聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
「あの料理、効きすぎでござる……」
イズヴァルトは今も勃起して血が集まっている陰茎を気にしながら、その酒場の扉を開いた。時刻は午後2時だ。昨夜からこの昼まで、温泉に3度浸かるはめになった。
後ろにいたマイヤは足を引きずり、がに股で歩く。うええん。股間がひりひりするよ。昨晩は風呂に入ってからの5時間。今朝は起きて風呂に上ってから3時間もイズヴァルトと楽しんでしまった。
行為の最中、イズヴァルトはおっぱいをべろべろと舐めまくった。乳首もいつもより強く吸われた。なので乳頭がこすれるたびにうずうずしてしまう。そのイズヴァルトもマイヤに乳首を吸われ返された。
胃の中に何発もおさめ、膣や尻穴の奥にも栄養剤をたっぷり注入された。身体の動きはぎこちないが、マイヤの気力は充実していた。
これで心置きなくウォルターにお願いする事が出来る。比べてイズヴァルトは股間こそみなぎっているけど疲れ切っていた。
「……おおよそ1週間分はしたでござるな」
「せいぜい3日ぐらいだよ。いた!」
マイヤがウォルターを酒場のカウンターで見つけた。1人で飲んでいた。昨日もあれだけ飲んで今日も真昼間からやっているらしい。どういう肝臓をしているのだろうと彼女は呆れていた。
「ウォルターどの!」
イズヴァルトが呼びかけるとウォルターが振り返った。あろうことか手招きを。彼は酒場の主人に呼びかけてグラスを持ってこさせると、席に着いたイズヴァルトとマイヤに一杯どうだ、と呼びかけた。
「拙者はまだ15でござる。マイヤは11歳。牛乳かお茶が良いでござるよ?」
「イズヴァルト。酒ぐらいこれまで何度も飲んだじゃない!」
マイヤは火酒は無いかと店主に言った。子供向けのものがある。差し出された瓶を見たウォルターは。ヒッジランドの子供達は冬、これを飲んで寒さを凌ぐと言った。
「ちなみに嬢ちゃんとこのホーデンエーネンはどんな酒が飲まれているんだい?」
「麦酒に葡萄酒。それから蒸留酒です。私は麦酒で酔っぱらっちゃう。イズヴァルトは飲むとすぐに泣くんですよ」
飲むとイズヴァルトは父母が恋しいだとか、ヴィクトリアの事をぼやいて泣いてしまう。恥ずかしがりながら酒をちびりと飲むイズヴァルトを見て、ウォルターは苦笑した。
「悲しい酒ってことだな。お嬢ちゃんは?」
「記憶にないんですけど……やかましく笑うみたいです」
酔うとマイヤはとても上機嫌になり笑ってしまう。ついでに脱ぎ癖と抱き着き癖があり、飲んでいる最中にイズヴァルトに抱き着いて、ちんちんを引っ張り出してしゃぶろうとする事が何度もあったらしいと彼女は答えた。
「聖騎士団の陣中やアスカウのルッソどのらとの飲みでも、いっつもそうでござる。一番お酒を飲ませられない御仁でござるよ?」
対して彼女の姉であるトーリは、いくら飲んでも酔わなかった。むしろ酒をジュースみたいにがばがばと飲んでいたりも。マイヤの姉の肝臓こそが化け物だった。
「その場でげろげろするのも何度あった事か……」
「ははは。そりゃあ苦労するだろうな……知っちゃいるだろうがヴィクトリアは静かに飲んで静かに酔っていた。飲みっぷりもいい女だったよ」
ウォルターは火酒をぐいっとあおるマイヤを見て目を見開きながら、行く道の地図を書いてやる、とイズヴァルトに告げた。
「一番のおすすめの街道と抜けている道を赤い墨でなぞって注意書きも記しとくよ」
「ウォルターどの。一緒には行って貰えぬでござるか?」
「おいおい。この旅はお前たちのだろ? どうして部外者の俺が付き添ってやらにゃならないんだ?」
今は静かにここで飲みたい。そう言ってウォルターはいい飲みっぷりを見せるマイヤに酒を注いでやった。まだ11歳の子供ではあるが、寒冷なヒッジランドの土地に住む者は気にしない。
