聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
いよいよ決戦。
しかし数多くの戦史はその時が、この地で訪れなかったことを記している。
読者諸氏の多くがご存じであろう。ホーデンエーネンとエチウ諸島の歴史書に書かれる、大きな事件がこの後に控えていたのだ。
数多くの武装と重厚な戦列を誇るホーデンエーネン軍と、数は劣勢なれど意気軒高かつ、精霊人の勇者たちも数多く参戦する北部諸侯側よりも、遥かに強大な力が、その地に舞い降りたのである。
左様。両軍合わせて3万以上の軍勢を、たった1人で屈服させ、矛を収めさせる傑物である。
イズヴァルト、では早とちりな答えと言えよう。
この当時の世界には、アカサカチハヤの魔竜をのぞいてもう1人、イズヴァルトと同格、いいや、司祭騎士団長を遥かに凌ぐ英傑が生きていた。
パラッツォ教団の教主であり、後の世に『聖王』と呼ばれた、コーザ=ストーンマウントである。
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決戦の日になろうとしていたのは、ホーデンエーネン王国暦で言えところの、360年12月24日である。
ホーデンエーネン軍は最前線の砦群から20キロほど北にある、北部諸侯の南の拠点、トールキンらが『北の城塞』と称したキビッセンの城市に近づいていた。
キビッセンのあたりだが、半島の東側を海で締め付けられて狭まっていた。東側は海である。キビッセンは南部の港湾都市でもあった。
海側からの二方向で攻めればよかったのでは、と思う読者諸氏もいるであろう。
けれども、ホーデンエーネン軍は急激に前に出過ぎていた。海軍の準備がそれに追っつかなかったのだ。
【ギルバート=カツランダルク注:ホーデンエーネン海軍は、先年のタンゴバルド海戦でセイン王を喪うほどの大打撃を受けていた。海軍の準備が滞っていたのは、ツルーガニスク攻略の為に必要な軍船の数が無かったのだ。近衛騎士団は、民間から間に合わせの客船や輸送船の手配に手間取っていたのだ。クボーニコフ側も兵は送ったが、船を貸すのには理由をつけて断っていたそうだ。】
ホーデンエーネン側の総大将、ゲラルド=シマモトッセン公は、ヨーシヒデクスの助言に基づいて陣をこう配した。
兵列を密集隊形ではなく、できるだけ間隔を開けるように配し、最前列は『六枚銅貨部隊』とゴーレムとする。歩兵列左右の背後にだ。決着をつける時の為に取っておけとヨーシヒデクスは言った。
対して、北部諸侯側は城市の南側に土塁を巡らせて陣取った。野戦築城を施した後の構えである。城壁には射手を配していた。
その上で、城内は街路にバリケードを築いて待ち構えていた。これはただの攻め手だと、2万では事足りぬ。
しかしホーデンエーネン側にはオーガ兵とゴーレムがいた。障害物だらけの市内戦で大いに活躍してくれるであろうと皆が期待した。
ヨーシヒデクスは自ら馬を走らせて整えた陣形を見て回ると、陣容が一通り整ったのを確かめて総大将に進言した。
「まずはゴーレムを向かわせろ。とろくてじれったいだろうが、土塁には向こうさんの精鋭が張り付いているだろう。そいつらを盾と囮にして、消耗を目論むんだ。決して魔道士と魔法戦士を前に出すな」
「わかっております、ヨーシヒデクス殿下」
「その間に投石砲と大筒をありったけ、市内にぶちこめ。この嫌がらせに打って出る連中が出て来る。そいつらを銃士隊でやっつけたら、総がかりで突っ込む。だが騎兵の出番はまだだ。あいつらは街から逃げる連中の追い打ちに使う。この戦いではそうしろ。軽騎兵の主な出番はそれだ。しかし、こちらの背後や側面を襲い掛かる連中が出た時は、騎兵どもを向かわせろ」
そう告げるとヨーシヒデクスは、供を連れて本陣から出た。歩兵部隊の最前列に向かい、指揮を取る為である。
この男は実父の様に陣頭指揮を好んだ。父と違って将の才器と頭があった。北部諸侯との数々の合戦で、武勇だけでなく用兵ぶりも評価され出していた。
