リェと配下の者たちに取り囲まれ、スウはぐったりと横たわっている。
「────、!!」
しこたま吸い込んでしまった水が突如霧散し、スウは息を吹き返した。
厚い水の膜は跡形もなく消え、体も乾いている。ルェンが術を解き、水分が元の大気中へ瞬時に分散したのだ。スウは咳き込み、貪るように息を吸った。
(ああ・・・、あったかい)
冷たい水底から解き放され、肌に触れる空気が生暖かく感じられた。
「どうです、格下と思っていた相手に敗ける気分は?俺が術を解かなきゃ、あんた死んでたんですよ」ルェンの声がする。
酸欠でぼやけていた頭が徐々にはっきりしてきて、男たちにとっくりと視姦されている状況にようやく気付く。
「おのれ、よくも・・・──あっ」跳ね起きようとして、自分の体が縛り上げられている事を知った。
リェの妖術によって造られた荒縄が、六角形を連ねた模様を描いて白い躰を括っている。腕も足も背面に縛り合わされ、とても抜けられそうにない。
ケモノの姿をとる事で体を小さくして戒めから抜け出すことは真っ先に考えたが、だめだった。
全身が妙に重く、力が出せない。どうも溺れて意識を失っている間に、ユゥが〈麻痺〉の術を掛けたようだ。頸筋がひりひりと痛むのは、そこに呪符を施されたためだろう。
これでは姿を変える事も術を使う事もできない。全くの無力だ。
屈辱的な姿に、男たちのまなざしがねちねちと絡みつく。
スウの剣をだらりと提げたリェが、にやにやとスウを見下ろしている。横を向いて倒れているスウの肩を足先で蹴り、ごろりと仰向けにさせた。
「その装いは気に入ってくれたかな?いいじゃん、なかなか似合うじゃんか」
剣の刃先を使って縄目を隅から隅までなぞり、恥辱を煽る。
「お前の気持ちいいとこも知っちゃった事だし、たっぷり苛めてやろうな」
今はうなだれているスウの一物が剣先にすくい上げられ、裏側の紋様が見えるように位置を直された。刃の冷たさに、ぞくりと肌が粟立つ。
「〈麻痺〉の効きはどうだ?感じるもんはしっかり感じてもらわにゃ意味がねえからな」
「あ!痛い!やめろ・・・!」縮み上がった
〈麻痺〉にさえ掛かっていなければ、たとえ拘束されていても体をひねり、腰を撥ね上げてこの憎たらしい男に膝蹴りくらいはくれてやる所だ。
だが今のスウは、まるで人間族の乙女のようにか弱く非力に成り下がっていた。
「よしよし、程よく感覚が残ってるな。上手いぞユゥ」
「はっ、ありがとうございます」
やや面差しに幼さの残る青年──〈麻痺術〉の使い手ユゥが、剣指にした右手を隠すように左手を添えた。これは妖獣族特有の拱手の仕方だ。
──〈麻痺術〉とは、言うまでもなく身体を痺れさせ運動機能を奪う術である。これは対象者の肌に術者が指先で符印をえがく事で発動する。施された符は術が解かれない限り火傷のようになって残り、その傷が自然に癒えるか、もしくは焼き潰すなどして強引に術を断つまで効き続ける。
呪符の種類や大きさにより効果の範囲や深さも様々で、使い方によっては負傷者の傷の痛みを抑える事などにも重宝するため、この術を持って生まれた者は医術を学び薬師になる事も多い。だがユゥの場合は本人曰く「草いじりは性に合わない」との理由で(それは要するに勉強が嫌いなだけだが)、薬師の道を挫折した手合いだ。
スウが掛けられた術は全身を完全に萎えさせるほど深いものではなく、触れられればしっかりと感触があった。拘束を解かれたら立って歩くぐらいはできるのかもしれない。その事が、かえってもどかしい。
「いい
「なあなあ、今どんな気分だぁ?ほら、みんなに見られてるぞ?恥ずかしいなぁ?悔しいなぁあ?
