※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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記録:聖戦の勇者 ⑪ 『神界からの使者』

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 魔竜の執務室で初めて見た時、サキュバスかと思った。装飾具以外は尻も乳も丸出しの、ふくよかな美女だったからだ、その女は。

 けれども魔竜はサキュバスではないと言った。

 女神ガンガ。

 可哀そうな男のもとに現れて番い、男の支えとなる子を授けるというアプサラーの百姉妹の長女だと。

 シマナミスタンにいる半淫魔の肌白娼婦にしか見えない女が、神のうち1人だとは。

 

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 ……1時間前。

 

 執務室の革張り椅子に身を沈め、サイカノマゴイチは眉をしかめる。

 

 その向かい側には毛皮や羽毛で表面をこしらえた、とてもカネがかかっていそうな椅子に座った女がすました顔で腰かけていた。

 

 髪を後ろは団子にしてしばって簪をさしている。

 

 装飾がついた銀の首飾りと腕飾り、腕輪をつけていたが衣服は全くつけていない。

 

 肌は淡い肌色だ。全体的にむっちりとしていて少々太り気味に見えるが、デブとまでは言えなかった。『たわわ』とか『豊穣』といった形容詞が似合っていた。

 

 太くむっちりとした腰と、小玉すいかぐらいの大きさの、ぼよんとした乳房がそう思わせる。性交と出産に特化したぽっちゃり女体の究極系、といった様子の体つきとも言えただろう。

 

「……で、ウチのヤギウセッシウサイを、あんさんとこの『内輪もめ』に参加させたい、ゆうてはりますやろか?」

 

 丸裸の女は柔らかい手で椅子の羽毛に触れながら、うふふ、と笑った。

 

「その通りです。魔界の剣聖・ヤギウセッシウサイ様には是非とも、『光と闇の戦い』に参加していただきたいと願っておりますの」

 

 追記。この女の顔かたちはとても美しい。

 

 ふっくらとした頬と柔らかそうな首筋。

 

 目は大きくアーモンド形。眉は整えていないからいささかムダ毛が生えているが、形がよい弓なりになっている。

 

 艶やかな黒髪と同じ色の、眉と瞳だ。顔つきはどちらかと言えば、シマナミスタン人の美女の特徴に近いだろう。

 

「『光と闇の戦い』、あれかあ。ぶっそうな運動会みたいなもんやな?」

「運動会だなんて、玉入れやおはぎ食い競争なんてございませんわ。正真正銘、れっきとした光と闇、生と死との戦争でございますの」

 

 丸裸の女は装飾具をじゃらじゃらと鳴らせて身じろぎする。足を組み替えると、足首の環につけてあった鈴がリン、と鳴った。

 

「やっぱり貸さへんわ。ウチのエースにはなあ、あんたんとこの余興に付き合っている暇は、あらへんのや」

 

 うちはあかん。各地の戦士でも適当にスカウトしとけと魔竜は返す。

 

 女は顔を顔を真っ赤にして立ち上がった。

 

「余興ですって?! これはこの世界が産まれてから数百億年にも渡り続けられた、1万年に一度の大事な戦いなのですよっ!」

 

 どちらかが勝つかで今後の1万年が決まるのだ。

 

 もし闇の勢力が勝ってしまったらこの1万年間、この世界はたちまち死に溢れるであろう。

 

「そうなってしまったら、この世界の人々は、特に、ニンゲンの皆さんは、どうなってしまうことやら……」

 

 わなわなと震えて怯えだす女に、魔竜は冷めきった調子で問う。

 

「せやからマハーヴァラはんもアエーシェマはんも、そないな面倒臭いことせえへんでも、適当に見届けておけばええんやないでっしゃろか? 自分達のケンカで疫病だの豊作だのを決めるだなんて、神さん以外にとっちゃはた迷惑は話ですやろ?」

「ですが、この戦いは数百億年の伝統があることには変わりありません! 例え『根源の世界の古き神々』の眷属たるサイカノマゴイチ様でも、我らが父の為す事を愚弄するのは赦されませんよ!」

「愚弄しておらんわ。ほんま、『アプサラーの100姉妹』は、怒りっぽくて面倒やわあ……」

「私たち姉妹までバカになさるおつもりですか!

 

 の装飾具ばかりの全裸の美女こそ、豊穣の天女たち『アプサラーの百姉妹』の1人であった。

 

 しかもその長女。女神ガンガである。

 

 彼女は興奮のせいで、全身の肌を真っ赤に染め上げてしまっていた。

 

「そないに怒りんぼだと、せっかくの美人も台無しになりはりますわあ」

 

 サイカノマゴイチは薄笑いを浮かべる。ガンガはますます眉を逆立てた。

 

「けどなあ、ヤギウセッシウサイ並みに強い戦士が、このコンゴウアミダラデンに滞在しはってな、その者に頼んでみたら、どうでっしゃろ?」

「強い戦士ですって?」

「セッシウサイに認められるぐらいの強い男の子やで?」

「名前を、なんとおっしゃいますの?」

 

 ガンガの尻が背もたれでたわんだ。

 

 魔竜はこの世界の戦士の中では2番目に強く、数々の戦いを潜り抜けた歴戦の強者であると答えた。

 

 ガンガは指をぱちん、と弾いてパピルスの様な質の紙の束を呼び出し、ぺらっぺらっぺらっ、と素早くめくりだした。

 

