聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
2008年10月1日。
国慶節のその日の明け方、北京という街は地上から消えた。
その2か月前にはオリンピックが行われ、その華やかさに世界中の注目を浴び、眠りから覚めた獅子だと示したばかりだったのにである。
その正午、鹿角聖史はかつて紫禁城だった瓦礫の前に立っていた。千里眼の術式でこの一帯を見回す。瓦礫と煙ばかりだった。
(凌げた奴らはどれだけいるんだろうな。くく。)
ほくそ笑んでいたところに、金髪の男が1人がやって来た。ゴールのジル=ドッレだ。アサークラント島出身で、ヘラの親戚にあたる。
未来のヘラに侍って、ちんぽで世話をしていた男のうちの1人でもあった。この世界に来てからは100人近くの『種付け奴隷女』に、自分の子を産ませてもいる。
「どのくらい生き残っている?」
「ざっと3割ってところかと。全員殺し切るには、まだ時間が欲しい」
「このぐらいでいい。共産党の高官を皆殺しにすれば、目的も達成したのも同じだ。それよりもだ……」
鹿角はやや気分が悪そうな顔でジルを見た。この男は引きちぎれた下半身を抱え、臀部を齧っていたからだ。大人の下半身では無い。子供の、しかも女の子のだ。5歳になるかならないかの年頃だっただろう。
「それ、うまいか……?」
「オーガにはオススメできんよ。うまい。そして、可愛かった」
ゴールの男は死体の鼠径を鹿角に見せた。容赦なく乱暴された跡があった。陰裂は切れて血を流し、精液で汚されていた。
「まんこは食ってないからまだ使えるぞ。お前もどうだ、鹿角?」
「死体での穴兄弟になるのは御免被るぞ? せめて生きているのを連れてこい」
「そいつは仲間がもうすぐ連れてくる。安心しろ鹿角」
ジルが笑って女児の尻をかじり食った。しばらくして他のゴールの男たちが奇妙な集団を連れて来た。大勢の人間の子供とツノや翼を生やした若い女、それから、ワニや虎の着ぐるみに衣服を纏った連中だった。
「そいつらが北京にいた魔族全員か?」
ゴールの一隊を率いていたエティエンヌ=ビニョルがやって来た。三つ編みにしたあごひげをしきりに撫でながら、「ほんの一部だ!」と鹿角に返した。
「北京にはざっと10000人近くの野良魔族がいるそうだ」
「おお、そいつはまずいな!」
「安心しろ。多くはこの世界の人間との間の子らしい。お前やズルイル達の敵にもなれん雑魚ばかりだろうよ!」
連れて来られた子どもたちの殆どは、サキュバスの子供だという。その全員が女児。魔族の才にまだ目覚めていない。
その子供らがサキュバス達にしがみついて泣いている。ほんの少しだけ同情しそうになった鹿角は涙ぐんだが、己の野望のために情を投げ捨てた。
(ヘラにペンギン達を殺させた張本人じゃないか、俺は。)
「淫魔どもが産んだガキどもは、まだいるか?」
「こいつらに聞いたら、郊外に逃げたそうだ。転移術式もままならないのが多いみたいだ」
「フン、間の子のそのまた間の子ばかりというわけか。全員を捕らえて本部に連れて行こう。魔族の子は多ければ多いほどいい」
そいつらを飼ってこき使い、王国建設の為に役立ってもらおう。鹿角は淫魔の力の無い子どもたちの使い途を知っていた。彼女たちの子宮と肉がそれだった。
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中国を支配する為、鹿角は天津に拠点を置いた。
名前は『救世の教会』。鹿角達が立ち上げて密かに世界各地に広げている宗教団体だ。
エレクトラはそこに住まわされた。中国大陸で進める謀略のアイデアを求められた。ピピンは彼女の補佐となり、主に情報収集や工作活動に従事することとなった。
中央政府を吹き飛ばされた中国は、各地で暴動が起きていた。その日随伴のサキュバスの転移魔法でやって来た深圳の街は、繁華街やオフィス街で暴動が起こっていた。
それを淫魔達の認識阻害の魔法でくぐり抜けながら安全にまわる。しかし彼女らにとっては不本意だろうとピピンは思った。血気に満ちた男の精は、凄い魔力を含んでいるのにだ。
「ここのところ避けてばかりだね。遊ばないの?」
ピピンが尋ねると淫魔達は嫌な顔をした。
「平野部の中国人はね、精液の質がとても悪いの」
ひどい環境汚染が理由だ。世界の工場となりつつあった中国では、北京のようなごく一部の街以外だと淫魔は暮らし辛い。なかなか魔力を得られないからだ。
