聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
エイオンがしっかりと抱えていたのはクリスティーナだった。彼女はもがきながら、「放しやがれー!」と叫んでいた。
「みんなが見ている前で恥ずかしいだろ!」
彼女は上は長袖の下着と毛織のケープを羽織り、下は腿までの長い靴下とガーターベルトといった格好。スカートはまとっていないし尻が丸出しだった。大きくなった腹を冷やさない為の腹巻きものぞいてしまっている。
「ふざけんなよおっさん!」
毛1本生えていない尻穴と陰裂には木製のぶっとい偽男性器が収まっていた。子供用のものとはくらべものにならないその2本を挿れていたのは、両穴の拡張と出産が安産になるためのおまじないの意味もあったのだ。
「うるさいべえ。べっちょとしりあなをいじいじしている最中に、申し訳ねえとは思っているけど、これは仕事なんだなあ」
「仕事ってなんだよ! くっせえから放しやがれエルフ! クリスは将来のお婿さんの為に……あれ?」
カイルの姿を見たクリスティーナの顔が晴れやかになった。カイルを名指しして助けてと叫ぶ。
「カイルさん! クリスの未来のだんなさま!」
カイルは助けようと決意する。美少女みたいな姿かたちと格好に、貴族の男児の凛々しさをまとわせると印を切った。
「クリスちゃん! 今助けるよ!」
印を切り終わるとエイオンの足元に耳障りな音と共にいくつもの細い光が躍り始める。相手をしびれさせる電気を起こす魔法だ。エイオンはすぐさまそこを離れた。
「けっ。南のエルフみたいな魔法を使いやがるべえ。あのくそあまどもと何度も戦った俺だから見抜けるべえよ!」
仕掛けようとしたことが失敗したのを見てカイルは歯ぎしりし、すぐさま次の手に出ようとする。そこにイズヴァルトの剣を短槍でしのいだエレクトラが、体当たりをかけてカイルを突き飛ばした。
「カイルどの!」
「イズヴァルトのぼっちゃん! 勝負はひとまずお預けってことで!」
その時丁度カリグラの部下数名が、エイオンとエレクトラに襲い掛かった。どの男達もがたいが大きく荒くれものだった。しかしエレクトラとエイオンの相手では無かった。
早業で返り討ちに遭い、負傷してうずくまる海賊達。エレクトラはエイオンの側に来ると、槍をしごいて呼びかける。逃げる為の船を出せ。
「船を! どうしろっていうんだ!」
「タンゴバルドの海賊団のとこまで逃がしてくださいな! そこまではクリスちゃんは人質ですからね!」
「はなせー! はなせー! カイルさまー!」
「……そこまで行けば、かわいいクリスを解放してくれるか?」
海賊の沽券より可愛い我が子の身の安全だ。そうでなければ海洋公を討ち、隠れ家から助け出す冒険に出るはずが無い。エレクトラはうなずいて窓の外から見える荒れ狂う海に目を向けた。
「カリグラどの! 拙者達にお任せ頂ければ!」
イズヴァルトは剣を構えてエレクトラを睨み据える。カイルもゆっくりと立ち上がり次の魔法を仕掛けようとする。
が、カリグラは2人に仕掛けぬ様に求めた。クリスが巻き沿いを喰らって腹の子ともども死ぬかもしれないからだ。お尻が冷えてしまって可哀そうだが、とにかく無事でいてくれるのを願っていた。
□ □ □ □ □
その日の午後である。時化がおさまり向かいの岸から一隻の海賊船がやって来た。カリグラはやって来た船員達に事情を説明し、別の桟橋で待っているエレクトラとエイオンをタンゴバルドの海賊団のところまで乗せろと命じた。
「クリスちゃんもご一緒ですね?」
「人質にされてしまったんだよ。それからあの2人はとんでもなく強いから変な気を起こすんじゃねえぞ……おい! トマスの舎弟ども!」
どうして弓を構えているのかとしかり飛ばした。武者達は舌打ちして番えるのをやめる。ここで役に立つのは、イズヴァルトが持つもう1本の『姫竜の牙』のはずだ。風の刃を放つそれならエイオンのところまで飛ばせるだろう。
しかし剣は「変な気を起こさないように」とマイヤに引き取られてしまった。彼女は軍船に戻り大事そうに預かっている。
カイルも強い魔法が使えるからと、エレクトラの要求でイズヴァルトと離れ離れになった。砦の中にある一室に閉じ込められる。
そこは迎えを待ちわびている他の海賊団の娘達がいた。カイルの馴染みで彼がまとうスカートの中に、大きな逸物があるのをよく存じていた。
「カイル、あんたもここに来たの?」
「ふうん。海洋公のおっさんの仇を探しにね。そりゃあ難儀なことに手を貸しちゃったわね」
