※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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第百一回

 ゴーレム。

 

 これの製法は数百年ほど前、ホーデンエーネンにも伝わっていた。エルフの精霊魔法によるものでだ。

 

 但し魔力量が低いホーデンエーネン人の魔道士では、小人ぐらいの大きさのものしか作れなかった。しかも動きがのそりとしていて、到底実用に耐えられなかった。

 

 よっていつしか製法は知られなくなった。お隣のイーガでは可愛い声で「ご主人たまー♡」などとしゃべり、きびきびと動くメイド型ゴーレムまでも造られるほどだったのにである。

 

 枢機卿のクロサワ兄弟、クロサワ=アキラとクロサワ=キヨシが向かったのは、キンキ大陸北部地域の中心にある、ナーガハーマだった。

 

 そこにマイア=テクニカのホーデンエーネン支部があった。マイア=テクニカはイーガを本拠とするが、この国にも支社を置いていた。もっぱら、土木機械や軍事製品ばかりを取り扱っていた。

 

 この時のナーガハーマの支社長は、王族衆に名を連ねるヴァッセル=タカハタッフェン。アスカウの北側にあるシジョーナワテ地方に、ちょっとだけ領地を持っていた。

 

 枢機卿とヴァッセルらは、ナーガハーマの城に近い荒れ野にで、ゴーレムの術式を試していた。

 

「貴殿の国に伝わるゴーレムを動かす術式は、余計なものが多い。形成と関節を動かす時、念じて命令を送る時のみで良いのだ」

 

 泥と砂利から精霊術式によるゴーレムをつくってみせたクロサワ=アキラは、4メートルにも及ぶ巨体がのそのそと歩くさまを見せ、ヴァッセルらを驚かせた。

 

「おお……これがパラッツォ教の魔法の、底力なのか……」

 

 驚きながらヴァッセルは、不公平すぎる、とつぶやいた。オーガを先祖とする者が多いホーデンエーネン貴族とエチウ人とでは、どうしてここまで魔法の才が違うのだろうかと、悔しかったからだ。

 

「何を食べればこうも違うのだ! おまえらエチウ人も魔法を全く扱えぬ、オーガを先祖としているのだろうに!」

 

 激昂して剣を抜き、やたらめたらと振り回しだしたヴァッセルに、二人の枢機卿はあわてふためいた。

 

「あ、いや、俺とキヨシはオーガの『忌み子』だから使えるのですよ」

「君らはオーガだったのか! 股間にさぞかしご立派なツノを御持ちなのだろうな! ぶらさがっているのをよこせ! 儂がもらう! 額にぬいあわせてツノとしてくれるわ!」

 

 ヴァッセルの剣は止めに入った、大きな体の側近の首をすぱりと切ってしまった。血が噴き出して生首が転がった。

 

 血刀を振りまわして襲い掛かって来たヴァッセルを、クロサワ=アキラはゴーレムに命じて抑え込んだ。放せ、放せ、とわめきたてる彼に、弟のキヨシがへこへこと頭を下げた。

 

「私も兄も、『忌み子』だから魔法が使えるのです。それにしても一太刀であんな太い首をばっさりやるとは……ホーデンエーネンでも猛将と呼ばれておられるのでは?」

「あのイズヴァルトさんに比べたら儂などゴミクズじゃ! イズヴァルトさんはどこじゃ! そのほうらが連れて行ったと聞いたが、まだ返してくれぬのか!」

 

 まずはそっちからだと、ゴーレムに抑え込まれながらも暴れ続ける。クロサワ兄弟は困った。エチウを出てからのイズヴァルトの動向を、つかめていなかったからだ。

 

「それはおいおい、良い知らせを持ってきますので……」

「この術式はへっぽこぴーな魔力量の持ち主でも扱えるように改良してあります。本当は神聖術式での『とてもいいやつ』を俺は教えたかったのですが、生憎、うえからは厳禁とされておりまして……」

 