でも、お楽しみはこれからだぜ。お前を犯したくて待ってる奴らがわんさかいるからな。この恥ずかしい姿、いーっぱい見てもらおうなぁぁあ?可愛がってもらおうなぁぁぁあ?なあ、風裂嶺主イェンハォ殿下がご自慢の寵臣たるウェイスウ殿よ?ひひっ!これが有能だの秀麗だのと名高いあのウェイスウ殿だぜ?それがどうだ、今のこの姿はよ。え?さすが、聞きしに勝るご高潔でいらっしゃるなぁ?けけけけ!」
リェの言葉攻めに、スウの頬が羞恥と怒りでみるみる染まってゆく。
「ハォの奴にも見せてやりたかったなぁ、その姿。何て言うだろうな?俺だったら失望するね、自分の下僕がこぉぉんな惨めでイヤラシイ姿になって転がされてたら。何なら近習衆の席から外すか殺すと思うわ」
「──だ、黙れ・・・!」
「黙れだぁ??さっきから聞いてりゃお前だの黙れだの・・・口の利き方に気をつけろよな、卑しい肉人形の分際でよ。──おい
〇
「はっ」パンと呼ばれた大柄な男が進み出た。さっき矢を射かけてきた四人のうちの一人だ。リェの護衛を務める近習の一人で、〈大力〉の妖術の使い手。これは単純に膂力を平常時の数倍──有する妖気量によっては数十倍にも増す術で、元々体格の良いこの男の外見に対し何の意外性もない能力というあたりが印象的だったため、スウもよく覚えていた。
「ウェイ殿、そういう所ですぞ。うわべだけでも従順にしておればいいものを」
「何をする・・・!触るな」
パンは複雑に括られ小さくまとまったスウの躰を起こし、腰の両脇に張られた縄を背後から掴んだ。
ただでさえ細身で目方の軽いスウの肉体が、ひょいと無造作に持ち上がる。
一物の両脇を通って
「あぅっ・・・!い、痛い!放せ!!」たまらずスウは叫んだ。
「それはなりませんな。意固地で食えぬ肉人形には、しっかりと下拵えを施さねば・・・貴殿は肉付きが薄いですからな、骨の髄まで解さねば食いでが無いというものです。ほれほれ、何と軽い事よ」
パンは荒縄をぎしぎしと軋ませ、スウの肉体を上下に揺すり始めた。ざらりとした質感まで精巧に再現された妖気の縄が、容赦なく股に食い入る。
「んっ!あ、やめ、──、くぅっ!、ぁうっ!」揺り上げられた躰が下に落ちるたび、スウは小さく悲鳴を上げた。
──大声を上げてこいつらを喜ばせるのは癪だ。
スウは、できる限り声を抑えた。
「こらウェイ、声をこらえるな。ちゃんと哭いてみせなきゃダメだろうが──パン、手ぬるい。もっとだ」
「御意に」
パンはリェの指図通りに、より大きく揺すりだした。一緒にスウの一物も上下に揺られ、ふぐりと下腹とを交互にぺたぺたと叩く。
「──うぅっ!!、あ!!っあうっ!!──んっ、──あ・・・?!」
(・・・??――おしりの所に、何か変なものがある・・・!)
尻を左右に分かつ溝にめり込む縄。そのちょうど菊座に当たる位置に、ぬらりとした感触の珠のようなものが拵えられている事にスウは気付いた。
「んッ、・・・ぁあっ、・・・ひぁン・・・、あんっ!!──あぁんッ!!・・・」
上下運動のたびにその珠が菊座に強く擦り付けられ、痛みとは別の刺激でスウを苛んだ。
「ひひひ、ちゃんと可愛い声が出るじゃねえか。なあおい?──きゃー
シャオユン殿というのは、スウのあだ名の一つだ。この少年の飄然とした性格に加え、ケモノ姿の時のふわふわとした毛並みが小さな雲のようで愛らしいと、主に妖獣の女たちが親しみを込めて呼ぶ。どうもスウを良く思わないリェたちのような連中には、そのあだ名を陰で揶揄されているようだ。リェに女口調で嘲弄され、スウは慌てて口をつぐんだ。
「──っ、ぐ・・・、んッ、──んんッ!!──フゥんッ!!──く・・・、んうぅッ!!──」
押し殺そうと努力はするものの、抑えきれない声が閉じた唇から漏れ出てしまう。男たちがリェに倣い「やだぁユンちゃん、かーわーいーいー」「ほーらっ、我慢しちゃだーめっ!もっと鳴いていいのよぉう」などと嘲笑う声に、言いようのない恥辱が募る。
「どうしたウェイよ、顔が赤いぞ?ひょっとして好くなってきちゃったんじゃねえのか、え?この変態。なに我慢してんだよ。もっと声出してこうぜ、ひひひ」
(へ、変態はどっちだ・・・、あ・・・、何を・・・!)