折角慕ってくれたクリスティーナに再会できたのに、とカイルは嘆く。娘達は大きなおなかを抱えながら、あるいはまだ膨らみかけの乳房を赤ん坊に含ませながらカイルに近づいた。意気消沈して慰める為にである。
娘達はクリスティーナに負けず劣らずの容貌のが多い。お腹や二の腕にぽよんとした肉がつくやや太めが多いのは、この海域の男達が、やせた女よりも太った女が美人と見なされていたからだ。囚われの令嬢の中で一番可愛いクリスティーナも、むっちりとした身体つきをしている。
「とっても強いイズヴァルトさんが味方についていたというのに、僕は……」
不完全燃焼のままで負け、意気消沈していたカイルは悲しそうにため息をついた。気にしなさんなと少女達はカイルに近づいて服を脱がせた。慰める為にだ。
「カイル、あんたは戦士に向いちゃいないのよ」
「むしろこっちで女の子達を楽しませる方が得意だからね?」
少女のうち1人が柔らかい手でカイルのものを掴んだ。しごき始めると彼の意気が高ぶる。手での愛撫は複数の舌と唇によるものへと変わった。
悔しくて仕方が無くてカイルは泣いた。情けないと思いつつも、彼女達はそそり立ったずる剥けの雄偉なものに代わる代わるまたがる。
次々と膣の中で精を放っても、彼の生殖器は留まる事が無かった。一人の少女と繋がりながら、順番を待つ他の娘のヴァギナとアナルを舐めて整える。
生殖器は本体の自信を取り戻してあげようと、柔らかく濡れた粘膜洞を喜ばす張りと硬さを保ち続けた。イーガ人の美少女の様な青年は、性愛と交合においては粘り強い、不屈の勇士だった。
対してイズヴァルトはどうだったか。彼は冷たい風が吹きすさぶ港で、桟橋の上に立つエレクトラ達を伺い見ていた。
無念とそこから突き動く怒りがこみあげる。相手の油断がいつ来るか待ち遠しくて仕方が無い。頭の中ではエレクトラ達からクリスを助ける方法がいくつも頭の中で浮かびあがっていた。
だが、カリグラからは手を出すなと念を押されている。言われた通りにする義理は無いのだが、囚われているのがカイルにとって特別な人になりそうだったから手を出せなかった。
「……おのれ」
諦めきれない。相討ちになってもやり遂げたいという意気込みがあった。それをあざ笑うかのごとく、エレクトラ達はゆっくりと、クリスティーナを抱えながら船に乗り込もうとする。
そこへクリスティーナが、今しばらく待ってくれとエレクトラにせがんだ。
「も、もれちゃう!」
「なにがですかい?」
「うんちとおしっこ!」
身体が冷えるのも仕方が無かった。クリスはお尻が丸出しの格好のままだったからだ。偽の男性器を咥えたままだった尻穴が収縮をし始めていた。
「仕方ないですねえ。エイオン、その子の尻から抜いてくださいな?」
「わかったべえ」
エイオンはハリガタを乱暴に引き抜き、ぎゃっと叫ばせた。そのうち尻穴が大きく広がり臭いおならを放ち始めた。クリスティーナの尻を桟橋の外に向けさせた。
「ほーれ。こころおきなくひねるべえよ?」
「あ、ありがとう……」
衆人環視のもと、クリスティーナはエイオンに抱えられたまま、尻穴からびゅーっと下痢便を放った。じょぼじょぼと水面から音が鳴るのを聞いて、エレクトラは思わず笑ってしまった。
「姿を見せないあの嬢ちゃんといいこのご令嬢といい。将来はなかなかにおっきな人物になりそうですねぇ?」
クリスティーナは赤面した。好んで父親たちが見ている前で下痢便を放ったのではない。腸から排出されるものがあらかた収まると、彼女は小便をさせろとエイオンに頼んだ。
「仕方ねえべえな」
エイオンは彼女を背後から抱きかかえ、太ももに手をかけた大股開きの格好で海に向かわせた。先ほどの大便よりも勢い良く、小水が放物線を描いて見せた。
「あふう~」
「もう出すもんは出しただろうなあ?」
エイオンが呼びかけるとクリスがうなずいた。そこへ別の桟橋から「待って!」と呼びかける声がした。振り向くとマイヤが立っていた。
鞘に納められた剣を抱えて立っていた。柄と鞘を見てイズヴァルトは驚く。まぎれもなく『姫竜の牙』そのものだったからである。
「もっといい条件があるわ!」
マイヤは抱えた剣を振り上げて見せた。エレクトラはその剣の柄と鞘に目が釘付けだった。
「この剣はね、とても強い魔法が使える剣なの! クリスティーナさんを離してくれればこれを貴方たちにあげるわ!」
「よすでござる! それはヴィクトリアどのの形見! それを持ってウラスコーに!」