 しかしこれさえ覚えておけば、『土木工事』には大いに役に立つだろうと説いた。いくらか落ち着いてものを考えられるようになったヴァッセルは納得した。

 

「それでは、この術式の技法書を買おう。ホーデンエーネン金貨2000枚ぐらいかね?」

「いえ、これはオルランドゥ教帝陛下からの『ご厚意』というものです。無料でご提供いたしますよ?」

 

 アキラが魔導書をヴァッセルに引き渡した。それと術式が記された魔道符もだ。これは『たぶれっとぱっど』の記憶域に読み込ませる為にあった。いくらでも複製可能だった。

 

「オルフレッド様が我らに……ありがたや。タカハタッフェンがこう言っていたと伝えてくだされ。一度我が領地に遊びに来てくだされ。孫娘全員に、股を開かせて待っておりますと」

「ははは……そう伝えておきましょう」

 

 いやしかし、とクロサワ兄弟は考えた。ヴァッセルはまだ40のはずだ。彼の孫娘は一番大きくても、まだ6歳になっていなかった。

 

 教帝はどちらかというと、年上好きで巨乳好きだった。特におっぱいがでかいことが重要だった。

 

 クロサワ兄弟も100人以上いる娘たちを何人か、教帝の『おちんぽ慰め係』にしたが、どの娘も教帝より若く見えたが年上で、おっぱいが大きかった。

 

【ギルバート=カツランダルク注:枢機卿らの子は全員オーガとして生を享けたという。オルランドゥは枢機卿らの娘や孫娘と、1000人以上の子を儲けたという。】

 

 かくして新たなゴーレムの技法は、ホーデンエーネンのマイア=テクニカに伝えられた。兄弟が作り直した術式は実に簡素で覚えやすかった。3日以内に習得する者が続出した。

 

 そしてホーデンエーネンは、ゴーレムの量産に取り掛かった。

 

 これが北部諸侯との戦線で何を意味するか、この1か月後にはっきりとなった。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 ホーデンエーネン王国暦360年の11月。カナザワースの教帝宮にある玉座の間にて、パラッツォ教国の若きあるじは、よろしくない報告を受けていた。ホーデンエーネンのナーガハーマにいるパラッツォ教の大使からもたらされたものだった。

 

「ホーデンエーネン王国は『ゴーレム』を悪用し、手痛い敗北を喫させたフワッセン城を落としたとの由にございます!」

 

 彼等は西から雪辱戦を仕掛けた。ゴーレムを盾に城壁を襲い、守将であったフワッセン公の奥方と、娘3人を討ち果たしたという。

 

「フワッセンの奥方らの末路は酸鼻すさまじく! 捕らえられた後に舌を噛まぬよう猿轡をされ、クボーニコフの武将らに犯された後、休む暇もなく下級兵らに投げ込まれたとのことでございます!」

 

 母娘はおおよそ1週間、男達の性のはけ口にされたという。虫の息となった頃に首を刎ねられた。クボーニコフのオーガたちと同じように、長槍で串刺しにされた胴体と首とを門の前に掲げられたという。

 

「この振舞いにホーデンエーネン国内の北部諸侯らは激しく怒っております。そしてなぜか、枢機卿殿らがゴーレムの技法をホーデンエーネン側に渡したことも知られてしまい、詰問の使者が近々カナザワースに来るかもしれないとのことでございました!」

 

 どう説明されるおつもりか。伝えに来た司祭騎士らは教帝に詰め寄った。

 

 しかしオルランドゥは心ここにあらず、といった面持ちで天井を見つめていた。玉座の間の天蓋には、豊乳肥臀なアプサラーの百姉妹が、やせっぽちで貧相な弱者男性と肌を絡めあい『法悦』に耽る様が描かれていた。

 

「どうすると……我々は悪くない」

「は?」

「ホーデンエーネンには『土木建設』の労働力としてゴーレムを教えたのだ。そう突っ返すつもりだよ」

 

 司祭騎士達は合点がいかなかった。そう答えても、このようなことが起こると何故想像しなかったのは何故だと言われるに決まっているからだ。

 

