囚われの身のスウは、四つ這いに固定されたままの姿で退屈そうに尻を衝かせていた。
結局、あの後「すぐ済みますので」と、薬師のフイに嫌というほど
(確かに、おなかとおしりの具合は良くなった気がするけどさ)
何やら薬効があるという、その妙なとろみのある生温かい液体を尻の孔から容赦なく流し込まれ、押し出され、また流し込まれ、掻き出され、苦しいやら恥ずかしいやら、散々な目に遭った。
そして革袋を空にしたフイは満足げに帰って行った。
何というか、あれのおかげでスウは変に肚が据わった。どうでもよくなったというか、今はただもう何もかもが面倒くさい。
どうせ汚れ仕事も必要とあらば請け負ってきたこの躰だ。辱めたければいくらでもどうぞ、という気になっていた。
「く・・・、締まる・・・!スウ殿、何故こらえなさる。先程のように声を出さぬか」
「だって、べつに気持ちよくないもん」
息も絶え絶えに腰を振るパンを相手に、スウは恐ろしいほどの無反応を見せつけた。
「嘘を申せ・・・、こんなに吸い付いておるくせに・・・、」
「違うよ、これは早く終わってほしいから僕の意志で締めてるの。ほら、こうやってさ」
これは元々、スウの得意とする性技である。性的興奮の有無にかかわらず内部を自在に脈動させるという器用な事が、かれにはできるのだった。
ユゥの〈麻痺〉術は、卑猥な行為に必須な部位のみを避けて掛けられているらしかった。かれはその効果を逆手に取り、受け入れた一物を肛内だけで巧みに締め付けては緩めた。温かい粘膜がパンの一物をぴったりと包み、小さく波打つ。
「うおっ?!そんなばかな・・・、おぉ・・・!も、もういかん・・・!」
パンは耐えかねて盛大に精を放った。「はぁはぁ・・・、くそっ・・・!」武芸では勝てたためしのないスウを打ち負かす絶好の機会であったはずのに、これでは重ねて恥をかいただけだ。「おい、ユゥ。ちっとも感じていないようだぞ、どうなっている。術を掛け違えているのではないか」
苦言を呈するパンに、ユゥが口を尖らせて反論する。
「俺のせいにしないでくださいよ、心外だなぁ。痛覚と性感は奪わずにおけという、殿下のお達し通りに掛けましたってば。さっきまでちゃんと感じてたの、貴殿だって見てたでしょ」
「ユゥ、心配いらないよ。このひとが下手なだけだから」涼しい顔を作ってスウが口を挟む。「武術で敵わないものだから、せめて房中術で僕を遣り込めて不毛な優越感に浸りたかったんだろうけど。
これだけ不利な状況のはずの僕が圧勝しちゃうなんて、ちょっと不器用すぎない?あっ、もしかして実践は初めてだったの?」
その脇腹を、パンが激しく蹴りつけた。
「まだそのような生意気を云う元気がおありとは、もっと躾が必要そうですな」蹴られた痛みに声もなく苦しむスウの尻を、パンは再び乱暴に割り開いた。注ぎたての精が、内腿を伝ってどろりと流れ出る。
「ちょっとパン殿、連続はずるいですよ!イッたんでしょ、もう代わって下さいよ。後がつかえてるんですから」
「違う、こちらがまだイかせてないんだからもう一回だ」
「待て待てお前ら」パンとユゥの小競り合いが始まったところで、さっきから退屈そうに傍観していたリェが腰を上げた。
「だめだな、一向に埒が明かんではないか。どれ、俺が手伝ってやろう」
スウの傍まで近寄り、勿体ぶって袖をたくし上げる。
「男を犯すのは元来あんまり好かんのだがなぁ・・・まあお前なら女に見えん事もないが」
リェの手に握られた荒縄の鞭が煙のように崩れる。変じて再び形を成したそれを、スウの眼の前に突き付けてみせた。
「こいつで可愛がってやるよ」
リェは手の中のそれで、スウの頬をぴたぴたと軽く叩いた。
怒張した一物を模した張型のようなそれは、根元にしっかりと瘤まで再現されている。この瘤はイヌ科の動物に見られる特徴で、キツネ族の流れをくむ妖獣族にも具わっており、これは交尾を確実に終えるまで一物が抜けないようにするための形状だとされる。
「・・・そんなもので僕をどうこうできるとでも?」スウは鼻で嗤った。
「さっきまで俺の創った連珠をケツに咥え込んで善がってた奴がよく言う」
反論できず赤面するスウに、リェは下卑た笑みを返した。後ろへ回り、パンの残した体液に濡れた菊座へ張型をあてがう。
「・・・まあ試してみろ、きっと気に入るぜ」
〇
(はあ・・・しつこいな、まだ終わらないのか)
──なるだけこいつらを喜ばせないように振る舞って早めに飽きてもらおう。さっきは不意打ちに加えハォの前だった事もあり少々乱されてしまったが、もう何をされても耐えられる気がする。適当にやり過ごし、後できっちりと仕返しをしてやろう。
そのようにスウがほぞを固めた時だった。
虻の羽音に似た音を響かせ、張型が細かく振動を始めた。
「──!、っ??あぁっ?!」
スウは思わず声を上げ、びくりと腰を反らせた。
感じた事のない種類の刺激が、びりびりと菊座を震わせる。
「んっ、んっ!んぅっ──??や、──っ??」
(な、何これ・・・??おしりがじんじんする・・・!!)
