※この作品はR-18です。

聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ   作:CHACOとJAGUAR

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49 魔王の娘からの伝言

 ヨシタカジッキュウ。魔王ヤータの80番目の子。

 

 その母親は、とある世界から来た『ゆうしゃ』だったそうだ。

 

 聖なる女神の血を引いた戦士で、多くの『ゆうしゃ』と共に悪霊の王と戦ったそうだが、最弱で足手まといだったそうだ、とイナリーレンは語った。

 

「泣き虫ですぐに弱音を吐く根性無しの小娘で、ちょくちょく魔物に捕まっては犯されて苗床にされていたと、聞き及んでおります」

 

 敗北回数は100万回。その都度魔物に輪姦され、彼等の子を産んだ。おおよそ39万匹もだ。

 

「それだけ産んだら寿命が尽きるのではないか、という顔をしているね?」

「女神の血を引いているんでしょ? 1000年とか2000年とか寿命があったんじゃないの?」

 

 イナリーレンはうなずいた。それからヨシタカジッキュウが口を開いた。

  

「でも、お母さまだけが、その悪霊の王を倒せたんだヒョ」

 

 旅立ってからおおよそ1500年の時を経て、ヨシタカジッキュウの母は悪霊の王を倒した。他の『ゆうしゃ』たちは、旅の途中で死んでいたそうだ。

 

「お母さまは子供を産めば産むほど、あらゆる力が強くなるという異能を持っていたんだヒョ」

「なるほど。じゃあアナタの強靭な繁殖力は、お母さんから受け継いだとういわけね?」

「そうなんだヒョ」

 

 気分が晴れたヨシタカジッキュウは、陰茎を大きくさせながらイナリーレンの身体にまとわり出した。

 

 それよりもどうしてこの2人は、『狭間の世界』にいたのかが気になった。

 

「もしかして、わたしを捕まえに来たの?」

「そうでは無いヒョ。ボクとイナリーレンは可愛いコショーショーに頼まれたんだヒョ」

 

 ヘラを無事に帰還させる手伝いをしてあげて。妹からそう頼まれたという。

 

 『逆天術式』が使われたのがばれて、魔王は捜査網を広げたという。

 

「コショーショーさんはどうして、わたしを助けてくれるの? 魔王様の娘なんでしょ?」

「……前世の同胞を救いたいという、君の志に感動したからだとおっしゃっていたよ。だから姫様は、狭間の世界に詳しいヨシタカジッキュウ殿下に必死に頼み込んだんだよ」

「そういうことだヒョ!」

 

 なんとなく事情が呑み込めた。そう思ったヘラは、いつ頃までここに留まるべきかを尋ねた。

 

「それがいつになるかはわからない。けれども、その時が来たら君に伝えよう」

「それまではゆっくりと、ボクとイナリーレンと一緒に待っててヒョ」

 

 2人は会い向かい絡み始めた。ヘラは長い旅でついた汚れを洗い落とす為、ヨシタカジッキュウが教えてくれた風呂場に向かった。

 

 隠れ家のくせにジャグジー付きの、至極立派な風呂に身を沈めながらヘラは思った。

 

(ヨシタカジッキュウさんとのおまんこ、気持ちいいけどそれだけじゃ飽きちゃうかもな……。)

 

 風呂場の扉からでも聞こえて来る2人の嬌声を聞きながら、彼女は目を閉じて眠りについた。

 

 

□ □ □ □ □

 

 

 その家から出たのは、体感時間でおおよそ4日、といったところだった。

 

 背丈と体型が似通っているイナリーレンから、彼女が着ていた白いドレスと靴下をもらい受け、それをまとって降り立った元の世界は、どこも紅葉と枯草ばかりだった。

 

 けれども内陸部ではない。ヘラ達がいたのは、海に面した丘だった。海の向こうにはいくつもの島が浮かんでいた。

 

「季節は秋頃みたいね。ここはどこかしら?」

「ゲースティアの南部だったかと思われます。あそこにある大きな島は、この世界の者達には有名な場所だと聞き及んでおりますが」

 

 イナリーレンが指さす島を見ると、どことなく見覚えがあるとヘラはつぶやいた。島はほとんど山がちで、周囲のほとんどが、急峻な崖で囲まれていた。

 

