聖騎士イズヴァルトの伝説【新編】・まとめ 作:CHACOとJAGUAR
対するドワーフも「実に惜しい」と嘆いていた。この若造はなかなかに見どころのある戦士だ。殺すには忍びない。
それよりも股間のあたりから臭う、夏草くさい精液のにおいにこう思った。教団に入れば女どもが群がって来るだろう。特に経典の巫女らは喜んで孕みにかかるに違いないぞ。
「そろそろ、決着をつけようかの?」
トールキンが剣を構えるイズヴァルトに呼びかけた。イズヴァルトはこくりとうなずいて後ろに下がった。
若いのに、戦場での
(となれば姫竜の牙の本領発揮を見せてくれるんかの? となれば、儂はどうかいくぐれば良いんかのう?)
伝説の魔剣の力をこの目で拝めるとは。トールキンはますます嬉しくなってスカートの下に精液を放った。
しかしイズヴァルトの次の手は、彼が想像もつかないものであった。彼の周りに魔族の言葉らしき光の言葉が現れて、取り囲んで姿を消してしまったからだ。
「そっちではないぞ! 儂が見たいのは!」
トールキンを悔しがらせたイズヴァルトとブランカは、転移魔法で最初に到着した地点に再び戻っていた。
「ここを過ぎたでござるか?」
「まだまだでち」
「であれば……『覇王の剣』を用いるのにちょうど良いでござる」
ブランカに背中から降りてもらい、イズヴァルトは覇王の剣を引き抜いた。
両手で握り切っ先で印を切ると、視線の向こうにある天井に切っ先を向ける。重圧の魔法の力が大剣に帯びだした。
「力を放て、覇王の剣!」
刀身が輝き出す。すぐさま力を放つために刀身がみえないぐらいにまで光が満ちた。
「我が前方を圧せよ、覇王の剣、『グラットンの魔剣』よ!」
剣から放たれた波動が坑道を包み、天井に亀裂を生じさせた。瞬く間に落盤が発生して前方の道を塞ぎきった。
「……これでよかろう」
「イズヴァルトちん。あなたはいがいとおそろしいことをかんがえるんでちね?」
ブランカが非難がましい視線を向けた。目玉は無かったが。イズヴァルトはこくりとうなずいて大剣を鞘に仕舞う。
「1日、2日経ったら助ければよろしかろう。ブランカどのであればそれができるでござる」
「なかなかにずるっこでち。ひきょうもの、とひょうしていいかもしれんでち」
けれどもこれは褒め言葉でもある。幼子のようなブランカとて、単純一途な武者では勝てないいくさもあることは存じていた。
「それから、さっきのことはてっかいするでちよ」
ブランカは言った。イズヴァルトが暗黒卿を超えるのは50年ではない。30年以内にできそうだ。
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「……やられましたか」
崩れた岩で埋まってしまった前方を見て、ヘンリックはため息をついた。もう1人の司祭騎士の息がいよいよ荒くなっていた。
治癒魔法を施したが、ヘンリックとヴィルマの技量では命が消えるのを止める事まで出来なかった。
自分は未熟だ。ヘンリックは寝かされた同僚の顔を覗き込む。もはや時が来たのだと瀕死の男はつぶやいた。
「わが友ヘンリック=イプセン。マハーヴァラ様のお導きの時が始まりそうだ……」
「イオアキム。今、ヴィルマが手を貸してくれます。これを嗅ぎなさい」
ヘンリックは手に持っていた小瓶を開けて鼻で吸わせた。痛みを和らげる嗅ぎ薬であるが、同時に淫欲を最大限にまで高ぶらせる催淫の効果があった。
イオアキムの顔は血の気が引いていたが、股布の中のペニスは張り詰めた。ヴィルマがベルトを外し、割礼を受けた長いものを引っ張り出す。
経典の巫女は印を切って祈ると、亀頭を口に入れて唾液を塗った。彼女はスカートをつまんで白い股と尻を顕にさせると、イオアキムの勃起に向けて沈み込ませた。
「さあ、イオアキム。法悦を……」
ヴィルマは腰を振り始める。イオアキムは口元から血をこぼしながら歓喜の息を放った。取り囲んでいた信徒達が葬送の歌を合唱する。
「我等の父よ。死にゆくあなたの子にお声かけください」
「死は終わりならず新たな始まりと。魂のゆくえをお示し召されよ」
「経典を持つ巫女が与えたまう歓喜の音は」
「この者の新たな門出を祝う送り歌となりましょう」
