聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
戦場ではいまだ戦いが続いていた。
そして女神たちがいるキャイラス山では、ガンガの出産の時が訪れていた。
「さあ、吸って!」
「すぅーっ!」
「吐いてー!」
「はぁーっ!」
リュカの掛け声のもと、白いシーツが敷かれた床の上で、ガンガは脚を大きく広げて力んでいた。
彼女の肛門が盛り上がり、膣口から羊水がごぼごぼと流れ出る。
ミツクニュモスは湯を張ったたらいと大きな手拭いを持って来て、女神が子を産む場に立ち寄っていた。
この居間に、イズヴァルトとクラウスの戦いを見る者は誰もいなかった。
イズヴァルトの着実で機械的な戦い振りと、クラウスの血反吐を吐いて倒れてもまた起き上がる苛烈な戦いぶりは賞賛すべきものだったが、女神たちは飽いてしまったのだ。
それよりも、今この場で起こる新たな生命を産む母親の戦いこそ、真の聖戦である。皆口々にそう言った。
大きく広がったガンガの女陰から、赤ん坊の頭が姿を現した。
「いたぁーいっ! いやあっ! いやあああっ!」
泣きわめくガンガを見て、エレナは女神たちに何度目の出産かと聞いてみた。
「知っている限りでは、42867回目の出産、じゃないかなあと……」
「そんなに産んでいるのに!」
「あの……確かにニンゲンとは違ってそんなに痛くは無いんですけど、いつもは気持ちいいところが広がってぐいっと痛みだしますと、大げさに叫んじゃうものなんですよね……」
ちなみにそう話してくれた女神は、21892回出産したことがあるそうだ。
しかしガンガ長姉の痛がり方は、少々大げさ過ぎると思っていた。普通女神のまんこから赤ん坊の頭が出てきたら、おおよそ1分以内に出て来るのだ。
「わああん! マハーヴァラお父様! ヴァリシアナお母様ぁっ!」
そう叫んだガンガの馬糞桶くさいまんこから、にゅるりと赤ん坊が飛び出て来た。ちびったうんこと一緒に。
赤ん坊が産声をあげた。女の子だった。
同時にガンガのお腹が急に縮んですっきりとなり、皺ひとつない、妊娠前のふわふわとしたお腹に戻った。
「おおすげえ! これが女神様の力なのか!」
エレナは赤ん坊のへその緒を切り、抱いて産湯で洗いながら言った。
身体を清められると赤ん坊はくるまれ、起き上がったガンガに抱かれて乳を飲み始めた。
お腹はすっきりしたのに、女神の乳房は膨張して乳輪がすごく大きくなっていた。リュックの娘のくせにえらく可愛いらしいとリュカは思った。
「よく飲むわね? 顔も可愛いし、将来が楽しみだわ」
「ですが、この赤ちゃんは神の素質があまり無いご様子です……」
神がかりな異能はあるだろうが、力や寿命はニンゲン寄りなのだそうだ。寿命こそ1000年2000年ありそうだが、神の世界に住めるような才能は無いらしい。
「じゃあどうするの?」
「……どういたしましょう?」
リュカは乳飲み子の頭を撫でだすヴァーンを見て考えた。
「じゃあ、私が引き取って育てるわ。それでいいでしょ?」
「……良いのですか?」
「まあね。リュックが父親なら、この子はアタシとクラウスの子孫でもある訳だし……賑やかな家族は長年の夢だったの」
リュカはその場で名前を考えた。パンネロと名付けた。どんな意味が込められた名前なのかを女神たちは尋ねて来た。
「アタシ達の世界で、『女神の子』という意味になるわ。ちなみにヴァーンは『勝利の子』よ」
「では……いずれその子はリュカ様の世界に行かれるということですね?」
「そうよ。何かまずい事でもあるのかしら?」
ガンガは何か言いたそうなクマウリを呼んだ。姉の出産を見て自分も産みたいと思い、ミツクニュモスのほうをちらちらと見ていた彼女が振り返った。
「……あなたならご存じでしょう? リュカさんの世界について、ご存じのことを教えてあげて?」
「いいんですか? 異界の神との協定に背きませんか?」
「いいのです。わたくしの赤ちゃんが向かう世界なのだし」
「わかりました。では……」
クマウリは話し始めた。クラウスとリュカの世界の神について知っていることをだ。
□ □ □ □ □
その世界を治める神々は、とある星について2つの悩み事を抱えていた。
1つはその星に満ち過ぎた人々の数。新世界人と呼ばれる種族と呼ばれていたが、もうとっくにその星で賄える人口は超えていた。
このままではその星の人々は破滅的な終焉を迎えるだろう。そこで彼等はその星の地底で深い眠りについていた、旧時代の民の一部を呼び覚ますことにした。
その者達を統べる者は、『毒王』と自ら名乗った。
そしてもう1つは、人口が増え過ぎて困っていた星護りの神を、討ち滅ぼしてくれる者がいなかったことだ。
