聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
手紙を書き続けながら、『軍師殿』は機をうかがっていた。
ホーデンンエーネンで北部諸侯に独立の動きがあり、それを近衛騎士団の諜報が察知している。
ジューンショーン王もまた、現地に聖騎士団と魔道士部隊を派遣して、北部諸侯らに伺いを立てる使者を何度か出し、なだめようと務めている。
これが、ホーデンエーネン王国暦360年3月の時点の状況だ。
ジューンショーンからの返書にも内情が書いてある。アヅチハーゲン近隣を不当占拠する、クボーニコフがその原因だという。
「セイン兄様の戦死を公表しない代わりに、パラッツォと手を切れと言い出しているからね。しかも要求は日を追うごとにひどくなっている。アヅチハーゲンの実効支配までせがんできた」
北部諸侯らはナントブルグに、全面対決の決断を迫っていた。クボーニコフは占拠地以外にもうろうろと出回り、狼藉を繰り返していたからだ。
それとエチウ諸島で、『不法移民』を用いてやらかした嫌がらせもあった。
けれども近衛騎士団が、その要求に対してあれこれと妨害をし続けている。
奴隷狩りの狩場としてのエチウには興味はあるが、同盟国としてのパラッツォ教国にそこまでの思い入れは無いからだ。
よって暴発の機運は高まっていた。『軍師殿』はそれを待っている。ツダサンチョーやイナンナとも相談して、『ゆうしゃ』となったイズヴァルトを最も効率的よくPRする為の舞台になるのを待っているのだ。
北部諸侯が立ち上がれば、数では劣勢だから必ず負けに向かうはず。その時に手を組むと申し入れて上陸する。
作戦も練った。小競り合いで勝ち続けては犠牲が増えるだけ、と考えた。とある場所での一大決戦で全ての勝敗を決することにした。
その目的地はヨコヤマヴァール。ホーデンエーネンの北部の中枢・ナーガハーマの北にある城塞都市だ。
ヨコヤマヴァールは高台にある。北と東西は高い崖で囲まれ、南側はいくらか平地が広がっているが、更に進むとオーミゲニアの西側を流れるタッカテオッキ河に面している。
この城市はパラッツォ教団と争っていた時に、北からの侵攻を想定して縄張りが張られた。街の東側に面する北方街道から進撃して来る敵を食い止め、南側には堀や土塁を構築し、攻撃を受け止めるのだ。
ヨコヤマヴァールは、いわば、巨大な支城で牙城であった。
縄張りを決めたのはセイン王の愛妾、つまりはトーリ=カツランダルクだ。妹のマイヤも加わった。多くの築城技師たちが、難攻不落と評する名城になっているという。
『軍師殿』の考えはこうだった。ナーガハーマの喉元といえるそこを落とす。正攻法では南側に回り込んで防壁を突破して、という方法しか無いのだが、裏があった。
「実はね、ヨコヤマヴァールには、秘密の抜け道があるんだよね」
と、告げたのは『軍師殿』。周辺の砦や城、あるいはナーガハーマとも結ぶ伝令用の秘密のトンネルがいくつもある。
そこで最も防備が薄いのは、1キロ離れた北東の山にあるイブキラッセン城。薄いと言っても防備はとても堅い。ここを落とせばナーガハーマへの乱入が仕掛けられるのだ。飛翔魔法が使える者以外の話だが。
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4月になると、イズヴァルト達はコンゴウアミダラデンを出た。
とりあえずは一旦軍を解散し、ゲオルギー公子やヒッターチの武将らは、各々が自国に戻った。
イズヴァルトだが、子供達と『軍師殿』とエルフ達と共に、シゲニウス帝のいるヒッターチに居座ることにした。まだまだ外国を見たいウーゴ王子も同行だ。
ヒッターチを拠点にした理由だが、ホージュリアのお腹が大きくなったからである。イナンナの手によって、イズヴァルトの子であることがわかった。
それは何を意味するのか、というのは、こういうことだ。
「そういうことでぇ、ホージュリアはイズヴァルトしゃまにおちんちんをおねだりしゃせていただきましゅのぅ♡」
自慰狂いの皇帝妃に、毎日ちんぽでご奉仕することとなった。ホージュリアは体力お化けだから、8時間ぐらいしないと離してくれなかった。
「ひえええ……」
嘆かざるを得ないぐらいに、イズヴァルトは過酷を余儀なくされた。
ホージュリアは確かに美しい。おまんこの表面は感じやすくて舐めがいというものがある。
しかも性交になると締りが貪欲だ。彼女は激しく動くからイズヴァルトのちんぽはますます虜になった。
