聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
コージュ=ストーンマウントについてヘラは、このぐらいまでなら知っている。
「世界と皆を救い、教えて導きたい」
そう常々語ったという教祖は、前世の記憶を取り戻したヘラは、こう思う事ができた。
「まるで、アル・マスィーフ、イーサーのようだ」
自分の父と兄を殺したあの連中が、『神の子』として崇めた1人の預言者だ。
そしてパラッツォ教の教義にも考えを巡らせる。
前世のイーサーの信徒が守る教えの影響があるのではないか。
(教典の第十二節第三章。右の頬をぶたれたら左の頬を差し出す。相手の怒りと悲しみを分かち合うこそ神が我らに求める愛、と書いていた。)
その追記に、己の妻が隣人に寝取られたら妻の尻穴を差し出し、妻の尻穴も寝取られたら自分の尻穴も差し出せ、ともコーザは書いている。
「さすればその隣人も己の尻穴を、そして、かれの妻も汝に差し出すであろう。避妊と性病対策が万全ならば、性愛は人を結びつける最も良き会話である。」
そのほかにもいくつかある。
「貧しく清きものは死後、天界で神に慈しまれながらの日々を送る。対して富み残酷で貪欲な者に神は、その辺のクサでも食ってろ、と冷たく遇する。」
みたいな事をイーサーは語っていたが、コージュは教典にこう記していた。
「貧しく清きものは来世で、『ウハウハでいぇーい! ピースピース!!』、みたいな人生を送ることでしょう。富み残酷で貪欲な者は、踏んだり蹴ったりの来世を延々と巡るハメになります。強き人は弱い人を思いやってくださいね。そうすれば、割と平々凡々な来世が待っております。いいことです。」
善人には『来世ガチャ』で、SSRクラスのよい世界の住人となり、悪人はカスな修羅界に送り飛ばされる。普通だった人は至ってフツーな来世の世界に。
天国、煉獄、地獄、の考え方に似通っていた。この場合は煉獄が『至ってフツー』の世界にあたる。煉獄のどこが『フツー』なのかは議論すべきだが。
コージュは教団を作る前、世界に名が知られたオーガ族の天才魔道士だった。『驚異の子』と称される程だ。
それから数多くの悪党や邪悪な国家を、バッタバッタとやっつける正義の味方稼業もやっていたという。その伝承歌も残っており、『オウガバトルサーガ』と呼ばれている。
エチウの数々の国々の古き記録書では彼の事を、神に愛された魔道士、と褒めたたえていた。
そして、ナントブルグにあったサキュバスの女王の一族に招かれ、彼女達に子を産ませたとも伝わっている。
淫魔の女王やその娘、孫娘ら、十数名の女達を全員アクメ吠えさせてきっちり妊娠させて生まれた子は、今のカツランダルク家のご本家に繋がっているらしい。
つまり、マイヤやその姉であるトーリもまた、コージュの血が流れているということだ。
そのコージュの前世の生涯だが、教典の1つである『復活者の大巡礼記』で記されている。
彼は大工の棟梁の息子として生まれた。
父は50代を過ぎで再婚。母は初婚で祝言をあげたときは17歳だったが、式をあげた頃にはだいぶお腹が膨れていたという。責任をとっての結婚だったらしい。
「『処女懐胎』とか後の世の方々に言われておりましたが、母がまだ13の時から父は何かとおちんちんを握らせていたそうです。そういうものなのです。あの当時の市井の人たちは、付き合い出したら早いうちから、やることをやっていたのですよ。」
と、実情を添えていた。それからこういうぼやきも付け加えた。
「きれいな言葉で脚色してごまかそうとするのは、人をだまして優位に立とうとする気があるからです。本当によくありませんね。」
大工の倅として生まれた彼だが、別に家業を継がなくても良かった。父と前妻との子である年上の兄たちが、既に親の跡を継いでいたのである。
そうなると彼は何になるのか。比較的裕福だった父親は、もっと別の、お金と地位をもたらしてくれるような職業に就いてもらおうと考えた。つまりは頭脳労働だ。
