独自設定などの要素が含まれます。
キャラ崩壊などの要素が含まれます。
苦手な方はブラウザバック推奨です。
豪雨だった。矢のように降りしきる雨が体から体温を奪う。地面の泥濘みに足を取られ、ジワジワと体力が無くなっていく。
それでも、泥に塗れても、這ってでも前に進む。あの悪魔達から逃げる為なら、泥の中だろうと、仲間達の死体の山だろうと、構わず進む。
男は、亜人の一人、いわゆる
村では普通の日々を過ごしていた。仲間達と暮らし、狩りに行き、群れで子供を育て、番いと愛を育み、偶に喧嘩して、少し小腹が空けば人間でも食べに行って。
そんな当たり前の生活をしていただけの亜人の村は、ふらりとやって来た二人の怪物に虐殺された。惨劇としか言いようがなかった。
おそらくオスとメスの二人組の人間種は、村にある二つの出入り口からそれぞれ入り、ただ無機質に立ち向かう全員を殺していった。村の戦士も、狩人も、ただ死んだ。
子供すら殺していったあの血も涙もない怪物達は、村の中に生き残りがいないか歩き回って、一体一体丁寧に、潰すように殺していく。
許せない。許されるわけがない。餌であるはずの存在に殺され、愛しい子供達も殺され。男は復讐のためにも、死ぬ訳にはいかなかった。
「ふんふん♫ふんふん♫」
忌まわしいあの声が聞こえた瞬間動きを止める。心臓が脈打ち、鼓動が早くなる。叫び出したくなる恐怖を必死に抑え、歯を食いしばって体の震えを止める。
‥‥‥足音が過ぎ去った、ひとまず危機は脱したようだ。思わず一息つく。この場は未だに恐ろしい怪物達の狩場だが、だからと言って諦めるわけにはいかない。何としても逃げな「あれあれあれ〜?」
「ヤーくん殺し漏れてるじゃん〜、やっぱり女ができて腑抜けちゃったのかなぁ‥‥‥‥なぁ!オイ!聞いてんのか!」
金髪の人間種は、最初は落ち着いていた。気味の悪い歪んだ笑顔で独り言を呟き続けているかと思えば、突然鬼の形相になって激怒し、逃げようとした者に愛用のスティレットを突き刺す。先刻亜人の群れを殺し尽くした彼女の腕前だ、運良く生き延びていた逃亡者は、ワザと急所を外された一撃を受け、痛みに悶える。
丁度いいオモチャを見つけたからか、苛立ちをぶつけ続ける。しかし余りの痛みと出血量により、彼女の意図しないタイミングで、幸運にも亜人は死んだ。
しかし、死体になった亜人にも刺剣を突き刺し続けている。
「聞こえてるよなぁ!!雑魚が無視すんなよ!オイ!」
突き刺され、蹴られ、唾を吐かれ。死体が穴だらけになり、ズタボロの襤褸雑巾のような状態になる。
激昂する女は返り血を浴びて血塗れになっているが、気にせず死体をぐちゃぐちゃにする。死体を鑑定する者が見ても、生前の特徴どころか性別すら判別できないほど壊していく。
「‥チッ‥‥‥‥ふんふん♫ふんふん♫」
舌打ちをしながらも、鬱憤が多少は晴れたのか、ねっとりとした粘着質の作り笑顔に戻ると、彼がいつも口ずさんでいた、異国のメロディーだけを真似たリズムの鼻歌を歌いながら、生き残っている亜人達を一体一体
★
おはようみんな!ヤマダだ!今日は漆黒聖典の任務で、竜王国方面にいる亜人狩りの真っ最中です。任務のやり方はいたって簡単、俺と今回の任務で相棒になったクレマンティーヌと、一緒に突撃して全員ブチ殺す。以上。
脳筋みたいな方法だと思っただろう。正解だ。ただ、これが大体最適解なのだ。変に策を弄するより、レベル差能力差で正面から圧殺する方が早いし正確だし、何より楽だ。
もちろん亜人種の種類によって方法は変えるが、こういう獣人みたいな脳筋種族相手にするときは、これでいい。
実際、いきなり亜人の村落に突撃して、目につく奴片っ端から殺していくだけで、もう任務も終わりだ。
「‥何体目だ?クソッ数だけ多いから報告書がダルくなるんだよなぁ」
恨めしげな顔でこっちを見てくる亜人の首を刎ね、万が一でも蘇生されないよう、念入りにトドメを刺して任務完了だ。
いやーコイツら暴れすぎたんだよね。竜王国の近くにある、獣人の国から来た者達が作ったらしいこの村は、付近にあった人の村や小規模の街すらも喰らい尽くして、甚大な被害を出した。それこそ、コイツらは百や二百じゃ聞かない程人間を喰らってる。
そして、竜王国女王の要請と、既に出ている被害、うちの風花聖典辺りが情報収集した結果判明した英雄級亜人種の存在を鑑みて、こうして俺たちが派遣された。
何で俺たち二人組なのか?簡単に言えば、ちょうど手が空いてる奴が俺たち二人だけだったからだ。これでも漆黒聖典は、業務内容も
みんな大体なんかの任務で忙しそうにしており、相対的に暇なのは外に出して存在がバレたら洒落にならない絶死‥アンティリーネぐらいである。
話は変わるが、なんか最近隊長が優しいんだよな。隊の男面子はなんか俺を遠くから眺めてるし、隊の女達はなんか怖い時があるし、何だろうな?俺なにかしちゃいました?