とはいえ、長い時間性交するのはやはり辛い。1日に20回ぐらい射精できる身体であってもである。
しかしホージュリアの求めは断れなかった。彼女がイズヴァルトに抱き着いてねだりだすと、近くにいるシゲニウスが、目を潤ませて、
「友の頼みを断れないよね、君は?」
と、訴えてくるからだ。
イズヴァルトと性交をしまくるのが始まってから、ホージュリアは自慰を控えるようになった。
代わりに毅然とした声ときびきびとした様子で、政治の会議や軍議に参加しだした。彼女は武人寄りだが、イワキエル地方の遊牧民の統治政策に関しては、良い案を出してくれることで重宝された。
それとシゲニウスは、ホージュリアの凛々しさに惚れた男である。昔の血気盛んな姿を取り戻した彼女と閨で、軍靴で踏みつけられたり、尻をムチで叩かれるのが大好きだった。
ただ、イズヴァルトの『ちんぽのお相手』は、ホージュリアだけでは無い。『軍師殿』やマレーネもである。彼女達はホージュリア並みに貪欲だった。
そのせいかイズヴァルトは体重が減りだした。折角鍛錬で鍛えた肉体が、少々細くなってしまった。
ただエルフ達は、イズヴァルトの身体を気遣って、オアラポリスでチンポ狩りにいそむことにした。この1か月で市の童貞率は0%になった。
5月になるとホーデンエーネンと北部諸侯との間で、小規模な武力衝突が始まった。土地勘に優れ、粘り強い気質のオーミゲニア人のほうが優勢。
対するホーデンエーネン側はうだつがあがらなかった。戦争下手が勢ぞろいの近衛騎士団が軍の中枢にあったからだ。
北部の情勢を伝えに来るのはイナリーレン。毎週のようにやって来るので、『軍師殿』は慰労を込めて手料理を振舞うことにしていた。
「イナリーレンさん、はるばるごくろうさま! またすぐコンゴウアミダラデンに戻るんでしょ?」
「ええ。コショーショー様の身の周りのお世話がありますから」
「その前に、おいしいものでも食べて行ってよ!」
ローラは彼女を食卓に通して厨房に立つと、しばらくして、尻のお世話係のオットーに自分の手料理を持って来させた。
どんぶりに入った『あつあげうどん』である。イナリーレンは太くてシコシコとした麺が好物だった。
イーガの『禁書図書館』に、そのレシピが記された本はあった。『軍師殿』はそれを読んで覚えていたのだ。
「では、いただきましょう」
イナリーレンはどんぶりの前で手を合わせた。肩に乗っかるフェルンとゼンゼも、翼をあわせて真似をした。2人も後で、おすそわけをいただくからだ。
麺は黄身がかかっておらず、ちゃんと白い。それよりも『あつあげ』だ。箸ですくってじっと見てみる。
「だいぶあちらの世界のものに、形が似てきましたね?」
「あはは。味はまだまだ工夫が足りないみたいだけどね!」
オットーが『軍師殿』をきっ、と睨んだ。彼女は材料となる豆腐を作るのにこき使われたからだ。
『あつあげ』を延々と作らされた。出汁の原料の調達から煮込みもである。『軍師殿』がしたのは、麺をゆでてあつあげを乗せるだけである。
ちなみにだが『軍師殿』の料理の腕は、かなりのメシマズだ。茹でたり煮たりは普通の腕だが、それ以前の下ごしらえがまったく駄目だ。致命的な欠陥があった。
「はむ……味も悪くはない。ちゃんと出汁がきいている」
出汁の味はまあまあいい。オアラポリスは魚がよく獲れるので、材料には困らないのだ。
「でしょー?」
「けど、うどん麺がやや、ふわふわになり過ぎているね。もうちょっとコシが欲しいね。けど、味は奥深くてのどごしがいい。それと滋味がある」
イナリーレンはつるつるとした食感のそれをもぐもぐとかみ砕く。麺の味わい深さに舌づつみを打った。
とはいえだ。食べれば食べる程、何かがおかしいと思い始めた。
食べ続けるとほんのりと、青臭いにおいが口の中に広がりだしていた。
そのにおいに反応したのかどうかはわからないのだが、なんだか下腹のほうが重く感じてしまう。股のあたりがじわ、と濡れ出していた。
「普通の製法とはちょっと違うみたいだね。何を混ぜたんだい?」
「えっとね。そのおうどん、イズヴァルトのざーめんみるくを混ぜてみたの!」
イナリーレンは箸を落とした。
フェルンがおえっ、とえづく真似をするが、ゼンゼは興味深そうな様子で、得意がった表情の『軍師殿』に視線を投げかけていた。シマエナガ型魔族のお嬢様だからである。
「きみは……客に提供するものにちんちんから出たものを混ぜて、平気なのかい?」
「あれ? イズヴァルトのざーめんみるくは、むしろものすごい価値があると思うけどなあ。栄養たっぷりでね、美容と健康にとてもいいんだよ?」
