよう。エイオンせんせえがここで出張ったら、今度はこの海賊団がカルカド殺しを疑われちまいますよ」

 

 そうなったら向こうは起死回生の為に自分達を売るかもしれない。そうなればあの面倒くさいイズヴァルトがやって来て戦うはめになるかもしれないとエレクトラは諭した。

 

「そんなばかなことがあるわけねえべえ。イズヴァルトとかいう小僧、おれの強さにビビッて近づくわけがねえべえ」

 

 自信過剰に振舞うエイオンに、これまで見せた事が無い冷たい視線をエレクトラが向ける。誰かを見限った時に見せる仕草だった。それに気づかずエイオンは陽気に笑って自信ありげに去って行った。

 

 彼が隠れる事になった暗い部屋には、既に2人の少女が待っていた。海洋公に子を産まされた別の海賊団の娘達だ。

 

「エイオン!」

「海軍が去るまで、ずっとこの部屋で楽しもう?」

 

 えへへ、とエイオンは笑って防寒具を一枚まとっただけで他が全裸の、15歳に満たぬ少女達にかじりついた。4畳半程の小さな部屋で幼い肌を貪り、歓喜の内に幾度も精を、子供を排出したばかりの子宮に吐き出した。

 

 部屋は窓が無く天井が低い。むんむんとした熱気の中で互いの体臭を深く吸い込み、互いの下腹部の肉と肉とをかじり合わせる行いに励む。

 

 その最中である。エレクトラから念話魔法である知らせが届いた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 イズヴァルトは査察団の海軍の武将の護衛という名目で、カリグラ=モナファンと砦の大部屋で顔を合わせた。モナファンはイズヴァルトとマイヤを知らない。

 

 それからもう一人、とても美しい少女がイズヴァルトの右横に立っていた。カイル=グリーヴァスである。海将らに尋ねると、海洋公の隠れ家で少女達の世話をしていた娘だと答えた。

 

「ほほう。であればおおかた海洋公様の愛人ってとこだろな」

「口が過ぎますぞ、モナファン卿。こたびは貴殿と配下の海賊団に、海洋公を害した嫌疑がかけられているのですからな?」

 

 卿と呼ばれるのは形だけでもこの海賊団の長は、この海域と沿岸と他の海賊団を治める領主とみなされていたからである。

 

「モナファン卿。事実はいかに? 海洋公トマス=オバーマゲルク閣下を待ち伏せし、矢を射かけたのは貴殿の部下の水軍衆か?」

「んなわけねえだろ! 俺達がやったのは海洋公様の隠れ家からかわいい娘達を連れ戻しただけだぜ!」

「何故その様な強引な真似を? せめて国王陛下に直訴すればよろしかったであろうに?」

「なあおい、わかってるだろう! 俺らが直訴状を懐に入れた子分を出してやっても、南じゃおたくらに、北じゃオバーマゲルクの旦那に捕まえられて、牢屋か打ち首にされるのがオチじゃねえか!」

 

 この海賊団はいわば、海洋公とその協力者に囲まれている様なものだった。海賊船で外洋を渡る方法もあったが、この海域の海軍は容易くはない。拿捕されるのがオチだった。

 

「このまんまにしてたら他の海賊団に示しがつかねえ。だから俺らは隠れ家を襲った。死人は出しちゃいない。護衛さんがたはみんな、別の海賊団のところにかくまってやって生きのいい魚料理を馳走してやっている。旦那を亡くした女だってつけてやっているさ」

 

 海洋公の護衛達が軟禁されているのは北にある諸島持つ海賊団の村。漁村ばかりである。隠れ家の護衛の武者らはそこで、久しぶりの若い男に股間を濡らす中年女と一緒に、のどかで楽しい島暮らしを送っていた。

 

「礼とやらは尽くしている。だから俺達はなんもおとがめを受ける言われはねえ。むしろ、娘っ子達をかどわかして孕ませた海洋公のほうに非がある。そう思わねえか?」

 

 カリグラの言い分は正しい。海洋公がやった事は騎士として、武将として失格たる行いには間違いなかった。しかしこの時代は力こそ正義という考え方もまかり通っている。武将たちは憤った。

 

