僕の愛したアリスを返して~ソラの幼馴染救済譚~ 作:アロンの杖
ソラがアリスを救い出して次の日、アリスは急いで“異次元の牢獄”へと幽閉してしまった両親の戒めを解き放ち、現世に帰還させた。
「・・・・・っ!!?」
「・・・・・っ。ここは」
「パパ、ママッ!!!」
アリスはそう言って両親の元へと駆け寄った。
「・・・はっ。ア、アリス。しかしこの感覚は!!!」
「元に戻ってくれたのね?アリス・・・!!!」
そう言ってオーギュスト夫妻は真っ当な人間に戻った愛娘を抱き締めた、彼等とすれば“どうしようか”と思っていた、ただそれは別に“アリスを教会に突き出すかどうか”で悩んでいたのではない、“どうすれば娘を救えるのか”と言うその一点で頭を悩ませていたのである。
「よかった、お前が元に戻ってくれて・・・!!!」
「心配したのよ?アリス・・・!!!」
「う、うぇっ。ぐす、ご。ごめんなさい・・・!!!」
両親の言葉に素直に詫びるアリスであったが、その時にオーギュスト夫妻はふと少し離れた場所からこちらを微笑ましそうに見ている一人の東洋系の青年の姿に気が付いた。
「・・・はて?どなただったかな」
「なんでしょう、何処かで見覚えはあるのに・・・」
二人が首を傾げていると、彼が進み出てきて挨拶をした。
「おじさんおばさん、お久し振りです。僕です、ソラですよ・・・」
「・・・・・っ。な、何ぃ。ソラだって?信じられんな、見違えたぞ!!?」
「とても立派になって・・・っ。あの頃は本当に小さな男の子だったのに!!!」
そう言いつつもオーギュスト夫妻はソラともハグを交わすがその体付きは逞しく、爽やかでいて重厚なオーラが彼を包んでいた、立ち振る舞いは堂々としており静かに落ち着いた動作が修業の完成度の高さを現していたのだ。
「そうか、君がアリスを救い出してくれたのか。礼を言うよ?ソラ・・・」
「娘のこと、本当にどうも有り難う。私達も助けていただいて・・・!!!」
「おじさんおばさん、アリスはね?まだ心の奥底に愛と光を残していたんだよ。だから助けられたんだ、この子は自分の力で立ち直ったんだよ?俺はその手伝いをしただけです・・・」
そう言うソラの肩を抱き締め、オーギュスト夫妻はアリスを伴ってリビングへと移動して行く、するとそこには。
「グアァァ~ッ、スピイィィ・・・ッ!!!」
まだ眠りの中にいたココがベッドに横たわっていた、部屋の中は酒臭く、ひょっとしたなら夜中か朝方に起き出して一人で飲んだくれていたのかも知れない。
「・・・あははっ、ココ。早く起きな?もう10時だよ!!?」
「ううっ。お酒臭いの・・・」
「・・・まったく。何て様だ!!!」
「この子は昔っからお酒癖が悪かったからね・・・」
普段のココの飲みっぷりを知っていた四人は笑ったり呆れたりしながらココを揺さ振った。
その途中でソラが、ミスティオール一家がいない間はココがずっと一人で家を維持してくれていた事を伝えると、アリスやオーギュスト夫妻は“もう少し寝かせといてやるか”と言い、自分達もソラを誘ってテーブルに着く。
「家族と娘が無事に帰って来て、義理の息子にも再会出来たのだ。今日は目出度い日だからな、とっておきの1本を開けよう・・・。飲むかね?ソラ、そしてアリスも!!!」
「・・・・・っ。ええっと」
「あははっ、いただきますよ?おじさん、それにおばさんも。アリスも良いだろう?一緒に飲もうよ!!!」
そう言って頷くソラに釣られてアリスもまた飲酒を了承するがここ、ガリア帝国では親の許諾があれば16歳からワインやビールを嗜む事が出来たのである(ちなみに大八洲皇国は18歳以上からである)。
「はっはっはっ、そう来なくてはな!!!」
笑いながらそう言うと、オーギュストは人数分のグラスを用意し、更にワインのコルクをゆっくりと引き抜いてそれらに注ぎ、それぞれへと手渡した。