貧乳武闘家娘のNTR闘技場 作:自宅の戦闘員
「ねえ、あれ反則じゃないの!?」
試合後、受付嬢であるセニアにリーファは強めに問う。
石舞台の上で回覧によって喘がされたことを思い出し、顔が熱くなる。
しかし相手は曖昧な表情だ。
「す、すみません。この大会はルール上“1対1の近接での戦闘形式を崩す行為”以外は反則ではありません。また武器の持ち込みも飛び道具以外認められているので、特性オイルで愛撫を行うヌロデ選手を大会側は完全に認めております」
告げられた言葉は冷酷で、同時に納得もする。
30万リムの高額な観覧料でも支払う理由、招待選手という枠。
おそらくリーファ以外にも借金でどうにもならない女性や、性的な意味で強い選手が華燎宴武に呼ばれたのだろう。
特別区に支援する貴族や富裕層を楽しませる淫らな余興として。
「どおりで、出場するだけで借金がチャラになるわけよね……。勝とうが負けようが、いい見世物ってこと?」
「それだけ、リーファ選手にトラニア魔導爵が価値を見出した、ということでしょう」
「嬉しくない評価ありがと」
その評価は武闘家としてではなく、見目麗しい少女が石舞台で淫らな姿を晒すことに金を払うだけの価値があるという判断だ。
「……すみません。私には、どうすることも」
「ううん、こっちこそごめん。サニアさんが悪いわけじゃないのに。また、明日もよろしくね」
少し感情的になり過ぎた。
謝罪して、受付から離れる。
リーファはピンク色の長い髪が美しい、強気で生意気なところがある美少女だ。
ただし成人まで村で過ごしたこともあり、感性は田舎の娘の域を出ない。
武闘家として強い相手と戦ってみたいという欲求はあるが、鍛えた力は魔物から村を守るために使いたい。承認欲求もそれほど強くなく、褒められるのは嬉しいが我先にと周りを押し退けて目立とうとするタイプでもない。
なにより、将来的には誰かと結婚して子供を産んで、村で穏やかに暮らしていきたいと自然に考えていた。
「うぅ、ラトレにどんな顔をして会えばいいのよ……」
そして、その時夫として傍らにいるのは、きっとラトレだ。
結婚を当然と考えるのは、将来の選択肢が多い都市ではなく、村生まれだから。
それでも、いつか結ばれるのは気弱だけど優しく、自分を大切にしてくれるラトレがいいと思っていた。
なのに他の男の愛撫で絶頂を教え込まれた。
悔しさと恥ずかしさと申し訳なさが混じり合った、スッキリとしない気分だった。
「あぁ、もう……」
けれど闘技場を出れば、ラトレはリーファのことを待ってくれていた。
※ ※ ※
僕は闘技場の前でリーファちゃんを待っていた。
運よく日払いの仕事を見つけられた。業務は「手紙の代筆」。
都市とは言え、市民の識字率は決して高くない。
なので、口頭で伝えた内容を手紙にするという仕事があるのだ。
僕は商家の息子だし、抜けがあるとはいえ未来の記憶を持っている。文章作成に関しては秀でていたため、そこそこお金は稼げてる。でも30万リムには届かないので、試合の日は外で待つ以外には何もできない。
「遅いな……」
仕事を終えてから急いできたけど、まだリーファちゃんは出てきていない。
既に日が暮れかけているので、やはり心配になってくる。でも闘技場内には入れないし……なんて考えていると、女の人が近付いて来て僕に声をかけた。
「あの、確か先日、リーファ選手と一緒にいた男の子、ですよね?」
銀色のウェーブヘア。たれ目気味の、優しそうな美女。
それに反して衣装は過激で、カラダに密着したボンデージ。切れ込みが鋭く鼠径部が露わになっている。胸元も大きく開いており、豊かな乳房の作る谷間を惜しげもなく晒していた。
その人を、僕は選手登録の日に見ている。
「み、ミレイネ・ジルク選手……?」
「はい、どうぞミレイネと呼んでください」
にこにこと柔らかい笑顔で返された。
紫のボンデージのドS女王様みたいな恰好なのに、メチャクチャおっとりとしたお姉さんだ。喋り方ものんびりとしている。
というか、圧が。胸部の圧が、ウチの村では見たことないレベルの大きさだ。
都会ってすごい。僕はそう思った。
「いきなり声をかけてしまって申し訳ありません。もしかしたら、リーファ選手を待っているのかと思って」
「あ、そ、そうなんですっ。遅いなって」