温かい肉の沼の奥で、イオアキムは残るすべてを放って事切れた。最高の快楽を受けながら死んだ仲間の目を、ヘンリックは手を当て閉じてやった。
「ヴィルマ。イオアキムの子を宿せそうですか?」
「わからない。でも今日はいつもより寒く感じているから、うまくいけばそうなるかもしれないわ」
次の日から身体が熱いと感じるようになったら、イオアキムが最後に残した精で孕むかもしれないだろう。薄ぼんやりとした予想だが。
「ではそれを期待いたしましょう。しかしまずはここからどう出るかですね」
ヘンリックは休憩部屋にいるトールキンに目を向けた。彼はつるはしを持って地面に目を向けたままだった。
この真下にさらなる空洞と、秘められた鉱脈が眠っているらしい。トールキンがつるはしをふるい始めた。
落盤をどかして外へ出るという事を、このドワーフは考えていなかった。そんなのはいつでも出来る。今はミスリル鉱脈を探り当てたいのだ。
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6時間つるはしをふるい続け、トールキンは広大な地下空間を掘り当てた。岩壁はどこもかしこも青白く輝いている。ミスリルを多く含んでいたからだ。
「素晴らしいですね! こんなにも大量のミスリルが、この山の中に眠っていたとは!」
「ざっと600年分は採れそうじゃの。あまり欲をかかなければの話じゃが」
しかしとトールキンは注意をうながす。毒を含んだ鉱物もありそうだから注意しろ。一旦は地上に戻るべきだとも。
「どうにもなあ。ここの空気によくねえもんが混じっているみたいじゃ。ドワーフやエルフ、ゴブリンならへっちゃらだが、お前さん達かよわいニンゲンの衆は、長居は良くないかもな」
「そうしましょう。地上へ脱出するのが先決です」
ひとまずこれで目的を達成することが出来た。ミスリルの鉱脈はあった。1人の司祭騎士が犠牲となったが、大きな収穫を得た。
この後はヒッジランドとイナーヴァニアの国境に展開する、パラッツォ教の軍団にこの事を報告するのみだ。これでヘンリックの任務は完了となる。
しかしである。ヘンリックは突然の強敵の事を思い出して頭痛を覚えた。まさかホーデンエーネンの騎士がこんな所に来ていたとは。
「ホーデンエーネンのイズヴァルト。あの男はどんな目的でここを訪れたのでしょうか?」
「おおかた密偵かなにかじゃろう。しかし驚いた。あのボウヤはとんでもない業物を持っておった!」
魔剣の中でも伝説級の逸品、『姫竜の牙』。それから落盤を起こす魔法が使えたということは、背中の立派過ぎる大剣は同格の代物に思えた。
「……そういやここはウラスコーじゃったわい。伝説の姫騎士エリザベスのゆかりの地じゃった」
トールキンはその末裔が伝家の家宝を持ってキンキ大陸に入った事までは知らなかった。
彼はイワッミーでも北部沿岸部の出身。内陸部の込み入った事情はあまり詳しくなかった。とはいえ伝説の魔剣の事は存じている。
「たぶんでかいのは『覇王の剣』じゃな。イーズモーの暗黒卿の愛用の剣じゃよ」
「……手にするものは天下を制すと、サイゴークで謳われる宝ではありませんか!」
そんなものをあの少年が。ヘンリックは戸惑いを隠せなかった。いよいよホーデンエーネンがパラッツォ教に対して本格的に対策を講じてきたに違いない。
「我々の潜伏と目的は、ホーデンエーネンにばれていたということですか?」
「考えすぎじゃなあ。まあともかく、地上へ出て戻るとするかのう」
この山の本格的な奪取は何もかもの準備が整ってからだ、とトールキンは言った。
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イズヴァルトとブランカは戻って来た。浴室ではなく寝室で本を読んで待っていたマイヤは、戻ってきたイズヴァルトに抱きついた。
「イズヴァルト、ブランカちゃん。無事だったんだね!」
「よろこんでいられないでちよ。いそぎむかうでち」
ええとなにが。マイヤが不思議そうに尋ねるとブランカは答えた。ヒッジランドもパラッツォ教に攻め込まれそうだ。
急いだほうがいいかもしれない。ブランカはイズヴァルトとマイヤを促して町長の家に向かった。