ただ、イズヴァルトだけがマイヤの飲みっぷりに戦々恐々としていた。ちびりと飲んだがこの酒はかなりきつかった。アルコール度数でいえば20度弱だが、やはり子供には毒である。
「うひ。うひひひ。うひひ!」
突如マイヤが笑い出し、防寒具を脱ぎだした。フード付きのマントを外すと歳に似合わぬ胸の盛り上がりがはっきり見えた。ウォルターが思わず戸惑うと、彼女はぎゅっと抱き着いた。
「あははー! ウォルターさん! 私たちと一緒に旅をしよーよ!」
「おいおい……」
困惑するウォルターにマイヤはおっぱいをぐいぐいと押し付ける。ウォルターは間近にマイヤの顔を見てううむと思った。とても可愛い。
「ウォルターさん。おちっこしたくなっちゃった」
「小便かい? だったらあそこに便所がある」
「ふりゃふりゃする~。つれてって?」
ウォルターはイズヴァルトに目を向けた。少年騎士は火酒をちびりとやりながら、何かを考えていた。酔ったマイヤは実行に移すようだと見ていた。ウォルターへの説得。
(うむ。存分にやっていくとよいでござるよ。)
イズヴァルトはマイヤの意をくんで、ウォルターについて行って貰うように告げた。ウォルターは戸惑いながら、足元をふらつかせるマイヤに手を引っ張られて便所に連れ込まれた。
酒場の便所は男女共用。しきりは無かった。常時温かい水が流れる幅の広い溝に向けて、小便や糞をするという仕組みだった。この土地の温泉の湯量が多いから可能な構造であった。
マイヤはふらつきながらも溝をまたぐと、スカートに手をかけてタイツを降ろした。それからスカートを思い切りめくりあげてしまう。真っ白な腿とお尻をウォルターは見てしまい、思わず目を背けてしまった。
「えへへ。ウォルターしゃん。はじゅかしがらないでよ。おちっこするから手をつかんでて?」
「あ、ああ……」
ウォルターはマイヤがしゃがみ、ちょろちょろとおしっこをする音を聞いてしたたかに勃起してしまった。お尻を振って露を切ると、マイヤは立ち上がりウォルターの手を掴む。
「さわってみる?」
「何をだよ?」
マイヤは微笑みながら自分の胸に彼の手をやった。衣越しだがぽよん、とした彼女の柔らかさをウォルターは甘受した。思わず顔がほころばせると、マイヤは「えへへ~」と笑った。
「ついでだからおまけしてあげる!」
マイヤは上着を縛っていた紐を外し、シャツのボタンを外した。大きくふくよかな生乳が飛び出てしまった。垂れておらずしかも乳首が上付きになっている立派なそれを、ウォルターはまじまじと見ながらつばを飲み込んだ。
「でけえ……」
「旅に出てからまたおっきくなっちゃったんだよね」
11歳の少女だと思うとよろしくない、と嘆いてしまう様な大きさ。イズヴァルトは毎日これを揉んで吸っているのだろうなとウォルターは想像した。
「ほらほら、揉んでみて?」
「……いいのか?」
「減るもんじゃなし。さあさあ」
ウォルターは両の掌で、マイヤが引っ張り出した二房を触診した。ふわふわとしてもちもちとしている。手になじんでいる。とんでもない乳房だ。いつまでも触れ続けたい。
それと肌だ。みずみずしい。乳房からふんわりとした甘い香りが漂って来た。温泉に入ったばかりなのにマイヤの体臭は、しつこい硫黄分のにおいに打ち勝ってしまっていたのだ。
「11歳の女の子のおっぱいを触るのは気が引けるもんだが……なかなかにたまらないな」
「でもイズヴァルトはこれに飽き足らず、私を太らせてお腹もぽよんとさせたいらしいんですよ。どう思います?」
「おっぱいとお腹の両方が楽しめていいじゃないか。それと太ればお尻にも肉が付く。3倍楽しめるな……」
「やだなあ!」
