※この作品はR-18です。

僕の愛したアリスを返して~ソラの幼馴染救済譚~   作:アロンの杖

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幼年期・邂逅

 “宇宙(そら)”の実家である“神成家(かんなりけ)”は代々続く“霊能力者”の家系であり、現に彼の父“神成 光明”は名の知れた修験者だった。

 

 元を辿れば“賀茂一族”から枝分かれした血統であった光明だったが、そんな彼には幼い頃から定められた“婚約者”がいた、母である“神成 真冬”であり2人は小さな頃から度々、顔合わせをさせられていたらしい。

 

 ちなみに真冬も由緒正しき家柄である“海部氏(うんべし)”の出であり“元伊勢”の“籠神社(このじんじゃ)”で巫女を務めていて、そのハイブリッドとして生まれたのが“宇宙(そら)”本人だった、と言う訳だ。

 

 基本的に“霊能力”と言うのは血に由来するモノであり、当然それを色濃く受け継ぐ宇宙も小さな頃から度々不思議な体験をして来た、そしてそんな我が子をそれとなく見守りながらも光明も真冬も愛情を掛けて育てあげて来たのである。

 

 勿論、可愛さに目が眩んで甘やかして育てた訳では無く、既に将来この子が大変な試練に直面する事を“霊能的な卜占”により知っていた両親はだから幼い頃からその方面の英才教育を“宇宙”に施していた、と言う訳だ。

 

 そんな宇宙には仲の良い同い年の幼馴染の女の子がいた、名を“アリス・ソレイユ・ド・ミスティオール”と言う白人の少女である。

 

 彼女達一家は西欧の強国である“ガリア帝国”に於いて代々“悪魔祓い”で名を馳せて来た一族だった、アリスの父“オーギュスト”は優れた魔法戦士であり母の“アントワーヌ”は“西方救世教会”に於いて“聖女”の一人に認定される程の霊力を持ち合わせていたのであった。

 

 2人の出会いは今から14年ほども前にまで遡るが、当時京都府と兵庫県の県境にある山深い“ポツンと一軒家”な邸宅で暮らしていた“神成一家”の元に突然、“ミスティオール一家”がやって来た事が始まりだったのだ。

 

 当時外は土砂降りの雨が降っており、山道は泥濘(ぬかる)んでいて外出は危険であった。

 

「実は目的地に向かう途中で車がパンクしてしまって・・・」

 

「もし良かったら雨宿りをさせていただけないでしょうか?」

 

 片言の日本語でそう訴えるミスティオール一家を、神成一家は快く迎え入れる事にした、そしてその時に“宇宙”は“アリス”と初めて見つめ合ったのだが、正直に言って日本人同士でも人通りの無い地域に暮らしていた“宇宙”にとって“西洋人との邂逅”等は初めての事であり、大いに緊張してしまっていたのである。

 

 それだけではない、まだ小さかったアリスはそれでもハッキリ解るほどにまで美少女であり、そう言った事も手伝って宇宙はドキドキしてしまっていたのだ。

 

「実は兵庫の市街地に仕事で来たのです、あまり大きな声では言えないが極めて大口の仕事でね・・・」

 

「本社からも“必ず成功させて欲しい”旨を言い付かっているのですよ」

 

 取り敢えずビショビショに濡れていたミスティオール一家に風呂と食事を提供し、お酒を出してもてなすと少しだけ彼等は自身の身の上を話してくれたがどうやらかなり重要な任務を帯びてはるばると日本までやって来たらしかった。

 

 ちなみに彼等はお互いに初見で相手が“霊能力者”である事は見抜いていたから話題に困りもせずに会話に花が咲いたが、問題はその後だった。

 

 この時、“神成一家”は自宅の母屋とは別に“離れ”を所有しており、そこには万一に備えて“電気”・“ガス”・“水道”が通っていたからそのままそこに“ミスティオール一家”を泊まらせる事が出来たのである。

 

「すまない、大変に感謝している」

 

「なんと御礼を言ったら良いか・・・」

 

「あはは、良いんですよ?オーギュストさん」

 

「“困った時はお互い様”ではないですか、どうかお気になさらず・・・」

 

 そう言って彼等を宿泊させたまでは良かったが、それから1週間もの間、雨は降ったり止んだりを繰り返しており道は相変わらず泥濘んでいて結果、ミスティオール一家は旅立てなくなってしまった。

 

 そうこうしている内にクライアントからは依頼を別の人物に回す、と言われてしまい、結果として“西方救世教会”の顔に泥を塗る形となってしまった一家は電話越しに枢機卿(カーディナル)から激しい叱責と侮蔑の言葉を投げ掛けられた挙げ句、“暫く顔もみたくない”とまで言い捨てられてしまったのだ。

 

「天候はどうする事も出来ません、あなた方の所為では無いよ・・・」

 

「向こうも少し落ち着けば必ず解って下さるでしょう・・・」

 

 気落ちするオーギュスト達を慰めつつも光明と真冬は“暫くここに滞在したらどうですか?”と提案をした、“せっかくお隣さんが出来たのにお別れするのは寂しいですし・・・”との言葉を添えて。

 

「それにウチの“宇宙(そら)”もアリスちゃんがいてくれて凄く嬉しそうにしていたし・・・。なあ?宇宙」

 

「・・・・・」

 

 笑いながらそう振って来る父の言葉に、宇宙は何も答える事が出来ず、ただ嬉しそうに下を向いていた。

 

(アリスともっと一緒にいられる・・・!!!)

 

 その喜びと、自分でも良く解らない不思議な暖かさとがその時の彼を支配していた。

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