「行ったことがあるよ。イッツク=シー島、だったかな」

「確か、ゲースティアの将軍が、寡兵による奇襲でもって、敵国の大軍を打ち破ったとか?」

「そんなことよりも、あそこにはおいしい食べ物があるんだヒョ?」

 

 問われると、ゲースティアの海軍基地しか無い島だとヘラは答えた。イッツク=シー島はゲースティア海域の重要拠点だ。観光には不向きだ。

 

「ふうん。寂しいヒョ。別の世界にはよく似た名前の島があるんだけど、そこでは美味しい牡蠣や饅頭が売ってあるんだヒョ」

「牡蠣だったら、ゲースティアよりもスーエイニアのほうがおいしいって司祭騎士団長さんは言ってたよ。帰る前に寄っていこうか?」

 

 誘われたイナリーレンは、キョロキョロと辺りを見回した。

 

「私と殿下はすぐに帰るよ。一刻も早く、このことをコショーショー様に報告しないとね」

 

 そう告げるとイナリーレンはカバンから、螺鈿が散りばめられた小箱を取り出してヘラに渡した。

 

「これは?」

「コショーショー様からの伝言が入っている。中身は知らないよ。君以外開けてはいけないと姫様が命じていたからね」

 

 それだけを伝えると、イナリーレン達は去っていった。ヘラは渡された小箱を開けた。その中には金色の小さなリングと紙切れが入っていた。紙切れに手を触れると頭の中で、コショーショーの声が聞こえだした。

 

「ヘラ。これはワタシからのプレゼントよ。その指輪は魔力探知にかからない為の魔道具よ。それを渡されたと言う事がどういうことか、察しのいいアナタにはわかるよね?」

 

 すると、頭の中にゲームの中で見たことがある選択肢が出て来た。「はい」と「いいえ」だ。矢印型のカーソルが横に浮かんでいたが、念じれば動かせるようだ。

 

(こんなことができるのね。魔族っていろいろと面白いことをするもんだなあ。)

 

 いいえを選択することにした。

 

「期待はずれだわ。まあいいか。アナタは目を付けられているの。ワタシの叔母様にね。無断渡航と前世の世界での乱暴は、この世界の叔母様と仲が良い人達全員にバレているわ」

 

 どうやらややこしいことになったようだ。しかしマイヤをさらって殺害したことに関しては、まだ嫌疑がかかっていないようだ。

 

「とりあえず、アナタはどこかに身を潜めて、それから次にやりたいことを探したほうがいい。例えば、パラッツォ教団の教主になるとか、いろいろあるよね。」

 

(そのつもりは無いわ。わたしがしたいことはもう決まっているの。)

 

 抑圧される未来が待っているという、ゴール族を束ねてこの世界から出る。彼等の導き手になるのだと彼女は意気込んでいた。

 

 できれば、イズヴァルトをあっちの世界に行ったマイヤに会わせてあげたかったが。

 

 メッセージはいくつかの助言が流れた後、「健闘を祈るね」という締めの言葉と共に消えた。

 

(健闘か。言われなくてもわたしは頑張るよ。)

 

 まずは今がいつ頃で、世の中はどうなっているのかを調べることにした。コショーショーが言う『味方』については、追々見つけ出せばいい。

 

 

□ □ □ □ □

 

  

 旅の先々の酒場の酌婦や飯屋の女将、あるいは、同衾した男から様々なことを聞いた。

 

 戻ったのはどうやら、30年近くの未来のようだ。

 

 今は、司祭騎士団長の母国の暦で言うところの、王国暦392年の10月21日だ。戸籍上の年齢だったら自分は50歳近くになっているな、とヘラは思った。

 

 世界情勢もがらりと変わっていた。

 

 パラッツォ教団には教主コーザがいなくなり、教帝オルランドゥとその取り巻きが実権を握っているそうだ。

 

 カントニアでは、愚劣な帝が余計な挑発をし続けるツックバー神聖帝国とヒッターチ帝国との全面戦争が勃発している。

 