「なかなかいいだろ、え?・・・いや、翅持ちの虫が羽ばたくのを何気なく見ててさ、あのぶんぶんいう振動を術で再現できたら何かに使えそうだなーって思ったんだよな。どうだ?感想を聞かせてくれよ、ひひひ」
リェは振動を続ける張型に油薬を垂らし、小さな円を描くようにスウの肛門をゆっくりとなぶった。
「くぅ?!、あん、ッ!あっ、あっ、ぁぁんッ、はぁんッ、──」
(だ、だめ・・・!勝手に声が出ちゃう!)
菊座が、ひくひくと戸惑ったように口を開きかけては窄める。
「こいつ、物欲しそうにしやがって。待て待て、今くれてやるからそう焦るな」
ぶるぶると震える張型の亀頭が、ぬらりと尻孔にねじ入れられた。
「!、あぁっ?!ひぃっ、やめ、アぁあっ?!やだっ!!やめてぇ!!──あああ!!」
強い痺れが躰の芯を貫くような感触に、スウはたまらず大声を上げた。
「ほらね、ちゃんと感じてるじゃないですか。ほーら、だから言ったのに。やっぱりパン殿のやり方が悪かったんでしょ」ユゥが、得意げに顎をしゃくった。
「わかったわかった。ユゥ、悪かったよ・・・」
「ユゥ殿、俺はわかってたよ。だってこの人、女にも男にも全くもてねぇもの」
「ですよねですよね」
「ちっ、うるさいな。もういいだろう」
軽口を交わしながらも、男たちのまなざしは悩ましく喘ぐスウの姿に釘付けだ。
何人かは堪らなくなり、ちゃっかり手淫を始めている。
「しかし、殿下はこういう細工物をお創りになるのが本当にお上手でいらっしゃるな」
「違いない。本来創るべき剣戟のほうはからっきしだが」
「おい。聞こえてるぞ、このやろう」張型を使う片手間、リェがじろりと睨んだ。
「まあいい、今日は無礼講って事にしてやるよ。日頃の鬱憤やら何やら色んな溜まったもん全部、一切合切余すことなくこのウェイスウにくれてやれ。・・・まあこの通り強情で生意気な奴だが、今からようく言って聞かせるからな。まあその間は見て愉しんでいるがいい」
リェの言葉に、一同は猥雑な笑いと喝采で応えた。
〇
スウは荒い息をつき、それでもどうにか気を静めようと頑張っていた。しかし奇怪な淫具が与え続ける未知の感覚に耐えかね、目に見えて乱されていった。
「よしよし、だいぶ素直になってきたな。気持ちいいんだろぉ、なあウェイよ?こんなの初めてだろぉ?生意気なお前をどうやって懲らそうかと思案を重ねに重ねたんだぜ、ひひひ」リェは手首をひねりつつ、緩急をつけて張型を抜き挿しした。
細かい振動音に、じゅぽじゅぽと卑猥な水音が交じる。腹の中に残っていたパンの精にフイの油薬が加わり、更にスウ自身が分泌する腸液が混じり合う。その濁った粘液を滴らせつつ張型はすいすいと滑らかに出入りを繰り返し、スウの深部を執拗に衝いた。
されるがままに嬌声を上げるスウの姿は、せっせと手淫に耽る連中の行為を大いに捗らせた。
「おう、その辺で勝手におっ始めてる奴ら。遠慮なくこいつにぶっかけてやれよな・・・おっと、間違っても俺にかけるなよ?さすがに殺すぞ、ひひひ」
「では失礼・・・、へへへ、たまらんですな」夢中になって己の竿を扱きつつ、いそいそと数名が寄ってきた。めいめい、既に先走りを滲ませている。
「んうっ!ふゥンッ、アぁっ・・・!っく──お、王家に・・・伝わる、秘術をっ、はぁはぁ、こんな事に・・・っ、──ァあぅッ、──はぁんっ!・・・んッ──恥ずかしく、思わないのかっ、・・・あ!・・・、・・・、あんッ、・・・あぁぅんっ!──」
せつなく喘ぐスウの声に全く欲情しないらしいリェは淡々としたもので、あくまでも嫌がらせとしてスウの尻を責め続ける。