しかもたくましい男が好きな女が好むような、いかついあごと堂々とした体格の美男である。
本人は幼女や少女を好んだが、年増の人妻にもモテた。浮ついた話でもこの男はナントブルグで話題となっていた。
【ギルバート=カツランダルク注:ヨーシヒデクスは少年時代から晩年まで、40人近くの人妻と不倫をしていたという。彼女達との間の彼の私生児は、70人近くに及んだそうである。彼の父、ヨーシテルシウスもまた、息子に負けず劣らずの色男であった。】
ヨーシヒデクスは陣の前面に立ち、皆に激励の言葉をかけた。
「勝利はもうすぐだ! この一戦で全てが終わるだろう! 勝利の後はキビッセンの酒蔵を開け、すっからかんになるまで飲み干そう! その中の良い酒は必ず、この陣の前面に立つ貴殿らに真っ先に飲ませる! 俺や騎士らは料理酒でもすすって我慢するからな!」
笑い声と鬨の声。勝手なことをと総大将以下の武将らが愚痴ったが、この中で地位が最も高いヨーシヒデクスに対して抗議する余地は無かった。
ヨーシヒデクスが鞘から剣を抜いた。これが出発の合図だった。並べられたゴーレムを最前列に、ホーデンエーネン軍は栄光への道をゆっくりと歩き始めた。
対する北部諸侯軍は沈黙を保ったまま。射程まで引き付けろ。これが皆の間で言い渡されていた。
遠矢を放てるエルフの射手らは、城壁に並びその時を待った。1キロ先でも十分な殺傷力を出せるが、確実に射殺す為に500メートル以内に来るまで待っていた。
土塁の一番真ん中にいたトールキンは、自前のハルバードに破砕の術式を込めていた最中のクリスタに呼びかける。
「嫌にゆっくりじゃな? まだ見えん」
「ゴーレムどもと歩調を合わせているからずらよ」
「足が弱いジジイババアと同じぐらい、という訳かのう。始まるまで1時間はかかりそうじゃ。どれ、儂の仲間とおめこをしたらどうかのう?」
クリスタは答える代わりにトールキンに抱き着いた。彼の下は、イワッミーでよく着たキルトスカートだったからめくれば男根がすぐに出た。
「儂ではなく仲間にしてくれんか?」
「おらはトールキンさんと暇をつぶしてえずらよ?」
クリスタは皆が見ている前でそいつを、己の厚ぼったい唇でしごきだした。彼女の口は吸いつきが強くとても柔らかかったから、トールキンはたちまち勃起してしまった。
周りの兵士や戦士達が、その様子を見てごくりとつばを飲み込む。トールキンとクリスタとだが、この戦いのうちにこういう仲になっていた。
「もうカッチカチずらな♡ 戦う前にお互いの股間のいらいらをやっつけちまおうずら?」
クリスタは太ももまでかかっていたスカートの前を広げた。むっちりとして柔らかい太ももと、無毛で肉厚の割れ目がのぞいた。
トールキンが寝ると、彼女はその勃起を飲み込んだ。ドワーフの極太で鋼よりも硬い男根が、彼女の膣肉を圧して強く感じさせた。
「はうう……おもいっきしかてえずら♡」
「儂のは一度こうなったら、1発や2発じゃ済まされんぞ?」
「1時間で10発イカせてあげるずらよ♡」
クリスタがトールキンの上で、自分の大きな身体をゆっくりと揺らし始めた。彼女の膣は名品である。味わったら最後、死ぬまで挿れたくなるようだった。
トールキンは彼女の太ももをしきりにさすりながら、その股の甘い責めにのめり込んだ。
クリスタが本調子になってスカートを腰までめくると、皆の目に、そのおっきくてぷりんとした、褐色のデカ尻が現れた。
その美々しさに皆の目が釘付けになった。クリスタと言えば爆乳もだが、巨大な臀部もまた魅力とされていたのだ。
「戦いの前にクリスタさんの生尻を拝めるとはなあ……」
「死ぬ前のはなむけ、ってわけだろう。どうせならあの尻を舐めまわしながら死にたいが、ホーデンエーネンのやつらはそこまで待ってくれるだろうか」
しかしホーデンエーネンの軍は、いつまで経ってもやって来なかった。
彼等は突如目の前に現れた、予想もしない人物に行く手を阻まれていたからだ。
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突如として目の前に現れた人物のせいで、ホーデンエーネン軍は立ち止まってしまっていた。