精子が少ない精液だと、含まれる魔力が乏しいという。『文化大革命』以前なら凄い魔力を中国人の男から得られたそうだ。
「改革開放の頃あたりから、中国の平野部から私たちの仲間は去ったわ。雲南や満州、あるいは、ベトナムやタイやラオスに逃げていったの」
「そうなんだね。しかしこれだけの人口があれば……」
「おまんこばかりやっているわけにもいかないわ。魔力を維持するために、24時間挿れっぱなしにならなくちゃいけないぐらいだもの。この土地に住んでいたら……」
彼女たちが文句を言うのも、暴徒達の体格でなんとなくわかる。どうにも体つきがよろしくない。皆、顔色も悪かった。
暴徒達は警察や、共産党のオフィスも襲撃していた。人民解放軍との衝突が起き、各所で発砲音が鳴り響きだした。
重く暑い空気にさらされてピピンは汗をかきつつも、目的の場所にたどり着いた。工場地帯にある、深圳にいる『密航組』の魔族が集う酒場だ。
そこに入ると魔族の男が1人、待っていた。人間型の魔族だ。容姿端麗ではあったが肌の色は青で、髪の毛は銀色だった。
男は何も言わず履いていたハーフパンツを脱いだ。下着を付けていないからペニスがすぐに出た。既に勃起していて、20センチ以上ある立派なものだ。
男が椅子に座るとサキュバスの1人がそれにまたがった。短いタイトなスカートを履いていた彼女だが、男と同じ様に下着を履いていない。ずらして丸出しになったヴァギナが大きな亀頭に喰らいついた。
性交が始まる。しかしただの肉交では無かった。彼女は交わりながら相手の脳に、鹿角からの知らせを直接送り込むのだ。同時に、男から魔力を供給してもらう。
「……そうか」
男は一瞬で理解した。仲間と共に手を貸せと鹿角は言ってきていた。ピピンが淫魔達とまわった、重慶や成都、上海などの『密航組』たちも、既に手を貸すことを約束しているようだ。
いや、鹿角達に屈したと言って良いだろう。淫魔の膣から伝わる情報の中に、北京を破壊した張本人と、彼やその淫魔が見てきたものの記憶も含まれていた。
「靡かなければ殺す、と言いたいのだな、お前たちのボスは?」
淫魔は悦楽に集中して応えなかった。他の女達も次の相手をしたいと欲情で頭がいっぱいになっている。
その中で1人、ピピンだけは男の質問に対して答えていた。
「大事な戦力となる人達を殺そうなんて、鹿角はそこまで思っていませんよ」
「でも、この世界の人間を虫けらのように殺し続けているのだろう?」
「それは……」
ピピンは黙ってしまった。せめてもの救いだが、鹿角はモンゴルには手を伸ばそうとしないことである。内モンゴル自治区は標的に入っていたが。
「まあいい。あんたはこの世界の人間ではないようだしな。アフリカ人に見える容貌だが全く違う」
「おっしゃるとおりです。僕は違う世界のニンゲンです。前世はこの世界のモンゴル人でしたが」
「転生人か。まあ、前世のことは別にいい。今のあんたの身が心配だが……」
相手はピピンの瞳をじっと見た。その色に微妙な変化が起きていることを悟った。
「どうやら杞憂に終わるだろう。だいぶ魔族化が進んでいる」
「……どういうことですか?」
「鹿角から魔族の女を抱くように言いつけられているのだろう? 彼女たちと肌を重ね合わせて汗や膣汁をすすり、その中で散々放てば、身体は魔の種族のそれに近づくものだ」
どんな人間にも起こりうるものだと魔族は言った。過去に何人か、人間から魔族に近い存在になった者も見てきたと。
「それとあんたには異界の精霊の加護の力もかすかに感じる。ただの人間というわけではなさそうだな」
彼が指摘したのは、アソマリアの炎の神の加護のことだ。ピピンの母は、神の子孫であるアソマリア王家の姫だった。
チンゼーの土地神の子孫は寿命こそ普通の人間と同じ短くなるが、その死後に炎の精霊の子に生まれ変わる。例えば、
「精力というか、生命力もまるで違う。この世界の英雄や偉人の、それに匹敵する力があるようだ。それと、ここにいる全員、お前の子を宿しているようだが?」
事実だった。ピピンは鹿角につけられた淫魔達と交わり、彼女たちに子を宿させ続けていた。判明しているだけでも12人だ。
「そうですか。僕は……けど、どうして僕のことが心配だったんです?」
「異界の者は……それこそ、精霊や魔の者の加護が無い者あるいは魔族化せぬ者は、違う世界では5年も生きられないのだ」