‥‥‥原因はわかってる。少し前、法国最強の二度目の打倒()という偉業を成し遂げた俺に待っていたのは、色ボケしまくってそこら中の神官や聖典メンバーに俺と付き合い始めた事を周知させている、絶望のオーラならぬ希望のオーラでも出してそうなほど豹変した、
あの日の翌日、初めて
以降は
流石に色んな意味でやり過ぎと感じ、どうすればこの事態が解決するか仲間達に聞いても、神聖呪歌とか無限魔力は親身に相談を聞いてくれたが、大半の仲間達は巻き込まないでくれとか言って、遠巻きに笑いながら眺めているだけだった。
途中から隊長すら苦笑いで消えていったし、幼少の時から親交のある我が友クアイエッセは早口で任務がありますからとか言って、ギガントバジリスクに乗って逃げた。天上天下のおっさんはガチで隠行して最近姿を見ない。
クレマンティーヌとかは嫌なら別れれば?とか無茶な事言ってくる。できる訳ないだろ?別に嫌な訳ではないし、そもそもそんな事したら俺色んな意味で終わるよ。倫理的にも生命的にも。
そんな事を考えていれば、クレマンティーヌが返り血浴びまくって、鉄臭い血塗れの状態でこちらに歩いてくる。金髪の髪すらも血に濡れて真っ赤になっており、先刻まで亜人で楽しんでいた事が窺える。
「ヤーくん、終わったー?」
「ああ、コイツで最後だ。しっかし、風花の言ってた英雄級の亜人はどこにいるんだ?」
「私の方にはいなかったけど。ん〜、コイツじゃないのー?特徴も情報通りじゃん」
「コイツか?‥一撃で死んでるからな、流石に違うだろ」
クレマンティーヌは俺がトドメをさした亜人を指差す。確かに今倒したコイツはそれなりに強かったが、それでも英雄級かと言われると疑問が残る。英雄級の片足に踏み入れてる感じはしたから、約1ガゼフぐらいはありそうだが、あってもそこ止まりだ。風花の読み違いか?
「え?」
声が漏れる。その刹那、先刻首を刎ねたはずの亜人が目を見開く、狂気的な目つきの亜人は、首だけが一人でに動く。反射の域で、俺とクレマンティーヌが武器を振るうが、霧を攻撃しているように手応えがない。
手応えがない時点で、この首は物理的に存在している物体ではなく、スキルのエフェクトや魔法に近いナニカが可視化されているだけだと気付く。モヤがかった亜人の首は俺に囁くように、今お前が最も苦しむ呪いをかけた、そう言って消えていった。
消えていくと同時に変なモヤが俺に吸い込まれていく。クレマンティーヌは即座に俺に対してポーションを投げつける。赤い液体が俺の体を濡らす、体の疲労は消えていくが感覚的にわかる、呪いは解けていない。
「チッ、めんどくさ〜。死の呪いって奴?大丈夫ヤーくん?」
「‥今の所は何もない。ただ、呪いは解けていないように感じる。お前から見て俺はどうだ?」
「‥‥受け答えは今のところ正常、挙動も普通、身体に異常もなし。まぁヤーくんだからどうとでもなるだろうけど、早めに帰って診てもらうしかないねー」
「なにもないのが一番困るな‥
まあ、正直こういうのは何度か経験してる。倒した亜人の死体で山ができる、流した血で河ができるなんて異名が与えられる程度には殺してきた。その経験上、こういうのは大抵直接的に殺すような呪いではない。
最悪タレントの裏技みたいな使い方で、こういう状態異常はリセットできるから究極的には問題ないが、それはそれとして面倒ではある。それにこの裏技もホイホイ使える方法ではないから、解ける呪いなら解いてもらう方がいい。
「つうか任務中ぐらい屍山血河って呼べよ、名前は出さずに異名で呼び合うのが規則だろ?」
「えー、ドケチ〜!ヤーくんまでクソ兄貴みたいな事言わないでよー、別にいいでしょー?」
