聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
イズヴァルトは見晴らしのいい、崖の上に立っていた。眼下は荒れ野だ。コンゴウアミダラデンの近くにある野原である。
そしてその下にはオクタヴィアやゲオルギー公子達。彼等は徒歩で木盾を持っていた。
「いくでござる!」
イズヴァルトはオーガの王の指揮棒を弓の様に構え、番えて放つ真似をすると、氷の矢が顕現してたちまち数千もの数に膨れ上がった。
矢が狙うのは眼下にいる彼等だった。矢が放物線を描いて落ちて来ると、彼等は盾を構えてそれを防ごうとする。
しかし氷の鏃は鋭く、勢いが強い。盾に当たると砕けるが穴を穿った。中には腕をケガする者もいるぐらいだった。
「二射目、いくでござる!」
イズヴァルトがまた、氷の矢を放つ。今度も数千もの矢の嵐となった。
一度は盾で防げたが、二度目はそうもいかない。盾のいくつかは割れたり穴だらけになっていたから、無いに等しかった。
「散れ!」
ゲオルギーが叫ぶ。だがオクタヴィアはとどまった。印を切って自分達の真上を魔法防壁で覆う。
光の壁が、着弾した氷の矢の雨を防ぐ。彼女の防壁はかなり強力だ。
だが、当たれば当たるだけ壁は悲鳴をあげ、光が薄くなっていく。けれども全て防ぎきった。
「三射目、いくでござるか?」
イズヴァルトの呼びかけに、オクタヴィアは首を横に振った。
「その矢はちょっと効き過ぎずら! もう少し弱いにの変えられねえずらか?」
「これでも普段の、半分の威力にしているでござる!」
「ててっ。そりゃあ参ったずら」
さっき張った防壁は、かなり強力なものだったのに。オクタヴィアは腕を組んで考えだした。もっと魔力を注ぐか、より強力な術式を編み出す必要がある。
氷魔法ならば温熱の術式を重ね合わせて、というのが常であるが、『氷雪の栄光』による氷は精霊魔法とはやや異質だ。それ以外にも必要な術式がありそうだ。
(結局は重ね掛けずらな。そうなると、1人で対処するのは無理ずら。)
矢を防ぐ訓練の後は、訓練用の武器に持ち替えて荒稽古だ。実戦形式。もちろんイズヴァルトは複数を相手にする。
イズヴァルトは相手方に囲んでもらう。数は10人とかではない。100人以上だ。
「さあ、どこからでもかかってくるがよろしかろう」
頭上に向けて石が飛んで来た。飛翔魔法で空を飛んでいる者が投げて来たのだ。
それをかわして前の方向に突っ込むと、頭上と背後を気にしながら相手の1人と打ちかかる。
前後左右の足音を聞いてくるりと回りながら払ったり、地面を転がって隙を潜り抜け、背後を取って肩を叩きのめす。
あるいは、とんでもない跳躍力を用いて包囲の輪を抜け、相手の陣形が崩れたところを突いて打ちのめす。
稽古というより乱闘だ。しかし実戦、それも白兵戦となれば、はきれいなお作法の剣術と1対1での真っ向勝負より、時代劇の殺陣の様なものばかりとなる。
イズヴァルトの相手はドワーフやオーガ、ゴブリンとエルフばかり。亜人だ。ニンゲンの並みの戦士以上の実力である。
そこに1人の男が飛び込んで来た。ヒッジランドの傭兵斡旋人で自身も凄腕の剣士であるウォルターだ。
酒臭いにおいを口から放ちながら、ウォルターは剣を正眼に構えてイズヴァルトに呼びかけた。
「イズヴァルトさん、俺と勝負だ!」
この男、50を過ぎた頃なのに動きは俄然いい。しかも剣術そのものは、ゴブリンやエルフの使い手とタメを張れる腕前だ。
彼は巧みにフェイントをかけて、イズヴァルトを翻弄する。太刀筋がなかなか掴めない剣さばきである。何せ剣術において彼は、女傭兵ヴィクトリアに仕込むほどの名人だった。
乱戦の気配はたちまち一騎打ちに呑まれた。剣を持つ右手首を突いて来た相手の切っ先をかろうじて外しながら、イズヴァルトは前に踏み込む。
「なんのっ!」