父親は彼を、東から来た3人の賢者のもとで学ばせた。彼の社会で尊ばれた神学はもちろんのこと、自然学や数学、それから他の土地の歴史や宗教についてである。
その学問の期間は、おおよそ20年近くにも及んだ。その間にお気に入りの娼婦で後に彼の弟子となる人物や、叡智に富む彼を慕う弟分が生まれたそうだ。
学問だけでない。大工や農家の期間仕事、本の書き写しや異種族の商人の通訳としてお金を稼いでいたそうだ。
はたまた、クンニリングスに飢える娼婦や人妻たちに小遣いをもらって、丹念に舐めてあげたりしたらしい。コージュの前世は、『神の舌』と称されるそれと技能を持っていたそうである。
そして彼はその当時で一番の勢力を誇った宗教の、法学者としての道を選び親元を出て行った。ちょうど30歳になる前だった。
そこから彼はその界隈で、一気にスターダムにのし上がった。
神から常に啓示が降り、様々な「そんなわけないじゃん」と人々に思わせる奇蹟を起こした。
教典に注釈をつけて新しい解釈をもたらし、市井の学者として、古い解釈を固持する法学者たちと熱いトークバトルを公衆の前で繰り広げた。
その当時の神学論争は一種の闘技みたいなものだったから、聴衆は舌鋒鋭い彼に魅了されまくった。
そうしてその教団の若きカリスマとなり、人気者になり、彼のシンパとなった女達からは「抱いてー!」とせがまれて慈愛に富んだクンニリングスと必ず膣イキするテクニックで悦ばせた。ちなみに男ともやっていたらしい。
そんな超絶凄い論家であり、神に愛された預言者であった彼を恐れる者が出て来た。その当時彼が住んでいた地方を植民地としていた『ローマ帝国』である。
当時の総督は彼の名声と、貧相な髭面なのに女達にキャーキャー言われる妙なカリスマに恐れをなした。
「あ、なんかこいつヤバそうっすね。もしかしたら独立戦争の旗頭にされそうだから、ここいらでシメちゃいますか」
彼は犯罪者としてしょっぴかれた。後の世では冤罪を被されてと言われているが、コージュはこう書いている。
「私はやり過ぎてしまったようです。ローマ人のお金持ちのご一家を説き、改宗させてしまいましたので。あと、そこのお嬢さんのおねだりを受け入れたこともあったのでしょう。」
一番の弟子が密告したから捕まった、という話も後の世ではされていたが、これについても真実は違うと書いていた。
その令嬢ともっと前から恋仲だった弟子と、宴の席で論戦を挑まれたのがきっかけだ。
「寝取られ、是か非か?」
その弟子が滅法激しく論じたものだから、他の弟子たちは彼が裏切りを考え出したのではないかと勘違いしたのだ。
どうやって逮捕されたかについてだが、野良犬に人の言葉を理解させ、「お肉が食べたいわん」としゃべらせる奇蹟を起こしたのを見せた時に「妖術師じゃん!」と声を上げた者が兵士を連れて来たことがきっかけだった。
『ローマ帝国』の総督や、それにおもねる者達は千載一遇の機会だと喜んだ。拘留してすぐ、前世のコージュの判決を急いで決めた。
ついに徒刑場に連れていかれ、着ている服を全部脱がされ、両手両足に杭を穿たれて十字架に架けられ、茨の冠をかぶされた。
3日3晩、彼は生死をさまよったという。しかし陰茎は常に勃起してしまった。30センチ以上ある立派なものが荒れ野の丘でそそり立つさまは、とても神々しく見えた。
そして力尽き、死に向かおうとしようとした最中、神は奇蹟を起こした。
彼はみるみる息を吹き返し、杭が勝手に外れてはね飛び、傷口が塞がって蒼白だった身体は血色を取り戻した。
それからしなだれていた陰茎は再び勃起して歓喜の射精を空に放つ。神の子として再生した、復活の時であった。
復活した彼は人々に歓迎された。女シンパたちはこぞって尻と陰裂を彼に向け、「い~れ~て~!」とせがんだ。突き立てたそれで彼女達皆が孕んで彼の子を産んだ。おおよそ40人近くいたという。
宴は7日間に及んだ。しかし彼は一番弟子と妻としたお気に入りの娼婦と共に国を去った。2人は彼の眷属として、不老不死に近い命を与えられた。
