※この作品はR-18です。

僕の愛したアリスを返して~ソラの幼馴染救済譚~   作:アロンの杖

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青年期・怨嗟

 あの後。

 

 故国である“ガリア帝国”に帰還したアリス達一家を待っていたのは過酷で厳しい任務の連続と、同僚や同級生達からの凄絶なイジメの日々だった、特に“オーギュスト夫妻”を始めとして優しい人々に囲まれ、かつ“和の精神”に満たされた日本の中で幼年期の大半を過ごして来たアリスには西欧諸国に蔓延る“荒んだ精神”と“弱肉強食の社会構造”の中で培われたいがらっぽさとがどうにも性に合わず、また四年間も平和な日本で過ごし、かつ大好きな彼氏と寝食を共にしてきた彼女自身からはそう言った“荒っぽさ”や“ギスギス感”が抜けて行ってしまっていたのだ。

 

 だから彼女は余計に格好の標的にされた、決しておっとりとしていた訳では無かったけれどもそれでも、負けず嫌いで困難に直面しても“なにくそ”と頑張るガッツを持ち合わせていたアリスはちょっかいを掛けやすく、また総じてイジメを行う者達と言うのは執拗であり目敏いものだったから、“アリスが何処まで頑張れるのかを見届けてやろう”と言う、冷酷非道で嫌みったらしい計算も働いていたのである。

 

 苦しくも苛烈な任務の合間に彼女に対して行われた陰湿なイジメは実に8年間にも渡って繰り返され、その間ずっとアリスは耐えた、耐えて耐えて耐え抜いた、“自分が騒ぎを起こせば父と母に迷惑が掛かる”、“それだけは避けなくては”と優しくて真面目な彼女は心底それを思っていたのだ。

 

 そして、もう一つがー。

 

 “大人になったら会いにいく”、“いっぱいいっぱい修業してうんと強く立派になって”。

 

 そう誓って指切りをした、思い人との約束だった、最終的にはこの希望があったからアリスはなんとか持ち堪えていたのである、ところが。

 

 そんなある日、“大八洲皇国”から風聞が伝えられて来た、曰く“ソラが行方不明になった”、“死んでしまった”と言うモノであり、その一報がアリスの心をへし折ってしまったのだ。

 

 “もう自分が頑張る意味が無い”、“自分には僅かな希望を持つ事さえも許されていないのか”。

 

 その一念が彼女を支配し、それと同時に長年に渡って押さえ込んで来た怨嗟と敵意が彼女を支配して強大なる“魔”と“穢れ”がその心を蝕んでいった。

 

(ソラ、会いたかった。キレイな私のままで会いたかった、会って“愛してる”って伝えたかった・・・!!!)

 

 それこそが“本当の意味で”彼女が彼女でいられた時の最後に思った事だった、そしてその瞬間に彼女は闇に堕ちた、元が激しい“光”であった分、その落差は大きかった。

 

 “闇堕ち”したアリスはまずはイジメっ子達に復讐して回った、“闇の茨”の魔力を使って手足を縛り上げ、自由を奪ったその後で生きたまま腸を切り裂き、穢れた油を振り掛けて火を点けたのだ。

 

 イジメっ子達は全員が凄まじい痛みと苦しみの中でのたうち回って死んでいったがそれを見てもアリスの心は最早少しも痛まなかった。

 

 次いで彼女はイジメっ子達の両親にも同様の復讐を行った、“イジメっ子の親はイジメっ子”と言うがまさしくその通りであり、彼等は誰もが皆、声高に他人様を非難したり欠点を指摘する事が出来ても自分にその厳しさやいがらっぽさを向ける事をしなかった。

 

(だからああ言うバカが生まれるんだ)

 

 そう思ったアリスはだから、より一層の魔力を込めて彼等に報復することにした、この“イジメっ子の親共”はアリスの両親にも嫌がらせを繰り返していたから、そう言った意味でも憎々しい対象であった。

 

 しかし。

 

「アリス、止めなさい!!!」

 

「どうしてこんな事になってしまったの・・・!!?」

 

 全てを終えたアリスが実家に帰って来た時に、変わり果てた愛娘の有り様を見たオーギュスト夫妻は全てを悟り、何とかしてアリスを説得しようと試みるが、だけどアリスにはそれが許せなかった。

 

 “元々私がこんなにも苦しい思いをしなければならなかったのはあなた達がいたからだ”、“あなた達が私を日本から連れ出したからこんな事になったんだ”。

 

 そしてアリスは思った、“今この人達の言う事を聞いたなら私は必ず捕らえられて異端審問を受け”、“そして最後は処刑されるだろう”と。

 

(つまりパパもママも私に“死んじゃえ”って言っているんだ・・・!!!)

 

 そう考えた瞬間に今度は父と母の事が堪らなく憎らしくてどうにもならなくなってしまった。

 

「“闇と歪みよ我が手に集え!!!”」

 

 アリスは“闇の呪法”を用いて“次元の狭間”に一瞬で両親を幽閉してしまった、それは取りも直さずこの時点でアリスが“オーギュスト夫妻”を圧倒的なまでに上回る魔力を備えていた事を示していた。

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