大きく上下を繰り返す視界の中、リェがまたスウの剣を使って何かしようとしている。
「ふうむ、そうか物足りなかったか。悪い悪い。じゃあさっきの続きでもやるか?」リェは剣穂の紐を柄に巻き付け、房飾りを筆の穂先のように出してスウの左胸に近づけた。
強制的に繰り返される上下運動の途中、緋色の房の先を左乳首が否応なしに掠める。
「──ふっ、・・・くッ?!──んぅ!!──や、やめろっ、・・・ぁ!──ひゥンっ!?・・・くぅ、・・・、ひぁンッ!!──」
手荒く揺さぶられ、荒縄が肌に擦れる痛み。菊座をごりごりと刺激する珠の感触。それに加え、一定の調子で乳首を瞬間的に撫ぜられる事で、ただの苦痛が次第に歪んだ快楽へとすり替えられる。
「ほれほれ、どうした。もっと哭けよ。こんなに乳首おっ勃てやがって。好いんだろぉお??苛められて気持ちよくなっちまってるんだろぉぉ??あっ、もしかして普段からハォにもこういう事してもらってんの?結構なご趣味だなおい」
「そ、そんな訳っ、あぁっ!・・・、は、・・・ぁぅ、──ふ、・・・んッ・・・、くぅっ──、ぁ・・・!ゃんっ、!」
躰が数回上下するごとに、左右の乳首が交互に責められる。スウは乱れる息を必死に整えようとした。
さすがにハォにもここまでの変態遊戯はされないが、全く覚えがない事もない。
いつだったか機嫌が悪い時のハォにうっかり悪さをしたために懲罰を加えられ、興が乗ったのか、ついでにそのまま少々変わった趣向で荒っぽく抱かれた経験があるにはある。その時の記憶がちらほらと重なるのを、スウは必死に掻き消そうとした。
(違う!あの時はハォにされたから、ちょっとは、・・・ちょっとだけ、好くなっちゃったけど・・・、それとこれとは全然違う!こいつらにされたところで少しも好いもんか・・・!)
「──ゥんッ・・・!・・・ぁ、んッ・・・!ぁぅ・・・、・・・ぁ・・・!、っぁあッ!!──」
想いとは裏腹にスウの目元が、とろんと煙る。
(だ、駄目・・・!耐えなきゃ・・・!違う違う!こんなの、気持ちいい訳ないのに・・・!こんな事で気を遣るなんて絶対やだ!!)