「イズヴァルトさんとマイヤさん。それからぷにぷにまものの女の子も。いったいどうしましたけえ?」
玄関から出迎えてくれたのは、一番年下の小間使い。またも胸元が乱れていた。
スカートの下から町長が放ったものと思しき精液のにおいも漂っている。ブランカは「ざっと1かげつめでち!」と意味深なことを叫んで町長に会わせろと言った。
クロームウェル町長は居間にいた。一番下の小間使いとの昼間からのセックスでいささかお疲れ気味だった。
ブランカを見るや、スカートの中のペニスを膨らます。またメスイキしまくりの触手を楽しませてくれるかと期待を抱いたからだ。
「さてさて、そんなにお急ぎでいかがしたけえの?」
手短にブランカが説明した。パラッツォ教がとうとうウラスコーの北側を攻めようとしているでち。まだ推測に過ぎないが、いずれ鉱山資源を求めに制圧にかかるはずだ。
「あのいちみのなかにドワーフちんがおったでち。いろんなおやまのさらにおくふかくをほってやろうというこんたんでちよ!」
「こ、こりゃとんでもないことになったのう! 今すぐ周辺のドワーフの集落と談義を始めて、パラッツォ教とどう契約を結ぶかを考えなきゃならん!」
「そうではないでち! しゅびたいをつけるでちよ! もしかのうならはいこうざんをほりなおして、まだまだたくさんとれるよとミョージバーグのおうさまにしらしめるでち!」
鉱山でミスリルやタングステンが採掘できるのが判明すれば、ヒッジランド王は軍を派遣して保護に務めるだろう。
その為の協力なら自分は力を惜しまない。ブランカが申し出ると町長は、まずはターケハールの警備軍に報告しようと告げた。
イズヴァルトが助太刀を申し出る。しかしブランカは「だめでち」と返した。マイヤのお腹のあたりをちらと見ながら、イズヴァルトにこう告げる。
「もしかのうならホーデンエーネンからいっぱいつよいおさむらいをつれてきてほしいでち。1ねん、いいや2ねんごでいいでちよ」
「なにゆえでござる? 拙者は今すぐにでも力を貸したいでござるよ?」
ブランカはマイヤに抱きついた。それから彼女の下腹のあたりをそっと撫でた。
「ヴィクトリアちんはあなたにながくいきてほしいと、ねがってしんだかもしれないでち。マイヤちんには、じぶんができなかったことをやってほしいとも……」
ブランカは頑なだった。町長も彼女に同調した。仕方が無いとイズヴァルトは諦めると、ブランカはうなずいた。
「ぜんはいそげでち! あたちのまほうでホーデンエーネンまでおくるでち!」
「かたじけない。しかし拙者は……」
イズヴァルトとマイヤは物欲しそうな目を向けた。触手による愛撫をもっと楽しみたい。ブランカは一喝して彼らをしりぞけた。
翌朝。療養場からウラスコーの町に入ったイズヴァルトとマイヤは、町の者達や2人がセックスをした者達に見送られ、ブランカとともにキンキ大陸へと出て行った。
姫竜の牙は元通り、町長の館の地下室に保管された。2人をホーデンエーネンに送った水魔が半日で戻ってくると、町長は彼女と共にターケハールへと向かった。
数ヶ月が経った。ジェニファーとアンを含む、イズヴァルトの精を子宮に吸った女達のお腹が膨らみ、一番年下の小間使いが臨月を迎えようとする頃。
「た、たいへんでち!」
ミョージバーグでの国王との会合から戻って来たブランカと町長が、恐ろしい知らせを皆に告げた。
「ホーデンエーネンの使者からの知らせじゃけえ!」
イズヴァルトが留学先のイーガで病気で死に、1人になり悲しみに暮れたマイヤはとある高貴な人物の庇護を受け、その人物に情を抱いて妾になったと。
「あ、あのイズヴァルトさんが!」
女達は嘆き悲しんだ。マイヤには憎悪を抱いた。愛する人を失った悲しみに暮れるのもつかの間、早々に男を鞍替えをするとは。
「ま、マイヤちゃん。見損なったけえ!」
ジェニファーとアンが怒り、ジョーやポールといった少年達も眉間にしわ寄せて憤った。
ウラスコーの町は怒りと悲しみに満ち、皆がやりきれなさでいっぱいになっていた時、予想もしない訪問者がたった1人、彼等の元に訪れた。
その者こそが、のちにこのウラスコーの民を二分する元凶となるのだが、さて人物とは?
その続きについてはまた、次回にて。