その世界に存在する星護りの神というのは、役を担うと星の様々な穢れを吸い、限界が過ぎると悪神と化す恐れがあった。
悪神となった時には星が滅びる。そこで星の住人のうち最も優れた勇者が、神を討つ役割を担うこととなっていた。その者達のことを『神殺し』と呼んだ。
『神殺し』とよばれる者たちが命を懸けた戦って討てば、星護りの神は一度死ぬが、貯めた穢れごとその体を捨て、新たな身体に転生することができる。
しかしその『神殺し』の適任者たちが、今のところいなかった。あと500年か600年で穢れの蓄積に限界が来るそうだ。由々しき事態だった。
クマウリの話を聞いたリュカは、唖然とした様子で天井を見つめた。絵画や宝石で美々しく彩ったそれを見ても、まるで鈍い色をした安物のように思えてしまう。本当の美画や玉石なのにだ。
「……『毒王』は、神々に仕組まれたことってこと?」
「そういう、ことです」
「ふふふ……人が増え過ぎて……」
リュカの哄笑は止まらなかった。おかしいのではない。自分を含む人間たちが過酷な運命を強いられたのは、神々の掌に転がされたからというのがわかったからだ。
「……あちらに戻ったら、どうしようかしら?」
まずは神殺しを行おう。但し星護りの神だけでなく、もっと上の神も滅ぼしてやろうか。
心のうちに秘めていた闘志が燃え上がる。その様子を感じたヴァーンとパンネロが、きゃっきゃと喜ぶ。
クマウリはリュカを見て怯えていた。リュカは魔神も使役する凄腕の召喚士だ。神と争う事も可能だろう。きっとやるだろうと恐れた。
□ □ □ □ □
「あのう。姉様方のがおなかをおっきくしているのを見て、なんだかわたくしも子を産みたくなりました。援けてはいただけませんか?」
ミツクニュモスがクマウリに誘われたのは、ガンガの出産から体感時間で翌日のことだ。見れば女神たちの腹が、ひときわ大きくなっていた。
小柄な細い身体に豊か過ぎる乳房と尻を揺らしながら、クマウリはミツクニュモスに「お願いですから」と迫った。
彼は一応受け、皆が見ている場所では嫌だからと、クマウリと山の裏手にある物見小屋に入った。入口がある表側は壁でふさがれていたが、山の外側からは男神たちが住むギリー山が見えるよう、大きく開いていた。
「本当にいいのか?」
「ええ……お願いいたします」
ミツクニュモスは服を脱いで裸になった。小屋にあった椅子に座ると、クマウリが抱き着いて来た。
大きな乳房が押し付けられ、暖かい体温を感じて勃起する。
クマウリがまたがり彼のペニスをしごきだすと、彼は大きな尻を鷲掴んだ。
「もうすこし、優しく……」
泣きそうな顔でクマウリが懇願すると、彼は小さな身体を持ち上げた。
とても軽い。まるで綿でつくったぬいぐるみのようだった。
しかし勃起したものをいざなってもらい、濡れた熱い肉に包まれると、女神が急に重く感じられた。
交合が始まった。クマウリは自分から腰を振った。彼女のそこはサキュバスのそれよりも悩ましくて、熱かった。
ミツクニュモスは悦楽で喘ぐ、小さな女神の顔をじっと見た。性交を心から楽しんでいる様子には思えなかった。悪いことを忘れたくて快楽を貪っているようだった。
(リュカさんの世界の神様のことで悩んでいるのか。だから忘れたいんだな?)
向こうに見える峻厳なギリー山を見つめながら、彼は起き上がった。クマウリに腕を自分の肩にまわしてもらい、腿を抱えながら熱いそこを叩き続けた。
「あっ、あっ、ミツクニュモスさま、きもちいいです……」
自分もだ。そう思いながらミツクニュモスは激しく突いた。クマウリは喘ぐのを止め、唇をかみしめて快感に酔った。
女神の潤ったそこは、彼の子胤をいつでも吸い込めるように準備を整えていた。亀頭で異変を感じられた。
「クマウリさん、聞いていい?」
「……はい」
「これまで赤ちゃん、何回産んだんだい?」
クマウリは恥ずかしそうに言った。最低でも2255回は。
「じゃあ、俺は心置きなくアンタに赤ちゃんの種を飲ませてあげられるんだな?」
ミツクニュモスが腰を止める。陰茎の付け根が力強く打ち、クマウリの下腹に精を送り込んだ。
それを彼女は鋭敏に感じ取り、うっとりとした目を彼に投げかけた。
射精が止まると彼はクマウリと接吻しながら、小刻みに陰茎を動かす。
クマウリの愛液を擦り込まれ、陰茎がまた硬くなった。
女神の膣はサキュバスのそれのように、男性のものをすぐに元気にさせる媚薬成分が、含まれていたようだ。
彼は男神の山を見ながらクマウリに赤ん坊の胤がたっぷりと入ったものを送り続けた。
それから寝転がり、クマウリを下に敷いて飽き果てるまで抱いて、中に注いだ。
ぐったりとなって寝ころんだ頃には、クマウリの身体の奥で新たな命が芽生えていた。
彼はこの子供の様ななりをした女神の、2256人目の赤ん坊の父親となったのである。