聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
『聖戦の勇者』は失意のどん底にあるイズヴァルトが、どうやって立ち上がるかを描いたくだりとなっております。
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ホーデンエーネンを去ってから1年ほどのち。
イズヴァルトはあんなに愛していた妻を喪ってしまった。
イーガに立ち寄り、マイヤとの再会を待ち望んでいたマレーネ王女とオットーにそのことを告げた。
彼女らはイズヴァルト以上に嘆いた。
「あの見ているだけで人に優越感を抱かせる、可愛いだるまあかちゃんニンゲンに先に死なれるなんて!!」
ひどい言い方で嘆いたマレーネは、世をはかなんで尼となろうと決意を固めた。
そしてオットーは嘆くイズヴァルトに、マイヤの遺志を継ぐ子を産みたいと願った。
産まれた娘はマイヤに負けず劣らずの美人に、子猫みたいに可愛いい娘に成長する。
名前もマイヤから拝借し、ローザマイヤ、と名付けられた。
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イズヴァルトは悲運に見舞われた。
教主に招かれてエチウに寄りオーキ島へと向かう船旅で、マイヤが何者かにさらわれたのだ。
その海域を1カ月ほど捜索し、タンゴバルド海賊団の助けもあって彼女のものらしい痕跡を小島の洞穴で見つけ出した。
直前まで彼女が身に着けていたと思われる衣服と義手義足が、血まみれになって転がっていた。
ただ、『触手姫』に持っているようにと言われ、彼女に持たせていた『姫竜の牙』も無かった。
「……これは? これは?」
それを目にしただけでイズヴァルトは肩の力をがっくりと落とし、その場に倒れ込んで泣きわめいていた。
同行していたブライアンはコンゴウアミダラデンへの報告をサキュバス達に頼み、マイヤの捜索に魔族が協力してもらうことが成ったが、1ヶ月2ヶ月過ぎても手がかりは見つからなかった。
マイヤは失踪した。イズヴァルトも触手姫らと共に彼女を探す旅を始めたが、まことに重苦しい気配に包まれていた。手がかりは全く見つからなかった。
そして失踪から1年。イズヴァルトはイーガに立ち寄ることとなった。マレーネが手紙で会いたいと手紙で送ってきたからだ。
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ホーデンエーネン王国暦で言うところの、364年の5月。
来訪の翌日。およそ2年ぶりに見るイズヴァルトは、オットー=オーズローの目から見てまことに気の毒なぐらいにやつれていた。
目に全く精気が無い。泣く日々が続いているのかひどいぐらいに腫れていた。
しかし傍にいたマレーネは、念話魔法で「下半身だけは元気ですのよ」とオットーに告げた。
旅の間、イズヴァルトはなるべく女性を避けたが、マレーネと再会し、閨房で陥没した乳首がついた大きな乳房を与えると、それを吸いながら激しく貪られたそうだ。
「マイヤおねえちゃまの大きなおっぱいを吸うようでしたわ。吸いながらちんちんで激しく突いて来るから、おまんこの奥がまだじんじんと痛みますの……」
この性交でマレーネはまた、命を宿すこととなった。ヨコヤマヴァールの戦いの後、イーガを出発する前に宿して生まれた娘が1人。そして昨晩の性交での新たな生命だ。
イズヴァルトはすっかり老け込み、縮んでしまっていた。傍にいるエレナとミツクニュモスは、ただただ、彼を気の毒そうに見守っていた。
マルティンや老ヴィルヘルムが声をかけ、なぐさめる。イズヴァルトはおぼろげな声で答えるだけだった。
マレーネは念話魔法でオットーに呼びかけ続ける。肉声でないのは、決してイズヴァルトに聞かれたくないからだ。
「……おねえちゃまはもう、絶望するしかございませんわ」
「本当に、それでいいのですか?」
マレーネの目が真っ赤になっているのを見つめながら、オットーは続ける。
「まだ希望はあるでしょう。どこの誰がさらったのか。アカサカチハヤの魔族の探索だって、まだ続いているでしょうに?」
「いいえ。人探しの強力な人物を喪って、そうもいかないようですの……」
その人物とはサキュバスのヴァネロペのことだった。彼女は去年の秋、ばったりと消息が途絶えた。魔界から戻ってきた魔竜は懸命に捜索しているが、まだ見つかっていない。
それから妙な話も入ってきている。今年に入ってだが、パラッツォ教では副司祭騎士団長のエレクトラと、イズヴァルトと共にエチウで戦ったエドワード=ルーカスの姿が消えたというのだ。
2人はイナーヴァニアのトットリーブールに入った後、行方がわからなくなったらしい。シマーヅにいるウーゴ王子からもこんな知らせが届いていた。去年の暮れに国を立った父と、全く連絡がつかないそうだ。
マイヤが失踪してからいろんなことが、目まぐるしいぐらいに起きている。この世の中はどうなってしまったのだろうとオットーは嘆いた。
エレクトラやピピン王子の失踪については昨晩教えたのかとマレーネに尋ねた。
「今のイズヴァルトさんにそんなことを伝えることができまして? マイヤおねえちゃまのことで精一杯なのですよ」
マルティン王やその祖父・ヴィルヘルムからも、決して伝えるなと厳しく言われている。
イーガ王家は徹底していた。これらの情報はごく一部しか知らされていなかった。
マイヤの息子であるフェアディナントや、去年の秋にアスカウから嫁いで来て、もう出産間近のイルマの若い夫婦にも知らされていなかった。