「恥ずかしい事になってるのはお前だけどな、ウェイスウよ。そんなに悦んじゃって、余程この淫具が好きらしいな」
「ひぃっ、はひっ、よ、悦んでなんか・・・っ、く、はぁっはぁはぁ、・・・あ!・・・っ、──だ、誰がっ、好きなもんか、あぁあんッ!!」
「どの口が云う・・・これ一応教えとくけど、お前が自分から咥え込んでるんだからな。ほら」リェは、震える張型をぐいぐいと引っ張った。
「?!な??あっあっ!だめぇっ!!あぁっ──」
リェの言う通り、スウの菊座は亀頭を模した先端をみっちりと呑み込み、押し込まれなくとも張型は自然に奥へと吸い込まれた。
「後ろの口は前の口と違って素直で可愛いなぁおい?なあみんな、見ろよこれ」面白がったリェは、亀頭が抜けるか抜けないかの絶妙な力加減でスウの菊座と小さく引っ張りっこをした。
「あっあっ、や、やだっ、あっ、あんっ、ぁ、だ、だめっ!ンッ!ンっ!やッ、あ??はぅうっ、やアぁんッ??──」
スウが声を上げるたび、天井の高い洞内に大層よく響いた。張型の振動音を伴奏に、さながらリェに奏でられる楽器と化したように実に豊かな表現でスウは喘いだ。
〇
「もういかん、出る」「喰らえ、──」「あぁ、・・・」「おおぅ、たまらん」白銀の髪を振り乱し頬を火照らせたスウの顔を目掛け、次々に精が注がれた。「ほれ、しっかり味わえ」男の一人が、それらを掌でスウの顔じゅうに擦り付ける。
「んんん・・・!」
嫌がるスウの顔面に男はねちねちと念入りに塗り拡げ、しまいにその手はスウの髪で拭われた。
「──っ、ぱはっ!く・・・、よ、よくも──、あぁんっ」スウは精にまみれた顔を悔しそうに歪めた。怨みの言葉を吐こうにも、張型が与える刺激により全て淫らな声になってしまう。「アぁああッ!!くぅゥッ、・・・!──い、いいかげっ、あんっ!──いいかげんに・・・っ、あぁん・・・っ、ひぃ、はひ・・・!」
「わかったわかった、そんなにイイか?気に入ったんだな?落ち着けよ取らねえから。ほら、お前のだぞ」ひとしきりスウを苛めて満足すると、リェは張型を奥深くまで押し込んだ。
「!!、あうっ??──あァあああ!!」
「ゆっくり、しゃぶっとけ」
根元の瘤が菊座にしっかりと咥え込まれ、振動がスウの躰の芯を脳天まで貫いた。
「ああああ!!──あっあっ、アぁあああああ?!ひぃひぃっ、や、やだ!やだあっ!!抜いてぇぇ!ああッ!はひ、はひ、ひぅぅ・・・!!ぁ、だめ!!あああんッ!あアぁん!?」
逃れようにも、四肢は枷に固定されている。スウは尻をもじもじと動かし、何とかして張型を排出しようとした。だが、瘤が引っ掛かって全く抜けそうにない。それどころか、尻を動かしたことにより張型が微妙に回転し、ちょうどスウの弱い部分に湾曲が沿ってしまった。
「んぅうッ?!」
繊細な箇所が容赦のない刺激に慄える。
「アぁッ!?ひぁぁあんッ?!あっ、あ、あぁァああァア!!はぁ、はぁんッ、あぁっ!!あんっ、はぁあんっ!!・・・」
こらえようとしても自制が利かず、つい腰が動く。「ぁ、や!?やだっ!!んっ!あぁあ!!ひぃ、ひぃっ!!うぅ・・・、くぅっ!──、ぁ、ああぁああァ?!――」
「どうした、イイ所に当たったか?あーあー、そんなに夢中で腰を振って・・・お前は本当に卑しいな。ほら、みんなに見られてるぜ?ひひっ、そんなに気に入ったならもっと好くしてやるよ」
スウの菊座からのぞいている張型の持ち手をリェが指で軽く叩くと、微弱だった振動が急に強まった。
虻の羽音ほどだった振動音が熊蜂のそれに変わり、さらに昂ったスウの嬌声と併せ、洞内に一層響く。
