※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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記録:聖戦の勇者 ⑱ 『アエーシュマ』

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 死神は段違いの強さだった。

 イズヴァルトは何度も何度も蹴散らされながら挑みかかった。

 そして段々と、相手を追いついていった。

 それが相手の『手加減』によるものだとしてもだ。

 

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 戦場ではまだ戦いが続いていた。

 

 イズヴァルトと彼と共に戦うリュックらは、敵本陣に迫りかかっていた。

 

 しかしもう一方の肝心要のクラウスは、まるで時間を浪費するような戦いに終始して、イズヴァルトの遥か後方にあった。

 

(だから申したでござろう、クラウスどの!)

 

 クラウス達はすっかり勢いが落ちている。一喝して引っぱたいてやろうかと思うぐらいの体たらくだ。

 

 戦いはまだ膠着が続く。

 

 やっと味方側の神々と合流し、全体的に優勢にあるのだが、まだ総大将のアエーシュマに会えていない。

 

 教えてくれた神によれば、本陣の奥深くに居座り、挑戦者を待っているという。

 

 もうそろそろ、自分もこの戦いに飽いて来た。

 

 しかしあまり強いと感じられない神々と戦うのに飽いただけだ。できればもっと強い敵と壮絶に戦いたい。

 

 よし。イズヴァルトは意を決してリュックたちに呼び掛けた。

 

「拙者はこれより戦鬼となり、総大将の元へ向かう所存! 貴殿ら、もし力と闘志があれば、離れぬようついて参れ!」

 

 そう告げるとイズヴァルトは虎となった。これまでとは打って変わって攻めの姿勢となり、『氷雪の栄光』を力強く振るって立ちふさがる敵を次々と打ち倒す。

 

 闇の神々はどよめいていた。

 

 まるで格が違う軍神がいきなり現れ、戦場を暴れまわるように見えたからだ。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 キャイラス山では出産ラッシュの真っ最中だった。

 

 ミツクニュモスは神界の住人、神人というのを初めて見た。なかなかに美男美女ぞろいだが、あんまり凄そうに見えなかった。

 

 あまり魔法が使えないし気弱そうである。

 

 褒めてみてもせいぜいが、ウマヤーノの出来損ないハーフエルフとどっこいどっこいみたいだった。

 

 彼等が呼び出されたのは当然、女神たちの助産と育児介護の為である。

 

「んーっ♡ んーっ♡」

 

 ズボンを脱いだ彼に抱き着き、懸命に腰を振るクマウリの色っぽい声を聞きながら、出産を終えてすっきりした顔で赤ん坊に乳を与える女神たちの姿を目にしていた。

 

「ねえねえミツクニュモスさん。クマウリちゃんはまだ離れてくれないの?」

 

 背後に立ったエレナが言う。彼女も服を脱いでいた。ミツクニュモスにおまんこして構って貰いたかったからだ。

 

 胸が平板な母親と違い、彼女はそれなりに膨らんでいた。イズヴァルトの娘は大抵、おっぱいが大きく実る。エレナも自分はそうなるだろうと密かに期待していた。

 

 しかし多産の女神たちの見立てではせいぜい、ちょうどよくふっくらとして形のよい美乳になる、とのことだった。

 

「ふーっ♡ ふーっ♡」

「すまん、エレナちゃん。クマウリさんはなかなか離れたくないようだ」

「いーよ。またガンガさんとおまんこくりくりしあっているからさ」

 

 エレナは後ろのテーブルにいるガンガに目を向けた。

 

 彼女は服を脱いだリュカと赤ん坊たちと引っ付き合って、お互いの身体をまさぐりあっていた。

 

「まあしかし、とーちゃんがどこまで行ったのか確かめたいけど、見えなくなっちゃったよね、あの水晶玉?」

 

 水晶玉は真っ黒に染まっていた。戦場の様子がうかがえなくなったのだ。

 

「そうだな。こりゃ何がどうなってるのかわからねえし、そうなるとやることと言えば……」

「あーうっ♡」

 

 こうして豊穣と多産の女神モードとなったクマウリを構うぐらいである。しかも彼は出産を終えた他の女神たちから、交合の相手を頼まれていた。

 

(こりゃあ、俺も敵に囲まれているようなもんだぜ?)

