聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
アネモネから託されたミツクニュモス=ミートパトロスの分厚い私記を読み進めていくうち、なんじゃこれは、と思い出した。
魔法や古代ムサシノ帝国の超科学はともかく、神々の戦いなどという、わけのわからぬ話がつらつらと書き連ねられていたのである。
しかも、いくつもの絵が挟まれていた。とても豊満な肢体をもつ美女たちの裸体画と、ミツクニュモス本人と交わっているという、春画みたいなスケッチばかりである。
「うーん。ガンガ? アルジュリナ?」
これ、アプサラーの百姉妹の名前じゃないかな?
その絵だがどれも、エレナというサインがすみっこについてあった。サガミニアのエルフの春画絵師みたいなタッチだ。見るものをシコらせに来る。
(そういえばイズヴァルトの娘のエレナ=シギサンシュタウフェンは一時期、絵師としても活躍していたよな?)
エルフの里で仕込まれたその技術で、いろんなすけべな絵を描いては売りまくっていたそうである。
実際、彼女が描いたそれは今もシマーヅや、終の棲家にしたウラスコーの街の美術館に展示されている。
エレナについてだが、この様な動向が記録されていた。
シマーヅに立ち寄り父と義理の母とともにアソマリアを訪れ、病床についていたデボラを見舞った。それから、シマーヅに残るオリガとウーゴ王子とは一旦別れ、父と義母とともに旅に出たそうだ。
それからの旅だが、まずはスーエイニアに向かい、触手姫に会ったという。それからウラスコーに向かう旅を続けながら、父には武術と楽器の弾き方を、エルフ達からは魔法と絵画を学び、義理の母親には学術とおまんこの舐め方を教わったそうである。
とはいえ実母よりはそんなに頭が良くもなく、魔法の才も優れていなかったので、エレナは芸術と武芸をきわめる道に進んだということだ。
ミツクニュモスは王国暦371年にオルタンスと結婚し、シマーヅの土地に骨を埋める覚悟をするまでイズヴァルトと同行した、と記録されている。
だが、この絵と私記がこの先で語る話はよくわからない。
マイヤが死んだと言われている王国暦363年はじめから1年間の流浪については、他の歴史書にも書かれている話ばかりだが、それから数年間は他の歴史書にも記されていない、イズヴァルトの事績においての全くの空白期間だったからである。
「ふーむ。しかし、神のいる世界に行っていたとは……」
手記は、激しい妄想としか思えないことばかりが記されていた。思い切ってシマーヅにいる知り合いに聞いてみた。
遠距離用の通信魔道具を用いれば、おおよそ半日のタイムラグがあるが、相手と会話のやり取りができるからだ。
ちなみにその人物だが、つまるところ
「ねえねえ聞いていい? 旦那さんの手記を手に入れたんだけど、うそっぽい記述を見つけましてね?」
「あの人はホラ吹きだったけど、日記や手紙を書く時は真面目だったズラよ?」
手記の1ページ1ページを映像術式で収め、シマーヅにいるオルタンスに見せてみた。これは本当の話ズラ。
「神様と会ったわけ? つまり旦那さん、アプサラーの女神様たちとやりまくってたの?」
「エレナさんがよく聞かせてくれたズラよ。すんげえ美人でおっぱいぷりんぷりん。オラたちエルフなら襲っちゃうような別嬪ぞろいだったらしいズラね」
但し神といっても非力きわまりなく、そこら辺の悪党にわからせられてしまうほど戦闘力が無いそうだ。要は出産と繁栄専門の神様だ。強姦でできた子でもかわいいかわいいと甘やかしてしまうそうな。
しかし、それまでのイズヴァルトは全くの廃人だったとオルタンスは言う。まるで無気力で毎晩めそめそと泣き、小さな子供達から「おとーちゃん、なかないで」と慰められていたぐらいだと。
(そこはサーガの通りか。イズヴァルトも妻を失ってからは、かなり気落ちしていたらしいな。)