それは突然やって来るという。病でも事故でも死ぬことはあるのだが、病気一つしない健康そのものの身体にも降りかかるそうだ。
その時になると心臓発作や呼吸不全などで命を落とす。全く予兆の無い死が訪れるそうだ。
「そうだったのですか……」
「とりあえず魔族化をやり遂げろ。あんたも思うことはあるだろうが、いきなり死ぬよりはずっといい」
魔族の男は相手の中に精を吐き終えた。しかし勃起は硬直したままだった。
その女が離れ、他の女がまたがってくるとその屹立をほしいままにさせた。この密談は夜遅くまで続いた。
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その魔族の男は強い人脈を持っていた。日本にある魔族のコミュニティに籍を置く者と密かにつながっていたのだ。しかも、その人物は魔界から派遣された人物だった。
深圳を訪れた1ヶ月後、ピピンは空路で成田に着いた。数名のサキュバスを伴ってだ。
予約した空港近くのホテルで、彼はいつものように彼女たちと励んだ。
1人1人と愛撫、口淫、挿入、歓喜、射精をおこない、何度も何度も繰り返した。ピピン王子の下半身は、日に最低でも20回は女の中で果てないと、性欲が抑えきれなくなっていたのだ。
乳房と尻は大きくとも、自分より一回りも二回りも小さな淫魔の身体にのしかかり、彼は巨きく太い淫棒で彼女たちの膣肉を耕しこね、一晩中胤を押し込み続けた。
その翌朝、彼は鹿角に頼まれた仕事に取り掛かる前に、寄ってみたいところがあると淫魔達に言った。
「待ち合わせ場所の錦糸町に近い、両国の国技館だよ。そこで大相撲の一月場所が行われているんだ」
淫魔達は快くうなずいた。自分たちも観戦したいと申し出た。休むこと無く怒張で楽しませてくれたピピンのわがままを聞いてあげることにしたのだ。
一番安い席だったが、全員分のチケットがとれた。試合は幕内の取組からだが、そこで彼は懐かしさを覚えて涙を流してしまった。
同じ部屋の兄弟子と弟弟子達の名前が、いくつもあったのだ。兄弟子のうち1人は大関にまで昇進しており、死に別れた頃は幕下だった後輩らも、前頭や十両などになっていた。
試合が始まった。土俵の上でよく肥え、鍛え上げられた2つの肉体がぶつかり合うのを見て、淫魔達は興奮していた。あの力士たちが良質の精液を持っているのを感じたからかもしれない。
ピピンもまた、自分の弟弟子の出番が来た時は、彼女たち以上に熱い視線を土俵に向けた。結果は黒星。けれどもがんばった、いい勝負だったと嬉しそうに呟いていた。
そして兄弟子の大関戦となる。その前に大相撲中継のアナウンスが入ってきた。会場にそれぞれの力士の家族が来ているというのだ。
(僕が生きていた頃、こんなことをやっていたのかな……。)
そう思いながら聞いていると、兄弟子の家族の紹介となった。前世の自分が死んでから、まだ1年ぐらいしか経っていない。
兄弟子は早くに結婚した自分とは違い、独身だったはずだと思っていたのだが、彼には妻と子がいるそうだ。
「××部屋の■■関、客席に手を振って微笑んでおられます。昨年亡くなった弟弟子の前頭、〇〇の奥様と再婚され、来月には待望の赤ちゃんが産まれるとのことです!」
死んだ力士こそが、ピピンの前世だった。
(そうか。そうだもんな。)
いつまでも死んだ人間には義理を立てられないということなのだろうか。ピピンは視界が涙で歪み、見えなくなってしまっていた。
いや、兄弟子は僕の為に妻と子を引き受けてくれたんだ、そう思うと遮っていた涙がこぼれ、土俵に立つ兄弟子が鮮やかに見えた。
はっきりと見えた兄弟子の顔には、苦悩や悲哀で刻まれた皺が刻まれていた。自分が死んだ頃は無かったはずだ、と彼は思い出した。
両者の見合いが始まると、ピピン王子は兄弟子に手を振った。がんばれ、と叫んだ。
その声を聞いた兄弟子は、なぜか心が勢い立って、その勝負で鮮やかな白星を飾った。
ピピンの前世の兄弟子だが、その場所の優勝者となった。その1年後には横綱入りも果たした。
その頃からピピンが頻繁に日本に来て、客席から彼を応援したから、そうなったのかもしれない。
『飛翔する食人姫と咆哮する復讐の獄炎』 ー了ー
これにて本外伝はおしまいですが、、、
次回からはマイヤとトーリに関わるちょっとしたエピソードを掲載いたします。
(予定ではそのエピソードを掲載して完了、となります。)