マイヤはまたけらけらと笑い出した。この娘は酔うととにかくやかましく笑う。けれどもそれが男の性欲を減退される事は無かった。ウォルターは視覚と触覚と嗅覚を刺激されっぱなしで、ペニスが硬く張り詰めてしまっていた。
マイヤはそれを目ざとく見つける。ウォルターが自分の乳房に夢中になっている隙に手を伸ばし、股間を撫でてみた。長さはともかく太さは申し分無しだった。
「くすぐってえなあ……」
「ねえ、すっきりさせたい?」
「お前、イズヴァルトというあのボウヤの恋人だろ?」
「私、ある程度の浮気は許されているんだよ?」
それを聞いたウォルターは、胸を高鳴らせて股間に血をますます集めてしまった。もう我慢がきかない。手はマイヤのおっぱいから離れることが出来ず、彼女を払いのけられなかった。
ベルトが外され、ズボンがずらされていく。ウォルターは勃起が解放されたのを感じてため息をつく、マイヤの手は彼の肉軸を甘くしごき始めた。
「ふう。ちんぽを触ると手が温かくなってきだしたな?」
「じっとしてて……」
ペニスから手を離したマイヤはひざを折り、ウォルターの股間に顔を近づけた。陰茎はそそり立っていて赤黒かった。長さは15センチといったところか。しかし太さと亀頭の育ち方がたくましかった。
彼女は小さな口でペニスの尿道の周囲を触れ始めた。ウォルターが感じだすと舌を這わせて更に高ぶらせる。硬直が限界にまでぎちぎちになったと見立てると、唇を亀頭の先につけて頬張り込んだ。
雁を唇の裏でおさえつけると、口をすぼめてじゅぽっ、じゅぽっ、と音を立てながらしゃぶり込む。フェラチオの感触にウォルターは歓喜し始めた。
「おおっ……いいな……」
ウォルターは彼女の頭に右手を乗せ、愛撫にまかされるままにした。自分から動かず、ただただこの少女の口唇と口技に浸り続ける。いつしか尿道に甘いしびれが起こっていた。
「も、もう出そうだ……」
マイヤはペニスの根っこを掴んでしごきながら吸い込んだ。びゅるるる、とウォルターの精液が彼女の口の中に飛び込んだ。亀頭をねぶりながら彼女はそれが放つにおいと風味とを確かめた。
「うふふ。ウォルターさんの『ざあめんみるく』、ワインゼリーみたいな味がするなあ」
「葡萄酒のゼリーか。そんな味がするんだな。おおいい……もっと飲み込んでくれないか?」
もちろんだよ。マイヤはうなずいてしゃぶり、しごく。亀頭から口を離して肉軸をまんべんなくキスを施す。愛しそうにペニスをついばむ彼女に、またも射精したくなった。
ウィルターのそれは連射がきく代物だった。亀頭の裏側をちろちろと舌でくすぐってまたも張り詰めてきたなとマイヤは思う。また頬張り込んでまんべんなく舌で転がした。
「おおう!」
ウォルターのペニスがまたも達した。さっきよりも量は少なかったが、風味は確かな二回目をマイヤは堪能し、飲み込んだ。
「うふふふ!」
鈴口を舌先でなぞり愛くるしい笑みを向けるマイヤ。またも出させようというのか、とウォルターはつぶやいた。この子の口は魔法がかかっている。亀頭を舌でねぶられているうちに丸出しになったおしりから、ぷす、とおならが鳴り始めた。
「あはは。くさいけどごめんね!」
マイヤは尻を落とした。ぶりりゅりゅりゅと音を鳴らしながら大便が溝の中に落とし込まれて行った。尻から漂ってくる濃いにおいを吸い込んだウォルターは、たまらないにおいだと言って喜んだ。
「臭いけどちんぽを起たせて来る不思議なにおいがする。尻を拭く前にもう一発飲んで行けよ?」
□ □ □ □ □
「へへへ。たんまりと出しているな。ちょっとびちびちしているみたいだが……」
雪の上でマイヤがひねったものをのぞき込みながら、ウォルターは口腔によってペニスを愛おしまれる感覚に酔いしれていた。
「精液の飲みすぎじゃないのか。まあ、ほどほどにしておけよ?」
マイヤはむっ、となって亀頭から口を離した。