イナンナによれば小さじ1杯につき、きれいな海で獲った生ガキ5個分の栄養があるという。しかも人体に余さず吸収され、中毒を起こさないそうだ。特に女体に良く作用する。女性の成長ホルモンを活発化させるそうだ。
「そのおうどんにはね、イズヴァルトの5回分のざーめんみるくが入っているんだよ!」
おおよそ100ミリリットルぐらいだ。イズヴァルトの前立腺は、常に激しく動いている。
落とした箸をどんぶりの上に揃え置いて、イナリーレンは手を合わせた。
「すまない。お腹いっぱいになってきた。もう食べられない……」
「イナリーレンさん、気分悪くしちゃった? ごめんね?」
そう言って『軍師殿』が目をうるうるとさせて、イナリーレンを見つめはじめる。とても悲しそうな顔をしていた。
『ぴえん』になりそうな彼女を見ると、オットーが狐の獣人に凄んだ。
「折角、『軍師殿』が君の為に作ってくれたんだぞ! その気持ちを無下にするのか!」
イナリーレンは箸を手に取った。
「うん。もうちょっと頑張ってみよう」
「だよねー!」
「もぐもぐ。うん、おいしい。さすがはイズヴァルトのちんちんじるが練り込んだ絶品きつねうどんだ」
「だよね! 私も魔族化が進んでから、お料理に必ずイズヴァルトのざーめんみるくをかけるんだ! うま味調味料みたいに作用して、とっても美味しいよ!」
「ふう、そうか……」
しかしこの麺の中にザーメンが練り込まれていると想像すると、イナリーレンは吐き気を覚えた。
すごく美味しいのに、ゲロしたくなる。
なのに、『軍師殿』に見つめられると、箸と口と胃袋が止まらない。
フェルンは「うげっ」とした表情のままだが、なぜかゼンゼは羨ましそうに見つめてくるのにも気づいた。
とうとう最後の麺もすすり終えてしまった。
「……ふう」
イナリーレンは完食した。しかしどんぶりの中は、麺のカスがいくらか残っていた。
「あのう、それ、わたくしにも食べさせてくれませんの?」
ゼンゼに呼びかけられると細かい残りを箸ですくい、持ってきてもらった小皿に入れた。
テーブルに降りたゼンゼが美味しそうに食べだすと、仕入れた情勢を『軍師殿』らに語りはじめた。
国王に増援の意思が無いからか、ホーデンエーネン軍は逃げまくっているそうだ。
「但し、ナーガハーマに物資を集積せず、アヅチハーゲンの南側にある諸城市に集めているらしい」
「そうくるか。ナーガハーマは硬いけど、ぐるりと山々に囲まれているから、連携が取りづらいんだよね」
近衛騎士団はおおかた、勝手にクボーニコフに打診して援軍を求めているんじゃないのかと尋ねてみると、「そのようだ」とイナリーレンが答えた。
「やっぱりかあ……」
「マイア=テクニカのホーデンエーネン支部にも、新兵器を寄越せとせびっているらしい。ゴーレムというものを大量に作らせようとしているみたいだね」
「マイア=テクニカが、ゴーレムを!」
「そうです。ゴーレムです」
「私の会社になんてものをッ! なんちゅうもんを作らせるのよッ! ふんぎぎぎいぃい!!」
『軍師殿』が怒りだした。顔が真っ赤になって、ぶほっと盛大に屁をこいた。
それをオットーが取り押さえて、まあまあ、となだめる。
「今更ゴーレムぐらいなんだ? 君の『マイア=テクニカ』はこれまで散々、人殺しの道具を作ってきたじゃないか?」
「そうだけど!!」
「イナリーレン、取り乱して済まない。ゴーレムと聞いたらエルフのものか、パラッツォ教が軍事利用している『プラーグのヨッセル』のどちらかになると思うが……?」
イナリーレンは急いで付け加えた。エルフの術式によるもの。
「ほっ……『プラーグのヨッセル』じゃなかったのだな? まだ対処できそうだ」
神聖術式で作ったゴーレムは、並みの精霊魔法では簡単に崩せない。それに対抗できるのは、枢機卿らから術式を学んだイズヴァルトだけだ。この面々の中では。
しかし、エルフの精霊術式をもとにしたゴーレムなら別だ。破砕魔法がいくらか効くだろう。
「それはあちらの枢機卿が拒んだらしい。特に口やかましくわめきたてていた、カヅノ=セイジ枢機卿に止められたみたいだ」
「良かった……でもないか。あれ、エルフさんたちが作ったものでも相当まずいよ?」
あの動く土人形に、ニンゲンが持ち運びできない大筒や巨大弩弓を持たせれば、かなり強力な攻城兵器になるはずだ。
それに、ゴーレム作製師のジョセフィーヌによれば、動きがのろくて簡単な動作のものであれば、並みの魔道士でも造りだすことができる。石や鉄を混ぜるだけで防御力がかなり高まるという。厄介な造魔である。