○
「おっと、まだ達してもらっちゃ困るぜ」
緋色の房が、不意に引っ込められた。
「パン、そのまま連れて来い。手は止めるなよ」
剣を放り出したリェが、ハォのねぐらに向かってすたすたと歩きだす。
スウは松焔洞を護る唯一の近衛と言っていい。常に多くの近習衆に護られる息苦しさをある時からハォが鬱陶しがり、どんなに諫められようとも頑なにスウ以外を傍に置かなかった。そのスウがまんまと手籠めにされ、ハォ自身をも戦闘不能にされた今、松焔洞は全くの無警戒状態である。打たれた縄の他には寸布も帯びぬスウの身柄よろしく、裸同然という訳だ。
「みんなも来いよ、面白いもん見せてやる」リェは肩越しに振り返り、陰湿な笑みを見せた。
「──あッ、・・・んッ!や、やめろ・・・!!・・・く、ハォ様にっ、手を出すなっ・・・!!──はぁっ、あぅっ、──あぁん!──」
「だから何もしねえって・・・お望み通り、その卑猥な声をハォにも聴かせてやろうと思ってな。だって、その方がお前だって興奮しちゃうんだろぉ、え?」
「──な・・・、望んでなんか!やめ、・・・っ、やめろ・・・!──あうッ!!──と、止まれ──あッ!あぁあ!!──」
妖獣としての力を封じられ、ヒト程度の力すら出せず、緊縛されたうえでいいように弄ばれ、その辱めに望まぬ快楽さえ覚えだしたスウの弱々しい制止が聞き入れられるはずもなく、一同がぞろぞろとハォのねぐらに踏み込む。
ユゥだけは、おどおどと尻込みをしている。洞の入り口を塞ぐ垂れ布が掻き分けれられた瞬間、一段と強くハォの匂いを感じて怖気づいたようだ。
「えっ・・・あの、本当に入るんですか?だって、そんなの聞いてない──あっ・・・待ってえ、置いてかないで!」ぽつんと取り残され、却って不安になったユゥは慌てて後を追った。
○
重い垂れ布を潜り、ごつごつとした短い隧道を抜け、瀟洒な敷物を踏んで居室へと至る。ユゥも及び腰で追い付いて来た。
「何だユゥ、びびってんのか?」リェがにやにやと振り返る。「しかし、相変らず何もねえな。質素なもんだ」
ハォが父王から風裂嶺を預けられて間もなかった頃は、よく碁や将棋など戦略遊戯の勝負をしに互いの洞を訪れたものだった。その頃から大して物が増えもせず、王子の住まいにしては幾分殺風景にしつらえられた洞内に難癖をつけつつ、リェはずかずかと足を進めた。荒縄の軋む音に合わせて力なく喘ぐスウの声が後に続き、洞壁に反響する。
(ううっ、恥ずかしい・・・!)
スウは全力で声を押し殺した。リェによれば「何したって起きっこねぇ」ほど眠り込んでいるというが、万が一ハォに聴こえていて「お前は敵の手中に堕ちてさえ何という声を出すのだ、慎め」などと後で咎められては居たたまれない。
絹布の垂れ布が乱暴に払われ、上下に揺れ続けるスウの視界が容赦なくハォの寝台へと近づいてゆく。さっきスウが慌ててはねのけた帳幕は捲れ上がったままになっており、眠りに囚われたあるじの危うい姿を晒している。
「おいハォよ、てめえの可愛い従僕が大変な姿になってるぞ。起きた方がいいんじゃねえのかぁ??」
リェは寝台に上がり、ハォの枕元に座り込んだ。全く目覚める様子のない弟の寝顔を覗き込み、歪んだ冷笑を浮かべる。
「おい起きろ。兄上が直々にお越しだぞ、おいこら。どうした、いつまで寝てるつもりだ?無礼だぞ、えぇおい?」ハォが起きないのをいい事に、頬を平手で容赦なく何度も打つ。
「や、・・・ッ──やめ、・・・ぁうっ!──そっ、それいじょぅ・・・っ、ハォ様、に──、ぅうッ、──ンんッ・・・!──」
スウが揺すられながら必死の警告をするも、とぎれとぎれで言葉にならない。
「ん?何だってぇ?ああ、その淫らな声をもっと近くでハォ様に聴かせたいってか?なるほどな。よしパン、連れてきてやれ」
「はっ、失礼致します」