「別に任務中ぐらいはってだけだよ。つうかいつまで兄妹喧嘩してんだ、クインティア家との問題は解決しただろ?」
「‥‥‥さっさと帰ろっか〜」
能面のような笑顔を作った彼女は、何やら聞き慣れたリズムの鼻歌を歌いながら、亜人達の死体の上を歩いて行く。幼い時から付き合いのある、関係が終わりきった兄妹の仲が未だに絶望的な事に溜息を吐きながら、クレマンティーヌの後を追った。
★
法国への帰還中、ちょうどカッツェ平野を通り過ぎた時。
カッツェ平野のアンデットへの対処が思ったよりも長引き、クレマンティーヌと二人で野営を行い、雨に濡れた道具などを焚き火で乾かしていた。
「‥‥‥ねぇ、ヤーくん」
「ん‥どうした?腹でも減ったなら、明日まで待てよ」
「ちげぇよバカ、そこまでガキじゃねえよ」
「えー本当でござるかぁ?」
「昔から聞いてたけどそれ何?マジで腹立つんだけどー、刺していい?」
焚き火の対面に座るクレマンティーヌが、満面の笑顔で刺剣を構えているが、少し経つと飽きたのか溜息をついて剣を戻し、常ならヘラヘラした作り笑いの顔をやめて、珍しく真剣な顔になっている。
「あのさ‥‥あのアン畜生‥番外席次サマと結婚すんの?」
「‥‥まあ、そうなるな。リーネはあの様子だし、なんだかんだ上層部も神人と神人の婚約に対しては乗り気だからな。俺としてもあんなにアピールされたら‥‥なぁ‥?」
「‥ふーん‥‥アピールされたから受け入れるの?」
「そりゃ‥まあ‥なんだ?そんなに気になるか?」
何か、そう、非常に良くない雰囲気を感じる。焚き火では渇いた薪が燃えているはずだが、何故かジメジメとした湿った空気に変わっていく。
なんだ?直感が呪いの発動を感じ取っている。今?!!なんでさ!?
「‥じゃあさー‥‥」
立ち上がって、俺の隣にクレマンティーヌが座り込んでくる。‥改めて見るとコイツ美人だな。
よく考えると眼前の幼馴染は、CV悠◯碧だし、顔は黙ってればキレイだし、胸とケツはデカくて太腿も太い癖にスタイルは良いとかいう、ファンタジー生物である。
ちょっと拷問する癖があったり、実家の一族や家族と仲悪すぎて、ズーラーノーンとか言う人類に敵対するカルト組織に行こうとしてたのが玉に瑕だが。
「私が立候補しちゃっても、受け入れてくれる?」
しな垂れがかってきたクレマンティーヌに耳元で囁かれる。甘い低音が耳元を擽り、背中にゾクゾクとしたモノが登ってくる。吐息が顔にかかる程の距離だ、彼女の柔らかさが直接伝わってくる。
元はオバロの面白キャラ、この世界に転生してからは、仲の良い悪友としか見てなかった女は、吸い込まれるような赤い瞳で俺を見つめ、暗い笑みで俺を誘惑してきた。
虐殺された獣人の皆さん
人間踊り食いして、何個か村や街滅ぼしただけで、ガキもみんな殺しやがって!許せねえ!獣人を思う心はねえのかよ!
クレマンティーヌ
誰にも愛されずに育った。幼少期、唯一自分を見てくれた不思議な少年に惹かれた。彼には与えられなかった父性を求める気持ちや、純粋に異性として惹かれた心、幼い時から唯一親交のある友としての感情など、複雑過ぎる想いを抱いている。
いつまでもその想いを言い出せずにいたが、親交の深い友達というなぁなぁな平穏なぬるま湯でもいいと思っていたところ、ゴリラが全部ぶち壊したため、形振り構わなくなった。
御年百と数十歳。初めて人を愛した超越者。最新の研究により逆転わからせプレイが好きだと判明した。
大金にあかせてファションするのが趣味なので、色んな格好で色んな事を試している。最近のオススメは野蛮なエルフの格好をした状態で、法国騎士役の彼に奮戦の末負けちゃう事。今のところ全敗しており、これからも勝つ事はない。
現在謎の直感が働き、非常にイライラしている。