 紙の束は、今現在のこの世界の有能な戦士達のリストである。

 

「2番目に強いとなると、ホーデンエーネンのイズヴァルトさん、でしょうか?」

「なんだ。知っとったんか?」

「詳しくは存じません。ただ、顔を見る限り、なかなかにハンサムな御仁ですのね?」

 

 ガンガの乳房がぷるんと弾け、乳首が硬直して上向きになった。ついでに女芯からじわり、と愛液が滲み出てくる。しかし魔竜は嫌な顔をしなかった。マン汁がついてしまった椅子だが、ガンガの私物だったからだ。

 

「えらい目を輝かせておりはるなあ。ついでにゆうとくと、あっちの方は世界最強かもしれへんで?」

「……えっ♡」

 

 女神はますます目を輝かせる。厚ぼったい唇を血色よくさせて、ニッコリと笑った。またもマン汁が無毛の割れ目からどろりと垂れた。

 

「では、この男で……我慢いたしましょう」

 

 高慢ちきな言い方は改まっていない。ガンガは艶やかな唇から舌をちろりと出して舐めた。

 

「お会いできましたらすぐにでも、我が父の元に連れて行きましょう」

 

 わかりやすい女だ。きっと戦いの前と後で貪りまくるつもりだと魔竜は思った。

 

 いたずら心が出て、ついでにこんな者達も薦めてしまう。

 

「これは志願となるねんけど、この世界とは別の勇者たちもおるで。連れていくつもり、あらへんか?」

「と、おっしゃいますと?」

 

 魔竜はこうアピールした。一度世界を救った戦士達がコンゴウアミダラデンにいる。イズヴァルトと負けず劣らずの、一騎当千のつわものばかりだ。

 

「特になあ、クラウスとリュカっちゅう『ゆうしゃ』がおすすめやで。あの2人はえらい難儀な戦いを経て来たからよう頑張ると思うんや。なんなら、そいつらが連れて来た仲間の500人、おまけに付けてあげるけど、どや?」

「数合わせの内に入れておきましょう。では、まずはその方々の希望をとってくださいな」

 

 ガンガは艶やかな頬をプルンと揺らして、にこにこと微笑んだ。資料の中にあるイズヴァルトの追加情報を確かめたからだ。

 

 資料の中にはイズヴァルトの、あっちの方の戦歴もこまごまと書かれていた。神々はここまで調べていたのである。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

「魔竜どの。このご婦人はどこのサキュバスでござるか?」

 

 ミツクニュモスと共にやって来たイズヴァルトが、女神を見るなり最初に発したのは、その一言だった。

 

 ガンガはうつむいてぷるぷると震えていた。顔を見合わせるなり、最初に言われたのがこんな失礼な一言だったからだ。

 

「なんだかすごく、チン負けザコ女のにおいがプンプンとするでござるよ?」

「ちゃう。ちゃう。チン負けザコは当たっとるねんけど、サキュバスやあらへん」

 

 本職の女神様やで。しかもアプサラーの百姉妹の長女様や。

 

「ううむ。そっくりでござるな……なんだかあり得ないぐらいの身体つきと快楽に負けそうな感じの石像だと常々思っていたでござるが」

「私たち姉妹の顔なんてもう、いろんな人たちに知られておりますわよっ!」

 

 ガンガはキーっとなってイズヴァルトをにらんだ。この女神の生きた姿に少々見覚えがあるオクタヴィアは、本物ずらとイズヴァルトにささやいた。

 

「こいつはホントによわっちいずらよ。おらが小さい頃、ニラッサの郷にふらりとやって来てな、ちっこいがきんちょどもにおまたをいじられまくって、一晩中きったねえオホ声をあげていたずらよ?」

「あなたはそれに加わっていたでしょうがっ!!」

 

 ガンガに指摘されてオクタヴィアは「てへっ☆」と笑った。

 

「私をいじめたエルフの子供達の中で、あなたが一番しつこくてひどかったんですから!」

「まあな。3000年ほど前の話ずら。あんときのおらはやんちゃだったからなあ」

 

 そう笑うオクタヴィアだが、子供のころは指折りの『メスガキ山エルフ』として悪名を馳せていた。

 

 彼女のメスガキっぷりはムサシノ帝国でいかんなく発揮したが、それ以前にもあっちこっちで悪いことをしでかしていた。

 

「ちょっくらおまたをいじったぐれえで、ひえーだの、あれーなどと可愛い声で泣き叫ぶボインボインがいたらついついからかっちまうずらよ?」

「その上あなたは私のおまんこのにおいをかいで、すげーくっせーなどとみんなで嗤ってたじゃありませんかっ!」

「だってぇー。ふつうのニンゲンのねーちゃんよりもくさかったんだもーん♡」

 

 その頃のしゃべり方っぽくオクタヴィアが茶化すと、彼女の娘のルチアがとことことやって来て、ガンガの脚に抱き着いた。

 

「あら? どうしたの?」

 

 ルチアは何も言わず、ガンガのふんわりとした下腹にある割れ目に鼻をつけ、すんすんと鳴らすと、ぱっと離れて鼻をつまんだ。

 

「うげえええ……馬糞だまりみてえな臭さずらぁ……」

 

 ガンガの表情は凍り付いていた。

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