だが相手はウォルターだけでなかった。パオレッタとマリアが背後から一斉にかかって来た。格段に剣術が優れている相手との3対1。流石にイズヴァルトもかわしきれず、何度か手ひどい打擲を受けた。
それでも彼は分厚い筋肉と丈夫な体を盾にして、なんとかしのぎ切った。1時間ぐらいして半分ぐらいをのすと彼は倒れ込んだ。疲労と身体の痛みのせいだ。
「……ふう。全部を相手にするのはまだ無理でござるか」
ぶっ倒れている彼のところに、運動で胃袋と肺から酒気がすっかり抜けてしまったウォルターがやって来た。
「昨日よりはだいぶやっつけたようだぜ? マリアさんに治癒魔法をかけてもらおう。まだ稽古があるんだろ?」
「さようでござる。うむ」
一呼吸をしてイズヴァルトは飛び上がった。マリアの介抱を受けた後は、馬上組み打ちだ。ホージュリアやゲオルギー公子がつきあってくれる。これも1時間ぐらいやる予定だ。
イズヴァルトは『ゆうしゃ』を名乗るようになってから、こうした荒稽古を毎日するようになった。
そもそもが、ぐったりと疲れてしまうまで身体を鍛えるのが大好きな性分である。
ちんぽとケツを動かして、日に20回も30回も射精してぐったりとなると、気分がくさくさしてしまうのだ。
コンゴウアミダラデンで滞在を始めてから1か月、イズヴァルトはほぼ、稽古をして過ごした。
しかしもう1人、彼の妻である『軍師殿』も動いていた。
ちんぽをぺろぺろとしているだけの惰眠を貪っているわけではなかった。
□ □ □ □ □
『軍師殿』は、ひたすら手紙を書いていた。
送る相手は諸外国の王や大貴族、あるいは大貴族や大商人の、自分のことを良く知る者達である。エチウを除く各大陸にである。
相手に最初に手紙には、必ずこの一文を書き記す。
「私もイズヴァルトと正式に夫となり、毎朝毎晩ちんちんから出る飲み物を、を上の口と下の口でたっぷりと飲んでおりますの。生憎もう子はできぬ身体でございますが、主人があちらこちらにまき散らしたお子様の養育費を稼ぐ為に、残る人生を務めて参ります。」
それから近況と、マレーネから知らされる『マイア=テクニカ』の新製品の話も付け加えてだ。
手紙には必ず、自分の『マン拓』と『肛門拓』をつける。それぞれ1枚ずつだ。お尻を丸出しにするとエレナに墨を塗ってもらい、漉き紙にぺたん、とつける。
「『げりべんだるま』ちゃん。なんで毎回こんなことするの?」
「ハンコの代わりだよ! それと私の『マン拓』と『肛門拓』、姉のものぐらい有名だから、みんなにはすぐわかるんだよ!」
「へー。そも『パイ拓』のほうがいいんじゃないかな? 『げりべんだるま』ちゃんのそのでかでか、おまんこよりみんなに好かれそうだけどなあ?」
パイ拓は墨が余計に要るし洗うのが面倒だ。それと洗ってもらう時がまんこと尻穴に比べると、気持ちよく感じられない。
『軍師殿』の股と尻は、サキュバス以上に感度が良くなっていたのだ。ちょっと触れるだけで「ふひっ♡」と悶える。墨を塗ったり洗ったりするエレナとオリガは、その仕草を見て楽しんでもいた。
「この映像水晶を一緒に入れて……と」
「『げりべんだるま』ちゃんさあ、それがあるからやっぱり、拓はいらないんじゃないの?」
「これも大事な証拠だよ? 私の拓は出回っているから偽造されるかもしれないんだよね」
その映像水晶だが、『軍師殿』がイズヴァルトとの濃厚なセックスをしているものが入っていた。おおよそ2時間。ご丁寧にも行為後に、前と後ろの穴から精液をどぼどぼと垂れ流すところも、みっちり映していた。
これでも充分、夫婦である確たる証拠になるはずだ。拓をとった後にローラはエレナに抱き上げられ、お風呂場で洗ってもらった。
義手をつけ、机の上に置いてあった手紙を封筒に入れる。蜜蝋で封をした。仕上げの印は持っていなかったが。
「よし、でけた! シマーヅの王様への2枚目のお手紙だよ!」