「今日は披露戦と本戦の二試合あったので、そのせいだと思います。本戦は……辛勝だったので、もしかしたら休憩しているのかもしれま、せんね?」
ミレイネさんはちょっとまごついたけど、リーファちゃんの勝利を教えてくれた。
それは“敗者は勝者に丸一日以上絶対服従”という罰も発生しなかったということ。安心して僕は息を吐く。
「よかった……勝ったんだ」
「ええ、ただ苦戦の上での逆転勝利です。あまり深く聞かないであげないでくださいね?」
「それって、どういう」
「ほら、敵の罠に見事にハマって劣勢になったことまで話さないといけなくなるでしょう? 勝ったとはいえ、恥ずかしいと思いますから」
ということは、けっこう傍目にもギリギリな勝利だったんだろう。
ミレイネさん、胸の谷間がすごい深いし、鼠径部もろ出しのハイレグなのに気遣い屋さんだ。
「分かりました。ところで、ミレイネさんも華燎宴武の参加選手、なんですよね」
「はい。これでも闘技場のランカーなんですよ」
えっへん、と手を腰に当てて大きな胸を張る。
無邪気なはずの動作が大変危険なポーズになってる。
でも、借金で繋がれているのではなく、普段から闘技場で優秀な結果を出しての参戦。だとしたら、相当な実力者ということになる。
「でも、あの、ひどいルールじゃないですか? それなのに、なんで出場を」
「え? ああ、招待選手は試合の参加を拒否できないようになっているんでしたね」
その言い方は、彼女は違うということだ。
「闘技場のランカーは違うんです。運営の妨げになる行動や、勝者に丸一日従うというルールは変わりません。ですが、事前申請すれば“最初から試合をしない日”を設定できます。招待選手よりは気楽ですね」
華燎宴武は、勝者が敗者に従うという罰ゲームのあるランキング戦。
参加するのはトラニア魔導爵が呼んだ招待選手と、闘技場で好成績を収めるランカー。
このうち招待選手は試合の拒否権がなく、ランカーは個々の裁量で試合をするかどうか選べる。
……つまり、根本として、借金で繋いだ招待選手をいいように扱って娯楽にするイベントなのだ。
たぶん想定としては、可愛い招待選手の女の子を、筋骨隆々の男たちが倒すという構図を作りたいのであって、ミレイネさんみたいな美女ランカー自体が例外なんだろう。
「そうはいっても、ほとんどのランカーは毎試合出ますよ。人生が買えるほどの賞金と、魔導爵宝物が優勝商品ですから」
「やっぱり、ミレイネさんも賞金とかが目当てで?」
「いえ、私は他に目的があります。それが叶えば、残りの試合は全部欠場するつもりです」
キリっとした表情。
よほど強い動機があるのだろうか。
「私、可愛い女の子と遊ぶのが大好きなんです」
「えっ?」
「かわいい女の子を、一日自由にするために、華燎宴武に参加しました。もうリーファ選手との対戦要望を運営側に提出しています。リーファさん、ちょっと強気なのに純朴なところ超かわいいペロペロしたいです。おそろいの服着たいです」
やっべえ。
おっとりお姉さんかと思ったらぜんぜん危険な人だったよ。
……ボンデージ・リーファちゃんを想像してはいません、決して。
「リーファ選手に伝えておいてください。私と戦う前に負けないように、と」
なんかライバルみたいなことを言い出した。
颯爽と去っていったけど、あんまり格好よくなかった。
ミレイネさんがいなくなってからしばらく、リーファちゃんが闘技場から出てきた。
勝利したって言ってたけど、どこか足取りが重い。
「リーファちゃん!」
「ら、ラトレっ!?」
「聞いたよ、勝ったって。よかった、安心したよ」
「あは、はは……まあねー」
ちょっとぎこちないけど、にっと笑ってみせる。
だけどかなりしんどかったみたいだ。いつもより勢いがなかった。
「やっぱり、強かった」
「……うん。その、さ。すごかった」
村では一番の強いリーファちゃんをして、そう言わせる実力者が集まる大会。
やっぱり不安はあるが、ひとまずは今日無事だったことを喜ぼう。
「じゃあ宿屋に戻ろうか」
「うん、その前に何か美味しいモノ食べよ。なんか、お肉な気分」
「リーファちゃん、だいたいお肉の気分じゃない?」
「それはそう」
雑談を交わしているうちに調子も戻ったようで、リーファちゃんの笑顔は明るくなった。
今日はちょっといいお肉でもいいかもしれない。
