聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
マイヤと会ってからのカヅノは、なぜか『悪党』のにおいが減じてしまっているようにヘラには思えた。
(そりゃあ仕方も無いか。マイヤちゃんはかわいいんだもの。)
可愛い。これはちんぽを押し付けたくなる類のではなく、よちよちとあやして甘やかしたい、という意味合いだ。
カヅノはアスカウの村でマイヤと会ったらしい。愛人としているゼーゼマンの姉妹の家でばったり会ったそうだ。
「はァ。実物があんなとんでもなく愛くるしいなんて……」
カヅノは『吸精だるま女』にすっかり恋をしていた。彼女の幼い頃をおさめた映像水晶こそこれまで見たことがあったのだが、実物は遥かに魅力に満ちていた。
あのかわいい生き物が、ヘンタイな大魔女・トーリの妹だなんて思えないとしきりにつぶやくようになっていた。
カヅノの腰と魂が抜け、全く暗躍しなくなって数カ月が経った。
ホーデンエーネン王国暦でいうと361年1月。イズヴァルトが遂にキンキ大陸に上陸し、あっという間にホーデンエーネン軍の本拠・ナーガハーマの北、要塞都市ヨコヤマヴァールを攻め落とした。
途中の砦や陣地には、クボーニコフが派遣したオーガの戦士もいたのに、ゴーレムのような新兵器もあったのに、彼は易々と打ち破った。
共に戦う者達が猛者ばかり、というのもあっただろうが、ホーデンエーネンは一気に士気を阻喪した。かれを一番恐れていたのもかの国だからだ。どれだけ強いかがわかっている。
その知らせがエチウ諸島に届くと、教帝はパラッツォ軍を率いて双方の和議に向かうとコーザに言い、ヘラはそれに同行した。
そして使節となり、司祭騎士団長と軍師と再会。2人は久しぶりに目の前に現れたヘラを見て驚いた。たった3年で見違えるほど色っぽくなったからだ。
しかしヘラはこどもだった。マイヤの姿を見るなり昔の様に抱き着いた。そして泣きじゃくった。
そもそもヘラは、マイヤに一度救われたようなものだ。いや、彼女は半ば、イズヴァルトとマイヤの子のようなものだ。
彼女は小さい時に生死をさまよう重病にかかった。その時、イーガのアドルフがパラッツォ教に贈った、マイヤの初めての腹の子を原材料にした秘薬『親思いのひな鳥の献身』で一命をとりとめた。
その原料となった胎児こそが、イズヴァルトとの間にできたものだった。
イズヴァルトとマイヤに懐き、かくいう彼女も、2人に自分の子供の様に可愛がられたのはそのせいだったかもしれない。
けれども2人と離れ離れになる事件が起きた。
パラッツォ軍の本陣にやって来たイズヴァルトとオルランドゥの間で戦いが起こったのだ。
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自分は夫に騙された。この男は最初から、実の父親と語り合うつもりは無かったのだ。
それを知ったのは教主がイズヴァルトとの一騎打ちに敗れた後、ツルーガニスクからカナザワース島へ向かう船の中で、カヅノ=セイジがこっそり語ってくれた話でだった。
「教帝サマは叔母さん欲しさにこの軍を起こしたようだ」
「マイヤちゃんを? そりゃまあわかるっちゃわかるけど」
ヘラは教帝から、マイヤとの楽しい『恋人ごっこ』を聞いたことがある。
むずかる自分のちんちんに魔法の様なおしゃぶりを施してくれて、でっかいお尻にちょこんとあって、それでいてとても欲深い尻穴を楽しませてくれた。
尻穴はまさしく、『神器』と言える代物。
挿れるとねっとりと絡みついて来て、とても柔らかな尻肉とともに男の本能を徹底的に蕩かせてしまう。
叔母にとっても尻穴は一番の泣き所でもあり、突くたびに「うんちがでちゃいそうにきもちいいー!」と喜んだ。肛門と直腸がサキュバスのクリトリスよりも敏感なのだ。