 

 クマウリとエレナの相手だけでもう十分だ、と思っていたのに。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 敵側の抵抗は激しかった。

 

 イズヴァルトも流石にめげそうになったが、傷を負いながらも懸命について来てくれるリュックたちに勇気づけられ、そしてたどり着いた。死神の居場所に。

 

(……何故でござる?)

 

 敵軍ははなだらかな丘で備えていたのに、なぜいきなり景色が変わったのだ?

 

 目の前にはきれいなせせらぎがあり、その奥に滝があった。向こうを見渡せば険しい山々が連なり、薄黄色になった樹木があちこちに見える。

 

 神界の戦場は、木々はどれも青々として枯れてなどいなかった。

 

 空も違う。赤い。夕焼けなのかと思ったが、陽の星はどこにも無かった。

 

「イズヴァルトさん、ここはどこなんでしょうか?」

 

 リュックが尋ねるが見当がつかなかった。まさか、転移魔法で関係の無いところに飛ばされたのではなかろうか。

 

「そうではない。ここは紛れもなく、死神がおる場所じゃ」

 

 滝の方から聞こえて来た声である。イズヴァルト達は近づいてみた。

 

 そこには、岩の上で胡坐を組み、滝に打たれて瞑想する年老いた老人がいた。

 

 骨が浮き出ているほど痩せこけており、頭は髪の毛が1本も生えていなかった。

 

 修練中の高僧、といった様子の老人が目を開き、立ち上がった。マハーヴァラの様に大きな陰茎と陰嚢をぶら下げていたが、こちらはぶらんとしていて力がみなぎっている様子は無かった。

 

「貴殿は!」

「はは。そのまさかのまさかじゃ。儂こそが、そなたらが死神と呼んでいるものじゃぞ」

「さようでござるか……覚悟ッ!!」

 

 イズヴァルトが飛び出す。握る『氷雪の栄光』に刻まれた文字が激しく輝く。

 

 小川や滝は一瞬で凍り付き、彼が持っている指揮棒は透明の刃を形作っていた。最高硬度の炭素の結晶の剣だ。

 

 身体から全力の力を絞り出すイズヴァルトの動きはリュックたちは目で追えない。対して、アエーシュマと名乗る老人の動きも。

 

 その動きが止まった。イズヴァルトと老人が凍った滝つぼの上であい向かった時にだ。

 

 彼の剣は、その老人の左手の指2本でつままれたまま止まっていた。

 

「……!」

 

 イズヴァルトは力を込める。しかし全く動かせない。

 

「ほう……なかなかに気概がある若者ではあるな。身のこなしも素晴らしい。あの星の、この時代で最高の戦士と言われておる。じゃが……」

 

 老人の指先が剣を折った。凍った滝と小川が、いきなりもとの流れを取り戻した。

 

 イズヴァルトは姿勢を直しながら次の一撃を見舞おうとするが、老人は身を防がなかった。

 

 触れた途端に氷雪の栄光がつけていた刃が砕け散った。イズヴァルトは驚愕しつつも、素早くもう一打を繰り出した。

 

 彼の身体と技量は、神々との寝ずの戦いで凄まじく研ぎ澄まされ、底力も大幅にあがっている。

 

 マイヤがコンゴウアミダラデンでやっているところを見せてくれた『ドラクエ』で言えば、戦う前はレベル42だった今は70近くにまであがっている程だ。

 

 その身体が渾身の一撃を相手に見舞う。炭素の結晶の刃よりも硬く頑丈な氷雪の栄光でだ。

 

 大抵の者はこれで全身の骨が砕け、亜人でもただでは済まされない一撃。

 

 それをこの細く全身の肉がこけた老人にぶちかませば、大ごとになるはずだった。

 

 でも、そうならなかった。

 

「……これは砕けぬな。そもそもが異界の、それも創造神が持つものと聞いておったが、丈夫過ぎる。儂には無理なようじゃ」

 

 遠い昔に滅んだ世界の、とアエーシュマが付け足す。

 

 老人は右の拳をゆっくりとあげ、ゆっくりとイズヴァルトの胸の中心にむけて突き込んだ。

 

 氷雪の栄光以外、彼の装備と身体は文字通り爆散し、あたりに衝撃波が起こった。

 

 滝は逆流し、リュックたちは吹き飛ばされ、山々は崩れ森では一斉に黄色い粉のようなものが舞った。

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