 ムーツではクボーニコフが力を蓄え、エチウ諸島への侵攻を再開していた。パラッツォ教国はオーミゲニア連邦と同盟を結んだらしい。

 

 それと、カヅノ=セイジに聞いた話通り、イナーヴァニアは内戦の真っただ中だ。国内は恐ろしく荒廃しているようだ。

 

 しかし、トヨイロ王の敵はナンジョラス家では無い様だ。パラッツォ教国の属国に甘んじる境遇を嫌う、分家の分家のアカイリス家が首謀者らしい。

 

 カヅノから聞いていた話とはちょっと違う。ぼけてきちゃったんじゃないかなとヘラは思った。

 

 ホーデンエーネン王国ではカヅノとヴィクトリアが教えてくれた通り、『聖王』と人々に呼ばれるジョーケイン王が、先代のジューンショーンの補佐のもとで穏やかに統治しているようだ。

 

 『二代目おしゃぶり姫』と呼ばれている異父妹のトリーネを王妃とし、英邁なアーノンレンシ姫ほか、多くの子に恵まれ、王家は安泰なのだそうだ。

 

 そのトリーネ王妃について、彼女は人々からいろいろと聞かされた。

 

 ゲースティア北部の宿場を訪れた時、酒場兼宿屋で知り合った男が教えてくれた。ノミがぴょんぴょんと飛んでいるベッドの上で脚を広げた彼女にのしかかり、彼女の股に皮かぶり気味の男根を押し込みながらだ。

 

「それでよう、俺も仕事で『二代目おしゃぶり姫』様を間近に見てたんだわ」

 

 今より10年ほど前のことらしい。近親相姦の罪でしばらく国外に退避していた2人にゲースティア政府がつけた警護役だったそうである。

 

 淫売買い馴れした腰遣いでヘラをよがらせながら、男はトリーネ王妃の容貌がどんなものかと語った。

 

「嬢ちゃんみたいにおっぱいが平板じゃなくて、もりっもりだったさ。おケツもでっかくて張りがあってな! しかもお肌からたまんねえくらいいいにおいがプンプンとしてな、傍に来られると嬢ちゃんの中にいるように、俺の男がいきり立っちゃうわけよ!」

 

 滞在中、骨の髄までしゃぶりつくされるぐらいに楽しませてもらったそうだ。いや、彼の同僚全員が、ちんぽをこき使われた。兄の公認で浮気をしまくっていたそうだ。

 

「それと『おしゃぶり』がすっげえうまくてよう……チンカスまで丁寧に舐め取ってくれるのよ。ありゃあサキュバスみたいだった。ああそう、王妃様の瞳は紅色だったぜ。ありゃあ先祖返りをやっていたんじゃねえかなあ」

 

 ヘラもまた、サキュバスに近い半魔族と化している。しかし覆いかぶさっている男が見た、彼女の瞳の色は青色だった。ヘラは自分が何者か悟られないよう、用心して目の色を変えていたのだ。

 

 それから、国王夫妻の長女のアーノンレンシについても、知り合った人々から聞いた。イズヴァルトの養女となったそうだ。

 

 8年ほど前にクノーヘ公国の大公の側室となったが放っておかれているらしく、世界中を旅する養父に付き添って海外を渡り歩いているという。

 

 そのアーノンレンシもまた、どうやらマイヤと同じく転生人らしいという。前世の世界にあった兵器を模した魔法兵器を作り出し、その力で5年前に起こったホーデンエーネンの内乱を鎮めたそうである。

 

 その姫もまた、紅い瞳の半魔の者だと耳にした。事実、彼女は多くの魔法を使いこなせた。魔界のサキュバスがベースだと思しき様子だったが、エルフの魔法を使いこなせるという。

 

(ジョーケイン王にアーノンレンシ姫か。確か、わたしを苦しめる強敵になるってカヅノは言っていたけど……。)

 

 その人物が今、どこにいるのだろうかとヘラは思った。しかしまずはイナーヴァニアに行ってトヨイロ王に会おう。それからカヅノを探し出して今後の計画を建てよう。

 

 イズヴァルト達と争わずに、ゴール達を導いて前世の世界に向かう方法を探さなければ、と思った。その為にもできるだけ多くの味方と知恵が欲しかった。

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