「お腹が冷えちゃっただけだよ!」
それからまたペニスを舐めたくる。彼女の口の中は温かかった。ウォルターは吸根の術に酔いしれて肉竿の全体に甘いしびれを覚えていた。
彼は今、イズヴァルトとマイヤと共にウラスコーへ向かっている。しばらくの間マイヤのフェラチオを毎日受けたいというのを条件に同行する事となった。それから彼女のおっぱいを楽しむ為だ。
旅は三日目。大街道を外れていよいよウォルターだけが知っている近道に入るところだった。山岳のはざまにある小さな道のその先に、ウラスコーへと続く通り道があった。
ぢゅるっ、ぢゅぽっ、と音を立てて快楽を楽しむと、マイヤの口の中に精液を放ち込んだ。出されたものを彼女は美味しそうに口の中で転がし、ごくりと飲み込んだ。
「えへへ~。飲んべえのウォルターさんの『きんたまミルク』を飲むと、なんだか酔った気になるなあ」
「冗談だろう? この2日俺は酒を一滴たりとも飲んでないぜ?」
ウォルターが言った事は本当だった。マイヤのフェラチオとおっぱいとあけっぴろげな性格に惚れ、彼女が無事にウラスコーに着くまで面倒を見ると言い切った手前、旅に支障をきたす深酒はまず出来なかった。
彼は尻を丸出しにしてしゃがむマイヤをじっくりと眺めた。イズヴァルトいわく抜け目がないようではあるが、どうにも庇護欲をそそってしまう。
マイヤが強く吸い立てる。残り汁を飲み込む為だ。尿道から残らず押し出してやると、雪で彼女の尻を拭ってやった。
「つめたい……凍傷にならないかな?」
「けつをちゃんと拭いたほうがそうならないさ。しかし嬢ちゃんのうんちはいつもぐじゅぐじゅだな? 腹を壊しやすいのか?」
「どうもにゅるにゅるうんちかじゅくじゅくびぢぐそしか出ない体質みたいなんだよ。うう。お尻がしもやけになりそう……」
しかしだなあ、とウォルターは思った。マイヤはよくうんちをする女の子だ。今朝も宿場町を出てすぐに野糞をした。昼を過ぎた今は、2度目の糞をこうしてひねっている。量もいささか多いように思えた。
「嬢ちゃんはしょっちゅううんちをすることで、中の悪い物を残らず吐き出しさせているんだろうか?」
「よくはわからないけど、うんちが出やすいのは確かにそうだね」
マイヤは起ち上ってイズヴァルトの元へと向かった。イズヴァルトは自分達の乗り馬の世話をしながら、これから向かう先にある山に目を向けていた。
「あの山が難所だ。でも抜ければ峡谷沿いのなだらかな道が続く」
「結構人里から離れた様に思えるでござるが、これで良いのでござるな?」
「ああそうだ。ウラスコーはまったくのド田舎だ。大きな村が1つ2つぐらいの小さな盆地で東側の街道はあまり発達していない。とはいえ決してへんぴな場所にあるとは言い切れないよ」
ウォルターは言う。ミョージバーグから行くのは面倒くさいが、イワッミー側と南西の海岸地域からだと意外とすんなり行ける。
北にはイワッミーにまで広がるサートの森林地帯があるし、南西の街道は坂が少なく幅が広い。ウラスコー朝ヒッジランドは西側から発展したという。
「で、前王朝の創業の地のウラスコーは最後の決戦の舞台だったのさ。暗黒卿と姫騎士エリザベスのな」
姫騎士エリザベスとその父である王は、ウラスコーに立て籠った。東側から軍を進めていた暗黒卿は山岳地帯という防壁により阻まれてしまったが、裏手から盆地を攻め落とす作戦も立てていた。
暗黒卿は主力を東側に置きつつ、こっそりと準備を整えていた西側の軍勢に移動して陣頭指揮を取った。ウラスコーの守りは固かったがついには攻め落とされた。
「で、そのあとに暗黒卿は捕らえたエリザベスを見初めて凌辱しながら求婚したのさ。牢屋の中での強姦はいつしか互いの求愛へと変わって行った。まああの時代にありがちな話ではあるんだがな」