大柄なパンがスウを抱えて上がると、小部屋のような造りの頑丈な寝台も男四人の体重でさすがに嫌な音を立てる。
「ち、違──、厭だ・・・!」
パンは何も知らずに眠るハォの傍らにスウを跪かせた。足は背面に縛り付けられているため、膝だけを寝台に着けて立っている格好だ。パンが腰の縄から手を離せばスウは倒れてしまう。
「ウェイ殿、いかがですかな?ハォ殿下の御尊顔を眺めながらこのような痴態を我らに晒すご気分は」
上下に振られる代わりに、今度はぐいぐいと力を込めて縄が引き上げられる。膝が寝台に着いている分さっきよりは負担がいくらか軽いが、荒縄に擦られ続けた肌からは既に血が滲んでいた。
「──く、ふゥンッ・・・、うぅンっ・・・!──ふゥン、──ひぅンッ・・・!!・・・ンんッ・・・!」スウは必死で声を殺した。こんな姿でいいようにされて漏らす嬌声《こえ》など、夢うつつにもハォに聴かれるわけにはいかない。
「どうしたウェイ、恥ずかしいのかぁ?ほら、さっきみたいに声出せよ。ご主人様が
リェは手で宙をつかみ、ぐっと強く引くような仕草をした。それに呼応し、スウの肌を這う縄がぎりぎりと摩擦音をたてて動きだす。指を巻き込まれないようパンは縄を掴んでいた手を放し、指先だけでスウの腰を支えた。
スウの全身はきつく締め上げられ、──いや、それだけではない。
あろう事か、菊座に当たっていた例の珠のような異物がぞろぞろと殖えた。殖えた珠は次々に菊座からスウの体内へ潜り込み、奥へ奥へと列をなしてゆく。
「?!──、・・・っあ!ぁ、──はぁァあんッ?!」肛内が奥深くまでみっちりと珠で満たされ、スウは堪らず官能的な悲鳴を漏らした。
不安定な膝立ちが崩れる。ぐらりと倒れ掛かるスウの肉体を、背後のパンが片腕で抱くように支えた。
「ぁ・・・!ど、どこを触って──、あぁんっ!」支えると見せかけ、ついでに乳首をきつく摘ままれていた。「はなせっ、んっ!──っあっ!?だめぇっ!離してぇっ・・・!ああっ??」乳首に爪を立てられた瞬間、そこをハォが戯れに噛んだ時の感触が生々しく甦った。不覚にも大きな声を上げてしまう。
「ハォよ、お前の従僕は可愛い声で哭くなあ?ちゃんと聴こえてるか?俺のくれてやった淫具が気に入ったってよ、けけけ!ほれ、しっかり見ろ。な?こういう風にされるのが気持ちいいんだってよ、お前も参考にしていいぞ。ひひひひ」
ハォの美しい紫紺の髪がリェの手で鷲掴みにされる。正体をなくした寝顔が、スウの方へねじ向けられた。
「──!!ハォ様に、触るな・・・!!」
もちろん、ハォは深く眠っていて何も視覚してなどいない。だが閉じられているはずのハォの瞳に、ひたと見据えられたような錯覚をスウは覚えた。
──こちらを見ている。ハォが。この醜態を。下品に縛り上げられ淫具を尻に呑み込み、さらに乳首をこねくり回されて喘ぐこの姿を。
「──あっ・・・あ・・・!!だ、だめ・・・!──んッ・・・!ぁぅ・・・、」
激しい恥辱と加減された痛みとが交じって頭がごちゃごちゃになる。不本意な形で性感が刺激され、スウはぞくりと身を慄わせた。
「──────、!」
きゅうっと菊座が締まる。〈麻痺〉術にかかっている割にこういう箇所だけは盛んに活動するよう感覚が残されているという、
「──ぁあ・・・っ・・・、──!!」
躰の芯を熱いものが巡る。息が乱れ、顔が火照る。パンの腕の中で、スウは力なく身を悶えた。
○
「おいハォ、おめえ日頃から従僕に一体どんな躾を施してやがるんだ?こいつ、縛り上げれながら主人の顔を見たとたん急に欲情しだしたぞ。どういう事だぁ??ひひひ!」
リェの嘲りに、寝台を囲む男たちからも失笑が漏れる。
「ぁ、ち、違う・・・!」
「何が違うのでしょうな、これほどにもご自身を滾らせておられるくせに」すっかり固く屹立してしまっているスウの一物を、パンは逞しい手で握り締めた。