身体からは赤ちゃんみたいな甘いにおいがする。おっぱいはとても柔らかくて大きく、母乳がよく出る。
ヘラもマイヤにおっぱいをねだって「んちゅんちゅ、おかあさんのおっぱい、おいちい」とベッドで甘えた。ただ、母親におっぱいをねだるというよりかは赤ん坊や幼な子にねだる感じだった。
ひどいことは言わないし、言動は自分よりもガキっぽく見える。あんな可愛い子なら夢中になるだろう。
但し、マイヤはイズヴァルトの嫁であるのだが。
とはいえ夫がいる前で他の男とやっていたが。女とも。
「司祭騎士団長さんと仲良く、おちんちんでマイヤちゃんをわけあいっこできたのに、そんなこと考えていたの?」
「そうらしいな。だからこの遠征に躍起になっていたみたいだ」
カヅノはマイヤの姿を思い出し、はああ、とため息をつく。彼の頭の中では、可愛い乳児服を着たマイヤを乳母車に乗せ、素敵な公園でお散歩する妄想が繰り広げられていた。
「ただ奪い取るんじゃないぞ。イズヴァルトを亡き者にしてから手にしようと思ったようだ」
「……なにそれ?」
馬鹿じゃないのかとヘラは思った。あの天下無敵の司祭騎士団長さんをやっつけようなんて、あり得ない。
しかも実の父親だ。幼い頃は父の実家によく通い、祖父母にとても可愛がられていたそうだ。
そんな境遇だったのに、そんなよこしまなことを考えていたのか。ヘラは彼女なりにだが、オルランドゥに愛着を持っていたし、夫と認識するほどでは無かったが、男としての魅力も感じていた。
(ふうん。そんなカスをあたしの夫に……ばかにしやがって。)
その感情は面にはっきりと出ていた。それを見たカヅノは顔を伏せ、悪い笑みを浮かべた。コンゴウアミダラデンで彼を口説こうとした、常に得意げな顔をしていた魔界のハーフリングの姫を思い出す。
(あのコショーショーというガキが『おもちゃ』に選んだのもよくわかる。そこは慧眼というやつだろう。ふふ、こいつは必ず何かやらかす。一波乱どころか3つも4つもだ。)
無表情を取り繕って顔をあげた。ヘラは眉間に皺を寄せ、憤激を放つ一歩手前だった。
「まあ、今のところは我慢しろ。お前はいずれ教主となる。そうなれば、パラッツォ教国のあるじの首を挿げ替えることだってできるさ」
「……今すぐ殺すのは、だめ?」
「できるだろうが、教主とイズヴァルトが敵にまわる。とてもじゃないが、俺ではお前を救えんぞ?」
ヘラは出て行った。しばらくして司祭騎士が来て、教帝正妃様が空を飛んで南に向かわれた、と伝えに来た。
ヘラはイズヴァルト達の元に向かうつもりだった。愚かなオルランドゥを捨て、そんな奴に無理やりつがわせた教団から離れて、イズヴァルトとマイヤのもとにいたかった。
そしてナーガハーマ上空に入るところで、彼女の視界は突如変わった。10万の民が住む巨大な都ではなく、荒涼とした平地にたった1つ大きく聳え立つ山と、その中腹より上に築かれた家屋や塔や館をだ。
(コンゴウアミダラデン! どうして!)
ふふふ、と笑う声が聞こえたのと同時に、彼女は薄暗い部屋の中にいて床の上に立っていた。
「あたしの飛行魔法を止めたというの? どこの誰が? 魔竜のおばちゃん?」
ちがうよ、という声。さっきと同じものだ。それはカツカツカツ、と足音を立てて現れた。
見慣れぬ底が高いサンダルを履き、細い身体に紫色の半袖のワンピースに身を包んだ少女だ。
目が魔族の、それも高位のそれのものだった。白目と黒目が逆転していた。
「はじめまして。あなたがゴールのお姫さま? とってもかわいい子なのね?」
「そういうアナタこそ、誰?」
「ふふふ。ワタシはね……」
少女の左右の瞳の真ん中に、3つ足の鳥の紋様が浮かび上がった。
「コショーショーっていうの。今はこのコンゴウアミダラデンの、期間限定のあるじをしているの」