「その下りは暗黒卿のサーガにあったでござるな。牢屋の中で愛を交わしたエリザベスは子を宿し、ヒッジランドに封土を得る王子を産んだ……でござる」
ウォルターはうなずいた。その男児こそがヴィクトリアの先祖であった。暗黒卿の王朝が打倒され、ウラスコーに閉じ込められたヴィクトリアの祖先達は近親婚を繰り返した。ある代では実の姉弟が結婚したともいう。
そのせいで子供が段々と産まれなくなり、寿命が縮んだとも。ヴィクトリアの父と母はいとこ同士で早死にしたという。ヴィクトリアを育てたのはただ一人生き残った祖父であった。
「そういうことを思い出すとあいつが俺じゃなく、ボウヤを選んだのがなんとなくわかるんだよな」
「聞いた事があるでござるよ。男女というものは血が遠ければ遠いほど引っ付きやすくなると。まああくまで根拠の無い俗説でござるが……」
ともかくまずは山越え。夕方までには終わらせたい。しかし洞穴があるからもしもの場合はそこで野宿も可能だとウォルターは言った。確か俺やヴィクトリアが小屋みたく施したはずだ。
坂道を登り始める。雪はそれほど積もっていなかった。ヒッジランドのこの辺りは降雪量がそれほど無いのだ。ウラスコーのあたりはそこそこ積もっているだろうとウォルターは語った。
しかしである。馬から降りて滑らないように蛇行して斜面を登り、丁度中ほどまで来たところにイズヴァルト達は100メートルほど上のほうで、人影らしいものを見つけた。1人ではない。10人以上はいた。
「……ちっ。この山にいやがったか!」
「あれらは何者でござる?」
山賊だとウォルターは答えた。しかも冬に通行人を襲うのにえらく長けていると答えた。それではどうしようかとマイヤが呼びかけたところで何かが飛んで来て、イズヴァルトの視線の先で爆ぜた。
「何でござるか!」
「おおかた炸裂弾だろう。あいつらの中にはドワーフやゴブリンに火薬の作り方を学んでいるものもいるからな!」
「どうして知っているの?」
「やつらと何度もやりあったからさ。来るぞ!」
見れば何名かがこちらに向かって走って来る、いや、長い板を足につけて斜面を滑って襲い掛かって来た。ウォルターは腰にあった剣を抜き、まじないの言葉をつぶやき始める。
「ウォルターどのは魔法も使えるのでござるか!」
だまっていろ、という目を向けながらウォルターは唱え続けた。イズヴァルトは『姫竜の牙』をマイヤに渡すと、自分は『覇王の剣』を抜いて念じ、滑りながらやって来る山賊に向けて魔剣に秘められた力を解き放った。
「これはどうでござるか!」
剣先を雪の上に叩きつける。一直線に地走りが立つと、20メートルほど亀裂が起こった。しかし山賊らはジャンプして避けてしまった。
「マイヤ!」
「ま、まあやってみるけど!」
『姫竜の牙』を抜いて念じていたマイヤは空に向けて剣を振りかざした。雪面から山賊たちに向けて強い風が吹き起こる。一瞬だけ彼等はひるんだがそれだけだった。風はそれほど長く吹かなかった。
山賊のうち1人が間近に迫った。左右の手で握りしめていた棒の様なものを投げ捨て、イズヴァルトに飛び込んで来た。
何かあるぞと予感していたイズヴァルトは、投げ捨てられたのは片割れであることに気が付いた。その棒は仕込み刀の様な突剣だった。
「マイヤ、久々に血なまぐさいものを見せてしまうでござるよ!」
そう告げたと同時に大剣が襲撃者の胴を切り離していた。マイヤの顔に山賊の血がかかった。それにひるまなかったのは、壮絶な戦いとなったトンダバヤシの退き口を間近で見たからだった。
馬が悲しそうにいななくのを心を痛めて聞きながら、イズヴァルトに襲い掛かる2人が目的を達せぬまま肉塊と化すのを見届ける。そこでウォルターの詠唱が終わった。
「すごいぞイズヴァルト! 俺はこれからあいつらのところに斬り込む!」