「海賊風情が何を言うか!」

「俺達はただの海賊じゃねえ! モナファン=アジール朝の正統末裔よ。ご先祖様が天下分け目の戦いに勝ってりゃ、今頃おめえらを顎でコキ扱っているご身分だったさ!」

「ふん! モナファン王国? 私は歴史を学んだから知っているぞ? ホーデンエーネン王国に一度も勝てなかった、漁民ばかりの田舎王国ではなかったのかね?」

 

 この海軍の武将らもまた、各地の貴族の出身であった。中にはこの海賊領主の先祖に匹敵する程の王国の子孫もいた。

 

 海賊の妄言など聞だけばかばかしい。武将らは腰に差していた剣を抜いた。まわりを守る武者達もそれに倣う。いつでも殺し合いの準備はできていた。

 

 馬鹿にされたカリグラも近くにいた子分らに剣を抜かせる。そこへ後ろに下がっていたイズヴァルトが前に進み出て、海将らと海賊達の間に割り込んだ。その姿を間近に見たエレクトラはぎょっとなった。

 

「ここでしょうもないこと事でいくさを起こすのは愚の骨頂でござる! 剣を納められよ! 憤りをこらえたまえ!」

 

 イズヴァルトはカリグラに問いかけた。本当に海洋公を討ったのは貴殿らではないということでござるな?

 

「誰だあ、おめえは?」

「シギサンシュタウフェン領当主の長男で聖騎士団のイズヴァルトでござる!」

「……おめえがか。とんでもなくツええってのだけは聞いているぜ」

 

 カリグラは部下達に構えを解かせた。それを見て海将らも一歩退く。

 

「百歩譲ってまずはお聞かせ願いたい。海洋公、トマス=オバーマどのを討ったのは貴殿らではないということで相違無いでござるか?」

「だから俺達はそんなことはやってねえ。証人だっている……おい、ソレア?」

 

 エレクトラは前に進み出た。この時の彼女の服装は黄色いドレスを着て首元と頭にマフラーを巻いて容貌が目立つのをごまかしていた。海賊団が何をしていたのか教えてやってくれ、とカリグラはせかした。

 

「私はクリスティーナ様がたを助ける一団に同行しておりました。その日の夜明け前に海賊の旦那さまがたは、沖合から漕ぎ船で街に入り、昼前にはお嬢様がたを連れて戻られました」

 

 提督が討たれたと思われる時刻には街にいなかったはずだと証言する。カイルからは朝6時頃に海賊達に襲われたと聞いている。海武者達はあんな時刻によくも目立たなかったなと思った。

 

「朝6時で、しかも叫び声があれば目立つはずだが……」

「聞いた話によればあの辺りは、内陸のド田舎やサイゴークからの移民ばかりが集まり住んでいるらしいな」

「高級住宅街に見えたのだが……本当の話かね?」

「街の住人で金持ちなのは、もっと南の日当たりのいい一画に家を構えているよ。あそこは街の中で一番古い住宅地区だからな」

 

 それはともかく。もう少しねばれば周辺住民からその時の話を聞き出せたかもしれないと武将達は後悔した。早く容疑者を捕まえたいのとイズヴァルトの「善は急げ」の掛け声で、カイルの証言のみでここまで来てしまったのだ。

 

「お侍さまがた。加わった海賊衆が海洋公様を害したはずはございません。まったくの言いがかりです」

「ソレアもこう言っているだろ?いろいろと御恩があるトマスの旦那に、そこまでやるわけが無いじゃねえか?」

 

 武者達はうなずいた。確かに海洋公まで討つのはリスクが大きすぎる。それに娘達を奪い返されたら、海洋公は取り戻す術はあまり無い。

 

 海賊団に頭をさげて銭を差し出して妾とするか、国王にお伺いを立てて裁判を申し込んで勝利するかだ。奪回の為の猛者を募るには時間がかかる。攻め込む為の軍を動かすにもナントブルグに許可を得る必要がある。

 

 ではなぜ海洋公は殺されるまで至ったか。誰もがマイヤが見つけ出した海洋公のメモを元にこう考えた。海洋公は親パラッツォ教団派であり、教団との密貿易を海賊達に手がけさせていた。

 

「海洋公が密かに行われていたエチウへの密貿易。それを手がけたのがモナファン海賊団であることを知っている。相違あるまいか?」

 

 顔がこわばった。ソレアではなく賊の長がである。エレクトラはそれに気づき、とっさに口を開き武将達にこう答えた。

 

「それには深い事情があるのです!」

 

 さて、この女が思い立った弁明とはいかなるものだったのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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