※ ※ ※
試合の翌日は休養日になっている。
この期間を使って勝者は敗者に色々と命令をするのだが、リーファちゃんは銀のフクロウ亭の部屋で寛いでいた。
「そう言えばさ」
「んー?」
「リーファちゃん、勝ったんだよね。相手の命令どうするの?」
その質問に、うげっと嫌そうな顔をする。
「顔も見たくないサイテーの奴だから、命令権は放棄してきた。代わりに、香油貰って終わり」
「香油?」
「うん、自分で特製の香油を調合できるんだって」
「武闘家なのに珍しい特技があるんだね……」
調合とか繊細な作業なのに。
武骨な格闘家が机に向き合って香油の調合をする姿はちょっと想像しにくかった。あ、でもミレイネさんみたいなタイプだったりするのかも。
「正直あんまり要らなかったんだけど、なんかダメージ少しでも与えたくて」
「へえ、要らないんなら売っちゃう? 観覧料の足しになるかも」
「……それはダメ。ていうか、あんまり無理して、見に来なくても大丈夫だよ?」
「いやいや、リーファちゃんのこと応援したいし」
「そ、そっか」
……一度は闘技場に入って、リーファちゃんに近付く男の確認をしないといけないし。
「ねえ、ラトレ。膝枕して」
「え、いい、けど」
「んー」
リーファちゃんは、ベッドに腰を下ろす僕の膝に頭を預ける。
村にいた頃から、修行で疲れた日はこうして過ごすことが少なくなかった。
だから自然と彼女の頭を撫でる。
「ラトレってさ、将来、どうするの?」
「前も言ったかもだけど、ウチの商家を手伝うか、自分で商売するために王都に行くか。村で自分でお店を構えるのもいいなぁ。代筆の仕事も以外とアリかも」
「その中なら、自分でお店を、がいいなぁ。あたしも手伝ってさ。計算苦手だし、看板娘ってことで」
僕たちは恋人同士ってわけじゃない
でも村ではいつも一緒で、たぶんお互いの意識でも、いずれは結婚すると思っていた。
好き合っているのは間違いなく、村で生きていくならそれが自然な流れだ。
きっと、華燎宴武に出ることがなかったら、自然と僕たちは夫婦になって、穏やかに暮らしていただろう。
「うん、やっぱりあたし、ラトレがいいな」
それを再確認するように、リーファちゃんが僕の足に頬ずりをする。
「今日は甘えっ子だね」
「だまにはいいじゃん」
「でもそろそろ、僕仕事に行かないと」
「えー、休まない?」
「そうはいかないよ」
不満そうなリーファちゃんの頭をベッドに置く。
我儘を聞いてあげたいけど、まだ確認しないといけないことが多い。
そのためにもまず観覧料を稼がないと。
※ ※ ※
結局、ラトレは仕事に行ってしまった。
もう少し一緒にいたかったから不満だし、少し怖くもある。
もしもまた、あんな目に合ったら。その時に観客としてラトレがいたら、と思うと体が震える。
「うー、だめだー。なんかモヤモヤが……よし、お風呂に入ろう!」
頭の中に嫌な考えが溜まっている。
少しでもスッキリさせたくて、リーファはお風呂の準備を始める。
「宿屋に個室の浴槽があるってすごいわよね。……トラニア魔導爵のおかげ、ってのが腹立つけど」
デシデリウムは、優秀な魔術師であり研究家。
彼のおかげか、迷宮都市ではマジックアイテムが普及しており、給水と加熱のアイテムで簡単に沸かせるお風呂のついた建物は珍しくないのだ。
大会で汗をかいたり汚れたりするので、宿代は少し高めでもお風呂付を選んでいる。
「そういえば、この香油」
お風呂に垂らせばリラックス効果があると言っていた。
試してみようか、と瓶の蓋を開けると、ふわり甘い香りが漂う。
あの時、ヌロデまとっていた匂いだ。
乳首とクリトリスを散々刺激された経験か、香りとともに蘇ってくる。
「だ、ダメだこれ!? す、捨てないと!?」
気付けば、少し乳首が固くなっていた。
この匂いが快感と紐づいてしまった。触ってもないのに、ぴくんと反応してしまうくらいに。
結局リーファは香油をすべて捨てて、普通にお風呂に入った。
休養日は何事もなく過ぎていく。
そうして華燎宴武、二試合目。
リーファの対戦カードが決定する。
相手は、ゴダス・ダウデム。
闘技場屈指のパワーファイターで、五指に入る実力者。
初対面で「メスガキを躾けるのは、雑魚を叩きのめす以上の快感」と……取りも直さずリーファを陵辱して分からせると言った男である。