そう告げるとウォルターは大きく跳躍した。いや、空中を飛んでいた。魔法が使える者がいたなどと驚いた山賊らは、飛び込んできたウォルターの剣が舞い、地面に血色の模様を描くのを夢見心地に見ながら次々と倒れて行った。
ウォルターの身のこなしは抜群だった。自分の剣が血糊で切れ味が鈍くなると、敵の武器を奪って得物とする。その戦いぶりを見てイズヴァルトは、まるでヴィクトリアの様だと思った。
「す、素早いでござるな……」
ただ彼は、ぼやっとしているわけではなかった。マイヤと馬たちをかばいながらゆっくりと前に進んでいたのだ。しかし真上の10名はウォルターが全て片づけてしまった。
山賊たちとの会戦は20分も経たずに終わってしまった。全身に返り血を浴びたウォルターを見て、イズヴァルトはとんでもない剣士だと激賞した。それから魔法が使えるとは。
「いや。俺が出来るのは飛翔魔法を10秒だけ使うぐらいだ。ヴィクトリアは身体強化の魔法とかを学んでいたらしいが、俺にはそこまでの才は無かった」
とはいえ剣の技量に関してはほぼ互角に思えた。ヴィクトリアは大剣も扱えたが基本的には『姫竜の牙』の様な細身の剣が得意だと言っていた。ウォルターが持っていたのもサーベルの様な代物だ。
「お2人には相当に優れた剣の師匠がおられたのでござるな……」
「俺もヴィクトリアもゴブリンの剣士達に学んだからな。彼等は素早く斬り伏せるのを重んじている。ゴブリンの剣術は神速だからな。短刀のほうが得意らしいが」
剣を鞘から抜いたり振り回す速度に関しては、亜人の中でゴブリンが一番優れているそうだとウォルターは言った。但しサイゴーク大陸では、の話である。
しかし、とウォルターは倒れた男達を見て首を傾げた。どうにも山賊らしくない体つき。皆がひげを剃っていて戦うのに不向きな、やせているか太っているかの体型ばかりだった。
「剣もそれほど出来る連中では無い様に見えたが……」
まだ息をしている者はいないか。ウォルターが呼びかけイズヴァルトも一緒に確かめて回った。1人だけ意識が残っている者がいた。のっぺりとした顔つきの30ぐらいの男であった。
「この国の山賊にしちゃあ変なところに縄張りを張っていたな。お前らは新しい山賊団かい?」
男は答えた。しかしサイゴークの言葉ではなかった。妙だ、と思ったウォルターにイズヴァルトが聞き取れたところだけ翻訳した。
「ヒッジランドの斥候か、と聞いてきたでござる」
「ウォルターさん。エチウ諸島の言葉だよ。この人達はもしかしたら……」
それを聞いてウォルターは死んでいる1人のズボンをいきなり脱がせて叫んだ。そうだったか。死人のペニスと陰嚢は異様に発達している。寒いのに縮こまっておらず、おおよそ20センチ近くもあった。
それから亀頭がむき出し。雁から4センチほど下のところに割礼痕があった。陰茎の余分を切除する慣習。
知っている限りではチンゼーとシマナミスタンの一部、サイゴーク南部沿岸地方だったはずだが、この者はどう見ても南方の人種にもサイゴーク南部の者にも思えなかった。
「多分パラッツォ教徒だな! おおかたこの国に潜入した連中だろう!」
「拙者とマイヤなら、エチウの言葉が多少わかるでござるよ」
イズヴァルトが男の顔をのぞき込んだ。血の気がすっかり失せていた。足と腕に致命的な傷を受けていたからそう長くはないと思えた。
「貴殿ら、なにゆえこの山に籠られたか?」
「わかっているだろうに……はて。お前の顔はどこかで見たことがあるぞ。もしやと思うがシギサンシュタウフェンのイズヴァルトだろう?」
少年騎士は驚いた。何故エチウ人が自分の名前を言い当てたのか。問いかけるイズヴァルトに男は衝撃的な真実を語り始めた。
さて、ヒッジランドに潜入したこのパラッツォ教徒は、一体何者だったのか?
その続きについてはまた、次回にて。