「んッ──いやだ、触るなっ」
「ほれ、既に汁まで溢れさせて。厭だと云いつつ、本心ではもっと欲しがっておるんでしょうが」
透明な粘液を一杯に湛えた先端が太い親指の腹に押し開かれ、ぬらぬらと小さく撫でまわされる。
「──あ!やめろ、さわるな──、あぁっ??、やぁんッ!!」
とめどなく滲み出す先走りをぬめぬめと塗り拡げ、パンは嫌がるスウの一物を扱き始めた。嫌悪と羞恥に身悶えをするスウを片腕でがっちりと抱きすくめる。
「これが本当にあのお強かったウェイスウ殿とは。いやはや信じがたいものだ」
スウとはかつて合同稽古や模擬戦で何度か剣を交えたが、乙女と見紛うこの少年近習と試合うたびにパンはいつも軽くあしらわれ、手ひどく負かされた。相手の面目などどこ吹く風で加減というものを知らぬスウの剣に、大柄で力自慢を誇るパンがどれだけ要らぬ恥をかかされたか知れない。
そのウェイスウが。〈大力〉の妖術を用いるまでもないほど容易く抑え込む事ができ、この腕の中で弱々しく身をよじっている。生かすも殺すも自在。スウの漏らす上ずった声が、パンの心を仄昏い優越感で満たした。
「やはり、ハォ殿下のお傍で辱められるのは興奮なさいますか──のう、ウェイスウ殿」
休みなくスウの一物を扱きつつパンは首を下げ、その柔らかな白銀の髪に鼻を埋めた。──卑猥な汗のにおいに、つい気分が高揚する。かれは熱く火照ったスウの耳の後ろに、じっとりとくちづけた。
「ひぁあ・・・?!──あ・・・、や、やめて・・・、ぁ・・・、」
スウの力ない抵抗がさらに弱まった。
「おや気持ちいいですか、ウェイ殿?そのように息を荒くして」
スウの細い躯幹を鎧う薄い筋肉の起伏に、パンの大きな掌が愛撫を加える。「貧弱な筋肉ですなあ。肌もつるつるで、まるで生娘のようだ。実にけしからん」長年の鍛錬による
「いやだ・・・、──あッ、んんッ・・・、はぁ、はぁっ・・・、やめろ・・・、あぁっ──」ただでさえ疼く躰を執拗にまさぐられ、スウはもじもじと悶えた。
「けっ。こいつ、もうイキそうじゃねえか。相当によく狎らされてるようだな」
リェは眠りに囚われた弟の耳元で囁いた。「えぇハォよ?てめえの側近をずいぶんと淫乱なカラダに調教しやがったなぁ?我が弟ながら、ちょっとどうかと思うわ。そういうの、人間族の言葉で
「──く・・・・・・、──あ・・・、」あるじの前で嬲られ、しかも達しかけている。背徳感を覚えたスウの眉尻が、ぐっと下がった。
「──まだですぞウェイ殿、この程度で簡単に達して頂いては困ります。日ごろの礼に、これから皆でもっともっと可愛がって差し上げようというのに。ほれほれほれ我慢我慢」パンは、びくりびくりと律動するスウの一物を一層激しく扱いた。もう片方の手は大きく開かれ、親指と中指とで左右の乳首へ懇ろな刺激を与える。
「──っあっ!、あっ、あぁっ、はぁはぁ、──やめっ・・・、っあ・・・!い、イクっ、・・・で、でちゃうぅ・・・!!くぅっ──!!」
菊座がびくびくと震え、尻の奥深くまで呑み込んだ珠の列をさも旨そうに揉みしだく。
「ンんんッ!・・・、んんぅ──!!ぁあ、・・・」
スウは手足の指をぎゅうっと屈し、天井を仰いだ。
「おう、出せ出せ。ハォ様のお顔にぶっかけちまえよ、ほら。ハォ様、あーんしな。かわいい従僕ちゃんが御馳走してくれるってさ」リェがゲラゲラ嗤いながら囃し、ハォの顎に手をかけて無理やり口を開かせた。
「──ッ!はぁはぁ、や、やめてぇ・・・!!んんっ・・・!ひっ、は、はひぃっ、──な、なんでも、する、から・・・!──だ、だから、ハォ様、は、そっと、しておいてぇ・・・!!」喘ぎつつ絞り出された、スウの悲痛な懇願が洞内に響いた。
「ほーう?・・・
リェは片眉を吊り上げ、頬の紋様を歪ませてにたりと笑った。
「言ったな?」