「!?っああァぁああああぁア!!だめ!!ぬ、抜いて!!ああっ?!ひぃっ、──あ!!はぁっ、はぁ・・・──アぁあんッ!!や、やだあぁっ!!ひいひいっ、あァアぁアあ!!」
スウは鳥に啄まれる芋虫のように身をよじり、頭を振り立て、半狂乱で善がった。
リェはそのさまを、満足げに頬杖をついて見物した。よだれを流し涙をにじませて悶えるスウの瞳は虚ろで、もはや何も映してはいないようだった。
「ひひひ。そこまで気に入ってくれるとは、参ったね。いや、創って良かったぜ。好きなだけイっていいからな」
「はぁっはぁ・・・、んんッ!!──ぁ、い、厭だっ!!あああぁアァ!!──くぅッ、だ、れが、──ぁあ!──こ、こんなものでっ、──っあぁああッ!!はぁはぁ・・・!──あぁあんッ・・・!!」スウは喘ぎつつ、まだ辛うじて抵抗の意思を示した。
「厭か・・・ふうん?本当かぁ?じゃあこれは何だァ??」
リェの手がスウの腹の下に伸び、屹立しきって猛り狂う一物を掴んだ。ぴっちりと張りつめた皮に浮かぶ、今は妖気不足でごく淡くなっている三角紋様を、じわりじわりと指の腹でさする。
「あひ・・・!さ、さわるなぁっ?!、はぁはぁ、──んんん・・・!!──あっ、やめっ、アああァあぁぁん!!」
「──ああそうか。わかった、一人でイクのが恥ずかしいんだな?本当に世話の焼ける奴だ。仕方ねえな、手伝ってやるよ」
はち切れそうに滾りきったそれが、リェの手で乱雑に扱かれる。
「っあ?!はなせ!!やぁんッ!!あっあっ、──ふぅっ、ふぅゥん・・・!!くゥうっ──・・・、」
「さてはまだ我慢してるな?これでも耐えられるか、え?」
空いたほうの手がスウの背に伸びる。
「ここが好きなんだもんな、お前」揃えた五本指が尾骨の上の三角紋様に触れ、ぞわりぞわりと動いた。
「──ぁァあああ?!や、やめ、ろ!──はぁっ、はぁっ、──あ!も、もうやめろ・・・!!あぁんッ!!い、いやだ!やめてぇっ!!ぁ、あぁっ??だ、だめ、イッちゃう、──ひぃひぃ、・・・──ぁッ、」
あまりの快楽に屈し、スウはついに絶頂を迎えた。「っ、あぁ────、」必死にこらえ続けていた白濁が放出され、いびつな曲線模様を地に描く。
(・・・、こんな変態技でイかされちゃった・・・、もうやだ・・・)
だが終わりではなかった。リェは術を解こうとしない。張型は依然、スウの尻の中で振動を続けている。
「はぁはぁはぁ、ねえちょっと・・・?も、もうイッたから・・・!ぁぅッ、──も、もういいだろ!──んンゥ、術、解けよッ!!──ああ・・・!!」汗とよだれと精にまみれ、スウは必死に訴えた。
「あ?一回イッたら許すなんて誰が言った?そんな虫のいい話がある訳ねえだろ」
「ひぃひぃ、も、もうやだ!──あっあっ、──あァぁっ!!も、もうむりっ!!あぁっ、ま、またイッちゃうぅ・・・!」
「んー、そうだなあ。今後も俺様のために接待用性奴隷として働くっていうなら今すぐに解き放ってやってもいいかな・・・
忠誠を誓うなら明日からはもっといい部屋に監禁して、もっと気持ちよくなれる新しいオモチャで毎日いい思いをさせてやるが、どうだ?ん?」
「く・・・!だ、だれが・・・!──あ、あぁあっ?!──はぁっはぁ、──あぅっ・・・!?」
「なら、そのままイキ狂ってな」リェは冷淡に言い放つ。
「こ、この、変た、ひぃっ、ひぁぁあんッ!!──、あァッ?!──はぁぁんッもうだめイクぅ!!──っあ、──!」
「おい、誰が空イキしていいなんて言った?勝手に還精するな。イくならちゃんとイけよ、気がふれるまでイきまくれ。けけけっ」
それから幾たびも幾たびも絶頂を重ねるまでスウは放置され、その間、男たちの恰好の手淫のあてにされた。