「手紙にはちゃんと、今度会ったら『おしゃぶり』で奉仕するって書いたの?」
「うん! ついでに、ウーゴくんもねだってくる私のうんちあな、ためしてみるー、もね!」
「きっと王様も喜ぶよ! 王様は尻穴には目が無いんだ! 男の子の尻穴でちんちんをでっかく鍛えたとも言ってたし!」
「……ぬひ♥」
『軍師殿』の悪いクセが出た、『びいえる』が好きなのだ。ウケがデブであるともっと喜んでしまう。
シマーヅ王は最近、恰幅が良くなったと聞いてますます妄想がはかどってしまった。一番かわいいピピン王子が国元にいることで気分が晴れ、食欲が増したからだ。
「『げりべんだるま』ちゃん、笑い方が気持ち悪いよ?」
「ごめんごめん。これ、オーラフさんのところに持って行ってね?」
エレナに手紙を渡そうとすると入り口の方から、私がおつかいに行って来よう、と言う声が聞こえた。
魔界の狐の獣人、イナリーレンだ。前会った時のように純白のフリフリとした服を着ていた。シマエナガ型獣人族のゼンゼとフェルンも一緒だった。
「久しぶりだね、『軍師殿』?」
「私の仕事を手伝うなんて、コショーショーちゃんに言われてきたのかな?」
フェルンがぴぃ、と鳴いて飛んで来て、ローラの上に乗っかった。肩ではなく頭の上にだ。
魔界のおえらいさんの末裔なのに、この魔族の扱いはえらく雑だった。
「あのくそガキこびと姫……」
「ふうん。ちょっと貴方と気があいそうだね?」
「じゃなかった、失礼しました。コショーショー様は、この件で関係致しておりません」
自分とイナリーレンとゼンゼの好意によるものだ。というよりかは、
「魔界の王位継承権争いは、いつ何時、何があるかわかりません。なので、貴方様ももしかしたら、王位継承権を得て、次の魔王様になるかもしれないという可能性がございます。雑種のくせにですけど」
「なりは可愛いことりさんなのに、性格はかわいくないなあ……」
「それを言ったら貴方様と姉上様も同じですよ。うんこなんかしましぇんと言いそうな感じのツラなのに、おまんこでイクイクすると尻穴をぷっぷす鳴らしてぶりぶりとかます様な、お下劣肉便器姉妹じゃありませんか?」
「……うん。イズヴァルトとおまんこをしながらうんちするの、私、大好きだよ♡ おまたが気持ちよくなっちゃうと、ついついお尻の穴がムズムズしちゃうんだ♡」
『軍師殿』はうっとりとした目つきだった。フェルンがぴい、と鳴いた。うわこいつ、とんでなくのろけてやがる。
「イズヴァルトね、すっごいばかにしてくるんだよ♡ 気持ちよすぎてうんちを漏らしちゃう『軍師殿』は、とっても可愛いが過ぎるでござるって♡」
好きな相手の前でうんこを垂らしたくなるという趣味が理解できない。イナリーレンに念話魔法で呼びかけた。
「イナリーレン様。コイツ絶対、魔族ですよ?」
「そうだね。でも私たちも魔族だよ?」
「言葉が足りてませんでした。ニンゲン界生まれの魔族です。邪悪で悪趣味なニンゲンどもに汚染された『欠陥品』です」
「言い過ぎは良くないね。でも、きみそう思うのもわからなくはないよ」
しかし手紙をシマーヅ王に届けるのは、やり遂げるべきだ。そう言ってイナリーレンはエレナから手紙を引き取った。
「では、行ってくるよ。明日か明後日には戻って来るよ」
□ □ □ □ □
「ぴゃーっはっはっはっ!」
コンゴウアミダラデンの自室で、コショーショーは爆笑していた。壁に映し出されたものを見て笑ったのだ。
御菓子とジュースばかりのテーブルの上に小さな映像水晶がちょこんと乗って、壁に動画を映し出していた。しかも鮮明なカラーで音声つきだ。
イズヴァルトと『軍師殿』が野原で、下半身をすっぽんぽんにして交わる映像だった。イズヴァルトが彼女を抱え、立位でごちゅごちゅと互いの性器をくっつけあっているのが、おおよそ1時間続いていた。
「うーん。いじゅばるとー♡」