「フワッセンのことは真に残念だったよ、でもゴーレムをその様に用いるとは想像もつかなかった。説明を求められた時はその一点張りでいい。そもそもだよ。この件で咎があるのは、決起した北部諸侯らではないのかい?」

 

 皆が絶句した。オルランドゥはそう思うまでに至った理由を述べた。

 

「北部諸侯は我慢をしなかった。決起のわけが『近衛騎士団』の横暴なら国王陛下に直訴して、詰問の使者を立てて問い詰めてただすようにお願いすれば良かっんだ。それでもなお違反するものがいれば、その騎士の領地に攻め込んで一族を誅滅させてもらえばいいだけの話だよ。ナントブルグには直属の騎士団がいれば、最強の聖騎士団だっているんだからできないことは無いはずだ」

 

 滅ぼされても仕方がないことを繰り返しているのだから、とオルランドゥは声を強くして言った。

 

「しかし、そうなりますと国の統治が……」

「ホーデンエーネンはパラッツォとは違う。マイヤちゃんが僕のおちんちんをお乳に挟みながら教えてくれたけど、強い独立心を持つ領主とナントブルグの王様の連合国家みたいなものなんだ。異世界にある……『むろまちばくふ』とかいう王国に近いのかな。そういう構成の国だと、王様の権威が弱くなると途端に乱世になってしまうそうだ」

 

 国内の他の領主の土地を奪うのを禁じる、侵略禁止令が出ているのにそれを守らなくなる。今、オーミゲニア地方で起きているのはまさしくそれだ、とオルランドゥは断じた。

 

「直訴すれば、セイン様ならそうしてくれたはずだ。しかしジューンショーン様は惰弱に過ぎる。滅ぼした領地を直轄地にすればホーデンエーネン王家はもっと強くなれるのに、何をぼやぼやとしているんだろう? なぜ北部諸侯たちに、直訴しろと言わないんだ?」

 

 司祭騎士達はおののいた。この帝はとかく血なまぐさいことを考えすぎる。けれどもこれがホーデンエーネンの武者というものだった。魔族に遭えば魔族を斬り、女神に遭えば女神を斬れ。そう教わったのである。

 

 そして教帝は皆にこう命じた。ホーデンエーネンと北部諸侯の争いについては静観する。どちらにも援軍を決して出さない。

 

「どうせこの戦いはホーデンエーネンが勝利を収めるよ。北部諸侯らの領地召し上げとなった後は、王国との親睦を深めよう。ジューンショーン王の正妻様は近々、赤ちゃんを産むみたいだ」

 

 一同は沈黙した。ジューンショーン王の正妻とはオルランドゥの実妹、フレッダである。この時13歳。

 

 叔母と同じくどすけべで、幼い頃からとかく男の前でうんこをひねってちんちんをせびっていた。ジューンショーンとは結婚する前からも、セックスを通じて交流を深めていた。

 

【ギルバート=カツランダルク注:フレッダだけでない。姉のコリアンナと妹のイルマもジューンショーンと下半身の交流を通じて仲良くなっていた。トーリとマイヤの一族にとって性交は、ちょっとした友情を深める程度の行為であった。】

 

 やはりそうか。司祭騎士達は天井に描かれた女神たちの乱交図を眺めながらため息をつく。オルランドゥは身内びいきをしている。だからゴーレムの製法を伝えることを命じたのだろう。

 

 1人の司祭騎士が声を低くしてたしなめた。このようなお考えを、教主様は果たしてお許しになられるのか?

 

「いいや、あたしが教帝さんに認めてあげたんだよ! いいからやっちゃえって!」

 

 扉のほうから甲高い声が鳴り響いた。司祭騎士達が振り向くと1人の女が立っていた。この人物の言う事なら教主の意志の代理。従うしかほかあるまいと、誰もがそう諦める。

 

 さて、教帝がホーデンエーネンにゴーレムの製法を教えることを赦したこの人物とは一体、何者だったのか?

 

 その続きについてはまた、次回にて。

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