「イズヴァルト、女の子の命とどっちが大事なの!」
マイヤに問われたイズヴァルトは、「しかし……」とうなだれた。エレクトラは「おや?」と首を傾げながらマイヤとイズヴァルトを交互に見る。
「……そういうことでしたか」
「なんだべえ? 何がそういう事だべえか?」
「話に乗りましょうってことですよ……そこのうんちぶりぶりのデカパイのお嬢ちゃん!」
その話に乗ろう。エレクトラは承知した。約束通りクリスティーナの代わりに剣を引き取る。マイヤだけ来ることを条件にだ。
人質がいなくなったが船に乗り込めばこちらのものだ。海賊ども彼女とエイオンに比べれば象と蟻の差もあるへなちょこばかりだし、例え追撃されても海のいくさでは魔法が使える者に有利だ。
「マイヤどの!」
「うるさいよイズヴァルト! ヴィクトリアさんだってこうするはずだよ! 姫竜の牙を交換条件にされた時だと思うけど!」
マイヤがその剣を渡した隙に、駆け込んでエイオンとエレクトラに斬りかかるのを想像するが、今度はマイヤも人質になるかもしれない。カリグラの強い視線もあってか、イズヴァルトはどうしても動けなかった。
マイヤは魔剣を大事そうに抱えながら、エレクトラが乗ろうとする船が接舷する桟橋に向かった。エレクトラは彼女をまじまじと見て呼びかける。
「ついでと言っちゃなんですが、玉の輿に興味ありませんかねえ? 知り合いにとっても位の高いボウヤがいるんですが」
「なにそれ? 私はイズヴァルトの奥さんになるのよ?」
「……あはは。あの映像水晶は『本物』を撮っていたみたいですねぇ。なら、剣だけいただくとしましょうかね」
エレクトラはエイオンに目配せし、クリスティーナを引き渡した。がるるる、と唸り声をあげる海賊の娘を引き寄せたマイヤは、『姫竜の牙』を恐る恐るエレクトラに手渡した。
「……確かに受け取りやんした。確かに凄くご利益のありそうな剣ってことは確か。柄も鞘も年代もの……」
エレクトラは頂いた剣を鞘から半分ほど抜いた、マイヤは彼女達をにらみつけるクリスティーナを抱きかかえたまま、逃げる為に脚と腰に力を込めた。しかしエレクトラはすぐに刃をしまって大きくうなずいた。
「これでよろしい。エイオンさん、乗りますよ」
「やっぱり2人とも連れて行かねえのか? そこのおっぱいのおっきな嬢ちゃんに、エルフの子を産ませてやろうかと思ったんだけどなあ」
「そんなことしちゃあのこわーいボウヤにぶっ殺されますよ。あと、しょげているもう1人がその気になりゃ、あたしらは大けがするかもしれませんからねぇ」
エレクトラ達は船に乗り込んだ。海賊船は桟橋から離れていく。北西の水平線に見えなくなるまで追ってはいけないとカリグラに頼まれていたからだ。
船が沖合にまで向かうと、イズヴァルトはようやくマイヤとクリスティーナの元に駆けつけた。マイヤを抱きしめてひどいことをされなかったかと問いかける。
「そんなことは無かったよ……ごめんね、姫竜の牙をあの人たちに渡してしまって……」
「なら、せめて拙者の『覇王の剣』を納めるでござる……とにかくマイヤどのの身が無事でよかった」
まずは船に戻ってこの先の事を語り合おう。イズヴァルトが彼女の肩を抱えると、マイヤはクスクスと笑い始めた。
「……ど、どうしたのでござる? 気が触れたのでござるか?」
「ちがうよ。見事に引っかかってくれたと思って。『姫竜の牙』はまだあるよ?」
それはいかなることか。イズヴァルトはクリスティーナをカルカドに引き渡すと、マイヤに手を引っ張られながら海洋公の御座船の自分達の船室へと入った。
寝台にはカルカドから貰った剣の鞘と外された柄、それから1本の魔の気配を漂わせる、美しい片刃が置かれていた。
「……この刃は!」
まさしく『姫竜の牙』であった。エレクトラに渡したものはカルカドから貰った宝剣と刀身をすりかえたものだった。似たサイズのものだったから、どうにか鞘の中にねじ込めたとマイヤは嬉しそうに笑った。
「イズヴァルト。これで旅が続けられるよ。さっさとウラスコーへ、ヴィクトリアさんの故郷に向かおうよ?」
「で、ござるな! しかし柄のほうもまた、ヴィクトリアどのの形見でござるよ……」
あの柄にはヴィクトリアの汗が、それから姫騎士エリザベスの手垢も染みついた形見であった。刃と違い、握りにこそ故人のにおいが染みついていたのだとマイヤは気づき、後悔して大泣きした。
さて、その姫竜の牙の片割れだが、手に入れたエレクトラによっていかなる道をたどるのであろうか?
その続きについてはまた、次回にて。