その他の弟子たちについては連れて行かなかった。神から預言があって、「そいつら見込みないからダメ」と言われたのだ。
セムの女王の地を抜けてヒンドゥスタンへ。沢山の宗教を学び、その教義を代表する預言者の1人として東へ、東へと向かった。
旅の最中、彼はその土地で信奉される宗教や社会の仕組みを、神の助言を受けながら、こうしたら良いと説いてまわった。
髭面で貧相な体つきの彼だが、その神性さとでかいちんぽとクンニの達人ぶりに惚れた女達がいた。彼女らは妾として彼の旅に同行した。生涯の妻となった女と共に、彼の子を産み続けた。
旅立ってから200年近くが経った。
彼は『カン』と言う名前の国で、『タイヘイドー』と呼ばれる教団のぬしと知り合い、意気投合した。
そのぬしは民の為に立ち上がり、平等な国を作るというのだ。
しかし彼は神の預言を受けてこう諭した。
「貴方はその志を成し遂げられません。その戦いは願いを果たせぬまま終わる事でしょう。しかし、その民を思う教えは後々まで続きます。願いを果たせる者に託すのです。」
『タイヘイドー』の主は受け入れた。聖者、死すべきものなり、とつぶやいて。
その代わり彼は娘の1人を彼の妻にした。その娘は『タイヘイドー』の一派の、『ゴトベイドウ』と呼ばれる集団のあるじの妻となる子を産んだ。
そうして『カン』を去った後、彼は2人の眷属と随行者らとともに南の島々をぐるりと回った後、東の果てに浮かぶ島にたどり着いた。
そこには『ヤマタイ』と呼ばれる国があり、『ヒミコ』という巫女が治めていた。
『ヒミコ』は彼を一目見るなり、神に選ばれた者と見破り、子をねだった。
「我、神託を得たり。汝と子を為せば即ち、神を産むと」
「よろしいでしょう。貴方の土地の神様も、そうしてください、と私におっしゃっいました」
「是非も無し♡♡♡」
彼と『ヒミコ』が交わる日々が始まった。巫女はたいへん美しかったが、30の歳で処女であった。
最初はぎこちない交わりとなったが、彼が蓄えて来た女を輝かせる術により、短い期間で10の歳から様々な男と愉しんだ、『トロイア』のエリスの様に淫蕩さを身につけた。
1カ月の後に『ヒミコ』は孕んだ。それから生まれた娘はイヨと名付けられ、その子孫は『ヤマト』と呼ばれる東の国の王と結びついた。
彼は眷属と妾らが産んだ子供達と、もっと東へ、東へと旅を続けた。
そうして故郷を出発してから600年、彼は故郷にほど近い『アラビア』という砂漠の大地で、1人の若者とと出あった。
熟女好きが昂じて母親ほどの歳の女を妻にしたその若者こそ、彼の旅を引き継ぐ、神に選ばれた預言者だった。
「年上のお姉さん、それも40を過ぎた人はお肉がもっちりして、とても素晴らしいと僕は思います」
「そうとも言えるでしょう。しかし、女の人は赤ちゃんからお年寄りまで、とても素晴らしいものですよ」
「お年寄りは、理解できかねます」
青年は『アラビア』の民に神の言葉を伝え、大きな国を造った。
しかし土地神を攻撃するなど少々やり過ぎることがあったから、彼はきつくたしなめた。次の預言者は反省した。
そしてその預言者もまた人間としての命を終え、半ば精霊として生まれ変わり、神の言葉の伝道者となる旅に出る時に彼はこう助言した。
「行く先々の土地神を、『偉大なるお方』であるとお伝えするのです。神は千変万化、人の子の想像に及ばぬほど、深淵で広い、そう伝えるのです」
「わかりました。つまりは、信じて敬うことこそ大切なのですね。何かときらびやかになりがちな、神の偶像を敬うな。神そのものを跪拝せよ、と?」
「そういうことです」
そして彼は天界へ向かった。この世界での役目を終えたからだ。
新たな世界で、神への崇敬を説く旅をしてまわれという任務を受けてだ。
転生し、異界の子として、人々にその世界の神の言葉を預かる者として生まれ変わったのだ。
それが、コージュ=ストーンマウントというエチウのオーガであり、パラッツォ教の教祖であった。