それを一番間近に見ていたヨーシヒデクスは、顔を輝かせて満面の笑みを浮かべていた。その人物と顔を合わせるのが初めてだったからだ。
生きた伝説とも言える人物であった。エチウの諸島をパラッツォの教えで統一し、魔竜戦役では教典の巫女を使い同士討ちを引き起こした。
そして伝え聞いたサート銀山の決戦では、あのイズヴァルトを、亜人の猛者達を、傷一つ負う事無く叩きのめした。世界最強の『男』がそこにいた。
2メートル近くの背丈とがっしりとした体形。清らかとも淫らとも見て取れる、容貌魁偉な辮髪のその男こそ、パラッツォ教の教主・コーザ=ストーンマウントであった。
「ホーデンエーネンの皆さん、急な訪問にご容赦を。戦いの前に少しだけ、私とお話していただけませんか?」
低く、美しい声である。響きには、思わず聞き惚れる様な揺らぎがあった。
この男が近づいて来ると、その体から放たれる『薫り』に身体が喜んだ。闘志で硬くなっていた身体が和らぎ、その血は何故か、股間に集まり勃起してしまう。
ヨーシヒデクスは、この男にすっかり魅了されていた。この人物が秘める、途方もない傑物さを感じ取って戦う気が失せていたのだ。供と共にゴーレムよりも前に進み出て、コーザに呼びかけた。
「は、は、はッ! これは面白い! パラッツォ教の教主殿が自らご訪問とは珍しいことがあるもんだ!」
「トーリ様がお亡くなりになられてから、久しくホーデンエーネンの皆様には、ご挨拶をしておりませんでした。今日はその用の為に参ったのですよ?」
「ほほう。さて、どのような用件かな?」
呼びかけられると、コーザは天に顔を向け指をさした。それから、ヨーシヒデクスを見据えて言った。
「マハーヴァラ様のお言葉を伝えに参りました。北部諸侯の皆様と、ホーデンエーネンの南部の皆様は争ってはなりません」
コーザは手を大きく広げた。彼の『薫り』が一気に強ま、、ホーデンエーネンの全軍に広がった。
「共に手を携え、仲良くすることこそが肝要です。ホーデンエーネンとオーミゲニアは兄弟。争ってはなりません。許し合わなければならないのですよ?」
たったそれだけだった。コーザの言葉を聞いたヨーシヒデクスは、心の内では疑問を抱えながらも、その言葉に応じてしまった。
「
ヨーシヒデクスの答えに、私も、拙者も、と騎士や兵士達が声を続けた。獰猛な『六枚銅貨部隊』の面々も、コーザの言葉に是とうなずいていた。
「ありがたい。神の意に従っていただけるとは……いずれ皆様方は、マハーヴァラ様よりお褒めのお言葉をいただくことでしょう」
コーザは皆の万歳を受けながら、本陣に迎え入れられた。シマモトッセン公も既に心変わりしていた。コーザを迎えると涙を流しながら、軍を退く事を誓った。
「急ぎ軍をまとめ、諸侯らの領土を開放し、ナーガハーマまで戻りましょう。実のところホーデンエーネン軍は食料が尽きかけ、にっちもさっちもいかないところだったのです。これを機に休戦と致します」
「では、その使いに私も同行いたしましょう。北部諸侯の皆様方にも、マハーヴァラ様からのお言葉を預かっておりますゆえ……」
「なんと、ありがたい!」
シマモトッセンは涙をこぼし、鼻水を垂らしながらコーザの手を握りしめた。
これこそが、この『聖王』であり『魔王』とも呼ばれた、コーザ=ストーンマウントの恐るべき力だった。
曲がりくねった言葉を弄さず、柔らかい物腰と言葉遣いで相手の警戒心を解き、サキュバスの母から受け継いだ魅了の力でもって相手を引き入れるのだ。
かくしてホーデンエーネンは、使者を立てた。北部諸侯が集まるツルーガニスクの街にだ。
加わったコーザに魅了された北部諸侯らも、これまでの恨みを洗い流し、ホーデンエーネンと共に歩むことを約束した。
コーザの力により和平は成ったのである。
だが、その和平というものが、思ったよりも早くに決裂したのもまた事実。いかに神通力の持ち主たるコーザとはいえ、できぬものがあったのだ。
さて、そのきっかけとなったものとはいかなる事だったのか?
その続きについてはまた、次回にて。