『軍師殿』がお尻をぷすぷすーと鳴らしながら言う。
「気持ちよすぎて、またまたうんちがでちゃうよ♡」
「さようでござるか。『軍師殿』のお尻の穴がまたまたぶりゅぶりゅ出すところを映すでござるよ♡」
「やだなあ♡」
そう言って2人の向きが変わり、『軍師殿』のでっかいプルケツとアヌスがアップになった。
窄まりは茶色く染まっていた。この映像はさっきも挿入しながらの『ぶりゅぶりゅ』を映していた。『げりべんだるま姫』という仇名にそぐわぬ、腸と尻の演技だった。
インサートが再開されてローラが尻を揺らしだした。ドアップにされたケツアナがぐにゅぐにゅと動き始め、くわっと口を開いた。
「う~ん♡ またでりゅ~♡」
ぶりゅぶりゅぶりゅ。景気のいい排泄っぷりがこれでもか、と。
「ぴゃーっはっはっはっ!」
コショーショーは、大笑いが止まらない。
「おかしーっ! すんごいみっともないねーっ! この『大叔母様』の末裔、ほんとにうんちをぶりぶりだすんだねー!」
コショーショーのソファの後ろにいたイナリーレンは、フェルンとゼンゼを肩に乗せたまま、静かな面持ちでうなずいた。
しかし頬は膨らんでいた。笑いをこらえていた。『軍師殿』のケツアナの動きが、面白可笑しくてたまらないからだ。
「しかし、こんなことをしてよろしいのでしょうか?」
「なーにがー?」
「『軍師殿』の手紙に入っていたそれを盗み見るとは、あまり褒めたものではございません」
映像水晶は、シマーヅ王への手紙に入っていたものだった。野原でのセックスの前に、イズヴァルトのデカチンへのねっとりとしたパイズリフェラの場面も入っていた。
「いーんだよー。しっかしコイツのしりあな、本当に赤ちゃんのケツアナみたいにきれいねー? これでちんぽをさんざん貪ったんでしょ? どうして形が崩れずに済んでいるのかしら?」
「ハーフリング寄りだからではございませんか? おっぱいは嫌になるほどバカでかいのに、ですけど」
「サキュバスとハーフリングのハイブリッドだったっけ……ふん」
コショーショーは自分とイナリーレンの胸を見た。ペタペタである。ハーフリングはまず絶対に育たないが、狐の獣人のイナリーレンも同じくである。
『デカパイたぬき』はめちゃくちゃ多いが、『どすけべボディぎつね』は全くいないのが魔界である。
「しかし、『軍師殿』ちゃんも変なことをするのね? 手紙もちらっと読んだけど、挨拶と近況を語るだけで、おねだりは全く書いてなかったわ?」
「存在を知らしめるのが、一番の目的だからでしょう。次の布石を打っているのかと」
「布石? ただの挨拶の手紙なのに?」
「イズヴァルトを『売る』ための布石ですよ。次は……時が来たらこう出るのだろうと思います」
サキュバスをこき使って方々に送る手紙だが、動き出したら手紙の内容ががらりと変わるだろう。
「戦いに臨む自分達の正当性を論じ、戦況とその勝敗を報告することに、ですよ。その時は手紙の受け取りては、差出人が『ご本人』のものと、ちゃんとわかっているようになっておりますからね」
「ふうん。その為にまわりくどいことをやっているわけか。べんきょうになるなあ……」
『軍師殿』は行政や経済でのみ功績を挙げているという認識しかしてなかったコショーショーは、評価を少し改めた。
(ふうん。おじさまの子孫でもあったよね、アナタ?)
なかなかに策士だ。彼女を詳しく知る者の間では、『狸女』と評されているのがよくわかる、とコショーショーは思った。
「……やっぱり『おもちゃ』にはしづらいね? これ、ちゃんと封を直してシマーヅに持っていきなさいよ?」
「はい」
イナリーレンが映像水晶を封筒に入れ、蝋を付け直す。それをじっと見ながらあることを思い出す。
「ところで、アナタが本命にどうかと言って来た『おもちゃ』についてだけど……あれへの接触は、どこまで進んでいるの?」